月別アーカイブ: 2016年12月

彫刻科 冬期講習が始まりました

彫刻科講師の氷室です。
いよいよ季節も変わり、受験まで残り2ヶ月となりました。早いですね。予備校での1年間は長くも感じられますが、季節が冬に突入した途端に足早に過ぎていきます。
この冬期講習が本当に大切になってきますね。
そもそも好きで始めたはずの美術に、合否が関わって来る、順位を競わねばならない現実に、答えがでない疑問を自分に投げかけてみたりします。
彫刻家 佐藤忠良さんの言葉に
向かい風に弱かった
石ころがあったから
と言うのは理由にしてはいけない
また、佐藤忠良さんは、なぜ作るのかと評論家に問われた時に もっと上手くなりたいから と言われています。

もちろん様々考えてグルグル行ったり来たりすることもあるかもしれません。
美術を好きな思いは、この予備校を経て、必ず未来に繋がっています。
まずは、後悔がないように、この年末を、成長と言う形を実感しながら乗り切っていきたいですね!

ここからは、冬期講習での生徒作品の紹介です。
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頬の形や、髪の毛にはもう一歩時間をかけたい所ですが、動きや印象を短時間で掴めてきているのは、本人の意気込みをかんじます。

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髪の毛の追い込みには、もう一歩ですが、動き、構造、量感を良く考えながら描けています。粘り強く形を掘り起こしていきつつ、全体感を保っていく彫刻らしい見方を感じます。

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顔の印象はもう一歩粘りが欲しいですが、視点やスケール感を感じさせる、写して描く訓練の先を感じる力強いデッサンです。腰回りは、とても良く観察し、丁寧に表現ができています。

ここからは、自画像2点です。img_5435-1 img_5433-1
3時間で、自画像を描くには、自分を見つめなければならない時間と、そこを或る意味置いておいて冷静に描くため、客観的に自分の形を追って行くバランスが大切になのでしょうか。
ここに挑むこと自体が、私からすると、凄いことだなと感じます。
3時間でひとつの作品にするバランス感覚がある2枚です。

今回の作品紹介は以上です。まだまだ、冬期講習も残り半分あります。さらなる秀作を期待しています!

さて
ここからは、彫刻科で1月に行う体験講習のお知らせです。
『New Year WORK SHOP』ーニューイヤー ワークショップー
☆親子で触れる素材実習☆  1月7日(日)10時?16時 新宿美術学院にて

彫刻科では、手の型取りを行います!!(以下内容)

「手を型取りして描いてみよう!!」

このの講習では美術を学ぶ上で欠かせない「手」という最も身近なモチーフに迫っていきます。
手は普段から見慣れているものなので漠然としたイメージは持っていると思いますが、実際は物凄く複雑な構造を持っていて、デッサンで自然に表現するのは非常に難しいものです。
今回は自身の手を特殊な型取り材を使用し、細部まで精巧に型どりして、それをモチーフとしてデッサンを描いていきます。手を「生身」の状態から「モノ」に置き換えることで自然に捉えるための、きっかけになればと思います。
新しい切り口で表現を探求し、ワンランク上のテクニックを学ぼう!
☆当日型取りした「手」は持ち帰っていただけます。ぜひ、資料として今後の学習に役立ててください!

参考作品
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どなたでも参加できます。ぜひ、型取りを通して、一つの立体が出来上がる感動を体験してみてください!
皆さんの参加をお待ちしております!

今回は以上です。
メリークリスマス
そして、良い年をお迎えください
次回は、小川原先生のブログの番です!!

渋谷校の購買

こんにちは、渋谷校です。

今日は冬期講習会の前期と中期の間の日です。授業がないので渋谷校の設備の一部を紹介します。

アップした写真のように渋谷校では製作する皆のために購買で画材を売っています。

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絵の具や鉛筆などの道具はもちろん、製作課題に合わせて芸大工芸の白象紙や多摩美なで使用するクレッセントボードなど入試に使用する紙を用意しています。ちなみに武蔵美ではM画の画用紙を使用します。

受験生はそれぞれの志望校に向けての課題の特訓が始まっています。頑張れ受験生。渋谷校の皆もしっかり第一志望決められるようにもう少しの期間なので一緒に頑張りましょう。また、必要な画材があれば入れてもらうので要望も出してみましょう。

また、受験生ではないですが高1、高2生の美大を目指す人たちも3学期からの入学などもありますので気軽に渋谷校に問い合わせてみましょう。

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本日より冬期講習会がはじまりました!

私立美大デザインコース主任の笹本です。

いよいよ冬期講習会です。各アトリエで緊張感のある制作が始りました。

入試まで7週間。実技も学科もまだまだ伸びます!

充実した冬期講習会にしていきましょう!

水分補給やマスクをするなどして、体調管理をしっかりしてください。

明日はタマビの留学生試験ですね。

「健闘を祈ってます!!」

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好奇心の産物②

こんにちは。油絵科の関口です。あっという間に二学期も終わり、もうすぐ冬期講習という事になりますね。受験生の皆さんにとって、この冬期講習は大きく成長するタイミングでもあります。これまで沢山の受験生を見てきましたが、ここでキッカケを掴んだ学生が、希望の大学に受かっているという印象がありますので、是非一緒に頑張りましょう!

さて、前回に引き続き、今日のテーマも好奇心です。ちょっと長い文章ですが、どうか最後までお付き合いください。

 

11月の始めと12月の始め、二回に渡り根津美術館で開催されている、日本画の「円山応挙・写生を超えて」を観てきました。どれも素晴らしい作品で、深い感銘を受けました。
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例えばこの「雨竹風竹図屏風(前期のみ展示)」は、風と雨の存在を葉の形、筆致の方向、筆勢のみで表現しています。雨を描くのに雨粒を一切描かずに表現しまう力量に、思わず唸ってしまいました。ame
部分を拡大して見ると、その凄さが分かっていただけるかと思います。(↑雨竹)kaze
いや?ヤバいっすよ、この上手さ。(↑風竹)

 

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こちらの絵は今回の展覧会のポスターやカタログの表紙にもなっていて、応挙の代表作の一つ「藤花図屏風」です。藤の幹の表現は金箔の上に薄墨で非常に大胆なタッチで描かれています。描き直しや迷いは一切ありませんでした。「お見事!」としか言いようがありません。藤の花も白い胡粉の上に青い絵具と赤い絵具を重ねて表現していました。この絵はまだ展示されていますので、現物を見ることをお勧めします。下がって見ても、近くで見ても色んな発見がある筈です。

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そして興味深かったのは、画帖や巻物に描かれた様々なスケッチの数々。今回は「写生を超えて」というサブタイトルが付いていますが、その写生が本当に素晴らしかったです。身近にある色んなモチーフが克明に描かれており、そこには沢山のメモ書きも残されていました。これらはケースに入っているので、かなり近くから見ることが可能です。是非現物を見て頂きたいですね。油絵科の学生にはスケッチブックの参考になると思いますよ。img_5247
一つひとつのモチーフに好奇心を持ち、愛情を込めて描いてあるのが伝わってきました。これは巨匠の並々ならぬ好奇心が探究心に変わった良い一例だと思います。
自分にとって、日本画は専門ジャンルではありませんが、絵を描くという本質的な部分には、何ら変わりありません。
ただ、油絵とは違って、日本画の展覧会は作品保護の関係上、展示替えがある事が多いみたいですね。今回の展覧会も一度展示替えがあったので二回訪れたという訳です。

 

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そして二回目に訪れた時、フラッと美術館の庭に出てみたんですが、これがまた手入れが行き届いていて素晴らしい日本庭園でした。東京のど真ん中に、こんな素晴らしいところがあったとは…。%e5%ba%ad%e5%9c%92%e9%a2%a8%e6%99%af
ここのところ忙しい毎日を送っていたので、安らぎのひと時となりました。皆さんも晴れている日を見計らって、是非足を運んでみて下さい。ちなみに応挙の会期は来週日曜日までです。
根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp

 

前回も言いましたが、我々モノを作る人間にとって、一番大切なのは好奇心です。それさえあれば、技術や知識なんて後から勝手に付いてきます。
どんな障害だって乗り越えて、すごい事が可能になる…そんなエネルギーの源が好奇心です。自分の好きな事が見つかったら、例えどんなに些細なことやマニアックな事でも構いませんので、他人の目なんか一切気にせず、楽しみながら前に突き進んでいって欲しいと願っています。

 

最後に自分の展覧会の宣伝です。
80824053_10412/15(木)?24(土)横浜の石川町にあるギャラリーアークで約30人のグループ展を行います。ハガキサイズ以下の作品が100点以上も並ぶので、楽しい展覧会になると思います。僕の作品は普段制作している心象風景とは違い、今回はモチーフを水彩、色鉛筆、鉛筆で描写しています。以前紹介したハロウィンのシリーズの続きですね。会期は講習会とバッチリ被っていますが、興味のある人は是非見に来て下さい。
ギャラリーアーク
http://ark.art-sq.com

彫刻科 2学期末の近況

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。早いもので彫刻科では2学期を締めくくるコンクールが今日終わります。結果によっては落ち込むこともあるかもしれませんが、まだ大丈夫です!一時の調子の善し悪しなど試験本番には何の関係もありません。挫けずに自分が言われたことに真摯に向き合っていきましょう。

では、今回は素描を紹介します!

「手とビニール袋」(6h制作)
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魅力のある素描ですね!画面への構成も決まっています!もう少し手の質感に迫れるとなお良いでしょう。

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安定した構成力と描写力には毎回関心させられます。今回は奥のビニール袋ごしに手を握っているという描写が今ひとつ物足りないことが残念ですが、その他は非常に魅力のある描き方が出来ています。

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素描に苦戦の続いていた作者でしたが今回は粘ったかいもあり問題点だった薄っぺらくなることや構造的な問題を感じさせない作品になりました。自分の苦手とする見方を克服する足がかりになるといいですね。

「自刻像」(6h制作)
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この構築力!現役生とは思えませんね。以前の作者の作品はしっかりとはしていましたがポーズや表情に彫刻としての余韻を感じませんでしたがこの作品には形に深みが出てきました。この調子!

 

 

さて、彫刻科では何かと課題で首像を作る機会が多いですね。模刻にしてもほとんどが首像ですし、自刻像、友人像、モデル首像等は課題の常連ですね。彫刻科では人間の形への興味と理解は必須といえます。受験生の頃は目の前の形を追うことで精一杯というのが正直なところでしょうがそれではいけないと僕は考えています。一番大切なのは自分が人間に対してどのような目線を持って形を作るかです。僕はよく講評で「形に重みが無い」、「形に奥行きが無い」、「形に余韻がない」、「形に可能性が無い」などという言い方をしていると思いますが簡単に言えばただ形を目で追って作っただけのものを見せられても何もない空虚なものにしかならないということです。予備校の段階ではあまり突っ込んだことは言われませんがこの先に必要なのは自分の思想と意志です。小手先の方法論ではなくもっと情熱を持って彫刻に打ち込みましょう!!

最後に先日個展をしました。以下出展作品↓

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僕自身も道半ばですが試験まであと2ヶ月半一緒に彫刻を深く追求しましょう!!
では、今回はここまでで次回は氷室先生です。