彫刻科の小川原です。先日奴隷のデッサンの課題の日に生徒に混じって描いてみました。今回は普段のTHE 彫刻科デッサンから離れ、趣向を変えて背景をつけてタッチを使わず色だけで描きます。ちょっと実験的なデッサンです。
それではいきます。
1段階目。ここはいつも通りの描き出しです。アタリの段階で構図、プロポーション、ムーブマン。特にこの辺りを重視して合わせています。特に背景をつける前提だと、あまりアウトラインを動かしたくないのでここで合わせ切る意識が結構必要かもしれないです。
2段階目。軽く調子を乗せ始めます。わずかですが構造にそって陰になる部分が暗く設定してあります。
3段階目。色面に合わせて明確に調子を分けていきます。結構思い切って乗せた炭が後々深みのあるいい効果を生んだりします。
4段階目。ガーゼを使って空間に構造を沿わせていきます。下面と奥行き面は特に色を鈍くするため(空気遠近)、積極的に炭をおさえる作業をしています。この辺りの作業が最終的な作品の見栄えに一番影響する行程だと思います。
5段階目。顔や胸のバンド周辺を中心に徐々に具体的な形にしていって、全体を進めるきっかけにしています。ここである程度描き進めた全体の中で回り込み周辺を背景に溶け込ませる作業を入れて、空間性の強く感じられる下地作りを意識しています。
6段階目。完成。背景と像の色の対比や、全体の調子のバランス等、隅々まで気を配って作品としての完成度を出来るだけ高めていきます。
今回は5時間くらいかけて描きました。慣れない描き方だったのでいつもより時間を使いました。
この描き方はまさにこれと言って「完成」が無い(受験で言う合格のレベルがゴールではないため)ので、実際はまだまだこれからと言った感じ。もっと描きたかったです(笑)
たまに違った雰囲気で描いてみるのもおもしろいものですね!ただどんなやり方をしても「魅力的な作品を目指す」という作家として当たり前の心構えで取り組む必要があります。適当な作品ほど意味の無いものはありませんからね。