日別アーカイブ: 2014年6月17日

石膏像を含む室内空間。

こんにちは。彫刻科の小川原です。今回は昼間部の生徒に自由に石膏像を選んでもらい、室内の任意の場所に配置し素描する。という課題を行いました。かなり自由度が高い課題なので、完成度と同時に個性も出していきたいです。思えば僕の受験時代はあまり空間ごとモチーフを描くということはやらなかったです。というより全般的にシンプルなものが多く、基礎力を徹底的に上げていく、という感じでした。でも入試も歴史が積み重なれば多様化してくる訳で、受験生は修得しなければならないことが自然と多くなっていくということですね。一つ一つしっかりクリアーしていきましょう!
さて、作品紹介に移ります。
R.Y君の作品。木炭紙に鉛筆。
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実物のリアルな触覚感がなかなか出ず苦戦していましたが最終的にはいい着地が出来たと思います。自分が思ったより2段階くらい質の高い見方と描写を常に意識しましょう。作品は最終的には「これで決まり!」といえるところまで持っていきたいので、出来るだけ的確な仕事を重ねたいです。荒い探りは後半邪魔になってしまいます。大まかな見切りは良くてもそれがそのままフィニッシュにならない以上、もう少し慎重に、丁寧に、そして正確にするよりほかは無いと思います。
もう少し、ジョセフ以外の描写が良かったらな?(笑)

T.U君の作品。木炭紙大M画に鉛筆。
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高いところに像を置き、蛍光灯を含めた空間を描きました。最後までマリエッタの顔の調子のコントロールは上手くいかなかったですが、ちょっと手を入れただけ(色を抜いた)で良くなったのははっきり分かったと思います。描写力や完成度を上げる為のテクニックは素晴らしいですが、作品としての理想の完成のビジョンは明確に持てていないようです。どんな状況でも作品を最高に良く見せる為に何が出来るか、それさえ掴めれば今よりずっと作品は向上していけるはずです!

Y.Mくんの作品。木炭紙にコンテ。
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出だしから馬頭単体は非常に良くかけていました。裏を返すとこの構図での肝となる奥の壁までの空間感が不足していたり、箱のパースの狂いが目立ったりと、途中経過では雑味が多く、良さをかき消してしまっているのがもったいなかったです。どの段階においても常に作品としての魅力が画面全体に十分行き渡っていることを実感しながら描くことが重要なのですが、やや「途中段階」としてしか作品を捉えていないように感じます。最終的に画面に盛り込みたい要素は開始直後からそれを意識して線や調子に置き換えていきましょう!

さて今回はここまでです。皆大分伸びてきましたが本当にもう一歩と言ったところですね!あと1段階理解を深めると助言など無くても自分の力で自由自在にいい作品に仕上げていくことが出来るようになると思います。それを手に入れる為にはテンションを上げて毎課題楽しんで取り組めること。これが一番大切です!いい作品を生み出す原動力は「義務感」であっては不十分なのです。描くのが「楽しい」と思えたらしめたもので、吸収力は天と地の差となるでしょう(いつも思いますが、常にこんな状態が普通だというタイプの人はあっという間に抜けて出る人です)。浪人生の一番恐い落とし穴は「慣れ」です。新しいものを吸収しなくなればなるほど上達を実感できなくなり、向上心も失われていってしまいます。皆はまだまだ伸びる余地が沢山あるので自分で限界を決めることなく、もっと貪欲に、一番いいものの一段上を目指して頑張りましょう!