日別アーカイブ: 2016年7月2日

彫刻科 1学期も残りわずか

彫刻科の氷室です
いよいよ1学期も残りわずかになりましたね。夏期講習に入ると、さらにカリキュラムが濃密になり、受験まであっという間だなという印象があります。
新美では色々な課題に挑戦してきました。その成果もあり、1学期後半から昼間部生も夜間部生も、実技が1歩伸びている様に感じます。
今週末に行われる合同コンクールもその成果を出せる機会なので、みなさん頑張ってください!

ここで1つ、舟越保武さんと佐藤忠良さんの対談集から、面白いなと感じた文を紹介したいと思います。

舟越さんー
後ろがたいてい、いい加減になってしまうという傾向が僕はもともとあったから、最近は人の顔を作る時には後ろを先に決めちゃう。前にかかると、どうしても後ろがおろそかになっちゃうからね。後ろから見て、ああ、似ているな、と思うように作る。
だから街の中の雑踏で、知らない人の後頭部を見て、今作っている首の人に良く似たおじさんだな思ったりすることがあるんだ。後頭っていうのはそんなに意識の中では記憶にないはずだけど、この後頭は今作っている男と首と同じだな、と思ったりする。後ろには目も口も鼻もなにもなくて、ただ凹凸だけあるけれども、無意識の中によく見てるもんだね。前へ回ってみると、だいたい同じ様な顔をしている。
省略
佐藤さんー
彫刻っていうのは終始デッサンだけで組み合わせていってるだけと言ってもいいと思うんだ。塑像の場合は土でデッサンをしている。とったりつけたりの自由がきく分だけ試行錯誤の繰り返しも多いが、色彩頼みのできない分だけ粘土の不愛想さと闘うよりしょうがないものな。

という内容です。
みなさんがまさに、予備校で直面している、また考えなければならないことを、お二人も真剣に考えていらっしゃったのだなと、また、巨匠と呼ばれる方を身近に感じた瞬間でした。

さて、ここからは作品の紹介です。今回は3点あります。

グレー色の紙に白い描画材を基本に使い、石膏デッサンをしました。
普段描く石膏デッサンとは逆で、光が1番強くあたっている形から描き起こしていきます。普段は残しておく部分にもしっかり形があることが分かりますし、光がどの様に当たっているのかを別の角度から再度認識することができます。
IMG_9890-1
粘り強く丁寧に、形に反応して追うことが出来ています。しっとりと、そこにある形を感じます。印象も似ていますし、このデッサンを見ながら、模刻が出来そうです。

IMG_0346-1
アムールは、動きが静かでなかなか難しい像だと思うのですが、動き、構造、量感 この3大要素をしっかり感じさせる彫刻的な眼で捉えた、優秀な1枚です。寡黙に像の力強さを語っています。

IMG_0281-1
この作品は現役生の作品です。模刻、字のごとく、です。まずは、しっかり観察して見えた様に作ってみる。知識も大切ではありますが、色々な角度から見て、そこにあるモチーフに素直に反応していく。この基礎が最後にはものを言います。どんなに慣れてきても、どんなに作れる様になっても、いかに新鮮に対象を見ていくか。そこに見る人は反応するのではないでしょうか。
このブルータスの模刻も、作者の真剣さを感じますし、とても魅力があります。知識量では浪人生にかないませんが、素直に見てここまで作れるパワーには頭が上がりません!

今回は、以上です。

次回のブログ更新の時にはもう夏期講習に突入していますね!夏期講習が、1番伸びる時期です。
新美では、模刻における心棒の作り方や、見方などはもちろん、様々な課題に於いて、再度基礎を確認し、必ず上達できる夏になる様にカリキュラムを作りました。
夏期講習は、7月20日からのスタートです。
(各課題の底上げ実力アップを目指し、6期に分かれてカリキュラムが組んであります。詳しくは新美のHPで確認できます)

ここで一気に上達すべく、攻めの夏にしていきましょう!!

次回のブログ担当は稲田先生です。