カテゴリー別アーカイブ: 油絵科

石膏像について?

こんにちは。油絵科の関口です。
センター試験も終わり、段々と入試が近付いてきましたね。受験生の皆さんは、焦りや不安な気持ちが大きくなってきた人も多いのではないでしょうか?気持ちは分かりますが、こればかりは焦っても仕方がないので、どんなにキツイ状況でも、自分自身を信じて楽しみながら制作してもらいたいと思います。という事で、僕のブログも入試と関係なく、マイペースでいきますね(笑)。

マイペースと言えば、毎度お馴染み流浪の番組「タモリ倶楽部」ですね。先日放映された「受験生(美大志望)必見!試験に出る石膏像」はご覧になりましたか?僕はタモリ倶楽部が大好きで、毎週録画して見ています。超マニアックなテーマが取り上げられる事が多く、タモリさんにしか出来ない素晴らしい番組だと思っています。15965109_1342779422460942_2922454158765811080_n
※画像はザ・テレビジョン「タモリ倶楽部」紹介ページより。

さて、今回のロケは石膏像の制作所という事で、普段見られない石膏像の制作過程を見る事が出来ました。石膏で補強された、樹脂製の原型に石膏を流し込んで、複製しているんですね。モリエールやブルータスが作りやすいとか、一番売れてる石膏が球体だとか、普段は知り得ない情報を得る事が出来ました。
ただ番組を見ていて、素朴な疑問が湧き上がったんですが、球体の石膏ってどうやって作るんでしょうね?穴が開いた型に流し込んで作るにしても、半分ずつ作って貼り合わせるにしても、バリが出てしまいそうです。後で削ってるんでしょうか?誰か知ってる人は教えて下さいね。
ところで、このロケ先の堀石膏制作さんというのは、かなりマニアックな方のようで、石膏像ドットコムというホームページを開設されています。ブログやFacebookもあるようです。興味のある方は検索してみて下さい。

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あと、石膏像ドットコムでは「石膏像図鑑」なる書籍も販売されているようですね。油絵科では「試験に石膏は出て欲しくない…」と思っている受験生が多いと思いますが、この本を読んで石膏が好きになったら「石膏ウェルカム!」になるかもしれません。ゲットしてみては如何でしょうか。

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※上の画像は2枚とも石膏像ドットコムより。

過去のブログを読むと、かなりマニアックで面白そうな感じなので、新美に一冊入れてもらおうかな…とも考えてます。

古典技法にチャレンジ

こんにちは。油絵科の関口です。
今日は朝から油絵科を志望する1?2生を対象とした、古典技法のワークショップを行いました。

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普段やった事のない技法、そしてメディウムや絵具作りから行う体験というのは、楽しんでもらえたのではないか…と思います。メディウム作りで失敗した人も、思ったより難しくて、上手に描けなかった人もいたかもしれませんが、何事もチャレンジしてみなければ得られるものもありませんからね。ドンマイです。

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今でこそ、僕も大学や新美で学生に教える様な立場になりましたが、皆さんと同じ高校2年生の時、美術の先生に車で隣町までテンペラのワークショップに連れて行ってもらったのが、テンペラとの最初の出会いです。元々絵画の技法や材料に関心があったので、食材である卵が画材として使えるという事に、ビックリしながら受講した覚えがあります。今日はそんな事もふと思い出しました。
またこういう機会があれば、面白い企画を考えていきたいと思います。乞うご期待下さい。

なお高校1?2年生には、来週の日曜日に高校生デッサンコンクールがあります。現時点での力試しに、是非チャレンジしてみて下さい。
http://www.art-shinbi.com/event/high-school/

古典技法 ー テンペラについて

こんにちは。油絵科の関口です。今年も残すところあと僅かになりましたね。皆さんにとって2016年はどんな年でしたか?こうやって一年の終わりに振り返ると、良かった事、嬉しかった事、大変だった事、辛かった事…様々な事柄があったのではないでしょうか?

さて、皆さんはテンペラという画材をご存知ですか?
年が明けてすぐ、1月8日(日)に高校1?2年生を対象にした古典技法のNew Yearワークショップで、このテンペラを取り扱って行きますので、今日はこの事について書こうと思います。
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ボッティチェルリ「ヴィーナスの誕生」1485年頃 カンバスにテンペラ

まずこのテンペラとは何か?ですが、ザックリ言うと、卵を使ったメディウム(接着剤)で練られた絵具を指します。水溶性のため、乾きが早く、直ぐに重ね塗りが出来るのと、金箔や油性素材の上にも殆ど弾かずに描く事が出来るので、たいへん面白い素材です。img_5119
写真は卵のメディウムを作っているところです。ぬめりを取った卵黄をつまみ、針で刺して卵黄の皮を入れないようにします。

本来テンペラというものは「混ぜ合わせる」を意味するラテン語temperare(テンペラーレ)を語源とした絵具の事です。語源から考えると、水彩絵具や油絵具も含め、全ての絵具はテンペラという事になってしまいますし、実際に色んな種類のテンペラが存在しています。
まぁ厳密な定義はさておき、テンペラはルネサンス以前から使われていた描画材で、実は油絵よりも古い歴史のある絵具、という事を知ってもらいたいと思い、今回紹介させてもらいました。
以前も少しテンペラについて触れた回がありますので、そちらも併せてお読み下さい。
http://www.art-shinbi.com/blog/2014/09/08/
http://www.art-shinbi.com/blog/2014/09/15/

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上はどちらもデューラーのデッサン(白い部分にテンペラを使っていたと思われます)

本来古典技法というものは、制作にかなり時間が掛かるものです。ただ、今回やるのは1日で出来る内容に凝縮されています。実際に卵を使ったメディウム作りから行いますので、お料理教室みたいで、楽しいワークショップになると思います。対象は高校1?2年生という事になっていますが、保護者の方も含め、興味のある人は遠慮せずに申し込んでみて下さい。定員もありますので、お申し込みはくれぐれもお早めに。
申し込みはこちらから。
http://www.art-shinbi.com/event/workshop/workshop-005.html

最後になりましたが、2017年が皆さんにとって良い年になります様に。

好奇心の産物②

こんにちは。油絵科の関口です。あっという間に二学期も終わり、もうすぐ冬期講習という事になりますね。受験生の皆さんにとって、この冬期講習は大きく成長するタイミングでもあります。これまで沢山の受験生を見てきましたが、ここでキッカケを掴んだ学生が、希望の大学に受かっているという印象がありますので、是非一緒に頑張りましょう!

さて、前回に引き続き、今日のテーマも好奇心です。ちょっと長い文章ですが、どうか最後までお付き合いください。

 

11月の始めと12月の始め、二回に渡り根津美術館で開催されている、日本画の「円山応挙・写生を超えて」を観てきました。どれも素晴らしい作品で、深い感銘を受けました。
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例えばこの「雨竹風竹図屏風(前期のみ展示)」は、風と雨の存在を葉の形、筆致の方向、筆勢のみで表現しています。雨を描くのに雨粒を一切描かずに表現しまう力量に、思わず唸ってしまいました。ame
部分を拡大して見ると、その凄さが分かっていただけるかと思います。(↑雨竹)kaze
いや?ヤバいっすよ、この上手さ。(↑風竹)

 

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こちらの絵は今回の展覧会のポスターやカタログの表紙にもなっていて、応挙の代表作の一つ「藤花図屏風」です。藤の幹の表現は金箔の上に薄墨で非常に大胆なタッチで描かれています。描き直しや迷いは一切ありませんでした。「お見事!」としか言いようがありません。藤の花も白い胡粉の上に青い絵具と赤い絵具を重ねて表現していました。この絵はまだ展示されていますので、現物を見ることをお勧めします。下がって見ても、近くで見ても色んな発見がある筈です。

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そして興味深かったのは、画帖や巻物に描かれた様々なスケッチの数々。今回は「写生を超えて」というサブタイトルが付いていますが、その写生が本当に素晴らしかったです。身近にある色んなモチーフが克明に描かれており、そこには沢山のメモ書きも残されていました。これらはケースに入っているので、かなり近くから見ることが可能です。是非現物を見て頂きたいですね。油絵科の学生にはスケッチブックの参考になると思いますよ。img_5247
一つひとつのモチーフに好奇心を持ち、愛情を込めて描いてあるのが伝わってきました。これは巨匠の並々ならぬ好奇心が探究心に変わった良い一例だと思います。
自分にとって、日本画は専門ジャンルではありませんが、絵を描くという本質的な部分には、何ら変わりありません。
ただ、油絵とは違って、日本画の展覧会は作品保護の関係上、展示替えがある事が多いみたいですね。今回の展覧会も一度展示替えがあったので二回訪れたという訳です。

 

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そして二回目に訪れた時、フラッと美術館の庭に出てみたんですが、これがまた手入れが行き届いていて素晴らしい日本庭園でした。東京のど真ん中に、こんな素晴らしいところがあったとは…。%e5%ba%ad%e5%9c%92%e9%a2%a8%e6%99%af
ここのところ忙しい毎日を送っていたので、安らぎのひと時となりました。皆さんも晴れている日を見計らって、是非足を運んでみて下さい。ちなみに応挙の会期は来週日曜日までです。
根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp

 

前回も言いましたが、我々モノを作る人間にとって、一番大切なのは好奇心です。それさえあれば、技術や知識なんて後から勝手に付いてきます。
どんな障害だって乗り越えて、すごい事が可能になる…そんなエネルギーの源が好奇心です。自分の好きな事が見つかったら、例えどんなに些細なことやマニアックな事でも構いませんので、他人の目なんか一切気にせず、楽しみながら前に突き進んでいって欲しいと願っています。

 

最後に自分の展覧会の宣伝です。
80824053_10412/15(木)?24(土)横浜の石川町にあるギャラリーアークで約30人のグループ展を行います。ハガキサイズ以下の作品が100点以上も並ぶので、楽しい展覧会になると思います。僕の作品は普段制作している心象風景とは違い、今回はモチーフを水彩、色鉛筆、鉛筆で描写しています。以前紹介したハロウィンのシリーズの続きですね。会期は講習会とバッチリ被っていますが、興味のある人は是非見に来て下さい。
ギャラリーアーク
http://ark.art-sq.com

人物特訓 美術解剖学特別講習

こんにちは、油絵科の阿部です。
12月4日、日曜日に行われました
『人物特訓 美術解剖学特別講習』。
美術解剖学の専門の先生である、阿久津裕彦先生をお迎えして行われました。(ちょっと草薙似?)
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参加されたみなさん!
お疲れ様でした!
その講習で体験したことは、一生の中で本当に貴重な経験の1つではなかったでしょうか!

なにせ、みなさんの多くが目指されている、東京芸術大学の学生が、
1ヶ月ぐらいかけて制作する模型を、部位を限定したとはいえ1日で作ってしまうのですから。そしてまさにっ!大変だったと思います。

朝に軽く講義を受けてから、制作に入りました。

みなさんご存知でしたか?
「頭蓋骨の形は、なんでこんな形をしているのか?」
それはすべて、脳や目玉などを収めるうつわになっているのですね?。
実際頭蓋骨を逆さまにして、石膏などを流し込んで成形すると、脳の形ができるそうです。

みたいなことからはじまり
「頭蓋骨は、背骨の上に乗っています」
と1つひとつ丁寧に説明を受けながら、頭像芯棒に油土をつけていきます。
彫刻科の受講生は、さすがに慣れたものです。その一方
油絵科の受講生たちもなかなか・・・すでに、素晴らしい個性を発揮しておられました。

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こんな調子で、どんどん「人体頭部解剖模型」ができていきました。
後半、頭蓋骨の上に顔半分筋肉をつけていきます。せっかくつくった骨の形が筋肉で埋められていきます。「さようなら?」と言いながら先生は埋めていらっしゃいました。

そして終了!
どうにかこうにか、とうとう完成を見ることができました。

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先生も、多人数でこんな短い時間でつくってもらったのは、初めての経験だったそうで感動されていました。
後半、ちょっと、とばしぎみでしたが、みなさんついてきてくれて嬉しかったとおっしゃっていました。

終わった直後は、みんなひと山越えたような達成感?からか、気持ちが高鳴っていた感じを受けました。途中から違う山に行っちゃった人もいたようでしたが、それもやってみなければ 見えない新しい山でしょうから、良かったのでは ないかと思います。

おかげさまで総勢69人参加の大盛況でした。
阿久津先生 、そして受講していただいたみなさん!!
本当にありがとうございました!
また、ご協力いただいたスタッフの皆様にも御礼申し上げます

尚、自分のつくった模型に満足いかず引き続き制作したい受講生や、今回定員があり申込みたかったけど締め切られてしまった人も、このブログをみて興味の出た方も、今回講師を務めていただいた阿久津裕彦先生の出されている教本がありますので、参考にするとよいかと思います。