こんにちは。彫刻科の小川原です。
11月末にムサビの自己推薦入試の合格発表がありました。今年の受験者は11名で、合格者は5名でした。新美からは3名受験して、3名全員が合格!!素晴らしい結果でしたね!
それまで全てが未経験であっても時間をかけて作品制作を行い、面接、作文、ファイル制作の対策がすることで、しっかりと合格を手にする事が出来ると言う事が実証されたと思います。そういったサポートがしっかり出来る体制が推薦入試を勝ち抜く為には最も重要なのだと実感しています。
合格おめでとう!
さて、2学期後半は短時間特訓や構成課題が多かったのでブログに載せられる作品が少ないですが、いくつか紹介していきたいと思います。
K.S君の作品。6時間。

最近は芸大の入試傾向として模刻が続いています。それも割と小振りなモチーフが連続して出題されています。今回の課題は入試に合わせて6時間で制作してもらいました。短時間での模刻となると、観察と同時に構造や印象の分析が必要だったり、増してやアバタのように皆がつくり慣れている像だと、事前の知識が制作のスピードを早める事にもつながるので、それまでの経験がしっかり役立てられるかという事も重要になります。この作品はアバタを説明する上で必要なポイントがしっかりおさえられている事が評価できます。
T.U君の作品。6時間。

明解かつ自然に全体が捉えられています。像全体が持つ印象(動きや量や形)を高い精度でまとめあげられている事がこの作品が評価に値する最大のポイントと言えるでしょう。この作品も6時間制作ですが、本番もブレること無く合わせていけると良いです。
R.Y君の作品。6時間。

やや伸び、たわみの表現に対して消極的な面も伺えますが、画面をコントロールする力は素晴らしいです。顔を似せてきている事にも好感が持てます。安定感は1度限りの受験を勝ち抜く為に重要な事なので、入試までしっかりバランスを保ちながら照準を合わせていって下さい。
T.U君の作品。7時間。

モデル首像です。一見荒々しいようですが、土付けのすべてが形のリアリティに反応出来始めています。方法論としてではなく、実感を持ちながらこの表現を追求していって下さい。もともとデッサン力があるのでかなり効果的に結果に結びつくはずです。
K.S君の作品。6時間。
以前から土付けに魅力があり、それが強みでした。しかしどこかで構造のずれがあり、それが作品として大きくマイナスになってしまうのがもったいない点でしたが、この作品は全体がかみ合って響き合わせられていると思います。その事で自然に生命感がしっかり出ている事がこれまでの作品と違うところです。作業が狭い視点になる事のないよう気をつけて、作品全体での魅力をしっかり考えていければ全く問題ないです。
T.F君の作品。6時間。
土付けに独特の柔らかさがあり、魅力を感じます。鼻の下面の不自然さや、耳や髪の説得力不足が補えたら素晴らしい作品に化ける予感をさせてくれる。そんな作品です。この時期6時間でこのくらい出来るのであれば十分間に合うと思うので引き続き頑張って下さい。
T.U君の作品。6時間。

土の一手一手の重みが増してきたように感じます。ただ表面をならしていくのではなく、全てに厚みと緊張感を感じてやり取りしていく事で初めて作品に深みが与えられるでしょう。そうして初めて生身の人間の魅力が表現できる訳です。かなり良くなってきました。これからが楽しみです。
小川原。奴隷プロセス3.5時間。

アタリから全体のバランス(動き、量、印象)を、最も魅力的な構図となるように心掛けながら捉えます。

内側の構造を確認しつつ、アウトラインの精度も一緒に高めていきます。

光源を整理しながら調子を乗せていきます。顔も具体的にはまだしませんが、細部もサイズ感や位置関係を含め似ている事をこの段階で確認します。

ガーゼで奥行きのある面や下の面をおさえて空間表現の為の下地をつくります。手前部分は全くガーゼを使っていないのが分かると思いますが、こうして下地から表現に差を付けるのも最終的に要素の多い作品に仕上げていく上で重要な事です。

少しずつそれぞれの形を具体的にしながら完成のビジョンを高めていきます。この辺りの段階はそのまま最終的な完成に影響してくるのであまり狂いは残しておきたくはないです。

完成に向けて全体のまとまり感や、より具体的な印象を深めていきます。画面を触りすぎて弱まってしまうようならこのあともう一度下地として強めていく作業を入れたりもします。

最終的には作品としての言い切りをしっかりやりきりましょう。言いたい事が曖昧な作品はスルーされてしまいます。その上で、表現が独りよがりでなく、第三者が共感できるものであれば必ず評価されます。デッサンもあくまで美術表現である事を忘れないで下さい。形を合わせるだとか、調子をコントロールするだとか、完成度を上げる。と言ったものは当たり前の事です。それを責任を持ってやり切った上で何が言いたいのか。それをはっきりさせましょう!
さて、冬期講習がはじまり、受験も目前となってきました。緊張感も高まってきた事と思います。しかし焦ってはダメです。焦っても何も良くなりません。残りの時間でやれる事は限られている訳だし、その時間を最も有効に消化していく為に何が必要か考えてみて下さい。
残りの時間の使い方次第で結果はかなり変わってくると思います。受験間近とは言え、恐いのは「受験」しか目に入らなくなってしまい、自分の作品が冷静に見えなくなってしまう事です。
悔いの残らないよう、やるべき事をやりきりましょう!

??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????? 最近知り合いになった松田絵梨子さんと言う作家さんの作品です。






























































(コンクール結果上位のメンバーへの受賞式が行われました)
頭部の傾いてくるボリューム感、腕の動き、アゴ周りなど惜しいですがそれ以上に作者の視点や光の落ちてくる雰囲気が感じられる1枚です。とても大切な要素ですね!
形への執着を持って、空間や動きにアプローチが出来るのは実力のある証拠です。さらにはジョルジョの難しい表情も臨場感を持って表現できています!レベルの高い言い切りのある1枚です。素晴らしい!!
光の印象が綺麗で空間をも取り込めています。鼻や目や耳の印象が動きにハマっていないので、惜しいですね。精度を上げていきたいところです。
最近のデッサンには安定感があり、彫刻としてモチーフを捉えていく強いデッサンが印象的です。量感を感じてここまで持って来る力はあるので、影側の形や顔も丁寧に描けると最高です!
円盤は普段中々作らない像なので難易度の高いモチーフですが、印象を大事にできています。欲を言えば、さらにおでこから頭部にかけての形態感のベースがしっかり見えて来ると良いですね。
形態のベース感じさせながら、しっかり印象を合わせられています。ベースと作り込みのバランスを作者が強く意識できている証拠です!粘土付けも柔らか過ぎず固過ぎず、塑像の魅力が感じられます。
? 奴隷の重たさを感じさせる黒が、チラつくことなく使えています。自分の持つイメージを比較的綺麗に表現出来たのではないでしょうか。細部にも手が入りつつボリュームをしっかり感じさせてもらえる1枚です。
独特な描き込みのリズムで、立脚側に体重がかかってくる円盤の迫力を感じます!逆光側の暗さの中にも形を探って行く姿勢が丁寧で自然さがあります。良さが先に見えてくる、それも自信につながる要素です!
円盤の腕を引いている動き、伸びと縮み、構造がしっかり見えてくるデッサンです!背骨が感じられるデッサンは、そうお目見え出来ません!形一つ一つをとっても考えながら描かれています。作者の力を感じます。
床に座り、視点を少し下げて描いたデッサンです。モチーフと近いのでバランスを取るのに苦戦していましたが良く描き上げてきました!やや台座のパースが劇的ですが、こう見えている!という形の説得力があり、円盤らしい腕を引いているスケールを感じます。
説得力があり、完成イメージをしっかりと持って取り組めた1枚です。そこに本人が居るかの様な空気が表現出来ています。体の描き方がかっこ良いですね!顎下の明るさや鼻立体感がやや気にはなりますが、何より意志の強さを感じる素描は見習いたいです!
明確なデッサンです!ジョセフの髪の毛に風があたっている様な空気感も感じます。かつ、色味で消えてしまいがちな首の形も追求してあり、実力を感じます!
ややハッチングが気にはなりますが、逆光側の臨場感や奥行きを感じる1枚です。余白の部分に手が入って行きそうです!前髪や手前に見える髪の毛はもう少し描きたかったですね。惜しい!
? 本人の雰囲気をとても良く表現できていると思います!!願わくば肌の色味が欲しい!なんて欲張ってはしまいますが、丁寧に描かれたこの素描を見ていると、今しか描けない大事な作品の様にも感じます。眼差しを感じる秀作だと思います!
首から髭周りの空間が固く、奥の布の色味が単調にも感じますが、普段なかなか出番の少ないミケランジェロ、そのモチーフをここまでの理解力で描けると言うことは自信につながりますね!
これも同じく手前のハッチングが気になりますが、光の状況を綺麗に作れています。奥行きのあるデッサンですね!視点が分かり易く、この石膏像を見たことが無い人にも、こう言う石膏像なんだよと伝えられる気がする、そんなデッサンです。