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新しいことって大変ですが面白くもありますね。

こんにちは、油絵科昼間部です。
校舎での授業が始まってしばらくたちますね。まだまだ目まぐるしく変化する社会のただなかにいて、客観的な視点を持てない状況下ですが、日々様々な体験や気づきがあります。オンライン授業では、何よりコミュニケーションが物理的束縛から解放されたことを強く実感しました。
オンラインを始める前に実はコミュニケーションの質が落ちるのではないかと危惧していましたが、ピンポイントに目的を明確化し、内容だけではなく課題意図やヒントをまとめ、新美油絵科のオリジナル冊子や参考作品集等を準備し、また学生の協力もあって充実した授業内容を展開できたのではないかと思います。
こちらは課題資料集の準備の様子です。数課題分のはずが1センチ弱の厚みになりました。
プロのアーティストなど様々な活動をされる作家のオンライン講演会も行いました。
学生によっては直接会うこともなくビデオ通話であいさつを交わし、そのまま指導へと移りましたが、私の実感では架空の人物と会話している感覚は全くなく、バーチャルといっても生身のコミュニケーションのように感じました。インターネットが一般へ普及していった2000年前後のころはバーチャルは非現実の象徴でのめりこむと現実逃避だなんだといわれる時代でしたが、現在では世界の枠組みが広がった空間のように感じられます。実際にアトリエで対面すると、こんなに背が高かったの!?等驚きもありましたが始めて会うという感じは全然ありませんでした。
授業をするうえでは、物理的な距離がないぶんどの学生とも近く等距離で、小さな作品でも関係なく見せることができ、またビデオ通話とペイントソフトを組み合わせるなど、言葉やしぐさでは説明のできない内容を伝えることもできる利点もありました。
ところでリレーショナルアートってご存知でしょうか。作品が単体では成立せず観客など第三者とのかかわりの中に生まれてくる作用、関係を大切にしたものです。フェリックス・ゴンザレス=トレスの飴玉の作品が印象深いので調べてみてほしいのですが、彼の作品は、現実との葛藤と未来への希望をパブリックスペースでのコミュニケーションにこめて制作しているように思います。
美術の役割の一つは世界と向き合うことです。油絵科はたまによくわからないと思われることもありますが、世界を敏感に感じとり昇華する能力を秘めた人が集まっていると信じています。もちろん絵画は物質的な側面も持ち合わせているのでアトリエで学べることはこれからたくさんあるのですが、新しいコミュニケーションのあり方というか、ネット空間での経験が今後の制作のヒントになり、その先の可能性を見せてくれるのではないかと思います。