日別アーカイブ: 2014年7月14日

私大デザイン補習③

前々回は「色彩」について、前回は「構成」について書きました。
「色彩」と「構成」、2つあわせると……「色彩構成」になりますね。デザイン科のほとんどのみなさんがこの「色彩構成」を受験で描くことになると思います。

(「平面構成」とも言ったりしますが、私は使い分けていません。個人的には「色彩構成」の響きの方が好きですね。)

実は「色彩論」にも色彩のコンポジションについて説明されたページはあるのですが、いちばん最後の2ページ程でさらっと触れられているだけです。

逆にカンディンスキーは純粋な構成の基本を浮き彫りにするために、色彩を除外して「点・線・面」を説明しようとしました(らしいです)。しかし、やはり構成というのは色彩と密接な関係に?あることは否めないようです。

デザイン史…なんていうとそれこそ数千年単位の話になってきてしまいますが、現在みなさんが受験勉強で描いているような平面デザインであれば、たった100年ちょっと歴史を遡ればだいたい把握できると思います。建築や彫刻、もしくは絵画などに比べればはるかに短い時間感覚です。

だいたい1910年ごろ、西洋美術史からグラフィックデザイン史が派生し始めると考えてもいいでしょう。その年代は抽象画が描かれ始める時期です。そしてその抽象画の創始者といわれるのがカンディンスキーでもあります(こういうざっくりした説明は油絵の先生から叱られそうですが…汗)。

カンディンスキーの代表的な抽象画のシリーズの題名は「Composition」、そうまさに「構成」といわれるものです。その一例が以下の作品です。

a
<Composition Ⅳ> 1911

いや?素晴らしい絵ですね!
…ん?よくわからない?むしろちょっと具体的じゃないの?みたいに思うと思います。もう少し時間が経ったあとの作品だとこうなります。

b
《CompositionⅧ》 1923

 

c
《Composition Ⅹ》 1939

どうでしょう?
最初のものより情景的な印象は薄くなり、普段みなさんが描いているような色彩構成にだいぶ近くなってきた気がします。
(ちなみに前回の最後にのせたモノクロの《trente》は1937年の作品だそうです。)

このように歴史をたどっていくと普段描いている色彩構成も、どこか違った視点で見え始めませんか?

絵具の講習会

こんにちは。油絵科の関口です。一学期の最終日に、株式会社クサカベさんによる絵具作りの講義、及び実習が行われました。術開発部課長の小川さんが丁寧に分かりやすく、絵具の事、オイルの事などを説明して下さいました。

今回は昼間部の希望者と、期末テストと重なっていない夜間部生が参加し、一緒に勉強しました。

クサカベ説明会1

 

これは二つの液体を混ぜて、化学反応で顔料が作られる事を説明してくれているシーンです。ちなみに液体を混ぜて作られるこの色は、プルシャンブルーだそうです。クサカベ説明会2

クサカベ説明会3
あらあら。真剣に説明を聞く学生に混じってトゥールズの池田さんまで(笑)。

 

クサカベ説明会4
初めて見る絵具の原料に興味津々の学生たち。

 

クサカベ説明会5
今回の実習ではウルトラマリンブルーの顔料を使って、透明水彩絵具、ガッシュ(不透明水彩)、アクリル絵具、日本画の絵具、油絵具の5種類を作りました。バインダー(接着剤)の違いで、絵具の名称や特徴(色、艶、乾燥時間など)が異なるのがよく分かったと思います。

 

クサカベ説明会6
5人一組のチームになって、お互いに協力しながら絵具を作っています。

皆でワイワイ、キャーキャー言いながら、まるで小中学生のように大騒ぎしていました。教える立場の小川さんはかなり大変だったと思いますが、少しでも材料や絵具について興味を持ってもらえたなら、今回のイベントは大成功だと思います。

 

油絵科のブログでは、材料についても時々取り上げていますので、興味のある人は読んでみて下さい。かなりマニアックですが、将来絵を描く上で役に立つ情報もあると思いますよ。

 

「ホワイトについて①」

http://www.art-shinbi.com/blog/20140127/

「ホワイトについて② シルバーホワイト編」

http://www.art-shinbi.com/blog/20140203/

「ホワイトについて③ ジンクホワイト編」

http://www.art-shinbi.com/blog/20140217/

「ホワイトについて④ チタニウムホワイト編」

http://www.art-shinbi.com/blog/20140303/