月別アーカイブ: 2014年7月

新宿御苑でディスカッション

こんにちは、油絵科 松田です。

 

夏期講習、いよいよ始まりました。
今年も暑い夏になるみたいです。
講習会生の皆さん、体調に気を付けて夏期講習を楽しんでくださいね。

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さて今回は一学期後半に行った課外授業(新宿御苑でドローイング)の報告。普段私は油絵③というクラスを担当していますが、このクラスでは毎年恒例になっています。

今年は少し長い3日間という時間を使い、のんびりと自分の制作テーマを探してもらいました。

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最終日にはこれまた毎年恒例のディスカッション、、、お昼に皆で昼食をとり、テーマを決めてのお喋りですが、閉園時間まで話が途切れませんでしたね。

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皆の普段考えている問題や、絵に対しての情熱などの話を通して、制作する動機や性質の一端を知れたように思います。

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後日、一応作品の講評はしましたが、実を言うとこの授業の作品の出来、不出来はほとんど見ていません。

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個々には様々な価値観や多様性、経験があり、それらを認め合える関係性を見つけ出してくれればと願った授業です。

実際にディープな内容の話や、意見のぶつかり合いといったこともありましたが、お互いを少し深く知れる機会になったような気がします。

私大デザイン補習⑤

大島です。
さて第5回。

前回までのカンディンスキーやモンドリアン、マレーヴィチは西洋美術史のなかでも重要な絵画作品として扱われています。しかし「デザイン」というには何かが足りないですね。

そう、メッセージです。

絵画は鑑賞者にその意味や解釈を委ねる部分がありますが、デザインはメッセージを明快に伝達する手段でなければいけません。

ここで紹介するのはエル・リシツキーという人です。
彼は美術学校でグラフィックアートや建築を教えており、そのときの同僚でもあったマレーヴィチのシュプレマティスムに影響を受けました。その影響は彼の制作したポスターや本に顕われています。(時代背景や生い立ちまで含めて詳しく説明できるほどの時間も知識も私には欠けているので、大学に入ったら各自で勉強してみて下さい!)

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上記のリシツキーのプロパガンダ(政治的思想の宣伝)のためのポスターは、使われている色彩や形体こそマレーヴィチのようですが、そこには明確なメッセージを孕んでいます。
この作中において赤い三角形は社会主義を示し、白(ブルジョワ)を破壊しているのです。

マレーヴィチの絵画の中の四角形は四角形でしかありませんでしたが、リシツキーは記号的な形体に「意味」を持たせ、人々にメッセージを伝達したのです。そして、これこそが多摩美のグラフィックや武蔵美の視覚伝達を目指している皆さんが学んでいる色彩構成のベースとも言えるでしょう。

エレメントを配置して彩色すれば色彩構成にはなりますが、それがデザインとして昇華されるにはそこに伝えるべき内容が伴わなければいけません。

と、5回にわたりダラダラと書いてきました。
イッテンの色彩対比について書こうとしたらヒートアップしてしまったみたいです。
明日からはもう夏期講習が始まってしまうので、これにて一段落…といいたいところですが、あと1回だけ続きます。どこかのタイミングでシレッと更新するつもりです。それでは。

(このブログを読んだら「読んだ」と伝えていただけると助かります。)

 

1学期の実材実習。テラコッタ首像の台座制作。

こんにちは。彫刻科の小川原です。1学期に制作したテラコッタのモデル首像の台座制作を僕のアトリエで行いました。
素材は楠を使います。楠は木彫でスタンダードに扱う素材です。大学に入ってから必ず扱う事になるので、今のうちから触っておくのはいいかもしれません。
まずはチェーンソーで材を切り出すところから。
※写真はやらせです(笑)チェーンソーの作業は僕がやりました。危ない工具は大学に入ってから使ってね(笑)
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切り出した材を電気カンナで成形、面出しします。電気カンナの回転の性質上外から中に削り込んでいくようにして、抜けて出ないように気をつけないと木の繊維が割れてはがれてしまいます。
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このあとベルトサンダーをかけて大まかに仕上げます。IMG_0844
その後サンダーで仕上げて鑿で軸を立てる為の穴を空けます。
(先にドリルで蜂の巣状に穴だらけにしておいて、鑿はそれを崩すだけです。)IMG_0850
首像作品が完全に乾燥したら窯で焼成作業に入ります!割れずに全部上手く焼ける事を祈ってます!

私大デザイン補習④

大島です。
暑い日が続きますね。では第4回。

前回カンディンスキーについてさらっと触れました。
今回はカンディンスキーの他に知っておいてほしい人を2人の画家を紹介します。

まずひとりめはモンドリアンです。

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水平垂直の構成、赤青黄(+白黒)の色彩で描かれた作品が代表的です。
モンドリアンはその後の建築やデザインに大きな影響を与えました。

たとえばヘリット・トーマス・リートフェルトのレッド&ブルーチェアや…

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イヴサンローランのモンドリアンルックなど…

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近年だと佐藤可士和のSmapのCDジャケットや広告もオマージュと言えるでしょうか…
モンドリアンの名前こそ知らなくても、どこかでみたことはあるような気がしますよね。どんな時代でも人々の関心を引くのは、やはりそれが最大公約数的な色と構成であるからでしょう。

もうひとりはマレーヴィチです。
シュプレマティスム(絶対主義)と呼ばれる、抽象絵画の到達点といわれる作品を残した人です。

代表的なのは正方形のキャンバスにモノクロで四角形や円が描かれただけの作品です。

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色彩と構成という観点からはこれ以上要素を削れないんじゃないかという徹底ぶりです。
でも実際は微妙にマチエールとかあって、やっぱり絵画として成立してるんですけどね。

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これなんかは もうちょっとわかりやすい。

そして下の画像は自分が数年前にパリの美術館で撮影した写真です。
(多分本物だったと思うんですけど、もしかしたら違うかも…。)

当時の様子をほぼ再現した展示ですが、空間に展示されることでまた違った見え方もしてきます。キャンバス自体をひとつのエレメントとした空間構成ともいえるかもしれません。

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そしてこのマレーヴィッチの影響によって現代デザインが成立されているといっても過言ではないのですが、それはまた次回にしたいと思います。

 

木彫作品制作1 耳の彫り込みと頭部の中仕上げ。襟周辺まで。

彫刻科の小川原です。夏は暑くて制作がきついです…。体も使うし頭も使うし、数時間でオーバーヒートしてしまいます。気合いだよ気合い!って若いときは思ってましたが、そんなもんは若いうちだけです。ちょっと彫ってはエアコンの効いた部屋で休む、すぐ暑いアトリエに戻って彫る。の繰り返し。そして風邪を引く…。
今回は作品の耳を彫り込んでいきます。耳は左右あって、角度はもちろん形が対応関係にあるので感覚的にささっと進める訳にはいけないところです。片側決めたらもう片方は反対側に合わせて慎重に決めていきます。
まずは顔の角度や頬からの距離等を踏まえてデッサンを入れます。
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輪郭の周囲を落として耳自体の形を浮き上がらせます。
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耳の穴に向かって奥行きが螺旋状に深まっていくフォルム感を意識しながら荒彫りしていきます。
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少しずつ具体的な形にしていきます。失敗を恐れて彫り込みが浅いともっさりした造形感になってしまいます。カービングこそ思い切って量を削っていく勢いみたいなものが大事だと思っています。
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とりあえず荒彫りから中仕上げの段階ではこんなものです。最終仕上げの時にさらに彫り込んでいきます。
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次は後頭部を進めます。荒彫りから中彫りまで。
荒彫りは本当に荒いです。量を合わせて表情を入れていく際の見当を取っておくくらいです。
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中彫り完成。とりあえず彫り込みやすい丸刀でどんどん形にしました。
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襟周辺を彫り込みます。
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次回から肩周辺を彫っていきます。