こんにちは。油絵科の関口です。
陽射しが眩しく、汗ばむ様な気候になりましたね。
さて、皆さんは東京都美術館で行われているボイマンス美術館所蔵、ブリューゲル「バベルの塔」展はご覧になりましたか? 僕はつい先日、何とか時間を作って行ってきました。
この「バベルの塔」は実に24年ぶりの来日という事ですが、僕は前回の展覧会も見に行った記憶があります。その当時、池袋の西武百貨店に「セゾン美術館」という美術館があり、ブリューゲルのバベルの塔が来ているというので、それを目当てに見に行ったのです。当時はそんなに混雑しておらず、間近でじっくりと見る事が出来ました。
実はウィーン美術史美術館に、もう一点ブリューゲルの描いた有名なバベルの塔があり、当時こちらの方は図版で見た事があったのですが、ボイマンス美術館の方は知りませんでした。
本物を見た当時の印象は「かなり小さい作品なのにスケール感がすごくて、もの凄く緻密な作品だなぁ」という感じでした。
僕の中ではブリューゲルというと、風刺画や寓意画の様なイメージが強く、形もモコモコした印象が強かったので、余計に「かなりキッチリ描いている」という印象が残ったのかもしれませんね。
さて今回の展覧会、雑誌やネットなど様々なメディアで紹介されているせいか、場内はかなりの混雑でした。展覧会としては、ボッシュの油彩2点と、ブリューゲルのバベルの塔が目玉で、正直その他はオマケ的な感じでしたが、3DのCGを使った映像や、場内に設置された大きな曲面に貼られたバベルの塔の複製、東京藝術大学COI拠点による300%拡大の複製など、バベルの塔のプレゼンとしては興味深いものがありました。
あと、以前から個人的にこの絵の中でちょっと疑問に思っていた点がありました。「塔の左側にある赤っぽい部分と、白っぽい部分は何なんだろう?」「光の設定かな?」とか漠然と思っていましたが、実際は絵の中でレンガを運んでいる時、粉末になってあちこちに付いているところが赤く描かれ、漆喰を運んで袋から溢れているいる所が白く描かれているのだとか。う?ん、芸が細い!確かによく見ると、滑車の様な道具を使って何やら運んでいる様子が伺えます。白っぽく描かれた人は漆喰の粉を被っているんだそうです。その辺が場内の映像の中で解説されていて、長年の謎が解けてスッキリしました。
それから今回の展覧会に合わせて、漫画家の大友克洋さんがバベルの塔の内部を想像して描いたINSIDE BABEL(インサイドバベル)という作品を手掛けています。4月位にネットでその動画を見たのですが、「童夢」や「AKIRA」をリアルタイムで読んでいた世代として、大友克洋さんの動いている姿を見る事が出来て、それだけでちょっと感動してしまいました(笑)。気になる人はインサイドバベルで検索してみて下さいね。
あと、前回も少し触れましたが、6/5(月)から新美ギャラリーがオープンします。新美生は毎日そこを通って、暫くのあいだ僕の作品を見る事になると思います。…そう思うと、さすがにちょっと緊張しますね(笑)。大学生になって既に新美を卒業した人や、外部の方もご覧になれますので、興味のある方は気軽にお越し下さい。
あと6/18(日)の11:00よりギャラリートークも予定しております。どうかお楽しみに。