カテゴリー別アーカイブ: 新美

【基礎科】アクリルガッシュこぼれ話

どうやら東京は先日梅雨入りをしたそうです。
梅雨のイメージといえばカビ、去年か一昨年か、梅雨がとても長かった年に
作業場からお風呂場から、ありとあらゆるところにカビが発生したことがありました。
換気をしようにも外気の湿度でカビるし、晴れの日がないしで、
完全にお手上げ状態になっていました。
今年はそうならないことを祈りながらも、意外と雨の日の静かな環境は
嫌いではなかったりします。なので今一番欲しいのは、静かな強力な除湿機です。
基礎科名越です。

カビの中にも白カビ黒カビがあるように、
アクリルガッシュの黒と白にも種類があります。
間違って買ってしまう生徒が毎年いるので、記事にしたいと思います。

まずブラックです。
大きく2種類のブラックがあります。
ジェットブラックとランプブラックです。
ランプブラックのランプはランプの煤(炭素?)から来ていると聞いたことがあります。

ホルベインさんの公式にはこのように書かれています。

ジェットブラックは、アニリン黒(有機顔料)、ランプブラックは、カーボン黒(炭素)を原料とした顔料が用いられています。 ジェット ブラックは単独での黒さに富み、ランプ ブラックは艶がない色合いです。 漆黒度はジェット ブラックが非常に高く、耐光性は、ランプ ブラックのほうがやや優れています。
(ホルベイン技術情報Q&Aより)

だそうです。
またデザイン工芸のベタ塗りの課題などで、白と黒を混ぜたりする時に、
ジェットブラックは粒子のようなものが浮いてきてしまい、綺麗に混じらないということが
あるため、モノトーンで塗る時はランプブラックを推奨しています。

確かにランプブラックはどこか赤く、ジェットブラックは青みがかっていますね。
ジェットといえば、最近公開されているトップガン、
とても面白かったです。映画館で見ることをおすすめします。

次はホワイトです。

ホワイトも色々な種類があるのですが、一番間違えやすいのが
ホワイトとミキシングホワイトです。
ミキシングホワイトは透明度が高いため、ベタ塗りで使うとムラの原因になってしまいます。
また、混ぜても混ぜても色があまりかわらないためベタ塗りには使わないようにしてください。
描写をする際には透明度がたかいので、繊細な混色が可能になります。
(https://www.turner.co.jp/art/gouache/index.html ターナーアクリルガッシュ)

いわゆる芸大系平面や水彩表現などで使いやすいのかもしれません。

このように、自分がどのような色味やテイストの描写をしたいのかによって
絵の具もチョイスできると、表現の幅が一気に広がるかもしれませんね。

ぜひ興味があれば、購入して試してみてもいいかもしれません。

 

では

デザイン工芸科昼間部

こんにちは
デザイン・工芸科講師の山本です。

梅雨に入って晴れない日が続いておりますが、張り切っていきましょう。授業で行った演習課題をすこしだけ紹介します。

写真模写課題、手の解剖学演習、靴の細密デッサンです。これらが自分の実技力の“栄養”となり、入試実技課題に活かすことが次の課題となります。

渋谷校:受験の制作用具について

こんにちは渋谷校です。

今日はそろそろ4月に始めた人たちも、少しずつ慣れてきたと思います。鉛筆などの道具について聞きたいことなどもあると思います?
そこで今回は、絵を描く道具について話したいと思います。
特に今回はその中でも鉛筆や絵の具、立体の道具のしまい方を中心にお話します。デザイン科中心の内容ですので、他の科は参考程度に見てください。

鉛筆について

まずは鉛筆についてですが、鉛筆の種類はなるべく多く、同じメーカーの硬さの違いで例えば6Bから6Hまで、できれば1本ずつではなく複数用意したいものです。とりあえずは渋谷校ではユニという軸がエンジ色の鉛筆を勧めています。
話はそれますがえんじ色とはもともとは草木染めの紅花染の色をこの名前で読んだことがはじまりとのこと、現在はコチニール(虫から抽出した染料)による赤を指す。ともいわれています。ただ草木染自体染料に浸染した後に触媒によって反応して出る色は違うのが普通なので、何となくこんな感じの色という程度で覚えていればよいでしょう。話はそれましたが。

鉛筆のしまい方

また鉛筆をしまう際にはこの右側にあるような仕切りがあるケースに入れると良いと思います。大体の硬さを揃えてしきりに入れる、またはもう一つケースを買って、ネリゴムやカッターなど他の道具を入れるものも用意すると良いと思います。持っている人に聞くとこのようなケースは100均などで購入しているようです。

 

絵の具について

次に絵の具ですが、絵の具や筆もいっぱいあったほうが良いです。絵の具の蓋に色を塗って、ケースに上向きに入れて、色を選びやすいようにしてあります。ケースの中の仕切りは牛乳パックを切って使用しているようです。使いやすい上にエコで良いですね。

 

立体構成の道具

粘土の道具自体はそれほど多くなくヘラや定規などですが、デザイン科または工芸科で道具の種類も若干違うので、しっかり聞いてから購入しましょう。
鉄製のヘラもあると便利かと思いますが、まずは木製のヘラから揃えましょう。また写真の右から6本目の金属のパーツが付いたカキベラも欲しいです。
写真の中のボケている部分は秘密の道具になっております。個人的に工夫した道具らしいのであまりおおっぴらには載せられないのでボカしてあります。知りたい人は一度渋谷校にでも遊びに来てみましょう。

制作する上では道具はとても大事です。早めに多くの道具を揃えて試してみましょう。また道具は揃えるだけではなくしまい方や手入れの方法なども大事だと思います。きちんとした道具があってこそ良い絵が描けるというものです、お金はかかりますが絵の上達への投資だと思い頑張っていきましょう。

このページでのご紹介になってしまいますが、渋谷校はこの春よりデザイン・工芸科に特化した現役向けの校舎にリニューアルしました。デザイン・工芸の大学を目指す高校生や中学生は渋谷という好立地の渋谷校を検討してみましょう。

 

またそのうち制作用具についての説明のイベントなども考えています。興味のある方は近日HPにて公開しますので確認してみてください。

映像科:映像制作実習のレポート

こんにちは。映像科です。
先週の木金日コースの授業では「映像制作実習」を行いました。
美大の映像メディア系学科・専攻を受験する上で、特に総合型選抜を考えている人は、映像制作の経験や知識が期待されます。また一般選抜で受験する上でも撮影や編集、さらに映像を使った展示などの経験は発想の手がかりになります。

3日間の実習授業のテーマは「投影(プロジェクション)」。教室内に投影することを条件に作品製作を行いました。
初日は美術作家の映像インスタレーション作品を参考にしてアイディア出し。5人1グループに分かれて構想を発表して実現に向けてミーティングを行います。2日目は映像素材の撮影や投影実験など。3日目は設営をして実際に作品を発表してもらいました。

限られた条件の制作でしたが、プロジェクターの光を鏡に反射させたり、水槽の水を通して投影したりと自由な発想で面白い作品(現象・空間)が生まれました!
今回のようなワークショップ形式の授業は今学期の一度きりですが、例年夏期講習会の総合型選抜コースでは、新宿校1Fのギャラリーを使って上映作品や展示作品を発表してもらっています。入試に作品が必要な人や映像制作に興味がある人はぜひこちらを受講してください!

◎前回のブログでお知らせした、6/30(木)・7/1(金)・7/3(日)の「映像科・実技体験講習」(外部の学生の方も参加可能)の詳細ですが、次回(6/21予定)でおしらせします。もうしばらくお待ちください!

///////////////////////////////////////////////////////////////
映像科の授業
オンライン教育科(映像コースも開設)
映像科公式 Twitter
映像科公式 Instagram

彫刻科生徒作品紹介

こんにちは、彫刻科講師の新妻です。

5度以上気温差がある天気が断続的に続いていますが体調崩していませんでしょうか?一学期も中盤に差し掛かり少しずつ夏が近づいてきましたね。昼間部生は日頃の生活に自分なりの楽しみを見出しつつ日を跨いだ課題だからこその骨太な名作を目指して、夜間部生はひと課題ごとのポイントをチェックしつつ夏期講習に向けて制作に取り組んでいきましょう。

先日行われた石膏胸像クロッキーゼミでは短い時間でしたが、初動で何を気にして(関連づけて)捉えると形が狂いにくくなるかを彫刻科主任の小川原先生とレクチャーしながら解説しました。初めの1枚からラストまでの数枚だけでも、参加してくれた皆さんの捉え方がかなり深まったのが印象的でした。自分の技術になるまで是非いっぱい描いて欲しいと思います。

わかるように教わることはもちろん大切ですが、それと同じくらい、実感を伴うところまで食い下がって量をこなすことも大事なことだと思います。予備校の課題は地味な反復練習のようでいて、今後大学、社会に出た後、美術とどういう態度で付き合っていくのかがすでに問われている側面もあるのではないでしょうか。長い芸術人生の中で今しかできない鍛錬の仕方があるはずです。時間を大切に使ってください!

では生徒作品の紹介に移ります。

美しいデッサンです!彫刻自体の持つ量感を鈍く重たい炭ではなく洗練された光の印象をもって表現できています。しつこい描写とスッキリとした絵作り、見事です。

 

背景とのコントラストが効いていますね。像の持ってる大きな空間とボリュームが伝わってきます。みちみちに描いてるわけではないけど割れ肌部分の石の表現もリアルです。

 

構成塑像課題「マスクを使って自由に彫刻を作りなさい」

面白い表現です。やっている構成自体はシンプルですが、古い表面のマチエールの処理や、破けた膜のはがれ方のリズムなど一つ一つこだわって制作されています。

マスクとの相性が良いモチーフを選択していて、マスクの顔の振り向きの方向と布のたなびき方が良い対応感になっています。陰影もうまく利用していますね。

以前にも同じアイデアで構成塑像を作っていた作者でしたが、何回か試行錯誤していく中で作品が洗練されてきました。一つの案を何度も検証することも物を作るうえで大事なことですよね。そうしてできたものは単なる自己模倣とは一線を画します。

続いて夜間部生、高2生の作品です。

いままでのデッサンでは形のとらえ方に少し硬さや淡泊さがありましたが、とても自然にゆったりとした動きや量感に反応できています。指針になる一枚が描けました!

マスクの造形的なキャラクター性と自由に想定した溶ける造形がマッチしています。模刻要素も頑張っています。

構造的な違和感のなさもさることながら、自然と作品として美しいポージングを選択しているのが印象的でした。ほぼ初めてとは思えない出来です!球も時間延長してこだわれました。

うまーい!今は受験がどうとかは二の次で、目の前の作品に自分が一番感動できるようにどんどん欲張って制作してもらいたいです!

大学での制作ではさらに月単位、年単位で自分の作品と向き合うことも多くなります。扱う素材やモチーフが変わるだけで、「どこまで自分の作品に向き合えるか」という部分は変わらないはずです。

今回は以上です、ではまた!