日別アーカイブ: 2014年6月3日

ごあいさつ。

はじめまして。今年から彫刻科講師をさせていただく内田です。 自己紹介として、大学で制作していた作品を載せてみます。 学部卒業制作作品は、諸事情により念のため掲載を控えます。 修士修了作品から。 「深呼吸」(220×70×H85cm)深呼吸 
この作品はオウム2羽が木にとまっているように見えると思いますが、木が肺のようにも見えるという、一つの形で複数の見え方が発生する面白さを狙ってみました。 この修了制作を終えてみると、学部とは作品スタイルに変化があったので、左右対称の形や複数の見え方がある形の面白さというテーマをもう少し詰めたくなり、博士課程を受けてみました。 ? 博士課程での作品です。 「 ALICE」(40×14×H32cm)ALICE
骨盤のように見えるウサギです。見えにくいですが、左右のウサギの喉あたりの空間を覗くと、ふたりの少女もいます。 背面ALICE
欲張って裏も彫りました。(写真の画質悪いですが・・・) 「SWAN」(30×20×H20cm)SWAN 内田麻ゆ
これは、複数の見え方というよりは、意味もなく要素を組み合わせて不思議な雰囲気に仕上げてみた作品です。 もともと、作品にあまりダイレクトなコンセプトを持たせたくなく、見た人に何かを思わせたいとすれば、一瞬「?」と何か考えてしまうような、意味があるようでないような作品や、形としては出来ればもっとシンプルな作品を作りたいと思っています。 このような感じで主に大理石を扱い、博士課程まで修了しましたが、今は石彫が出来る環境がないので、そんな時は木彫をします。 木彫作品は気が向いたらまたの機会に。 では次に新美生の作品を紹介します。 U.Tさんの作品(ハト素描) IMG_hato2
ハトの骨格も、羽根の色の違いなどまでよく見て描けています。地面に二本の足でしっかり立っていて、目にも生命感があります。次も同じくU.Tさんの塑造作品です。 IMG_5904
台座が少し大袈裟なような気もしますが、作品にしようという姿勢が感じられます。 羽を作りこむと表面的になり、羽の中の骨格を忘れがちですが、この作品は骨格も抑えながら、羽を表現できています。素描の説得力がここにも効いています。 次は5月から彫刻科に仲間入りしたばかりですが、なかなか良い感覚を持ってるな?と思わせる作品です。 E.Kさんの作品IMG_5892 IMG_5891
初心者なので、さすがに頭部は骨格が捉えきれず細くなっており、足も胴体に対して大きすぎたのでそのあたりは多少手を加えさせてもらいました。が、胴体や羽の表現はかなり良いです。初心者には難易度の高い、胴体につながる足の位置も自然ですし、頭を傾けているところは生命感に繋がっています。じあま(地面となる部分)を高くしているので空間が生まれ、程よい緊張感もあります。初心者ですが骨格も意識しつつ、とにかく素直にモチーフをよく見て作っているということかもしれません。 ミケランジェロの奴隷(のトルソ)のデッサンです。 U.Tさんの作品6
左右で伸びと縮みの筋肉の動きがあり、このデッサンのように伸びている側は、向こう側の縮みを感じさせつつ手前の伸びている張りを描きます。となるとやはり腰周りの表情を良く観察することが大事です。腰の筋肉の微妙なねじれを観察し描いています。腰から背中への回り込みも丁寧に見ています。 次は大型組みモチーフの作品を紹介します。 制作風景はこんな感じ。a
皆で囲んで通常の木炭紙の倍版で描きました。 木炭紙の倍版は画面が大きくなるので、いつも以上に離れて画面を確認する必要があります。 床の安定感、一つ一つのモチーフの関係性、手前と奥、光の降り注ぐ雰囲気などを表現することで、同一空間に置かれているという状況が自然に見える作品となります。1
これもまたU.Tさんの作品ですが、 左上のファコネのビーナスがもの足りないです。が、床に置かれた安定感があります。植物や細い枝も丁寧に描けています。 Y.Rさんの作4 出だしは全体にグレートーンで空間がスッキリせず、少しデッサンの表情に弱さがありました。モチーフが、盛りだくさんの位置なので、一つ一つの関係性に苦労したのかもしれません。結果的にはスッキリ見やすくなってきました。 M.Yさんの作品5
手前の立てかけられた円盤トルソから左上奥まで石膏が並び、視線が誘導される構図で見ごたえがあります。質感の異なるモチーフが入り組んでいますが、ひとつひとつ丁寧に描きました。 T.Fさんの作品3
白と紺、ストライプの布が組み合わさる場所で、そのコントラストを活かし見せ場のある作品となりました。バケツの質感も丁寧に見ています。

全体的には比較的安定感のある作品ではありますが、まだまだ描き足りないところもあります。課題ごとに全力を出し切ることはもちろん、むしろ全力を少し超えていくぐらいの感じがあるともっともっと良くなっていくと思っています。そういう癖をつけておくと試験本番では「全力+α(冷静さ)」な状態で乗り切れる!!ような気がしますが、どうでしょう。。。ま、頑張りすぎて試験前に力尽きては本末転倒なので、マイペースにがんばって行きたいですね。 7 。。。今後新美生がどんな作品を生み出すのか楽しみですね ?