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映像科:合格者インタビュー④・総合型選抜/クリエイション資質重視方式編

新美映像科から志望校へ合格した人たちにインタビューする企画も4回目。
今回は武蔵美映像学科の総合型選抜クリエイション資質重視方式の合格者に聞きます。
広兼さん(2020年度入試合格)と、樋口くん(2019年度入試合格/現在映像科の学生講師)
の2人に、ポートフォリオや面接試験について教えてもらうべく5つの質問を投げてみました。
インタビュアー:森田(映像科講師)

【Q1:武蔵美映像学科の「総合型選抜クリエイション資質重視方式」は例年かなりの高倍率です。この方式で受験することを決めたきっかけを教えてください。】

広兼:クリエイション資質重視方式に挑戦したのは、まずはチャンスは多い方がいいと思ったこと。そして一般選抜とは違って、大学の教授に映像作品を見てもらえるという入試の形式に興味を持ちました。私は志望校を決めた高校2年の段階で映画を一本製作していました。卒業までにはもう一本撮りたいとも考えていたので、その映画を提出作品として観ていただきたいと考えました。

樋口:僕は高校時代から映像に触れていたわけではありません。現役の年はデザイン系の学科を第一志望にして受験したのですが、合格できず映像に志望を変更した経緯があります。4月から映像科の木金日コースに通い始めて、時間も体力も有り余っている中で自分でも映像を作ってみようと思いました。クリエイション資質重視方式で受験しようと思ったのは、作品を制作していく中で「映像で表現したいこと」「映像で表現できること」が見えてきたからでしょうか。

【Q2:どんな作品を提出しましたか?】

広兼:映像作品と写真作品の両方を提出しました。映像作品は高校3年の夏に製作した映画です。高校2年で製作した映画もありましたが、提出作品の「映像は15分以内」という条件を考えた上で、近作に絞りました。写真作品は二つあって、一つは新美の夏期講習の映像制作実習で展示した組写真です。これは短期間での制作でしたが、作品としては気に入っていたので提出したいと思いました。もう一つは、ほとんど趣味みたいな感じで撮り溜めていた写真のシリーズです。このシリーズは自己紹介のような意味で提出しました。

樋口:僕の場合、提出した作品はジャンルも表現の仕方も様々です。写真作品のシリーズ、展示形式の映像作品、ストップモーションで制作した映像、8mmフィルムの映像を素材にしたビデオ作品などです。こうした構成にすることで、幅広い自分の興味を浮き彫りにできるのではないかと考えました。一見するとバラバラですが、共通点もあります。僕自身それまでに映像表現をずっとしてきたわけではないので、映像という媒体を扱うたびに色々な疑問が生まれる。提出した作品はいずれも、その疑問に対する「解」のようなものだと考えています。


[広兼さん/提出した映画作品]


[樋口くん/提出した8mmフィルムの映像を素材にしたビデオ作品]

【Q3:作品を紹介するためのポートフォリオファイル(作品を紹介する冊子)を提出することもこの入試の特徴です。ポートフォリオファイルを作成する上で何を大事にしましたか?】

広兼:手に取った人の印象に残ることを目指しました。デザインについては「見やすいポートフォリオってどんなものだろう」と思って、背景の色を変えるなど全部で3パターン試作してみたのですが、映像作品をキャプチャした画像を載せる上で背景は暗い方が映えると思い、最終的に黒を基調としたデザインにしました。あとは就職活動に使うポートフォリオを検索して参考にした部分もあります。具体的には冒頭に自己紹介のページを入れて、入学した後の具体的なビジョンを書いたことが、工夫した点です。

樋口:冊子自体の存在感ですね。A3変形のかなり大きなサイズにしています。インパクトを与えたいという意図もありましたが、結果的に写真の見え方はA4サイズよりもA3サイズの方が強い印象でした。細部までしっかり見て貰うためにはサイズは大きい方がいいと感じました。また印刷する用紙やファイルのポケットの透明度にもこだわりました。このポートフォリオは自分にとって、初めての作品集でもあったので、原点として後々見返したいと思えるように作成しました。その分かなり製作費はかかりましたが(笑)。


[広兼さん/ポートフォリオ/夏期講習会総合選抜型対策で展示した組写真を紹介するページ]


[樋口くん/ポートフォリオ/夏期講習会総合選抜型対策で展示した映像作品を紹介するページ]

【Q4:総合型選抜では出願時に「志望理由」などの文章を提出するケースが多いです。クリエイション資質重視方式では「自己推薦調書」という形式で「映像と自分自身との関わり」を記す必要があります。どんな内容を書きましたか?】

広兼:基本的には「映像を鑑賞する視点」と「映像を制作する視点」の二つをまとめました。映像作品を数多く見ている人であれば、その鑑賞体験を総合して映像についての明確な考えを書けると思うんですが、私はそれほど多くの映像を見ているわけではなかった。だから今まで見た映画の中で印象に残っているシーンを具体的に挙げようと思い、岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』を観て考えたことを中心に書きました。そしてその鑑賞から学んだことを踏まえて、自分の映画製作の経験についても書きました。

樋口:構成として大きく前半と後半に分けて、まず前半では映像に限らず「今まで自分が行ってきた表現活動」をテーマにしました。音楽活動やデザインの勉強をしていたので、それらの要素がどのように映像表現にシフトしていくかということをまとめました。後半には提出した作品を制作するプロセスを書きました。ポートフォリオに記した短い解説では伝えきれない「自分と各作品の関係」について詳細に書くことを意識しました。

【Q5:面接試験で印象に残っていることはありますか?】

広兼:私は順番が朝一番だったみたいで、武蔵美に早く着きすぎて建物の前で待った記憶があります(笑)。すごく心配だったんですが、面接官の教授の方から様々な質問をいただいて、話したいことを話せたという印象です。面接自体の時間は思ったよりも短かったです。提出した作品について具体的な演出や技術的なことを聞かれるよりも、映像で表現することの根幹について訊ねられたという印象です。

樋口:そうですね。「表現」について問われたというのは僕の面接でも印象に残っています。提出した映像作品の中で通常あまり無いような長回しのショットを使っているんですが、その作品についての応答から「映像と絵画の違い」に話題が展開していったことを覚えています。事前に答えを準備するだけでなく、普段から「映像ってどういう表現なのだろう」と考えていることが期待されていると感じました。


[2019年映像科/夏期講習会での総合型選抜対策]

【最後に:これから総合型選抜入試の準備をしようと考えてる人に向けてアドバイスをお願いします!】

広兼:一つは「入試に提出する作品」ということをあまり意識し過ぎないこと。高3で映画を製作していた時はクリエイション資質重視方式に提出することを見越していたので、どうしても作りながら「どうしたら受かるだろう」と考えていました。でも今思うと、自分の制作に対する意思を貫くことが一番大切だと感じます。
もう一つは全然違うことでですが、学科の勉強をちゃんとすること。総合型選抜入試を受けた後は不安で何も手につかなかったので、少しずつでも勉強をしていれば「総合型がダメでも一般がある」と思えて安心する。だから学科の勉強はしておいた方がいいと思います!

樋口:比較的短期間で準備したこともあり、予備校の授業以外の時間に見た作品や気になったことを「どうすれば作品の形に変換できるか」ということをつねに考えていました。そしてその考えを言葉にすることも大切だったと思います。クリエイション資質重視方式は「作品を作るだけで合格できる入試」だと思われているかもしれませんが、実際は、作品を作り、それを言語化し、他者に伝えることまでが求められているように感じます。そういう意識を明確に持って準備ができる人にとっては、自分を成長させるきっかけにもなると思います。頑張ってください!

森田:同じ入試でも準備の仕方や作品についての考えが違うということがよくわかりました。
お二人とも、今日は貴重な話をありがとうございました!


《2020.6 オンラインでのインタビュー/広兼さん&樋口くん、ありがとうございました!》

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お知らせ:
新美映像科の総合型選抜対策はここから始まる!

○7/11(土)・18(土)映像科・先端芸術表現科合同オンラインゼミ「映像制作・ポートフォリオ・面接試験について・知る、学ぶ」
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映像科夏期講習会の情報(7/20〜) ※今年度夏期講習はオンラインでも行います
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さぁ!!ピーター・ドイグ展へ行こう!!

こんにちは。油絵科昼間部です。

3月から美術館が閉館になり、これからの休みに勉強しようとおもっていた方や、受験も終わって気分転換を考えていた方は生で作品を見る機会が減ってしまったことに、落胆したのではないでしょうか。

そこで、5月末から美術館も開館し始め皆さんにも是非自らの目で作品に触れて欲しいとおもい、わたしのおすすめの展覧会を紹介します。

東京国立近代美術館で開催されているピーター・ドイグ展です。
わたしは、予定していた開催期間が昨年の受験期に差し掛かり、その後閉館になってしまったので行けなく残念な思いをしていました。
しかし、閉館してしまっていたので開催期間はが延長され10月11日まで観覧することができます!!
今回、待望の日本での初個展です。
それではピーター・ドイグとは?という方のためにすこし紹介します。 ピーター・ドイグとは1959年、英スコットランド生まれ。カリブ海のトリニダード・トバゴとカナダで育ち、ロンドンで美術を学び、2002年からはロンドンに加え、トリニダード・トバゴの首都、ポート・オブ・スペインにもアトリエを構えています。
膨大なイメージに日々接する現代において、絵画の可能性を切りひらき、アートを牽引してきたドイグは「画家の中の画家」と評されることもあります。
ドイグは既存のイメージに自らの経験を重ね、混ぜ合わせて一つの画面をつくります。美術史上の絵画、写真、映画、自身が過ごした土地の風景など……。ちなみに「ガストホーフ-」のモチーフの一つは、ドイツのダムを写した古い観光絵はがきです。人物は画家本人と友人で、劇場でアルバイトをしていた若き日に、戯れで衣装を着て写した写真を参照したという。どこか、フランスの画家、アンリ・ルソーが描く幻想風景にも似ているように思えます。
見知らぬ風景なのに、懐かしく感じます。ドイグがつくり出す多層的なイメージに、私たちの記憶の引き出しが刺激されるからでしょう。
また、異なる国の歴史や文化を縦横に結びつけるドイグの作品は、多文化主義が進む現代社会に寄り添うかのようです。ただ、特定の考えを押し付けることはなく、自由な解釈が許されますね。
同館の桝田倫広・主任研究員は「絵画を見ることの喜び、見ることの複雑さを改めて気づかされる。SNSに流れては消えていく画像や動画と違い、じっくりと見ることなしに鑑賞体験は得られない」と今展覧会について述べていました。

薄塗りの扱いやイメージの混交している点など画像ではわかりにくい作品だとおもうので、「画家の中の画家」と評されるドイグの初期から最新作までしっかり目に焼き付けて欲しいと思います!

!!注意!!観にいく際は新型コロナウイルス感染症予防対策のため、 入館には事前にチケットのご購入が必要となります!!!
事前チケット購入をお忘れなく!!!

https://www.momat.go.jp/am/exhibition/peterdoig/

《基礎科》通常授業が始まりました!

6月もついに最終週。

テレビをつけると過去のドラマがやっていたりして、
当時も見てたはずなのについつい全部また見ちゃったりして。
気づくと2020年も半分が終わってしまうようです。
BackToTheFuture2の未来の世界は2015年の設定、まだ車は空を飛んでいないし、
サメも立体画像で飛び出ません。

基礎科講師デザイン科担当の名越です。

前回のブログの時にはどうなるかわからなかった緊急事態宣言解除でしたが、
無事新宿美術学院も通常授業が始まりました。
とはいえ東京アラートが発表されたり、感染者数が上がったりと、
まだまだ気を引き締めて行かなければいけない状況です。

基礎科でも、講師はマスクにフェイスシールドを着用、除菌換気を徹底し、
モチーフに関してもなるべく多めに配置して生徒同士間での距離を保ち
安心のできる状況で絵を描けるようにしています。

現在はアトリエにて通常授業がスタートしているのですが、
6月までオンライン授業にて基礎課題をしっかり行ったのもあってか
静物や石膏像などのモチーフがスタートして描いてもらうと
比較的基礎的な部分ができている生徒さんが多いような気がします。

先日は受験科のアトリエにクラスにお邪魔し、
受験科の講師のデッサンを見学しに行きました。

(カメラのせいでかなり生徒同士が近く感じますね)

こんなことも通常授業が始まったからこそできることです。

7月ももうすぐ目の前ですが、
これからいろんなことを勉強していきましょう!

ではでは

映像科:合格者インタビュー③・小論文/文章表現編

2020年春、新美映像科から志望校へ合格した人たちにインタビューする企画。
第三回は武蔵美映像学科の感覚テスト&小論文ともに約9割という高得点で合格した大作くんに聞きます。あまり情報がない「美大映像系小論文の秘訣」に始まり、映像を志望してから合格までの道のりを話してもらいました。これを読めば映像科の入試対策のすべてがわかる!
インタビュアー:森田(映像科講師、主に小論文担当)
進行:百瀬(映像科講師、主に鉛筆デッサン担当)

百瀬:今回は映像科の入試で特に重要な文章表現をメインテーマに、大作くんに聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。
大作:よろしくお願いします。

【入試での小論文について】

森田:これは武蔵美映像学科の小論文試験、過去3年分の問題をまとめた資料です。「小論文」という名称の試験ですが、モチーフが配布されるという特徴があります。さらに近年特徴的なのが「言葉で描写する」という問題文です。一般的な「小論文=自分の考えを書く」という前提からすると、かなり特殊な問題と感じられると思います。
大作くんはこの「モチーフを言葉で描写する」小論文に対して、どういう姿勢で挑みましたか。


[2018-2020武蔵美映像小論文問題/モチーフは新宿美術学院での入試再現制作用]

大作:この形式の小論文は、新美の課題で色々なモチーフで何度も練習しました。その中でも僕の場合は「石」や「水」など自然物の方が書きやすかったです。自由に考えを展開させることができたし、壮大なテーマについて書くことが単純に楽しかったので。逆に工業製品の場合は機能を説明することを意識したので、発想が硬くなることもありました。
なので、試験会場で貝殻が配布された時は「いける」と思いました。

百瀬:試験で書いた小論文がこちらですね。具体的に示すために赤で書き入れています。


[入試再現作品/小論文/武蔵野美大映像学科]

大作:貝殻というモチーフも新美の課題で一度制作したことがあって、その時に書いたのが「貝殻に生命を見いだす」という結論でした。ただし試験で出題された貝殻とは種類が違うので、同じ内容を書くわけにいかない。本番は「自分が書きたいテーマ」と「目の前のモチーフ」にどう折り合いをつけるか、と終了時間ギリギリまで苦労しました。

森田:この大作くんの小論文で良いなと思うのは、段落が①→②→③と展開されるにつれて、その「書きたいテーマ」へ一歩ずつ着実に向かっていることですね。①で貝殻の全体像を描き出し、②で細部に着目する様子からは、カメラで撮影するような視点も想起させられます。
注目したいのは「隆起」と「節目」という語です。モチーフの貝殻のほんの数ミリの細部を示して、言葉で描写しています。そしてその描写が最終的な「手の中の貝殻は命の一生を見せてくれる」という結論に繋がっていくんです。見事な構成だと思いました。

大作:この「節目」は迷いました。何という言葉を使えば、その部分を指し示せるんだろうと。

森田:適切だと思います。細かい表現に関してさらに言えば、最初は「節目の様なものが~」と書いて、次に「その節目は~」と書いている。これは読む側が「節目」という語を自然に受け入れられるように、言葉の「置き方」を工夫しているんですね。小論文も文章による「表現」であるからには、こういった細かい部分での言葉の扱いを大切にしてほしいと思います。

【美大の小論文って?】

百瀬:そもそも映像科で対策をする以前に、高校などで小論文を書いたことはありましたか?

大作:一度も書いたことなかったです。大学入試の小論文について漠然としたイメージは持ってましたが、映像科で小論文を書き始めて、それとは全然違う印象を受けました。小論文ってある程度は形式や解答に決まりがあると思っていたんですが、特に映像科の小論文は、発想したことを自由に書けるという意味で、別の種目だと感じました。
でもそのことがわかったからこそ、小論文を書くことに対しての迷いはなくなりました。

森田:・・・というと?

大作:うーん・・・。実は最初は小論文を選択すること自体に戸惑いがありました。美大に行くなら絵を描けるようになって入学したい気持ちがあったので。デッサンやらなくて本当にいいのか?と。でも映像科の小論文対策が単なる受験勉強じゃなくて、物の見方を鍛えることになるんだと気づいてからは、積極的に取り組めるようになったんです。制作中や講評会でアドバイスを貰う中で「どんな物にも面白いと思えるポイントがあるんだ」という発見がつねにありました。

森田:そのように発想を転換できるとレベルアップできるし、何より書いてて楽しいですよね。小論文を通して獲得した「物の見方」は、これからの制作にも必ず役立つと思います!

【感覚テストについて】

百瀬:感覚テストについてはどうですか? 大作くんは小論文で培った文章力を活かして、魅力的な場面を創作していた印象があります。

大作:感覚テストについては全然心配してなくて、試験でも落ち着いて制作できました。構想自体は新美でも何度か制作した、水族館を舞台とした息子と父親の関係を描いた作品です。僕の場合、ある時期から「魚を画面の中に登場させること」と「近しい人との微妙な心理をテーマとすること」が面白くなってきて、試験本番で「その先は」というキーワードを見たときに、この内容で行こうと思いました。


[入試再現作品/感覚テスト/武蔵野美大映像学科]

森田:確かに感覚テストは何度か制作すると、出題されるキーワードに関わらず、自分にしっくりくるモチーフやテーマが見えてきます。予備校での制作はそのきっかけの一つですね。
文章表現で注目したのは、作品中の巨大な魚の扱いです。この魚が何なのかは文中で明示されていません。ちなみにこれは・・・

大作:ジンベイザメです。「ジンベイザメが、」というふうにはっきり画面内に書かなかったのは、その方がこの作品の雰囲気ー少し神秘的な感じーを演出できると思ったからです。
客観的に考えてみると、魚自体がちょっと不思議な存在で、何を考えているかわからない。そのジンベイザメの存在を経由することで、父親の職場である水族館に来て、少し戸惑っている主人公の内面的なものを表現したかった作品です。

百瀬:なるほど。私がビジュアル部分でも優れていると思ったのは構図ですね。文章を書くために中央にスペースを空けていますが、画面の四隅にバリエーションがあるので単調に見えないんです。こういう絵づくりは、文章をしっかり読ませる上でも効果的にはたらいています。

【映像系志望のきっかけ】

百瀬:少し時間を遡って、対策をはじめたきっかけについて聞いてみます。大作くんは高2で新美の基礎科に入学しました。その時点で映像を志望することは決まっていましたか?

大作:はい。小さい頃から絵を描くことが好きで美術大学にも興味がありました。ある時自分の興味を挙げてみると「映画、CG、音響、ゲーム・・・全部映像だ!」と気づいて、美大の映像系に絞って新美の基礎科に入学しました。
部活が忙しかったこともあって週一日の土曜コースから始めたんですけど、デッサンを勉強することは新鮮で、本当に楽しかったです。

森田:映像に興味を持ち始めて、特に影響を受けた作品はありますか?

大作:映画だとクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』。アニメーション作品では今敏監督の『パプリカ』。SF的な設定を描いたフィクションが好きです。現実そのままじゃない、空想を見せる手段としての映像に興味があるんだと思います。特に人間が手を加えられない「時間」や「生命」をテーマにした作品に惹かれます。


森田:面白いですね。というのは、そうした「時間」や「生命」といったテーマは大作くんの小論文や感覚テストからも感じられたからです。
ところで冬期の短期の講習では、高2でありながら受験科の授業にも参加してくれました。他の受講生は入試が迫った受験生ばかりで・・・大変でしたか?

大作:本当に大変でした。それこそ小論文でモチーフを渡されても最初は全然意味が分からなくて脳味噌が熱くなる感じ(笑)。疲れすぎて家に帰った直後に玄関で寝てました。
でも周りの人たちの作品や制作に対する真剣な姿勢を見て「ああ、受験生ってこういう感じなんだ」ということを感じられたのは、高2の段階の経験として重要でした。

【映像科の授業について】

森田:高3になって4月からは木金日コースで対策をしてきました。どんな授業が印象に残っていますか?

大作:受験科だから毎回感覚テストや小論文をやると思ってたんですけど、実際は一学期に映像制作の実習や作品鑑賞の授業があって、ちょっとびっくりしました。予備校って感じじゃなさすぎて。

森田:そうかもしれません(笑)。でも「映像ってどういう表現手段なんだろう?」っていうところからスタートすることで、最終的に感覚テストや小論文の発想を深めてほしい、という意図があります。もちろん純粋に映像を作ることを好きになってもらいたいという気持ちもありますが。

大作:実際、映像制作実習はめちゃめちゃ楽しかったです。僕の場合は美術系の高校でもなく、それまで基礎科以外で作品制作を経験していなかったので、実習を通じて「制作する側の目線」を意識できるようになったと思います。普段から映像に対して「なんでここはこういう工夫をしているんだろう?」という意識で見られるようになったことは、大きかったと思います。


[映像制作実習での作品展示の様子]

森田:新美周辺のフィールドワークを元にした映像制作実習では、集合住宅をモチーフにしてプロジェクションマッピングのような投影を試みていましたね。とても印象的な作品でした。

【個人の経験から作品をつくる】

百瀬:では最後に、ちょっと抽象的な質問ですが、大作くんが映像科の受験対策をしていたときに大事にしていた考えって、何でしょうか?

大作:・・・(ちょっと考えて)・・・「個人の経験が作品を強くする」ということでしょうか。最初の面談で森田先生に「受験のために部活を早く引退した方がいいですか?」と質問したら「部活も経験として大切だからやり切った方がいいよ」って言われて。その時は「そういうものかな」としか思わなかったんですが、その後、感覚テストや小論文を制作していく中で、確かに自分自身のこれまでの経験が活かされていると感じることがありました。

森田:そんなこと言ったかな?・・・言いましたね(笑)。でも本当にそうです。美術や映像でなくとも何かに集中的に取り組んだ経験は、作品を、特に言葉の表現を強くすると思います。
とはいえ、部活と両立しながらしっかり対策を続けて、最終的に学科も含めて高得点で合格したのは、何より大作くんの力だと思います!

百瀬:そうですね。今回は聞けませんでしたが、学科対策についても本当に一生懸命取り組んでいました。大作くん、今日は本当にありがとうございました。
大作:ありがとうございました!


《2020.6 オンラインでのインタビュー/大作くん、ありがとうございました!》

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彫刻科6月前半の預かり作品。

こんにちは!彫刻科の小川原です。
6月に入り、通常授業が再開されました。4月、5月の課題取り組みの成果もあって、勢いのある作品が多く出ています!1年のスタートとしてはいい感じですね!

それでは6月前半の預かり作品を紹介します。

まずは昼間部生の作品から。

厚みを感じる表現が魅力的です!


丁寧な描写がいいですね!気合い入ってる!


彫刻的に説得力のある仕事ができています!


圧倒的な印象の良さと完成度です!


美しいグラデーションで形を表現しています!


ピリッとした描写の抵抗感が良いですね!


光の印象を美しく捉えています!


量感が素晴らしいです!伸びの勢いがある!


光と陰の響き合いが魅力的です!


掴めそうな形の強さがよいですね!


印象が良いです!ぴたっと合わせてきました!


遠目も近めも印象の良い作品です!完成度高い!


徹底して丁寧に探り切りました!


うまいです!ジョルジョ、特にこの位置は難しいけれど、説得力があります!

続いて夜間部生の作品です。

全体の印象が自然にコントロールできています!光が美しい!


こちらも光の綺麗な作品です!調子の扱いが上手い!


現役生とは思えない印象の良さと完成度です!

皆いい感じです。この意識の高さを持続させて一気に実力を高めていきましょう!