新学期も始まって1ヶ月が経ちました。
1学期の間は、 みなさんには様々なエクササイズをしてもらっています。
というのも、 新美に来るまで自ら作品を作ったことの無い人も多くいるからで す。
どのような人が先端科を目指すのか?
「先端科って何をする科なの?」
「いろいろな表現を学べるの?」
「卒業制作の展示を観に行ったけど、 作品を観てもよくわからないけれど、なんだか面白そう。」
など、これまで作品を作ったことがないけれど、 直感的に面白そうだなと興味を持ってくる人。
「わたしは小さい頃から絵を描くのが得意でした。しかし、 大学ではもっと違うメディアも使い表現の可能性を広げたい。」
「わたしは現代美術を観ることが好きで、○○ というアーティストに興味があります。」
といった、制作することや作品を鑑賞することが、 好きなひとも来ます。
または、もっと具体的に、
「わたしは、これこれこういう作品を作っています。 このようなことを続けていくことで先端科に入れますか?」
「今の時代、こういう活動が必要だと思っています。」
など、自分のやりたいことが明快な人もごく稀にいます。

生徒作品(パフォーマンス)
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ではいったい東京芸大の先端科とはどのような学科なのでしょうか ?
インターネット環境に慣れ親しんだみなさんは既にされていると思 いますが、念のためお伝えします。
やはり、まず最初にやることは、
芸大先端芸術表現科のホームページ(HP)を見ることです。
東京芸術大学のHPと、 先端芸術表現科が管理しているHPとふたつあるので両方見て下さ い。
1)東京芸術大学のHP内の先端科→
ここでは、先端科の理念が書かれています。
芸術の持つ意味そのものを「表現の問題」として問いかけます。
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先端科の「先端」という意味について、よく聞かれるのですが、
上記の理念からすると「Intermedia Art」と「先端科」を定義しているので、 こちらの方が何を意図して作られた科なのか理解できます。
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また、年間カリキュラムも公開されているので、 大学でどのような授業が行われているのか一通り目を通しておくと 、何をする科なのかイメージが掴めると思います。
2)先端芸術科公式HP→
ホームページでは、
学内のイベント、現在活躍している卒業生、 先端科の教授陣が紹介されています。
イベントは、常に何かしら行っているので、 観に行くことをお勧めします。
HPで調べることは、
1、どのような理念のもとに作られた科なのか?
2、卒業生はどのような活動をしているのか?
3、教授はどのような方達なのか?
4、大学の授業内容は?
3の教授に関しては、HP内では詳しく紹介されていないので、 教授の名前でインターネット上で検索すると、 多くの情報を得ることができるので調べてみてください。

生徒作品(教室に設置されてあるエアコンに、人型に切り抜いたビニールを展示)
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では、 新宿美術学院の先端科ではどのように芸大先端科を解釈しているの か?
芸大先端科である理念「芸術の持つ意味そのものを「表現の問題」 として問いかけます。」という難解な問に対し、
まず最初にやってみる導入の問いとして、
自分で作品というのものを定義してみる。
だと思います。
これはとても難しいことで、すぐにはできるものではありません。
しかし、その都度、「自分なりに作品とはこういうものである。」 と定義してみることが重要だと思います。
間違えても良いのです、その都度更新していけば良いだけなので。
何を言いたいかといいますと。
先端芸術表現科で作られた作品というものは、 世の中一般としては「現代美術」または「現代アート」 と呼ばれているものが想定されていると思います。
しかし、それも先端科の問いである「芸術の持つ意味そのものを「 表現の問題」として問いかけます。」 という射程の一部にすぎません。
おそらく、 もっと広い意味で表現活動または作品というものを捉えようとして いるのではないでしょうか?
「作る」または「創る」「想像」する。 など生産的なイメージが美術やアートにはあります。
また「アート」とは「技術」という意味もあります。
または「発見」「見出す」など新たに価値を見出すことも、 表現の中には含まれています。
ただ作るだけではなく、社会や物、自然を観察することから、 多くのことに気づくことも、制作に含まれます。
絵画にしろ、造形にしろ、 既にあるものの模倣からはじまっているといっても良いくらいです 。
と考えると、
「10年後の生活環境を想像する。」
「今の社会がどのような経緯で出来たのか? 日本や世界の歴史を遡ることで、今やるべきことを考える。」
「日々ニュースを見ていても、山ほどの難題と直面しています。 それらとどのように向き合うのか?」
物の形について考えるのであっても、 人体は毎日の食事によって体型も変わりますし、 環境によっても左右されます。
スポーツ選手の体型とオフィースワークをしている人の体型はまっ たく異なります。

生徒作品(布にペイントされた顔:布の重みによって描かれた表情が弛む)
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話はかなり飛躍しましたが、「作品を作る」 ということを考えた時に、どうしても大文字の「作品」「美術」「 アート」っぽいものを想定してしまいます。
しかし、世の中を見渡せば、あらゆる物が造形され、 デザインされ、様々なひとの工夫によって成り立っています。
そのときに自分にとって創造的な行為、技術は何なのか? また作品とは何なのか?問いを起こすことから始まると思います。
いや、もしかすると本末転倒かもしれません、世の中を見渡し、 自分が何を発見し、驚き、自分もその中に参加してみたいと思うのか?
手探りで、世界と直面していくことが、問いであり、 制作活動なのかもしれません。