カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

さぁ!!ピーター・ドイグ展へ行こう!!

こんにちは。油絵科昼間部です。

3月から美術館が閉館になり、これからの休みに勉強しようとおもっていた方や、受験も終わって気分転換を考えていた方は生で作品を見る機会が減ってしまったことに、落胆したのではないでしょうか。

そこで、5月末から美術館も開館し始め皆さんにも是非自らの目で作品に触れて欲しいとおもい、わたしのおすすめの展覧会を紹介します。

東京国立近代美術館で開催されているピーター・ドイグ展です。
わたしは、予定していた開催期間が昨年の受験期に差し掛かり、その後閉館になってしまったので行けなく残念な思いをしていました。
しかし、閉館してしまっていたので開催期間はが延長され10月11日まで観覧することができます!!
今回、待望の日本での初個展です。
それではピーター・ドイグとは?という方のためにすこし紹介します。 ピーター・ドイグとは1959年、英スコットランド生まれ。カリブ海のトリニダード・トバゴとカナダで育ち、ロンドンで美術を学び、2002年からはロンドンに加え、トリニダード・トバゴの首都、ポート・オブ・スペインにもアトリエを構えています。
膨大なイメージに日々接する現代において、絵画の可能性を切りひらき、アートを牽引してきたドイグは「画家の中の画家」と評されることもあります。
ドイグは既存のイメージに自らの経験を重ね、混ぜ合わせて一つの画面をつくります。美術史上の絵画、写真、映画、自身が過ごした土地の風景など……。ちなみに「ガストホーフ-」のモチーフの一つは、ドイツのダムを写した古い観光絵はがきです。人物は画家本人と友人で、劇場でアルバイトをしていた若き日に、戯れで衣装を着て写した写真を参照したという。どこか、フランスの画家、アンリ・ルソーが描く幻想風景にも似ているように思えます。
見知らぬ風景なのに、懐かしく感じます。ドイグがつくり出す多層的なイメージに、私たちの記憶の引き出しが刺激されるからでしょう。
また、異なる国の歴史や文化を縦横に結びつけるドイグの作品は、多文化主義が進む現代社会に寄り添うかのようです。ただ、特定の考えを押し付けることはなく、自由な解釈が許されますね。
同館の桝田倫広・主任研究員は「絵画を見ることの喜び、見ることの複雑さを改めて気づかされる。SNSに流れては消えていく画像や動画と違い、じっくりと見ることなしに鑑賞体験は得られない」と今展覧会について述べていました。

薄塗りの扱いやイメージの混交している点など画像ではわかりにくい作品だとおもうので、「画家の中の画家」と評されるドイグの初期から最新作までしっかり目に焼き付けて欲しいと思います!

!!注意!!観にいく際は新型コロナウイルス感染症予防対策のため、 入館には事前にチケットのご購入が必要となります!!!
事前チケット購入をお忘れなく!!!

https://www.momat.go.jp/am/exhibition/peterdoig/

《基礎科》通常授業が始まりました!

6月もついに最終週。

テレビをつけると過去のドラマがやっていたりして、
当時も見てたはずなのについつい全部また見ちゃったりして。
気づくと2020年も半分が終わってしまうようです。
BackToTheFuture2の未来の世界は2015年の設定、まだ車は空を飛んでいないし、
サメも立体画像で飛び出ません。

基礎科講師デザイン科担当の名越です。

前回のブログの時にはどうなるかわからなかった緊急事態宣言解除でしたが、
無事新宿美術学院も通常授業が始まりました。
とはいえ東京アラートが発表されたり、感染者数が上がったりと、
まだまだ気を引き締めて行かなければいけない状況です。

基礎科でも、講師はマスクにフェイスシールドを着用、除菌換気を徹底し、
モチーフに関してもなるべく多めに配置して生徒同士間での距離を保ち
安心のできる状況で絵を描けるようにしています。

現在はアトリエにて通常授業がスタートしているのですが、
6月までオンライン授業にて基礎課題をしっかり行ったのもあってか
静物や石膏像などのモチーフがスタートして描いてもらうと
比較的基礎的な部分ができている生徒さんが多いような気がします。

先日は受験科のアトリエにクラスにお邪魔し、
受験科の講師のデッサンを見学しに行きました。

(カメラのせいでかなり生徒同士が近く感じますね)

こんなことも通常授業が始まったからこそできることです。

7月ももうすぐ目の前ですが、
これからいろんなことを勉強していきましょう!

ではでは

6月半ばは、恒例の演習課題。

例年通りのカリキュラムではなく、予定の変更を余儀なくされていますが、なんとか追いついてきたかなという感じになってきました。夏期講習会が始まるまでに、頭をしっかりと鍛えていきたいです。

デザイン•工芸科夜間部です。

だんだんと並行して、オンラインすることも減って来ました。皆さん出席しての授業の方が、やっぱり良いようですね。

光を意識するための演習。やったことのない実習を、戸惑いながらもこなしてくれています。なかなかの良作が今年も出来上がりました。理解を早くして、実際のデッサンにつなげていってほしいです。

 

広告用の、ドデカデッサンの制作も始まりました。今年は石膏デッサンでもやってもらっています。どんな感じに仕上がるのかが、楽しみですね。

これからどんどん暑くなっていって、マスクがちょっと辛くなっていきそうです。熱中症にも気を付けて、制作していきましょう。

中学生受験科 6月より通学再開!

中学生受験科です。

5月はオンラインで実施していた授業も、ようやく6月に入り通学の授業再開となりました。
久々に生徒の皆さんの元気な顔を見れて、講師一同もうれしく思っています。
オンラインでしか顔を見ていなかった生徒には、ようやく対面で会えました。

さて、5月はデッサン中心の授業でしたが、先週の日曜からは水彩の授業もスタート。
水彩初心者の人も、頑張って完成出来て、順調なスタートが切れたと思います!

水彩初回は、こんなモチーフを描きました。


パレットに水彩絵の具を詰めて、準備万端です。

まだまだ初心者の方も、遅すぎる時期ではありません!
美術系進学を希望する中学生の方、いつでもご参加お待ちしています!

無料体験入学は随時受付中 ➡https://www.art-shinbi.com/event/event-muryo.html

進路相談なども随時受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。

□□□□□□入試情報□□□□□□
既に中学校や塾からご指導があるかと思いますが、
東京都教育委員会より、「中学校等の臨時休業の実施等を踏まえた令和3年度高等学校入学者選抜等における配慮事項」が発表されました。
特に、学力検査の出題範囲から除外する内容
が公開されていますので、まだご存じでない方は、早めにチェックしてみましょう。

東京都教育委員会の該当ページのリンクを貼っておきます。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/exam/release20200611_01.html

映像科:合格者インタビュー③・小論文/文章表現編

2020年春、新美映像科から志望校へ合格した人たちにインタビューする企画。
第三回は武蔵美映像学科の感覚テスト&小論文ともに約9割という高得点で合格した大作くんに聞きます。あまり情報がない「美大映像系小論文の秘訣」に始まり、映像を志望してから合格までの道のりを話してもらいました。これを読めば映像科の入試対策のすべてがわかる!
インタビュアー:森田(映像科講師、主に小論文担当)
進行:百瀬(映像科講師、主に鉛筆デッサン担当)

百瀬:今回は映像科の入試で特に重要な文章表現をメインテーマに、大作くんに聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。
大作:よろしくお願いします。

【入試での小論文について】

森田:これは武蔵美映像学科の小論文試験、過去3年分の問題をまとめた資料です。「小論文」という名称の試験ですが、モチーフが配布されるという特徴があります。さらに近年特徴的なのが「言葉で描写する」という問題文です。一般的な「小論文=自分の考えを書く」という前提からすると、かなり特殊な問題と感じられると思います。
大作くんはこの「モチーフを言葉で描写する」小論文に対して、どういう姿勢で挑みましたか。


[2018-2020武蔵美映像小論文問題/モチーフは新宿美術学院での入試再現制作用]

大作:この形式の小論文は、新美の課題で色々なモチーフで何度も練習しました。その中でも僕の場合は「石」や「水」など自然物の方が書きやすかったです。自由に考えを展開させることができたし、壮大なテーマについて書くことが単純に楽しかったので。逆に工業製品の場合は機能を説明することを意識したので、発想が硬くなることもありました。
なので、試験会場で貝殻が配布された時は「いける」と思いました。

百瀬:試験で書いた小論文がこちらですね。具体的に示すために赤で書き入れています。


[入試再現作品/小論文/武蔵野美大映像学科]

大作:貝殻というモチーフも新美の課題で一度制作したことがあって、その時に書いたのが「貝殻に生命を見いだす」という結論でした。ただし試験で出題された貝殻とは種類が違うので、同じ内容を書くわけにいかない。本番は「自分が書きたいテーマ」と「目の前のモチーフ」にどう折り合いをつけるか、と終了時間ギリギリまで苦労しました。

森田:この大作くんの小論文で良いなと思うのは、段落が①→②→③と展開されるにつれて、その「書きたいテーマ」へ一歩ずつ着実に向かっていることですね。①で貝殻の全体像を描き出し、②で細部に着目する様子からは、カメラで撮影するような視点も想起させられます。
注目したいのは「隆起」と「節目」という語です。モチーフの貝殻のほんの数ミリの細部を示して、言葉で描写しています。そしてその描写が最終的な「手の中の貝殻は命の一生を見せてくれる」という結論に繋がっていくんです。見事な構成だと思いました。

大作:この「節目」は迷いました。何という言葉を使えば、その部分を指し示せるんだろうと。

森田:適切だと思います。細かい表現に関してさらに言えば、最初は「節目の様なものが~」と書いて、次に「その節目は~」と書いている。これは読む側が「節目」という語を自然に受け入れられるように、言葉の「置き方」を工夫しているんですね。小論文も文章による「表現」であるからには、こういった細かい部分での言葉の扱いを大切にしてほしいと思います。

【美大の小論文って?】

百瀬:そもそも映像科で対策をする以前に、高校などで小論文を書いたことはありましたか?

大作:一度も書いたことなかったです。大学入試の小論文について漠然としたイメージは持ってましたが、映像科で小論文を書き始めて、それとは全然違う印象を受けました。小論文ってある程度は形式や解答に決まりがあると思っていたんですが、特に映像科の小論文は、発想したことを自由に書けるという意味で、別の種目だと感じました。
でもそのことがわかったからこそ、小論文を書くことに対しての迷いはなくなりました。

森田:・・・というと?

大作:うーん・・・。実は最初は小論文を選択すること自体に戸惑いがありました。美大に行くなら絵を描けるようになって入学したい気持ちがあったので。デッサンやらなくて本当にいいのか?と。でも映像科の小論文対策が単なる受験勉強じゃなくて、物の見方を鍛えることになるんだと気づいてからは、積極的に取り組めるようになったんです。制作中や講評会でアドバイスを貰う中で「どんな物にも面白いと思えるポイントがあるんだ」という発見がつねにありました。

森田:そのように発想を転換できるとレベルアップできるし、何より書いてて楽しいですよね。小論文を通して獲得した「物の見方」は、これからの制作にも必ず役立つと思います!

【感覚テストについて】

百瀬:感覚テストについてはどうですか? 大作くんは小論文で培った文章力を活かして、魅力的な場面を創作していた印象があります。

大作:感覚テストについては全然心配してなくて、試験でも落ち着いて制作できました。構想自体は新美でも何度か制作した、水族館を舞台とした息子と父親の関係を描いた作品です。僕の場合、ある時期から「魚を画面の中に登場させること」と「近しい人との微妙な心理をテーマとすること」が面白くなってきて、試験本番で「その先は」というキーワードを見たときに、この内容で行こうと思いました。


[入試再現作品/感覚テスト/武蔵野美大映像学科]

森田:確かに感覚テストは何度か制作すると、出題されるキーワードに関わらず、自分にしっくりくるモチーフやテーマが見えてきます。予備校での制作はそのきっかけの一つですね。
文章表現で注目したのは、作品中の巨大な魚の扱いです。この魚が何なのかは文中で明示されていません。ちなみにこれは・・・

大作:ジンベイザメです。「ジンベイザメが、」というふうにはっきり画面内に書かなかったのは、その方がこの作品の雰囲気ー少し神秘的な感じーを演出できると思ったからです。
客観的に考えてみると、魚自体がちょっと不思議な存在で、何を考えているかわからない。そのジンベイザメの存在を経由することで、父親の職場である水族館に来て、少し戸惑っている主人公の内面的なものを表現したかった作品です。

百瀬:なるほど。私がビジュアル部分でも優れていると思ったのは構図ですね。文章を書くために中央にスペースを空けていますが、画面の四隅にバリエーションがあるので単調に見えないんです。こういう絵づくりは、文章をしっかり読ませる上でも効果的にはたらいています。

【映像系志望のきっかけ】

百瀬:少し時間を遡って、対策をはじめたきっかけについて聞いてみます。大作くんは高2で新美の基礎科に入学しました。その時点で映像を志望することは決まっていましたか?

大作:はい。小さい頃から絵を描くことが好きで美術大学にも興味がありました。ある時自分の興味を挙げてみると「映画、CG、音響、ゲーム・・・全部映像だ!」と気づいて、美大の映像系に絞って新美の基礎科に入学しました。
部活が忙しかったこともあって週一日の土曜コースから始めたんですけど、デッサンを勉強することは新鮮で、本当に楽しかったです。

森田:映像に興味を持ち始めて、特に影響を受けた作品はありますか?

大作:映画だとクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』。アニメーション作品では今敏監督の『パプリカ』。SF的な設定を描いたフィクションが好きです。現実そのままじゃない、空想を見せる手段としての映像に興味があるんだと思います。特に人間が手を加えられない「時間」や「生命」をテーマにした作品に惹かれます。


森田:面白いですね。というのは、そうした「時間」や「生命」といったテーマは大作くんの小論文や感覚テストからも感じられたからです。
ところで冬期の短期の講習では、高2でありながら受験科の授業にも参加してくれました。他の受講生は入試が迫った受験生ばかりで・・・大変でしたか?

大作:本当に大変でした。それこそ小論文でモチーフを渡されても最初は全然意味が分からなくて脳味噌が熱くなる感じ(笑)。疲れすぎて家に帰った直後に玄関で寝てました。
でも周りの人たちの作品や制作に対する真剣な姿勢を見て「ああ、受験生ってこういう感じなんだ」ということを感じられたのは、高2の段階の経験として重要でした。

【映像科の授業について】

森田:高3になって4月からは木金日コースで対策をしてきました。どんな授業が印象に残っていますか?

大作:受験科だから毎回感覚テストや小論文をやると思ってたんですけど、実際は一学期に映像制作の実習や作品鑑賞の授業があって、ちょっとびっくりしました。予備校って感じじゃなさすぎて。

森田:そうかもしれません(笑)。でも「映像ってどういう表現手段なんだろう?」っていうところからスタートすることで、最終的に感覚テストや小論文の発想を深めてほしい、という意図があります。もちろん純粋に映像を作ることを好きになってもらいたいという気持ちもありますが。

大作:実際、映像制作実習はめちゃめちゃ楽しかったです。僕の場合は美術系の高校でもなく、それまで基礎科以外で作品制作を経験していなかったので、実習を通じて「制作する側の目線」を意識できるようになったと思います。普段から映像に対して「なんでここはこういう工夫をしているんだろう?」という意識で見られるようになったことは、大きかったと思います。


[映像制作実習での作品展示の様子]

森田:新美周辺のフィールドワークを元にした映像制作実習では、集合住宅をモチーフにしてプロジェクションマッピングのような投影を試みていましたね。とても印象的な作品でした。

【個人の経験から作品をつくる】

百瀬:では最後に、ちょっと抽象的な質問ですが、大作くんが映像科の受験対策をしていたときに大事にしていた考えって、何でしょうか?

大作:・・・(ちょっと考えて)・・・「個人の経験が作品を強くする」ということでしょうか。最初の面談で森田先生に「受験のために部活を早く引退した方がいいですか?」と質問したら「部活も経験として大切だからやり切った方がいいよ」って言われて。その時は「そういうものかな」としか思わなかったんですが、その後、感覚テストや小論文を制作していく中で、確かに自分自身のこれまでの経験が活かされていると感じることがありました。

森田:そんなこと言ったかな?・・・言いましたね(笑)。でも本当にそうです。美術や映像でなくとも何かに集中的に取り組んだ経験は、作品を、特に言葉の表現を強くすると思います。
とはいえ、部活と両立しながらしっかり対策を続けて、最終的に学科も含めて高得点で合格したのは、何より大作くんの力だと思います!

百瀬:そうですね。今回は聞けませんでしたが、学科対策についても本当に一生懸命取り組んでいました。大作くん、今日は本当にありがとうございました。
大作:ありがとうございました!


《2020.6 オンラインでのインタビュー/大作くん、ありがとうございました!》

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