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失敗について

こんにちは。油絵科の関口です。今年も残すところあと僅か。あなたにとって今年はどんな年でしたか?

さて段々と入試が近づいてきて、皆もそろそろ不安が大きくなってきている頃かと思います。この時期に作品が上手くいかないと、かなりヘコみますよね?
今の自分で本当に受かるんだろうか?とか、試験まであと○○日しか無いのに大丈夫なんだろうか?など色々と不安な事を考えがちです。

僕も新美で講師を20年以上やっていますが、色んな生徒を見てきたので、自信を持って言える事があります。「この時期の失敗など、何も気にする事は無い」と。むしろ「失敗はドンドンした方が良い」とさえ思っています。(あ、わざとは無しですよ)

起き上がり小法師
そもそも絵に失敗なんて付き物です。僕も絵を描いていてよく失敗します。「最初は結構うまくいっていたのに、仕上がったら全然駄目だった」なんて事はザラにあります。自分ではそのつもりが無くても、結局そういうのは姿勢として守ってしまっているんでしょうね。反対に「最初は全然駄目で、どうしようもない作品だったものが、仕上がったら一番良かった」という事もよくありますね。
「自分で分かっている範囲でしか描いていない…」「何とか無難に仕上げようと思って、煮え切らない作品になった…」こんな失敗をした時は本当に自己嫌悪に陥ります。そもそも勝利の方程式なんて、絵には存在しないんです。
僕自身「これをやったらどうなるか分からないけど、これを試さずにはいられない」という時、大失敗をする事があります。「やっちまったな…」と思いながら、顔は青ざめつつも思わずニヤリと笑ってしまうんですよね。まるで変態ですね(笑)。とんでもない失敗をすると、何だか清々しい気持ちにすら至るものです。それに失敗した事で色んな事を考えられます。「あそこでこれをやったのがいけなかったのかな?」とか、「そもそも前提そのものが間違っていたのかな?」とか、次に描く時の目安や判断材料になってくれたりもするんです。
以前どこで読んだかは忘れてしまいましたが、こんな言葉を思い出しました。

賢者は敗北に学び、愚者は敗北に浸る。

焦る気持ちも分かりますが、クヨクヨせず、今の内にたくさん失敗をして、逞しく育って欲しいと思っています。そう、起き上がり小法師人形の様に。
直前までどんなにボロボロになっていても、本番で良い絵が描ければちゃんと受かりますから…。普段は辛口な講評をする事もありますが、心の中ではいつも皆の事を応援しています。

それでは良いお年を。