日別アーカイブ: 2022年6月6日

彫刻科生徒作品紹介

こんにちは、彫刻科講師の新妻です。

5度以上気温差がある天気が断続的に続いていますが体調崩していませんでしょうか?一学期も中盤に差し掛かり少しずつ夏が近づいてきましたね。昼間部生は日頃の生活に自分なりの楽しみを見出しつつ日を跨いだ課題だからこその骨太な名作を目指して、夜間部生はひと課題ごとのポイントをチェックしつつ夏期講習に向けて制作に取り組んでいきましょう。

先日行われた石膏胸像クロッキーゼミでは短い時間でしたが、初動で何を気にして(関連づけて)捉えると形が狂いにくくなるかを彫刻科主任の小川原先生とレクチャーしながら解説しました。初めの1枚からラストまでの数枚だけでも、参加してくれた皆さんの捉え方がかなり深まったのが印象的でした。自分の技術になるまで是非いっぱい描いて欲しいと思います。

わかるように教わることはもちろん大切ですが、それと同じくらい、実感を伴うところまで食い下がって量をこなすことも大事なことだと思います。予備校の課題は地味な反復練習のようでいて、今後大学、社会に出た後、美術とどういう態度で付き合っていくのかがすでに問われている側面もあるのではないでしょうか。長い芸術人生の中で今しかできない鍛錬の仕方があるはずです。時間を大切に使ってください!

では生徒作品の紹介に移ります。

美しいデッサンです!彫刻自体の持つ量感を鈍く重たい炭ではなく洗練された光の印象をもって表現できています。しつこい描写とスッキリとした絵作り、見事です。

 

背景とのコントラストが効いていますね。像の持ってる大きな空間とボリュームが伝わってきます。みちみちに描いてるわけではないけど割れ肌部分の石の表現もリアルです。

 

構成塑像課題「マスクを使って自由に彫刻を作りなさい」

面白い表現です。やっている構成自体はシンプルですが、古い表面のマチエールの処理や、破けた膜のはがれ方のリズムなど一つ一つこだわって制作されています。

マスクとの相性が良いモチーフを選択していて、マスクの顔の振り向きの方向と布のたなびき方が良い対応感になっています。陰影もうまく利用していますね。

以前にも同じアイデアで構成塑像を作っていた作者でしたが、何回か試行錯誤していく中で作品が洗練されてきました。一つの案を何度も検証することも物を作るうえで大事なことですよね。そうしてできたものは単なる自己模倣とは一線を画します。

続いて夜間部生、高2生の作品です。

いままでのデッサンでは形のとらえ方に少し硬さや淡泊さがありましたが、とても自然にゆったりとした動きや量感に反応できています。指針になる一枚が描けました!

マスクの造形的なキャラクター性と自由に想定した溶ける造形がマッチしています。模刻要素も頑張っています。

構造的な違和感のなさもさることながら、自然と作品として美しいポージングを選択しているのが印象的でした。ほぼ初めてとは思えない出来です!球も時間延長してこだわれました。

うまーい!今は受験がどうとかは二の次で、目の前の作品に自分が一番感動できるようにどんどん欲張って制作してもらいたいです!

大学での制作ではさらに月単位、年単位で自分の作品と向き合うことも多くなります。扱う素材やモチーフが変わるだけで、「どこまで自分の作品に向き合えるか」という部分は変わらないはずです。

今回は以上です、ではまた!