日別アーカイブ: 2014年12月15日

オイル(画溶液)について①

こんにちは。油絵科の関口です。先週から僕がブログを書いていますが、春までネタが無くなるまで頑張るつもりです。興味のある人は月曜日にこのブログを覗いてみて下さい。ただし忙しくて書けなかった時はゴメンナサイ。

 

さて、油絵を目指す人の中に、オイルの種類が多過ぎてどう使って良いか分からない・・・という人も多いのではないかと思います。今日はオイルの使い方に付いて書こうと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
この何だか怪しい液体は全て画溶液で、一本ずつ瓶詰めする前の工場で作っている様子です。今から10年ほど前にマツダ絵具さんに学生を連れて工場見学に行った時に撮影したものです。今となっては貴重な一枚、という気がします。

 

原則

※まず前提として、油絵の描き方は千差万別であり「決まった描き方、正しい描き方」というものは存在しません。その中で「原則」というのもおかしな話かもしれませんが、自分で20年以上油絵を描いてきて、また色んな作品を見てきて、思う事を書いていきます。

 

①.オイルは必要に応じて、どうしても使わなくてはならない時のみ使用する。

意外に思うかもしれませんが、油絵を描いていてオイルが必要な時というのは限られています。
毎回オイルを付けて描くというイメージで描くと、薄塗りでベチャベチャな油絵になります。(絶対にやってはいけない、というものではありませんが…実はそれでちゃんとした絵を描く為には、それ相応の技術が必要になります)

 

②.?fat?over?lean(ファット?オーバー?リーン)
日本ではあまり馴染みの無い言葉ですが、欧米ではこういう表記を見掛けます。

・fat(ファット)とは「脂肪」とか「ぜい肉」という意味がありますが「デブの」という意味もあります。
・lean(リーン)とは「痩せている」という意味。
つまり、ガリガリに痩せている人の上にデブの人が乗っかっているイメージを思い描いて下さい。

最初はテレピンやペトロールなどの脂肪分の無い揮発性油で描き始め、次第にリンシードやポピーといった乾性油を多く入れていく。これがオイルの使い方の基本です。

 

③.揮発性油+樹脂+乾性油
オイルを調合する時、基本はこの三種類のカテゴリーの油を混ぜます。市販のペインティングオイルはこの三種類に乾燥促進剤(シッカチーフ)が入っています。

混合比は用途やタイミングによって異なります。
ペインティングオイルは便利なオイルですが、描き出しに使うにはベトベト過ぎて向きません。あれは中盤以降に使うオイルだと思って下さい。

僕のお勧め(?以降は乾きが遅いので受験には向きませんが、簡単なオイルの作り方)
?描き出しはテレピンのみ。
?前半はペインティングオイルに同量程度のテレピン油を加える。
?中盤はペインティングオイル。
?後半はペインティングオイルに少し乾性油(リンシードやポピー)を加える。

 

④.同じカテゴリーのオイルは混ぜない。
同じカテゴリー同士を混ぜても殆ど効果はありません。(混ぜていけない訳ではない)
混ぜるなら他のカテゴリーのオイルを混ぜて使いましょう。

カテゴリー
・揮発精油(テレピン・ペトロール・スパイクラベンダーオイルなど)
・樹脂(ダンマル・マスチックなどの天然樹脂、アルキドなどの合成樹脂)
・乾性油(リンシード・ポピー・サフラワーなどの生油、スタンド等の加工油)

それぞれの詳細は次回以降に説明します。

 

※おまけ

オイルの捨て方
使用していたオイルが絵具で濁ったり、余ったりして捨てる際は、布や紙に染み込ませ、必ず「水」を含ませてからゴミ箱に捨てて下さい。
オイルは布や紙に含ませて放置しておくと、自然発火する恐れがあります。

 

※おまけ2OLYMPUS DIGITAL CAMERA
10年ほど前の工場見学の一コマ。これまた貴重な一枚です。さあ誰だか分かるかな?この写真が削除される前に見られた人はラッキーです(笑)。