日別アーカイブ: 2017年2月5日

物質としての絵の具について

こんにちは。油絵科の関口です。今回のテーマは絵具についてです。そして昨年末に目黒区美術館で行われていた「色の博物誌ー江戸の色材を視る・読む」という展覧会についても触れたいと思います。※この展覧会は既に終了しています。

iroiro

前回の日本画科・佐々木先生のブログにもありましたが、日本画に使われている岩絵具は、鉱石を砕いたものを膠と混ぜて絵具としています。
「色の博物誌ー江戸の色材を視る・読む」では、江戸時代に使われていた絵具に焦点を当てていました。現代と比べると当時の色数は非常に少なく、1つの色を出すにも多くの苦労があり、様々な工夫がなされていた事が分かりやすく展示されていました。
IMG_5339

自然界に存在する様々な色を天然素材で表現するというのは、実はかなり大変な事なんです。例えば草木の緑を想像してみて下さい。その色を出そうと、植物の葉っぱから緑色を抽出しても、その緑色を保っていられるのは、植物にもよりますが、わずか数時間?数日です。次第に色が抜け、茶色っぽい色に変色してしまいます。そこで登場するのが鉱石という事になるのです。

緑(緑青)ー孔雀石。別名マラカイト。
青(群青)ー藍銅鋼。別名アズライト。
赤(朱色)ー辰砂。別名シナバー。
黄ー雌黄。別名オーピメント。
赤茶色(弁柄)ー赤鉄鉱。別名ヘマタイト。
黄土色ー黄土。

IMG_5338

さすがにこれだけでは色を表せないので、他にも鉱石には劣りますが、比較的変色しにくい植物や生物から抽出した有機顔料や染料が加わります。

藍色ー藍。別名インディゴ。
青ー草汁(クサノシル)
紅色ー紅。紅花。
臙脂色ー臙脂綿。別名コチニール。
黄色ー藤黄。別名ガンボージ。
黄色ー鬱金。別名ターメリック。
黒ー墨。
白ー胡粉。

IMG_5340
※上の3枚の図版は展覧会の図録より。絵の具や材料の解説書としても分かりやすく、非常に良くできた素晴らしい本でした。

油絵で使う油絵具も、本来は日本画と同じく、鉱石を砕いたものをオイルと混ぜて作るというのが昔は当たり前でした。※上記のもので油絵具には使われていなかったものもあります。
普段何気なく使っている絵具ですが、それがどうやって作られているのか?昔の人はどの様にして絵を描いていたのか?一度想いを馳せてみては如何でしょうか?

最後に・・・以前僕が取り上げた色について、詳しくご覧になりたい方は以下のリンクからどうぞ。
赤について
http://www.art-shinbi.com/blog/2015/06/28/
青について
http://www.art-shinbi.com/blog/2015/08/09/
黄について
http://www.art-shinbi.com/blog/2015/09/06/