カテゴリー別アーカイブ: 基礎科

《基礎科》きっといつかは

私ごとですが、、、
先日友人3人と展示をやりました。

僕はデザイン科出身なので、定期的に展示をやることがあまりなく
仕事もクライアントワークがメインなので、自分の作品を作ることって
ほとんどないんです。(自分で使うものを作ることはよくあるのですが)

そろそろ40が見えてきて、ふと「自分はなんで美術の道に来たんだろう?」
と考えた時に、ものを作る楽しみだったり表現することっていう
自分のために何か表現をすることが自分にとって原点だったような気がして。

このタイミングで一度その頃の気持ちで何か表現をしてみようと思ったのがきっかけです。

自分の中で題材を決め、自分で画材を選び、自分の知りうる知識と技術で表現をする。

楽しくもあり、とても大変な作業でもありました。
これを作家の人は日常的に続けてるのだと思うと、頭が下がる思いでもありました。
(とファイン系の人に言ったら、クライアントワークを続ける方が大変だ、と言われた)

実際作品ができて、展示をやることで反応を聞いたりすることができたのですが、
正直作品を作れたことである意味満足しました。
もちろん見てもらって嬉しいのですが、自分の中で生まれたものが一つ形になった
というある種の達成感が大きかったような気がします。

もう一つ展示の際のテーマとして、
デザイナー的な観点を捨てて、アーティスト的な観点で作品を作ることでした。
こうすれば完成しうる、といういつもの自分のものさしを一度置いてみる
ということの実験でした。

結果的には、やはり前者の部分が出さないようにしていても出てしまうし、
その二つが混じってできたものが、大学を出て社会人を経て立っている自分なんだなと、
自分の今までを再確認するような感じでした。

なんで自分が美術をやろうと思ったのか?
なぜ自分がこんな大変な目に遭ってまで美術を続けてるのか?
なぜ自分は表現をするのか?

美術や芸術はきっと自分と向かい合う行為なのかもしれません。
自分の中にもう一人の自分を立ててその相手ととことん話し合う作業。

いろんなことに悩んだり、つまづいたり、美術をやめようと思った時。
そんな時に、そんな自分と向き合ってみるといいかもしれません。
いいねや、他者の発言や比較、そんなもののために行うものではない
純粋な自分と向き合う時間がきっといつだって大事なのかもしれません。

さて、
基礎科ではある意味一番作家性の強い課題というか、
自由度の高い大作週間がやってまいりました。
基礎科最後の課題となっております。

時間をかけて、自分の選んだモチーフをしっかり表現する。
一番最後の課題としてはもってこいなのではないでしょうか。
基礎科の最後を錦で飾りたいところでございます。

今までで一番いい絵が描けたなあと、
自分で自画自賛できるような作品を目指してくださいね。

1年間みなさんお疲れ様でした。
受験科に行っても頑張ってくださいね。

【基礎科】imagine all the people…

昨日東京は最高気温が20度超えという
2月にしてはとんでもない気温を記録しました。
新宿を歩く人の中でTシャツの方がちらほらいたのにびっくりしました。
うってかわって、今日は曇天かつ強風で金曜には雪が降るとかなんとか。
そりゃどんなに屈強な人だって、こんな気温変化にはついていけませんって、
体調管理も実力のうちとはよく言ったものです。

さて、基礎科では2月に入ってから3者面談(保護者会)を行なっています。
高1の生徒さんは今後について、高2の生徒さんは今後の受験科についてなど
学期最後の確認を親御さんを交えて行いました。

その中で必ずお聞きするのが学科(勉強)についてです。
私大はもちろんのこと、藝大でも科によってはかなりしっかりと学科の点数を見ます。
とはいえ美術の道を選んできている生徒さんのほとんどが
学科に苦手意識をお持ちの方がほとんどです。
正直学科が得意な生徒さんはほとんどいません(時々学年1位とかがいたりしますが…)。

また、先日私大の合格発表があり、学科の成績で合否が分かれた方もいらっしゃいました。

面談をしているとほとんどの場合、英語か国語で言うと英語が苦手な場合が多いです。
母国語ではないので、普通に生活していても向上しないので勉強しないと
成績は上がりません、それはしょうがないですね。。

一方で、国語が苦手というタイプには一つの傾向があります。
それが『本を読まない』方です。
正しく言うと『本を読めない』方なのです。
え、日本語なのに?と思うかもしれませんが、本というのは読むのにはトレーニングが必要なのです。
長い文章を集中して文字を追うこと、またその文字を頭の中で再構成して、
今どんな内容の話をしているのか、前の話とどんな関係性があるのかを考えたり
内容を整理すること、そして話の内容を頭の中でビジュアル化することなど。
実は本を読んでいるとき、頭の中ではかなりの情報を整理しイメージしているのです。

「漫画なら読めるんだけど、、、」

本は読まない方は漫画が好きだったりします。
ですが、漫画と本は全く別の機能を持ったものと考えてください。
漫画がだめでは全くないです。漫画最高です。漫画大事です。いっぱい読んで。
漫画もいいけど本も読むのです、違うものなので。
和食も食べるけど、洋食も食べる、みたいなものです。

漫画というのはビジュアルを作者が提供してくれます。
なので、その世界観を自分で補完する必要がないのです。
なので、絵を見る補佐として字があるようなイメージだと思います。
本はその絵を自分で考えないといけないのです。
どんなことをどんな情景で伝えようとしてるのか探る力、
それって、ものづくりをする人にとって大事なことなのではないでしょうか?

当然美術をやってる人が全員本を読むわけではないですし、
漫画やアニメしか見ない人もたくさん知ってます。
(もともと本や文字を読むことが生まれつき困難な方もいらっしゃいます)

ですが、本というのは文字でしか伝えられないとても大事な情報が込められています。
ビジュアルを見る側に委ねることで、読み手が自分の中で世界をイメージすることができます。
本というのは、文字をずっと追い続ける行為が最初はとても大変です。
一冊読み切るのに、最初はとても苦労します。
あと興味がないものは眠くなります。。(多分体の拒絶反応です)
でも本にだけではなくあらゆることに、間違い無くこれだけは言えるのですが、

「大事なことは簡単には手に入らない」

のです。
わかりやすいこと、伝わりやすいこと、短時間で習得できること
それが良しとされている昨今ですが、
人間の本質というのは数百年では変わりません。
何かを身につけるのには時間がかかるのです。
逆にいえば、楽にできることに人は手をのしがちです。(そりゃそうです、スマホ手放せないですし)
だからこそ、簡単なものというのは気をつけなければいけないのです。

わかりやすいことが本当にいいことなのか??
大事なことってそんなにわかりやすいことなのか??

それを判断する力を養うのが、本を読む力なのかなと思います。
わかりやすく説明してる言葉って、耳障りが良いです。
すぐに頭に入ってきます。考えなくても納得できるような言葉選びや、
文章の構成で説明してくれます。
でもそれを疑う力がないと、全部鵜呑みにしてしまう危険性があります。

まずは簡単な本でいいです。
ラノベでも青い鳥文庫でもいいです。
まずは1冊読み切るのを目標にしてみてください。
そこから徐々に徐々に、読みやすい本や好きな作家さんなどを見つけていってあげると良いです。
(僕の周りで本を読み始める場合、東野圭吾さんから入る方が多いです。)

「どんな本が自分に向いてるかわからない」
という方は、ぜひ図書館(学校でも市営でも)を使ってください。
司書さんは本のプロです。ぜひ質問してみてください。
きっとあなたに向いてる本を選んでくれるはずです。
本物のサジェストをぜひ受けてみてください。

最近僕が読んでる本は
植物学者 稲垣 栄洋さんの
[はずれ者が進化をつくる]
という本です。
こちらもとても読みやすい本ですので、ぜひ手に取ってみてください。
毎回のブログで本を紹介するのも良いかもしれませんね。

という本の話だったので、
あえて今回は写真は一切ナシでお送りいたしました。

では

 

【基礎科】赤くぬれ!

節分が近づいてきましたね。
節分といえば豆まきなんですが、それ以外にも昔から玄関にひいらぎと鰯を飾ったりします。
あれ、そういえば数ヶ月前にもひいらぎ飾った気がするんですけど…?という気持ちはさておき
日本は特に季節の行事や、季節の食べ物というのが特徴的な気がします。
(他の国のことはよく知らないのですが、、、)

季節の食べ物を食べるというのはやはり体にもいいらしく、
(あと単純に美味しい)僕は1年でこの季節の食べ物が一番好きだったりします。
特に春に向けての野菜は良いですよね。
一番好きなのは菜の花です。

特にスーパーに行くとこの時期いちごがズラーっと並ぶのですが
数年前まで実は僕はいちごが苦手で、
昔家族でいちご狩りに行った際も、練乳ばっかり食べていた記憶があります。
理由は単純に酸っぱいからで、甘党の僕には「いちごが甘〜い」と言ってる
意味がわかりませんでした。だって酸っぱいし。

それが数年前からご縁があって、気仙沼に定期的に足を運ぶようになって、
気仙沼には気仙沼いちごという名産があ流のですが、これはほとんど県外に出ないんです。
そのイチゴを使った地元のめちゃくちゃいい雰囲気の喫茶店、
『喫茶マンボ』にはこのシーズン限定でいちごババロアというパフェがあり、
それが本当に美味しそうで、どうしても食べたかったんですよ。。

30を越えて、そのパフェが食べたいがために、
イチゴシーズンが始まったと同時に週2,3のペースでイチゴを買って
とにかくイチゴを食べ続けました。
そうするとなぜだか今まで酸っぱさしか感じなかったものが、甘さと美味しさを
しっかり体感できるようになりまして。
今ではいちごが好きになって、このシーズンを楽しみにしているわけです。

意外と苦手意識というものは自分が勝手に作り出しているものだったりして、
案外簡単に解消できたりするものだったりします。
美術系でも意外と「色が苦手」もしくは「立体が苦手」
という意識の人が多かったりして、
そんな苦手意識を楽しく克服しようというのが基礎科の名物課題こと
『そっくり課題』です。

石粉粘土を使って模刻をし、
その後着色を行い
全く同じものになるようにしっかり観察をして作っていきます。

基礎科はいろんな科の生徒さんが在籍していますが、
この課題だけはみんな一緒に行います。
普段は立体をやらない生徒さんも、この時だけは粘土に触れたりするわけです。

立体を作ることで、さまざまな面からものを観察をする力が養われ、
デッサンの際にも、立体物としてものを捉えやすくなります。

今回時間的にりんごではなくうずらの卵を作った生徒さんがいました。
どれが作品かわかりますか、、、?

受験と直接関係ない課題かもしれませんが、
受験に直接関係ある課題のみが重要とは限りません。
むしろ受験というのは美術の道に入るスタート地点もしくは通過点にすぎず、
これから先何かを作ったり表現したりしていく中で何が必要なんだろう?
というビジョンの方が大事だと思います。

とにかくいろいろなことを体験し、失敗したり自分で考えて工夫をする、
そんな経験が少しでも多くできることが、基礎科では一番大事なのではないかと、
僕は思います。

《基礎科》いよいよ3学期スタート!

こちらのブログを開いていただいたみなさま
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。

お正月いかがお過ごしでしたでしょうか?
なんだか自分が小さい頃は3が日、全然お店が営業していなくて、
その代わりどこも門松出したり、どこかしらからお正月のお琴の音楽や
獅子舞とか、お正月らしいことで溢れていた気がするんです。
最近少なくないですか、、、そういう情緒的なもの。。。
お正月を迎える感じ、というか”面倒臭いけど続いてること”意外と大事だと思うんです。
僕はやってます、大掃除・凧揚げ・書初め・おせち・お雑煮。
結果、年末年始が忙しいっていう。

私ごとですが、2023は色々ありました。
瞬きをしている間に、、とは言いませんがあっという間に終わっていきました。
昔両親や大人が「いや〜早い、1年ってあっという間よね」
と言ってるのを聞いて「何を言ってるんだ」と思っていたのですが、
この歳になってみると本当にそうだなあと。あっという間に1年が終わるんですよね。
何かで読んだんですが、子供のうちは新しく見ることや経験することが多いので、
1日が長く感じるそうなんです。大人になってくるとその初めてが少なくなってくることで、
脳が日常を重複と捉えるそうで。
例えば高校1年生の16歳はこれからの1時間を1時間/16年として捉えるのに対して、
歳を取ることで1時間/40歳となって、どんどん薄く小さくなっていくわけです。
(ああ悲しい)

それだけ若いうちの1秒1時間というのは大切で濃厚だということですよね。

そんな大事な年末年始、基礎科の冬季講習が無事終了しました。

今年は例年を大きく超える人数の生徒さんにご参加いただきました。
普段の授業に参加している生徒さんも、かなりの刺激なったのではないでしょうか?
同じ専攻をとっていても、違う曜日だと会うことがなかったり、
地方から参加されている方や、美術系の高校で普段勉強されている方など
さまざまな生徒さんで溢れていました。

大勢の人数の中で描くことはプレッシャーや緊張があると思いますが、
同じモチーフを通して人がどのように見たり立体を捉えているのか
どのような色の組み合わせや描写をしているのか、など
自分の世界を広げるチャンスであったりもします。
また、受験会場というのはいつもと違う場所で、
いつもと違う人たちの中で行うものです。
講習会は受験の模擬練習でもあるかもしれません。

模擬練習といえば、
ena美術 新宿校では
1月14日(日) 高校生石膏デッサンコンクール(高1・高2)が実施されます。
先々石膏デッサンを取らない方、芸大を受けるので石膏を練習している方、
受験まであと1年ちょっとという好タイミングですので、
ぜひご参加してみてください!!
1月12日(金)18時まで申し込み受付中ですので、
みなさま奮ってご参加くださいませ。

詳しくはこちら>
ena美術新宿_高校生石膏デッサンコンクール

それでは3学期も頑張っていきましょう!

【基礎科】なぜか今日は

徐々に寒さが本格的になってきて、昼間と朝夜の寒暖差が激しくなってきました。
そうなってくると、キツくなってくるのがもっぱら朝ですよね。
朝誰しもがお布団から出るのが億劫になってくる、というよりは
冬だからよりこそ布団の中にいる時間が幸せに感じるという。
私は当然といえば当然なのですが、サラリーマン時代は一度も寝坊などをしたことがなく
ちゃんと朝会社に行っていたのですが、
高校時代は御多分に洩れず、朝起きれないタイプでした。

人生の半分は眠っていると世間では言いますが、
そのときに使用する寝具の質によって眠りの質が変わるとかなんとか。
オーダーの枕だと3万円以上、高級マットレスだと10万円以上、
バブルの頃はウォーターベッドなんていうものもありましたね。
元気に働くために眠りの質を向上させるのか、
眠りの質を向上させるために働くのか、
もう目的を見失ってしまいそうです。

ですが、美術において道具は間違いなく大事です。

一番わかりやすいのが筆ですね!

自分の引きたい線を一発で引くため、
一回でムラなく面を塗るため、
筆は穂先が命です!
筆というのは雑に扱えば、すぐに穂先はボサボサになったり、
変な方に癖がついたりしてしまいます。
細かな描写をする際にそんな筆では余分な質感が入ってしまい、
何度も修正したり、直したりすることになるのです。

日本画科などはとても繊細な筆の使い方を求められますし、
筆に含ませる水の量で微妙な濃淡をコントロールします。
また、水彩なので、アクリルガッシュのように上から塗りつぶすことができなく
(できるけど汚くなっちゃう)
一筆一筆がとても大事になってきます。
日本画の筆はそういうこともあって一本一本が高いのです。
デザインだって油絵だって、筆は安いものではありません。

私が予備校に通ってた時は、今の時期のような講習会の合間の休みに
道具をすべてメンテナンスしたり、整理する人が多かった気がします。
筆のお手入れをしたり、絵の具を整頓したり、鉛筆を揃えたり。
そして万全の状態で講習会に臨んでいました。

プロの世界もそうです。
プロのデザイナーや画家でも道具を皆大事にします。
(だってそれで食べていくわけですから。)
今から道具を大事にする癖をつけましょう。

いよいよ今週末からは冬季講習スタートです。
一度道具を整えて、冬季講習に備えましょう。

あといっぱい寝て、体調も万全な状態で。