月別アーカイブ: 2014年3月

誰が自然を殺したのか?①「イタリア編」

こんにちは。油絵科の関口です。
芸大の二次試験も終わり、残すは最終発表のみになりましたね。皆の一年間の努力と、試験でベストを尽くした結果が、良いものでありますよう、心からお祈り致します。

 

さて、今日のタイトルは随分と物騒なものになっていますが、ご安心下さい。ちゃんと絵のお話ですよ。ちなみに今回のテーマは「静物画」です。モランディ
20世紀イタリアの巨匠、モランディの静物画

静物画というジャンル
ところで、絵画には静物画というジャンルがありますよね?
英語ではstill?life(直訳すれば、留まる生命、止まった生命)になります。これに近いのはドイツ語のstill?leben?とオランダ語のstilleven?です。
ところがイタリア語ではnatura?morta(直訳すると死んだ自然)になります。これに近いのはフランス語?のnature?morte?とスペイン語のnaturaleza?muerta?です。最初に聞いた時「おいおい、死んでいるのかよ!」と思わず突っ込みたくなりました。

この「死んだ自然」という解釈は、どの様にして生まれたのでしょう?そして一体誰が自然を殺してしまったのか?に迫ってみたいと思います。

ヨーロッパのルネサンス期において、静物画というジャンルは単独で描かれる事は殆どなく、宗教画、歴史画、肖像画の脇役として描かれる程度でした。ちなみにレオナルドやミケランジェロ、ラファエロ等のルネサンスを代表とする三大巨匠達は、単独の静物画を一点も残していません。

容疑者①??カラバッジォCanestra di frutta
カラバッジォ作「果物籠」

古代の作品を除き、僕が知っている一番古い単独の静物画は、1595?1596年頃にカラバッジォが描いた静物画「果物籠」になります。(僕が知らないだけで、他にも存在するかもしれませんが、その時はご容赦下さい)ちなみにこの絵は西ヨーロッパの通貨がユーロになる前、イタリアの100000リラ紙幣の裏面として使われていました。僕が友達と旅行した1993年頃のレートは10リラが1円程度だったと記憶していますので、この紙幣が10000円位の感覚でした。100000リラ紙幣裏

さてカラバッジォという画家は、バロックという時代の先駆けに位置する画家として今では有名ですが、当時としてはかなり変わった画家だったようです。
ルネサンスとその後に続くマニエリスムは、基本的な思想は違いますが、理想的な美を求めて作品が作られているという点では共通していました。いわゆるお手本の様なものが存在していたと思われます。しかし、カラバッジォは「俺の手本は街ゆく人々だ」と言い放ち、宗教的な題材の作品でもモデルを目の前にモデルを立たせて描いたと思われます。当時の絵画は、殆どモデルを立たせて描くという習慣が無かったので、実在感のある絵を見て、人々は驚きを隠せなかった事でしょう。今日で言うレアリスムを体現していました。ロレートの聖母
カラバッジォ作「ロレートの聖母」
しかし当時の人々の目には、リアルであると同時に下品なものに見えてしまう事が多く、このロレートの聖母という作品では「巡礼者足の裏がドロで汚れている」という理由で、飾られる筈だった協会から受け取りを拒否された、という逸話が残っています。

あと、色んな本を読んで調べてみると、カラバッジォという人は酒を飲んでは喧嘩ばかりしていて、かなりの問題児だったそうです。但し存命中から絵の評価や人気は高く、問題を起こしても権力のあるパトロンに匿ってもらい、中々捕まる事は無かった、或いは捕まってもすぐに釈放されていたようです。しかし、度重なるトラブルの果てに、賭事をキッカケとして友人のヌラッチオを殺害していまい、ローマを追われます。流石の権力者達も殺人者を匿う事は出来なかったという事でしょう。

そのカラバッジォが描いたからnatura?morta(死んだ自然)になったのでしょうか?

 

 
しかし、ヌラッチオを殺害してしまったのは1606年と言われていますので、1595?1596年に描いた「果物籠」との関係はなさそうです。
それに静物画というジャンルが存在しなかった当初、「果物籠」というタイトルがあれば、他の名称は必要無かった筈ですね。・・・という事でカラバッジォはシロ。

では自然を殺してしまったのは一体誰なのか?長いので次回に続きます。

3/9(日) 1日体験講習 保護者ガイダンス&合格者作品展示

こんにちは。
明日3/9(日)は1日体験講習です。いよいよ新年度に向けてスタートですね。
(とはいえ、まだまだ芸大はじめ、国公立大の入試真っ最中の学生もたくさんいます。頑張れ!)

さて、明日10:30からは保護者の方向けの入試ガイダンスを同時開催します。
なかなか情報が分かりにくい美大入試について、全体像や具体的な受験対策まで、丁寧にご説明いたします。こちらは申し込み不要ですので、ぜひご来校お待ちしております。(新宿校、国立校両校舎で実施します)
※1日体験講習の実技参加は締め切らせていただきました。次回3/16(日)以降のご参加お待ちしています。

また、合格者作品の展示も行っています!ぜひこちらもご覧になってください。
(保護者ガイダンス中の10:30~11:30は、一部入場を制限させていただきますので、ご注意ください)

春のスタートイベント④ タマビとムサビが来る!&1日体験講習

こんにちは。
この春はイベント盛りだくさんです。ぜひ参加いただき、新美の指導や雰囲気を体験してください!

さて今回は3/16(日) 「1日体験&タマビとムサビが来る!」のご案内です。
この日は、1日体験講習の授業を行っているのですが、なんと同日に多摩美術大学と武蔵野美術大学に進学相談コーナーを設けていただき、受験相談もできてしまうというお得な1日です。
入試相談や、普段描いている作品もみてくだるかも!?
また新美講師による東京芸大受験相談コーナーも設けますので、3美大の受験についてこの春しっかりと情報を入れて準備しましょう!

1日体験参加者は、お昼休みや授業終了後に相談会場にいってお話を聞けます。
また、授業に参加しなくても、大学の進学相談や新美の合格者作品展示を見たい、という方でも大丈夫です。(その際はお申し込み不要です)
新美の基礎科生もぜひ大学相談会場に来るようにしましょう!

詳しくはこちら→http://www.art-shinbi.com/oneday-s/20140316.html

 

私立美大 合格者作品展示 Ⅰ期 3/2~3/15 国立校でも開催中

新宿美術学院 国立校 基礎科です。

春の暖かさを感じ、虫も活動を始めるという啓蟄が過ぎましたが、
まだ暖房器具無しではいられない毎日です。

国立校では私立美大合格者の入試再現作品を展示しています。
合格者が課題をどのように捉え、どう表現したか、
是非実際の作品を見て感じ取ってください。
国立校は油絵、デザイン・工芸科のみの展示となります。
14:00~19:00  日曜日休校

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最後の課題、リンゴもだいぶ形になってきました。

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粘土べらで丁寧に成形していきます。
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そして真っ白になりながらひたすら磨いていると・・・。
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綺麗なリンゴになりました。
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ベースとなる黄色をのせます。
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少しずつ、見本のリンゴと同じ色をのせていきます。
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完成真近になると、どれが本物かわからなくなってきました。
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春のスタートイベント③ 山口晃氏特別講演 春期生優先予約

こんにちは。
イベント告知第3弾です。

春期講習会期間中の3/29(土)に、人気作家の山口晃氏をお迎えして、特別講演会を実施します。
山口先生は受験生時代新美に通っていましたので、受験時代から大学時代、現在に至るまでのお話をしていただく予定です。
油絵科志望の学生も、そうでない方も、ぜひ貴重な機会ですので参加をお待ちしています。

そして!、春期講習を早めに申し込んだ方は、講演会の優先予約があります。
3/1~3/16までに春期講習会にお申込みいただいた方は、優先的にお申し込みができますので、
春期の受講をすでに決めている方、山口先生のお話をぜひ聞きたいという方、ぜひ早めに春期講習を申し込んで、講演会の予約をしてください!(新美enart国立校の春期講習生も同様に対象となります)

尚一般の方、保護者の方などは3/17~の受付になります。

leaflet[1]

詳しくはこちらから→http://www.art-shinbi.com/muryo-event/20140329.html