日別アーカイブ: 2013年7月2日

日本画科- 学期末&日本画の素材(その1) ?

日本画科講師の金子です。

朝方の梅雨冷えが肌寒く感じられる日々。
青葉若葉は活き活きと生い茂り、梅雨の晴れ間には紺碧の空が少しずつ垣間見えるようになってきました。梅雨明けもあともう少しでしょうか。

今月10日には一学期も終了です。現在、日本画科は一学期末コンクール真最中。もちろんこの間の指導は無く、入試さながらの制作です。昼間部はデッサン(鉛筆素描)、着彩(着色写生)、構成の3課題、また、夜間部はデッサン(鉛筆素描)課題。特にデッサン(鉛筆素描)は昼間部と夜間部の合同採点となるため、皆一所懸命に頑張っています。日本画1

― 夏期講習会の準備も着々と進行中。

夏期講習会は前期・中期・後期の3期に分かれ、基礎を確実にし、徹底的に弱点を克服します。そうです、この「基礎を確実にし、徹底的に弱点を克服する」ということが重要なのです。学校との両立で忙しい高校生は、この期間に思う存分制作することが出来、力を付けることが可能です。

「総合コース」においては制作時間を長めに取り、各々の課題点を克服するための対策を行います。また後期の「私大対策コース」では、主に多摩美術大学と武蔵野美術大学の入試傾向を理解し、目標を見極める学習を行います。

特に外部から受講する方は、それぞれの課題点を理解し、また、共有するため、必ず講習始めと終わりに個人面接を行います。日本画科受験において経験豊富な講師が、ひとりひとりのレベルに沿ったきめ細やかな指導を心掛けていますので安心して受講していただければと思います。短期間集中し、レベルアップを目指していきましょう。日本画2

― さて、今回は日本画の画材についてお話をします。

日本画科の特筆すべき点と言えば、“受験で用いる画材”と“大学に入ってから用いる画材”が異なることです。日本画科受験では「デッサン」と「着彩」の2つの準備がありますが、着彩において透明水彩絵の具、不透明水彩絵の具などの水彩絵の具を使用するのに対して、大学入学後は顔彩(がんさい)、いわゆる「岩絵具(いわえのぐ)」を使用して制作を行います。

この岩絵具、「天然(てんねん)岩絵具」、「新岩(しんいわ)岩絵具」、「合成岩絵具」などがあるのですが、この素材を日本画の魅力の一つに挙げる人も多いものです。岩絵具は粒子の粗いものから細かいものへと、5番、6番、7番、8番、9番と番号が分けて付けられており、一番細かい粒子の岩絵具を「白(びゃく)番」と言います。色は、粒子が粗くなればなるほど濃くなります。日本画4

ちなみに天然岩絵具と新岩絵具を簡単に説明すると、天然岩絵具は藍銅鉱、ラピスラズリ、マラカイト、辰砂などの様々な「天然の鉱石」を粉砕し、精製した絵具。科学的処理を行わないため手間が掛かる上、自然の原石が原材料のため一般的に高価ですが、太古から蓄積された産物であることを想像するだけで非常に魅力的です。日本画3日本画6

対して新岩絵具は、釉薬と金属酸化物を高温焼成して製造されたもの。とても豊富な種類の色彩が揃います。また、天然岩絵具と比べて安価であるため、使用頻度の高い絵具でもあります。尚、岩絵具は、紙に定着させる時に接着材の役割として「膠(にかわ)」を用います。日本画5

今回、これら全ての画像は、私金子が懇意にさせていただいている台東区谷中(やなか)に在る絵具屋「金開堂(きんかいどう)」さんにて撮影させていただきました。岩絵具だけではなく、「筆」、「刷毛」、「和紙」、金箔銀箔などの「箔」、「墨」などの素材、はたまた「膠」や「染料」といったありとあらゆる日本画の画材が揃っています。日本画8

谷中の「金開堂」の他、上野近辺では同じく谷中に「得應軒」、不忍に「喜屋」があります。この他、都内には渋谷に「ウエマツ」、横浜市関内に「三吉」等など。是非一度覗かれるとよいでしょう。

以上、今回は日本画の画材その1と題して「岩絵具」についてのお話でした。いかがでしたか?日本画に少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。次回もお楽しみに。

尚、日本画画材についても質問があれば日本画科講師がお答えします。お気軽にどうぞ。
また、日本画科に興味ある受験生がいらっしゃいましたら是非見学にいらしてください。日本画7

― 次回投稿は8月。

炎天に負けない体力を養い、夏期講習会を乗り切りましょう。