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キャンバス張り器について

こんにちは。油絵科の関口です。
今年の芸大油画専攻はキャンバスサイズがF30号と発表になり、慌てている人も多いと思います。それにしても30号…中にはそのサイズの大きさに途方に暮れている人もいるかもしれませんが、それよりも受験生の皆さんにとって、経済的な負担が大きいですよね。アルバイトをしながら画材代を稼いでいる人には、正に死活問題です。そこで、今日はキャンバスを張る時に使う「キャンバス張り器」の紹介です。
キャンバス張り器にも色々ありますが、お金がない人にとっては、少しでも安い方を…と考えて、一番安いものを買う人も多いのではないでしょうか。かく言う僕も浪人生の時は安い張り器を使っていました。

張り器1
これが一番安いタイプのキャンバス張り器

同じ木枠をずっと使っている人も多いと思いますが、ドンドン木枠の裏が凄い事になって行きますよね。4?5回も張り替える頃にはボロボロになっているのではないでしょうか?。

ボロボロの木枠
ボロボロになってしまった、受験生の哀れな木枠さん(笑)

 

この原因は、張り器のテコの支点にあたる部分の幅なんです。この幅が細いと、かかる力がそこに集中し、結果的に木枠を痛めてしまいます。???è?í?x?_

しかもこの張り器自体も2?3年使っていると、ある日突然持ち手部分が根元からバキッと折れてしまいます。ここが折れた日には、やる気や心も折れてしまいます(笑)。?L?????o?X???è?í?Q
金属疲労だとは思いますが、僕も何台壊した事か…
ところで、こちらの張り器はご存知でしょうか?張り器3

5000円強と少し高い値段設定ですが、これを使うとテコの支点部分が大きいので、木枠の裏が傷みにくいのです。しかも張る部分の幅も広いので、早く張ることが可能です。僕はかれこれ15年以上この張り器を使っていますが、一度も折れたことがなく、木枠も傷みにくいし、その上キャンバスも早く張れる、という中々の優れものなので、本当にお勧めです。 一番安いタイプの張り器と比べても値段の差は3000円程度です。でもその3000円が勇気がいるんですよね?。
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張り器ゴム
ところで僕の張り器ですが、長年使っていたせいか、昨年とうとう赤いゴムのところが剥がれてきてしまいました。仕方がないので新しい張り器を買おうと思って、トゥールズさんに在庫があるか聞きにいったところ、たまたま在庫がありませんでした。しかし店員さんと話しているうちに、何とこの赤いゴムは交換可能だった事が判明したんです。ゴムの部分は確か300?400円程度だったと思います。早速取り寄せてもらいました。ボンドでくっつけたら、今でも全く問題なく使えています。

初期投資に少しお金が掛かりますが、長い目で見たら断然こちらの方が経済的だと思います。一度買ったら中々買い換えないものですから、清水の舞台から飛び降りたつもりで、是非買ってみて下さい。

ちょっと息抜き、謎解きまんが第2問

こんにちは、油絵科夜間部です。くだらないまんがで、アートの世界を笑って見過ごしてやって下さい。このイラストが表している作家の作品は、誰のどの作品でしょうか?

亜斗の件2

おわかりになりましたでしょうか?答えは、次回行ないたいと思います。お楽しみに!

あなたはツルツルがお好き?

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、今日のタイトルはキャンバスやパネル等の支持体の話で、決して脱毛エステのお話ではありません(笑)。

新美でも大学でも、生徒からキャンバスの下地をツルツルにしたいんですけど…という話をよく聞きます。その質問にはちゃんと答えますが、本音を言わせてもらえば、僕はあまりお勧めしません。その訳は・・・

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ダ・ヴィンチ作「リッタの聖母」 板に油彩

リッタの聖母
ダ・ヴィンチの作品は、まさにツルツルの代名詞みたいなもの。その完璧なぼかしにはスフマート(煙を意味するイタリア語、fumoから来ている)という特別な名前がついている。

 

僕も学生時代、パネルに自分で白亜地などの下地を施し、ツルツルにした経験があります。完全にピカピカにした下地は、思わず頬ずりをしたくなるほど美しく(笑)、その上に絵を描くのを躊躇ってしまう程です。

僕が当時好んでやっていたのは、炭酸カルシウムにチタニウムホワイトを少量混合し、膠水で混ぜた塗料をヘラや刷毛で塗る、白亜地と言われるものです。それを一度水で濡らして、掌で擦って磨き上げていきました。サンドペーパーで磨いたものよりもツルツルになり、まるで大理石のような半光沢のある、とても美しいものが出来上がります。磨く方法は他にも数種類ありますが、長くなるので今回は割愛します。
完璧な下地が出来た後、いざ絵を描こうとすると、何だか折角綺麗に出来た下地を汚す様な感覚に襲われ、中々描き出す事が出来ません。この感覚は、一度でも下地をちゃんと作った人なら、きっと分かってもらえると思います。

勇気を振り絞って描き始めると、今度は画面がツルツルなので、画面の上を筆が滑る様な感覚に違和感を覚えます。筆跡は激しく残り、作品が完成する頃には、最初に想像していたビジョンなど脆くも崩れ去っています。完璧な下地が出来ればできる程、そのショックの大きさは計り知れないものになってしまいます。

ルネサンスの頃の画家は、白くてツルツルの下地の上に絵を描いていました。イタリアでは石膏地、ドイツやフランドルでは、白亜地が使われています。絵の具は豪快に盛り上げるのではなく、女性がお化粧を施す様に薄く丁寧に扱って行きます。
よく考えれば、そんなストイックで繊細な作業、僕に向いている訳がありません(笑)。

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ヤン・ファン・エイク作「ルッカの聖母」 板に油彩

暗部には透明な絵の具を何回も塗り重ね、重層化された絵の具で次第に厚塗りになって行きます。明部は下地の白を透かせていくところと、白を混ぜた絵の具を不透明に乗せるところを作ります。
受胎告知X線
ダ・ヴィンチの受胎告知(部分)右は同じ絵のX線写真。
以前もこのブログに書きましたが、シルバーホワイトは鉛を主成分にしているので、X線を通しません。白く映っているところがホワイトを足しているところになります。意外と大胆に描いていますね。こんなに大胆に描いていながら、仕上がりが滑らかなのは本当に信じられません。
※ところどころ横に入っている線は、木目と思われます。

今皆さんが描いている支持体はキャンバスなので、下地をツルツルにして描くのには向いていません。白亜地や石膏地は硬くて脆い性質があるので、弾力のあるキャンバスの上に施すと、ひび割れはまず避けられません。下地をツルツルにするには、実は板の方が向いているのです。
キャンバスにはキャンバスの良さがあり、キャンバスの弾力や布の織目を利用して描く方が、効果的で自然な行為だと思っています。

バルールについて

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、皆さんはバルールという言葉の意味を理解しているでしょうか?
え?バルールなんて聞いた事もない?油絵科では既に死語になりつつある言葉なんでしょうかね…。僕も年に1?2回言う程度ですからね。でも絵を描く上でとても大切な概念なんですよ。

バルールという言葉を調べると、必ず「色価(しきか)」という言葉が書かれていますが、日本語に訳されたこの言葉を見て「なるほど、意味が分かった!」という人は殆どいないのでは無いでしょうか?この文字を初めて見た人の多くは「色価?何それ?」となる事は間違いありません。誰が最初に訳したのか分かりませんが、もう少し分かりやすい(伝わりやすい)言葉は無かったのでしょうか?と考えてしまいます。

この言葉を理解する上で、よく例に出されるのは、ボナールの作品です。ボナールの絵を白黒画像に変換すると、まるでデッサンのようにちゃんと明度が合っていて、空間的にも全く違和感を感じません。bonnard1at-sea-1924

あと、マティスの「緑の筋のある婦人」もバルールの話になるとよく出てきますね。自分にとっては、もう見慣れてしまってよく分からなくなってしまいましたが、初めて見た人は顔の真ん中にある緑色の筋が気になるようです。

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要するに、バルールとは、色彩(有彩色)を明度で置き換えた価(=値・あたい)が、画面上で相対的に正しく表現されており、それが画面の空間に正しく収まっているのか?を問う言葉として、一般的に使われているようです。

 

ちなみに英語で明度の事をvalueという事があります。
実際にアクリル絵の具・リキテックスのラベルには、その色のVALUEの数字が割り振られています。例えばチタニウムホワイト(一番明るい色)にはVALUE:9.6という数字が、マースブラック(一番暗い色)にはVALUE:1.5という数字が書き込まれています。?Ê?^ 4

全ての色に数字が割り振られているので、色を選ぶ時にどちらが明るくて、どちらが暗いかを数字で判断できます。(リキテックスでは数字が大きい程明るい)

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写真 2
上の絵具をパレット上に出したもの。左側が明るいのが分かりますね。

なので、リキテックスに関してはこの数値を気にして色を混ぜていけば、理論上正確な明度で絵が描ける事になりますね。例えば、同じ数字同士の色を混ぜれば、同明度で色相を変えたり、彩度を落とす事が可能です。リキテックスを使っている人は試してみてはいかがでしょうか。
リキテックスのVALUEは数値化されているので、音楽でいう絶対音感みたいな感覚なのかもしれませんね。

 

さて、もう一度バルールの話に戻します。
何故日本ではバルールという言葉を「明度」と訳さなかったのでしょう?
確かにバルールは狭義では、明度と空間的な位置関係の事を指します。では明度が合っていて、彩度や色相が合っていない場合はどうでしょう?

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パソコン上で彩度や色相を変えてみると、分かりやすいですね。明らかに色が飛んでいたり、鑑賞者に変な印象や違和感を与えてしまいます。これではバルールが合っているとは言えません。

つまり、バルールとは色の三要素である「明度、彩度、色相」と絵画上の空間の関係が正しく表されているか?を指す用語なのです。 え?やっぱり分かりにくい?・・・これ以上簡単に説明できなくて、申し訳ありません。

では、仮に画面上で色が飛んでいたとしても、他の方法でその色を空間的に収める事が出来たとしたら、バルールは合っている、という事にならないでしょうか?
・・・こんな事を考えていくと、まだまだバルールという言葉を死語にしてしまう訳にはいかないですね。

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最後に宣伝です。10月19日(月)?29日(木)に銀座のギャラリー和田で、個展を開催致します。
お時間のある方は是非見に来て下さい。

自画像クイズ

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、新宿校では9月の2?3週目に掛けて、科の垣根を越えて、全科合同コンクールを行いました。実施された日はバラバラですが、B3サイズ縦構図限定の二日描き。課題は「わたしを描きなさい」鏡の使用は自由、というもの。油絵科の学生にとっては普通の課題ですが、他の科の学生にとっては難しい課題だったかもしれませんね。
実直に鏡を見て描いた、いわゆる「自画像」として魅力的な作品や、面白い発想の作品など、色んなものがあり、審査していて楽しかったです。
各階の廊下には、上位作品が貼り出されていますので、興味のある人は、色んなフロアを訪れてみて下さい。残念ながら今回上位に選ばれなかった人も、勿論この結果が全てではありませんので、今後のバネにしてもらえたら…と思います。

 

コンクールはさて置き、今日は自画像に焦点を当ててみたいと思います。
自画像と言っても色んな解釈があると思いますが、狭義には「自分自身を描いた肖像画」という事になります。

様々な画家が自画像を描いています。さあ、誰が描いた自画像か分かるでしょうか?

自画像1自画像2自画像3自画像4自画像5自画像6

割とメジャーな画家ばかりですが、これが全部分かった人は、よく勉強している人だと思います。
こうやってみると、本当に個性的で色んな自画像がありますね。答え合わせは一番下です。

自画像7自画像8自画像9自画像10自画像11自画像12

どうでしたか?「ん?、何か見た事がある」「これなら知ってる!」という絵もあったと思いますが、もし半分も分からなかった人は、もっと色んな作品を見た方が良いと思います。絵の勉強は、描く事と同じくらい、絵を見る事が大切ですから・・・。

答え
1.ドラクロワ、2.ハウズナー、3.ピカソ、4.フリーダ・カーロ、5.北斎、6.フロイド、7.ベーコン、8.ベックリン、9.ボナール、10.ヤンセン、11.マティス、12.モンドリアン、13.ラファエロ、14.ルーベンス、15.ルソー、16.レオナルド・ダ・ヴィンチ、17.ウォーホル、18.モディリアーニ、19.アンソール、20.エル・グレコ、21.カラヴァッジョ、22.デ・キリコ、23.クレメンテ、24.ゴーギャン、25.ゴッホ、26.ゴヤ、27.コロー、28.シーレ、29.ダリ、30.セザンヌ、31.シャルダン、32.ティツィアーノ、33.レンブラント、34.松本竣介、35.靉光