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高校生デッサンコンクールデモンストレーション。

こんにちは!彫刻科の小川原です。先日行われた高校生デッサンコンクールではデモンストレーションを行いました。参加してくれた学生の皆さんにはプロセスもお見せしましたが、簡単に解説を加えておさらいしていきたいと思います。

最初に当たりを取ります。100%の精度にこだわりすぎて無駄に時間を使うのも、その後の作業が塗り絵的になってしまうのもよくありません。ざっくりと捉えていますが確かに似ているなという実感が持てればそれで十分です。ここで印象が取れない人は明らかにクロッキー力不足なので意識して鍛えて下さい。

内部構造を意識しながら形を線で立体的に捉えています。

後々強く炭を乗せますが、まずは日向、日陰を軽く整理して簡単に色分けしてみます。(光源設定の計画を立てています)

一気に炭を乗せ、描き起こしていく下地を作ります。木炭はしっかりベースで炭が乗せられていると変化に富んだ調子の幅を出すことが出来ます。但しこの先の計画性がないとただ単純に汚くなってしまうので気をつけましょう。

ガーゼで抑えて深みのある下地を作ります。特に下の面や遠いところは紙のザラメが残らないようにします。僕は背景を含めてガーゼで触れて空間になじませていくことを意識しています。

指を使って直感的に光を入れていきます。色として見るのではなく、あくまで起伏(光を受ける面)として理解しながら進めています。これで下地は構築できました。

ここから具体的に描いていきます。消し具(食パン)もここで初めて使い始めます。いきなり細かく完成に近い感じで描き込んでいくのではなく、ザクザク全体に雰囲気を出していきます。
具体化第1段階です。

具体化第2段階です。ここまでで3時間位です。すべての部位の設定(量感、空間、印象)が捉えられました。多分ほとんどの人がこの辺りの時間ですでに印象の悪さにもがき苦しんでいるんだと思います。皆さんにはこのデッサンの速さではなく、「印象に対する意識の高さ」について注目して欲しいです。

具体化第3段階、5時間で完成です。第2段階からここまでで2時間かかっています。本当にしっかり描写しようと思うと僕でもこのくらい時間がかかります。それは作業スピードの問題だけでなく、うまくなればなるほど複雑な形を理解し、見ることが出来る様になるので情報量がグーンと多くなるためです。まずはクロッキー力を徹底的に鍛えることを考えて下さい。その上で石膏像の魅力をどれだけ感じられるかが大切です。この1枚のデッサンに何を込めますか?
僕は形の魅力も、光の魅力も、空間の魅力も、密度の魅力も全て完全なものにしたい!と強く思いながら画面の中にガッタメラータを彫刻するように描きました。この画面に乗っている木炭の粒子の一粒でも無くなったらこのデッサンがダメになる。そのくらいこだわりを持っています。それは技術的な事とは違う要素です。誰かを惹き付けるようなデッサンを描くということは、自分自身も引き付けられるようなデッサンを目指していかないといけないと思います。
デッサンはきちんと学べば必ずうまくなります!今はうまく行かなくても負けずに頑張ってください!

デッサン解説での30分描き出し。
木炭。

鉛筆。

鉛筆で石膏を描いたことがないのでこの日のために描いた予習。

僕は彫刻科で指導していますが、石膏デッサンやクロッキーについてアドバイスが欲しい人は自分の科や学年は問わず、どんどん訪ねてきて欲しいです。やる気のある学生を見るのは僕も嬉しいし、少しでも上達、そして合格に貢献できるように教えられることは何でも教えます!!