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映像科:武蔵野美大映像学科 実技模試のレポート

こんにちは、映像科講師の森田です。
7(日)・8(月・祝)の2日間は実技模試、いわゆる公開コンクールでした。今年も普段木金日コースを受講している学生だけでなく、多くの映像学科受験生に参加してもらいました。映像学科の受験に興味がありながらも今回は受講できなかったという人もいると思うので、出題した模擬試験問題と解説を書いてみます。

○感覚テスト
下記の語から想起する場所のイメージ、あるいは出来事のイメージを絵と文章を用いて表現しなさい。
「呼応(こおう)する」

→出題意図
指定された語から映像的な場面を創作することが感覚テストの課題です。
今回のキーワード「呼応」を辞書で引くと、
1.一方が呼びかけ、相手がそれに応えること。互いに呼びかわすこと。
2.互いに気脈を通じて物事を行うこと。示し合せること。
3.文中である語とあとに来る語が特定の関係を示すこと。
というような意味が挙げられています。辞書の意味に当てはめなければいけないということではないですが、例えば1の「互いに呼びかわすこと」や2の「気脈を通じて物事を行うこと」という部分からは、何か物語の断片のようなものが想像できそうです。それは人と人の関係かもしれないし、動物や無機物との関係でもあり得ます。何かと何かの特別な関係が「今まさに」立ち上がっている、そのことを映像的な場面として表現してもらいたいと考えました。もちろんビジュアル的なアイディアや文章の語彙の面白さも評価します。

○小論文
配布されたモチーフを観察して、そのすべての情報を言葉によって描写し、伝えなさい。
【配布物:造花】

→出題意図
武蔵美の小論文では配布されたモチーフをよく観察して考察や論述に展開することが求められています。今回のモチーフの「造花」は花びらの微妙な透けや葉の葉脈、茎の棘など細部まで再現された製品です。これは花のコピー(模造)であると言えますが、私たちはどのような点からその違いを感じ取っているのでしょうか。その知覚の過程を描写しながら、実物/模造についての考察を展開してもらいたいと考えて出題しました。

○鉛筆デッサン
配布された2種類のモチーフの観察を通じて、見えたこと、わかったことを克明に描写し、伝えなさい。
【配布物:造花、生花】


(※黄色い方が造花、白い方が生花です。画像でわかりますか??)

→出題意図
生の花と、生の花を模して作られた造花。ぱっと見た目は近しい物と感じますが、細部を観察すると当然差異が見えてきます。両者を観察して描いていくことを通じて、生命を持っていた物としての花と、工業製品として製造された造花それぞれの「存在」に迫ってみて欲しいと考えて出題しました。

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毎年この時期の実技模試では、前年度の実技試験の傾向を踏まえて出題をし、実際の試験と同じ条件で制作してもらいます。また今回は今年から出題の形式が変更になる「造形構想学部」の学科試験も併せて受講してもらいました。学科試験も含めて、良いスコアが出れば喜ばしいですが、大切なことは、この2日間で武蔵美映像学科の試験の傾向(採点する上でどのようなことが重視されているか)を掴んでおくことです。そして実技模試は緊張感のある雰囲気でも臆さず制作するための練習でもあります。

参加した皆さん、2日間お疲れさまでした!良い結果だった人はおめでとうございます。不本意な結果だった人も、ここから再スタートの気持ちでいきましょう。
一般入試まではちょうど4ヶ月!まだまだレベルアップできます!