月別アーカイブ: 2015年5月

映像科:小論文特別授業とオススメ展覧会

こんにちは。映像科の森田です。木金日コースもはじまって約一ヶ月が経ち、最初の週から通っている人は徐々に教室の雰囲気に慣れてきたかな?週に3日のコースだと他の科に比べてまだ少し堅さがとれてないかな??というような今日この頃です。

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先週の授業は「小論文特別授業」でした。毎年春にやっているワークショップ的な授業なのですが、映像科が対象としている「映像メディア」全体ををカテゴリー/ジャンルに分けてマッピングした上で、それぞれに該当する具体的な作品名や作家などを教室の全員で挙げてみるという内容です。以下のプリントがその一部分ですが…

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どうでしょう。もちろん他の専攻でも同じだとは思うのですが、映像メディアは新しい技術やサーヴィスが登場することで、つねにジャンル自体に変化が起こる分野でもあります。だからジャンル分けが難しい…と言うとやや言い訳っぽいですが、しかしこのたった数年で「実写かCG(アニメーション)か」という枠組みがほとんど意味をなさなくなり、また「テレビかネットか」という区分も、それを見る媒体の違いでしかなくなっています。そうした中で例えば「ライヴ・パフォーマンス」と「プロジェクション・マッピング」などであれば、表現の可能性が模索されていく中で、映像の使われ方としてかなり重なる部分があるかも…、などなど。こうしてジャンルに分けてみることによって「映像」というものの全体像が意識できたような気がします。

同時に授業でもポイントになったのは「面白い作品や表現、活動は必ずしもカテゴリー/ジャンルにかっちり収まるわけではないのでは?」ということでした。むしろいくつかのジャンルを横断しているような作品こそが新鮮だったり、ついつい気になって何度も見てしまったりすることもあるような気がします。皆さんも自分なりに(映像科以外の専攻の人は自分の専攻にあてはめて)考えてみることから、新しい発見があるかもしれません。

さて、そんな「ジャンルに収まらない作品/表現つながり」ということで(やや強引ですが)ちょうどこの5月に開催されていた二つの展覧会を紹介したいと思います。

石田尚志『渦まく光』横浜美術館(~5/31まで)

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石田尚志の作品は、手法としては「コマ撮り(手描き)アニメーション」と言えると思いますが、さらに展示の形態からは「(ビデオ)インスタレーション」と捉えられます。普段アニメーションを観て、元の絵が描かれた「空間」を想像するということはほとんどないと思いますが、石田尚志の作品ではむしろその「描かれた(撮影された)空間」が重要で、さらにその「描かれた空間」と「展示された(投影された)空間」の関係がひとつのテーマであるような気もします。と、そんなことを考えずともプロジェクションされた映像を前にすれば、その映像が作られるまでの膨大な時間に圧倒されるはず。ぜひ体験してみてください。

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小泉明郎『捕われた声は静寂の夢を見る』アーツ前橋(~6/7まで)

アーツ前橋・小泉明郎

展覧会の説明テキストにも「ドキュメンタリーや映画とは異なる映像表現」と書かれていますが、小泉明郎の映像作品を観ると、いつも普通に使っている「フィクション」とか「ドキュメンタリー」とかって何だろう?…というか、その二つはそもそもそんなにはっきり分けられるものなのか??とあらためて考えるかもしれません。一見すると「インタビュー」のような形式を取っている映像も、撮影時の制作者の介入の仕方、そして編集や展示の方法によって、結果的にまったく別の鑑賞体験になっています。ちなみに展覧会は映像作品だけでなく、立体作品やテキストなどもあり、相当に見応えあります(僕の場合は3時間くらい観てました)。

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個人的には受験生の一年の中での「一学期」という期間は、とにかく手当り次第に色々観てみて、自分の表現の幅を広げる時期だと思ってます。どちらも新宿からは少し離れていますが、、ぜひ足を運んでみてください!!

アーテイストを目指す者達へ

こんにちは、油絵科夜間部です。

前年度までの謎解きマンガ「入試の件」は、只今リニューアル中です。ご迷惑?おかけしますが、しばらくお待ち下さい。

ということで、今回は、いよいよ今年度、美術大学を目指す皆様にあらためて、言葉を贈りたいと思います。(特にファインアート、油絵科の人かな?)

画学生のあるべき姿とはーーめったにできないことではあるがーー人生のすべてを費やして、自分だけの感覚を愛し、育ててゆくことである。自分の感情を大切にし、けっして見くびらず、それを他人に知らしめることに喜びを感じ、最も純粋な表現を熱烈に追い求めることである。素描の腕を磨くのは、いつか画家になったときに役立つだろうから、などという理由ではない。そんな時間はないのだ。彼は生まれつき芸術家であり、すでに自然から与えられている快感と感情を表現するための線と形体を発見するのに忙しい。知識がなくても、必要なものが目の前にあれば、すぐに見つけられる。

教師たちがこんなことをいって、邪魔することも多い。

「あせってはいけないーーー画家になりたいなら、まずデッサン力をみにつけなさい!」

ああ!デッサンの勉強に明け暮れたあの長く憂鬱な年月!
そんな苦行を重ねた末に画学生は、人体モデルや古代の石膏像を見るたび
この頭部の比例は全体のどれくらいだろう?といようなつまらない感情しかもてなくなる。

子供のころに抱いた、人間や物に対する幻想を忘れては行けない。それらを大事にする心は、冷静な計算と分析によって簡単に汚されてしまう。人の抱く幻想を無視してはいけない。むしろ、仕事を通じてその興奮を持続し、広げていくべきだ。

古代の石膏像をいくら眺めても、その彫刻が表現している美に感動をおぼえなければ、すぐれた作品は生まれない。

石膏像や人体モデルを前にして、なんのテーマも思い浮かばず、そのまま何時間も目的なしでデッサンを続けたりするのは、自分の感受性を硬化させる第一歩である。ーーー見たものから喜びを引き出す力が失われてゆくばかりだ。デッサンやスケッチで表現すべきは、

「どんなモデルだったか」ということではなく、

「自分の感覚がどこにあったか」である。

そのモデルの外見のどこにいちばん強い印象を受けたかをはっきりと示すことである。

以上

と偉そうに書き連ねましたが、実はこの文章は、2年前ぐらいに

話題になりました、「アート・スピリット」という本からの引用です。

私もこの本は高くて買えず、学生に借りて読んだのですが、この作者

非常に熱い!!

ロバート・ヘンライさんという、美術の教師らしいです。

熱すぎて、突っ走るところは、アート教育会の松岡修造と言っても

過言ではないでしょう。

興味のある方は、読んでみてください。

彫刻科 GWまでの近況

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こんにちは彫刻科の氷室です。

次の試験こそは!と新しいスタートを切った気持ちも、やや1年が長く感じられはじめられる頃ではないでしょうか。
実技は丸々自分自身なので、事あるごとに、まだまだ!と言われる部分と、いやここは認めて欲しい!と言う所と様々ぶつかる点もあるかと思いますが、お互い目指すべき最終地点は一緒なので、目標へ向かってたくさん葛藤していきたいですね。まずは目の前の出来ることに取り組んで行くことからでしょうか。

1学期では山場が6月に有る様に思います。気持ちが揺らいだらどの様に気分転換していけるのかが鍵になりますね。
デッサンの悩みはデッサンでしか解決できませんが、気持ちの問題は何かしら気分転換が必要な時も有りますよね。本を読んだり、音楽を聴いたり、散歩をしたり、体を動かしたり、バイトへ行ったり。
まずは6月へ向け!GW、エネルギーチャージをして下さい!

今回、おっと気になった作品を上げてみたいと思います。

自刻像2点です。
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もう一歩骨格の強さが欲しい所ですが、水粘土を活かした表現を楽しいんでいる魅力がある作品です!
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首の表現やまだ力不足な点もありますが、表情は特に自然な表現が出来ており、思わずホォーと見入ってしまう作品です。髪の毛の表現も上手いですね!

F君のデッサン
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ラオコーンの動きに良く反応で出来ています。伸び側の肋骨の奥行きと深さがもっと欲しいですが、表情にもしっかり手が入っていて勢いのある1枚です!

S君のデッサン
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大きな形態感をしっかり保ったまま細やかに描写が乗っており、かつ繊細な炭幅が奴隷の像の魅力を際立たせています。とても良い感度で描かれた1枚です!

こちらは、夜間部Mさんの模刻
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頬骨やおでこの形の表現にもう一歩踏み込んでいけると良いですが、とても素直に観察してある作品です。その観察こそが模刻の命です!

手の塑造Y君
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腕から手のひらにかけての軸や指先の表現はもう一歩欲しい所ですが、力強く言い切りのある作品で良いです!

S君の塑造
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大きく内在している張りと表情ひとつひとつの影の深さがもう一歩マッチしてくると最高ですが、ポーズや表現にしっかりこだわりが感じられます!

この上記2点はGW明けから始まる、木彫実習へ向けてのマケットも兼ねての制作でした!

F君の塑造
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上にそっともう片方の手が繋がっていたのですが、思い切ってなくしてみました。この1本の手でも、十分に彫刻として成立すると思います。腕の筋肉や指先に描けての流れ、素描センスを感じます!

Iさんの塑造
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素直に観察し制作されているとても良い作品です!両手の動きから作られる流れや溜まってくる空間が織りなす魅力は観ていて引き込まれます!

夜間部O君のミロビの模刻
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髪の毛もしっかりと追って行くこの集中力は、果たしてどこからやってくるのでしょうか!?目や唇に落ちる影の部分の表現がとても効いています!首の作りはもう一歩ですが、とても良い作品です!

最後に私個人の話になってしましますが、4月に色々な縁あって2種類のグループ展に参加させてもらいました。
私の出身高校が美術科がある高校だったのですが、その同じ高校出身で年齢はまちまちですが、今も様々な場所で制作・活躍をされている方々が集まった珍しいグループ展でした。
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『流灯』

もうひとつは、2013年、2014年と栃木県茂木町での野外展に参加したのですが、同じ展示に参加している作家さんから声をかけて頂いてのグループ展でした。東京工科大学に在籍されている方の鑑賞のサイクルと言うテーマの研究とコラボレーションさせてもらい、かつて経験した事がない展示内容になりました。
セカンド オピニオン
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『余白と輪郭と #5.6』

次回の彫刻科ブログ更新日は16日です!担当は、新しく講師としてお迎えした稲田先生です!!
ぜひ自己紹介も兼ねて、宜しくお願い致します。