日本画科講師の金子です。
日に日に暮れが早まり、17時を過ぎる時分には薄暗がりが拡がっています。まさしく“秋の日はつるべ落とし”、ですね。
「秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。」
秋にちなんだ名文は多くありますが、私はこの枕草子の冒頭に魅かれます。
そんな日本の風情も何処へやら。日本南海上を北上中の大型台風26号に打ち消されてしまいそうです!16日朝には強い勢力で関東に接近、上陸する恐れがあるようです。気象庁は、「関東に接近する台風としては、10年に1度の勢力」と発表しています。
― さて、日本画科の「全国公開実力コンクール」が13日、14日に開催されました。
課題は「着彩写生」。難易度の高い課題ではありましたが、いい緊迫感の中、コンクール及び講評会が行われました。尚、内部生に加え、外部からも多くの受験生に参加いただきました。
■10月13日(日)? 9:00~16:00、10月14日(月) ?9:00~15:00
「以下のモチーフを2日間で着彩写生しなさい。」 ブルータス首像 1、フォックスフェイス 1、ブロック 1、ビーカー 1、西洋ナシ 2、アイビー鉢植え 1、卵(白) 10、卵(茶) 5、赤布 1
■出題意図
①植物を中心とした課題に対して、メイン設定が分かり辛い課題においても主題を明確にし、端的に卓上空間の印象を押さえる事が出来るかどうか。
②それぞれの目的と意図に沿い、構成を考え、そして画面上に再構築することが出来るかどうか。また、補色関係にあっても色相に惑わされることが無く、組立を理解することが出来るかどうか。
③個々のモチーフの魅力及び質感に迫ることが出来るかどうか。
ちなみに、東京芸術大学の着彩写生課題の出題傾向を意識しています。
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上位者は新美内部生が独占しましたが、まだまだ発展途上のように思います。
4月の時点と比較すると一人一人の確かな手ごたえを感じますが、結果は一つの自信に置換し、ここに甘んじることなく今一度出来る事と出来ていない事を整理し、それぞれの課題克服に取り組んでいってほしいと思います。
?←上位者表彰。
― 本日より、選択課題が始まりました。デッサン、着彩を2日間で仕上げる「通常課題コース」と“B全サイズパネル”で制作を行う「大作着彩コース(昼間部のみ)」です。
「大作着彩コース」に至っては公開実力コンクールと並行して課題準備を行ってきました。テーマコンセプトは自由のため、モチーフセッティングは、生徒一人一人が思考錯誤しながら築いています。こうして俯瞰して見てみますと、各々の視点が滲み出ておりなかなか面白いです。
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今後、デッサン課題、着彩課題の通常課題のほか、「一人一卓課題(昼間部・夜間部)」、「私大対策(昼間部・夜間部)」を予定しています。
また、「夜間制作」として居残り練習を引き続き行っています。ここでぐんぐん成長している生徒もいます。兎に角、日本画科は描く時間の確保が大切です。「手を動かして考える」、これはいつの時代も不変であり、普遍の理ではないでしょうか。
― 最後に。
新美日本画科では全受験生としっかり向き合うことを大切にしています。日本画科に興味ある受験生がいらっしゃいましたら是非見学にいらしてください。
尚、12月の「冬期講習会」受講生を募集開始しています!
外部から受講する方は、それぞれの課題点を理解し、また、共有するため、講習始めと講習終わりに最低2回の個人面接を行います。受験において経験豊富な日本画科講師陣が、ひとりひとりとしっかり向き合ったきめ細やかな指導を心掛けていますので、安心して受講していただければと思います。
また、地方から受講する方は、生活面などにおいても不安な事が多いことでしょう。そのあたりも出来る限りバックアップしますので、お気軽にご相談下さい。
大手美術予備校ですが、全ての受験生としっかり向き合うことを大切にしています。冬期講習会でレベルアップを目指して頑張りましょう!