カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

木彫作品制作1 足の荒彫り終わり。腕の荒彫りへ。

こんにちは。彫刻科の小川原です。彫刻科ってツナギを着ているイメージがあると思います。でも僕はこのツナギがダメなんですよね。全部の重さが肩にかかってくるので疲れるし、あとしゃがんだりするとき背中が引っ張られる感じがあって。意外に動きにくいです。なので僕は予備校生の時からほとんど作業着は着ずに、デッサンも塑像も服を汚さず作品をつくる力を身につけました。という話を友人にしたら、「だとしても舞ってる粉とかついて汚いじゃん」と一蹴されました。
それはそれとして作業着は着古した上下別のものが一番だよね!と言うのが僕の持論です!
さて、今回は僕の制作状況の報告です。前回は脚が形になってきたところでした。その続きです。

足を荒彫り。
IMG_0215
これで立ちの印象は概ね決まってきました!足はとにかく重心を決めるのが難しいです。粘土のように後でグイグイ動かせたらいいんですけどカービングでは一発勝負です!

次に腕に入ります。左腕の先は今つけてしまうとそれが邪魔になって脇や胸が進められなくなってしまいますが、右腕は問題ないのでこの時点で寄せ木しておきます。
まずは腕用の材を丸太から切り出すところからです。
IMG_0220
次に材をちょうどいい太さ(後で削るので当然太め)にさらにカットします。↓下の写真のものをさらに半分に。
IMG_0221
二の腕への接合部にはダボ(丸棒)を入れて強度を高めます。その為の穴をドリルで面に対して垂直に空けます。
IMG_0224
材を台に乗せて角度を確かめます。
IMG_0222
接着剤をつけてラッシング(ラチェット式のベルトかしめ)で固定します。接着剤はボンドが理想なのですが、木が生なので乾くのに何週間もかかります。それだと作業が進まないのでエポキシ接着剤と言う化学反応で硬化する接着剤を使用します。この接着剤は主に硬化時間が5分型、30分型、60分型、90分型と4種類あります。厳密に言うと硬化時間が早いほど強度が弱いのでよほど急いでなければ90分を使います。エポキシはカチンカチンに固まるので鑿には良くないですが、作業効率はとてもいいです。ただしエポキシはボンドより歴史の浅い品物なので、長期保存(例えば100年とか)を考えた場合にどんな劣化が出てくるかは未知数です。ボンドは仏像なんかの保存修復にもバンバン使ってるし、信頼度は厚いです。安いし。
IMG_0225

IMG_0228
この後胴と左腕を中心に彫り進めました。
IMG_0624
次回から右腕もどんどん削ってきます!僕のアトリエはもちろん冷房が無いので夏は地獄ですが、暑い中木槌振りまくってるのもそれはそれで健康的ではあるかもしれないです(笑)

ごあいさつ。

はじめまして。今年から彫刻科講師をさせていただく内田です。 自己紹介として、大学で制作していた作品を載せてみます。 学部卒業制作作品は、諸事情により念のため掲載を控えます。 修士修了作品から。 「深呼吸」(220×70×H85cm)深呼吸 
この作品はオウム2羽が木にとまっているように見えると思いますが、木が肺のようにも見えるという、一つの形で複数の見え方が発生する面白さを狙ってみました。 この修了制作を終えてみると、学部とは作品スタイルに変化があったので、左右対称の形や複数の見え方がある形の面白さというテーマをもう少し詰めたくなり、博士課程を受けてみました。 ? 博士課程での作品です。 「 ALICE」(40×14×H32cm)ALICE
骨盤のように見えるウサギです。見えにくいですが、左右のウサギの喉あたりの空間を覗くと、ふたりの少女もいます。 背面ALICE
欲張って裏も彫りました。(写真の画質悪いですが・・・) 「SWAN」(30×20×H20cm)SWAN 内田麻ゆ
これは、複数の見え方というよりは、意味もなく要素を組み合わせて不思議な雰囲気に仕上げてみた作品です。 もともと、作品にあまりダイレクトなコンセプトを持たせたくなく、見た人に何かを思わせたいとすれば、一瞬「?」と何か考えてしまうような、意味があるようでないような作品や、形としては出来ればもっとシンプルな作品を作りたいと思っています。 このような感じで主に大理石を扱い、博士課程まで修了しましたが、今は石彫が出来る環境がないので、そんな時は木彫をします。 木彫作品は気が向いたらまたの機会に。 では次に新美生の作品を紹介します。 U.Tさんの作品(ハト素描) IMG_hato2
ハトの骨格も、羽根の色の違いなどまでよく見て描けています。地面に二本の足でしっかり立っていて、目にも生命感があります。次も同じくU.Tさんの塑造作品です。 IMG_5904
台座が少し大袈裟なような気もしますが、作品にしようという姿勢が感じられます。 羽を作りこむと表面的になり、羽の中の骨格を忘れがちですが、この作品は骨格も抑えながら、羽を表現できています。素描の説得力がここにも効いています。 次は5月から彫刻科に仲間入りしたばかりですが、なかなか良い感覚を持ってるな?と思わせる作品です。 E.Kさんの作品IMG_5892 IMG_5891
初心者なので、さすがに頭部は骨格が捉えきれず細くなっており、足も胴体に対して大きすぎたのでそのあたりは多少手を加えさせてもらいました。が、胴体や羽の表現はかなり良いです。初心者には難易度の高い、胴体につながる足の位置も自然ですし、頭を傾けているところは生命感に繋がっています。じあま(地面となる部分)を高くしているので空間が生まれ、程よい緊張感もあります。初心者ですが骨格も意識しつつ、とにかく素直にモチーフをよく見て作っているということかもしれません。 ミケランジェロの奴隷(のトルソ)のデッサンです。 U.Tさんの作品6
左右で伸びと縮みの筋肉の動きがあり、このデッサンのように伸びている側は、向こう側の縮みを感じさせつつ手前の伸びている張りを描きます。となるとやはり腰周りの表情を良く観察することが大事です。腰の筋肉の微妙なねじれを観察し描いています。腰から背中への回り込みも丁寧に見ています。 次は大型組みモチーフの作品を紹介します。 制作風景はこんな感じ。a
皆で囲んで通常の木炭紙の倍版で描きました。 木炭紙の倍版は画面が大きくなるので、いつも以上に離れて画面を確認する必要があります。 床の安定感、一つ一つのモチーフの関係性、手前と奥、光の降り注ぐ雰囲気などを表現することで、同一空間に置かれているという状況が自然に見える作品となります。1
これもまたU.Tさんの作品ですが、 左上のファコネのビーナスがもの足りないです。が、床に置かれた安定感があります。植物や細い枝も丁寧に描けています。 Y.Rさんの作4 出だしは全体にグレートーンで空間がスッキリせず、少しデッサンの表情に弱さがありました。モチーフが、盛りだくさんの位置なので、一つ一つの関係性に苦労したのかもしれません。結果的にはスッキリ見やすくなってきました。 M.Yさんの作品5
手前の立てかけられた円盤トルソから左上奥まで石膏が並び、視線が誘導される構図で見ごたえがあります。質感の異なるモチーフが入り組んでいますが、ひとつひとつ丁寧に描きました。 T.Fさんの作品3
白と紺、ストライプの布が組み合わさる場所で、そのコントラストを活かし見せ場のある作品となりました。バケツの質感も丁寧に見ています。

全体的には比較的安定感のある作品ではありますが、まだまだ描き足りないところもあります。課題ごとに全力を出し切ることはもちろん、むしろ全力を少し超えていくぐらいの感じがあるともっともっと良くなっていくと思っています。そういう癖をつけておくと試験本番では「全力+α(冷静さ)」な状態で乗り切れる!!ような気がしますが、どうでしょう。。。ま、頑張りすぎて試験前に力尽きては本末転倒なので、マイペースにがんばって行きたいですね。 7 。。。今後新美生がどんな作品を生み出すのか楽しみですね ?

ダヴィデの口の模刻、ミロのヴィーナスのデッサン。

こんにちは。彫刻科の小川原です。暑いですね!!暑くて夜眠れません。エアコンつけると次の日の朝決まって体調悪くなるのが分かっているのに躊躇無くスイッチをONしている自分です…。
この前風邪をひいてしまい、ツラい1週間を過ごしました(泣)皆さんはどうですか??気温の変化についていけてますかー?体調管理も受験生の仕事ですよ!!絶対にエアコンつけたまま寝たりしないようにしましょう!!

さて、いつものように日々の課題での優秀作品を紹介します。
夜間部生の作品。ダヴィデの口の模刻です。この作品は授業時間外に自主的に制作したものです。
R.S君の作品。
IMG_5940 IMG_5941
練習課題としてつくってもらいましたが、厚みや奥行き、フォルム感に敏感に反応してつくれました。今回のモチーフは構造としての要素が少ないのでその分素直な気持ちでつくり切ることができたと思います。通常の頭部全体がある像をつくるときはさらに複雑な形の解釈が必要になってきますが、「完成度」といった意味で今回の制作は一つの指標となるはずです。

昼間部。ミロのヴィーナスのデッサン。
T.U君の作品。
IMG_6041
首が手前になかなか傾いてくれないと苦戦していました。この位置の難しさはまさにそこで、見上げて見てる目線に対して手前に倒れてくる頭部は結果的に真横から見ているようなかたちになります。頭部だけで傾きを表現できない以上体との相対的な関係に全てが依存されてくるのですが、体は奥の腕を上げているのでパースによって素直に手前の肩が上がってくれることも無く、大体水平くらいになってしまいます。そのことによって全体的に動きの弱い突っ立った印象になりがちです。じゃあどうしたらいいかと言うことですが、とにかく構造をしっかり捉えて少しでも手前のたわみと奥の伸びの違いを出していくこと(手前のポイントに対して奥のポイントの位置関係をきちんと伝わるようにする)、それと傾きに合わせた色を色面でコントロールすることです。これについては手前の腕から脇腹にかけてと、頭部側面(首まで)の面性が一致するのでほぼ同じ色にまとめます。腰は上面になるのでそれに対して明るめに設定します。
と理屈ではこんな感じなのですが、それを知っていてもなかなか上手くいかない訳ですね。僕も今までこの位置で描いた中で「お、動き出たなこれ」って言うのはありません(笑)そういう宿命な位置なのかもしれませんね(笑)
だからといって上に書いた条件が出来てないと説明がつかなくなるので、そこは最低限おさえていかないといけないです。
彼は本当にデッサン力があるので何でも描けてしまうのですが、その分こちら側としてはいつも後半歩を要求したくなってしまいます。これまで誰も描けなかった領域に踏み込んでいけるレベルまで成長していってほしいです。
……。心の声「この像はトルソでも大きな像なので、出来るだけ大きくいれるのがセオリーです。なので僕も描くとしたらこの切り方をしますが、もしかしたら台を見上げる形にしてそこまで入れたら奥の伸びは説明しやすいかもしれませんね。反対側から見ると衣は厚いので全部いれると全体が小さくなってしまいますが、こちら側は厚みが無いのでそんなに影響なさそうです。今度機会があったらやってみようと思います。」

さて、明日は僕小川原と氷室先生に続き、内田先生の書くブログです。内田先生は石彫の芸大博士課程を修了されていて、作品もとてもユニーク!どんなものをつくっていたのか、一部を紹介してくれているので楽しみにしていて下さい!それでは、一学期も後半戦に突入!頑張っていきましょう!!

 

彫刻科 美術館見学

再び 彫刻科の氷室です                                 彫刻とは?と言うことを知るきっかけを探すため、五月晴れのとある日曜日に彫刻科の有志で都内にある美術館めぐりにいってきました!                          谷中にある朝倉彫塑館→芸大→国立西洋美術館→上野公園でランチ→葛西にある関口美術館というコースです                                       askura? ? 日本の彫塑界を代表する存在、自然主義的写実で有名な朝倉文夫の彫刻作品が数多くありました 作品のクオリティーもさることながら建物も素晴らしく、ただただ見入ってしましました    asakurasy  作品の前で一枚 記念撮影!

お次は谷中から上野まで徒歩で国立西洋美術館へ 途中芸大に寄り道をしてロダンの青銅時代や陳列館で行われている展示を見ました                            IMG_0264-1  やっぱりロダンは上手い!!

西洋美術館では常設展示へ! buru                              IMG_0272 jigokunomonn 有名な地獄の門 近くで見ると迫力がありすぎます!向かって右端の門の外にはロープを発見!!主任が教えてくれました                                 美術館の中にも彫刻作品や絵画が多数ありそれぞれのペースで見学してきました

ここで一旦休憩!お腹を満たすため快晴の上野公園で気持よくランチをしました         (鳩と戯れる生徒も…)

午後には電車で葛西へ 閑静な住宅街の中に関口美術館がありましたbannバンッ!! 戦後日本を代表する彫刻家 柳原義達の作品が多数展示してあります 鳩や烏の作品が有名ですがその他の作品やドローイングもありましたsekiguchi とてもくつろげる静かな空間で皆でのんびり語り合うことができました!

近場なところをめぐる一日でしたが個々で彫刻とはと言う問いに、何かヒントを得ることが出来た一日になったのではないでしょうか                            めったにない貴重な時間で ゆっくり風を感じながら歩き語り合えた楽しい一日でした!    また明日から頑張ろう!!

作品紹介

IMG_2045-1

気持ちのよい季節 外を歩くのが心地よいです

初めまして 彫刻科講師の氷室と申します 飴を使った作品を作っています          今年度から小川原主任ともう一方、講師の内田さんの3人で交代で記事を書き込んで行く事になりました!宜しくお願い致します                               早速主任からハードルを上げられて、ハードル上がっとるやないかーいと突っ込んでしまいました 対して笑いを取れる自信はありませんが少しずつ作品の話や、作家として気づいたこと、彫刻に関する話なども書き綴って行けたらと思います                        今回は生徒作品の紹介のみですが、優秀な作品がたくさん出たので、ひとつずつ紹介していきますね                                           まずは、以前紹介したY.M君の円盤模刻と同時期に模刻をしていた2人の作品です 空き時間を使って手を加えつつやっと完成に至りました!

R.Y君の円盤模刻

yamazaki3yamazaki1

yamazaki2     動きに苦戦しながらも粘って大きく粘土を動かしてこれました 髪の毛の質感まで詰められていますね!                                         柔軟な粘土裁きと形の締め方のバランスをこれからもさらに追究していってください!

K.S君の円盤模刻

saitou2

saitou3

saitou1ババランスや動きを見る力は終始安定していました  全体感も損なわずに表現できています   細部と全体を同時に見ながら形を作っていく作業をこれからも追究していってください!

模刻は体、頭、感覚、全てを常に使いながら制作する上、時間もかかります          ましてやこの大きさ!疲れ果てる事は言うまでもなく、そんな過酷な課題に二人とも上記のすべてを駆使し集中して取り組めていました                           この時期にじっくり大作に挑めた経験は皆が出来る事ではありません とても貴重だと思います 出来る事が増えたり、はたまた力不足であることを痛感したり色々な葛藤があった事でしょう  受験当日、この自分に向かい合った時間は必ず背中を押してくれる事と思います!       大型模刻は一生の宝物ですね!

さて次に紹介するのはフォーンのデッサンです                       A.Sさんの作品です                                    shiraishi 自分で時間を決め取り組んだ課題だけあって意気込みがこの迫力へとつながりました     フォーンの動きを良く捉えてあります 持ち味である勢いのある炭使いが形に反応できています さらに、おへそ下の動きが凝縮してくる形や腹筋にもう一歩手が入ればさらに良くなりそうです 実はこの画像、ほぼ加工をしていません。ここまで明快に力強いデッサンが描ける事にとても驚きました!かっこ良いデッサンです!

このデッサンの様にどんな石膏デッサンでも、目指すべきはその石膏を見た事がない人にもこういうモチーフなんだよと描いた絵で伝えられたら理想ですね!

次に上げるのは石膏を台座に立てかけた静物デッサンです                  3人の作品を紹介します                                 R.Yくんの作品                                      yamasekkou 手作りの台なため素直に見て描くとパースの間違いにもつながってしまいますが思い切ったトリミングが効いています                                   石膏と木の台の質感にんも反応できており間の空間がすっきり描けているところが魅力ですね  視点が良く伝わります

Y.S君の作品                                       sudo 今回、逆光側ですが画面左下、台と石膏の間から入ってくる光を描きたいという狙いがありましたその狙っていった構図がひと味違った魅力あるデッサンへとつながりましたね!        上から落ちてくる光や自然な形に反応できる様、ハーフトーンの幅を増やしていきたいですね   ハーフトーンへの飽くなき探求がこれからどういった結果に繋がってくるか楽しみです

T.U君の作品                                       ususekkou 視点が明快なデッサンです 難しい位置ですがマルスにも良く手が入っており、斜めに立てかけてある石膏と台の関係性を良く表現出来ていると思います! 石膏単体のときにもこの観察力を忘れずに!

この様な課題の場合、物を正確に描く以外にも、視点や状況を説明できる事が大切になってきます

次に紹介するのは課題以外で生徒自身が時間を作り制作した作品です            usujikoku 苦手だと言っていた動きのある首像に挑戦していました                   眼差しが感じられる作品です 固さがなくなり柔らかい人体の質感が見えてきましたね!その上で骨格もしっかり見えてくるのでとても魅力のある作品です 粘土の扱いや表現力の幅が増えてきたのでこの調子でさらなる探求心を燃やし頑張ってください!

彫刻家 ジャコメッティは                                眼差しが一番難しい 眼差しを作る事がでれば完成する                   と生涯探求し続けました

彫刻とは時間がかかります 作品にするには時間が必要です                 作品を作る、デッサンをする今はそこにじっくり浸れる貴重な日々だと思います        もちろん考え過ぎる事もたまには大事ですが難しく考えて動けなくなったら まずは目の前の出来ることをやってみましょう!!