カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

2学期も終盤 2014年も終盤

彫刻科の氷室です
紅葉が綺麗な季節ですね! 
みなさんは3連休、何か作品や展示を見に行きましたか?
他予備校の公開コンクールへ参加した学生もいた様ですね。お疲れ様でした!

私は、善福寺公園で行われているトロールの森という野外展に行ってきました。
散歩しながら紅葉を見るには最高のお天気でした!
気持ち良く太陽の光を浴びたり、野外での展示について考えたりのんびりした時間を久しぶりに過ごしました。

IMG_2422-1??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????? 最近知り合いになった松田絵梨子さんと言う作家さんの作品です。
鏡の中に自分の一部を入れて撮影をすると言う作品で、再度周りに写り込む自然について考察するという鏡をテーマにした作品です。

ここからは最近の課題の優秀作を品紹介していきます!

手とマスクを使った構成  写真は作品の1部分ですが、面白い作品がでました。
K.S君の作品(1部分)
IMG_9515-12

T.U君の作品(1部分)
IMG_9530-12
マスクに手が何かしらのアクションを加えている構成2点

Y.M君の作品
IMG_9545-12

R.Y君の作品(1部分)
IMG_9578-12
手をマスクとの構成として使った作品2点

色々な捉え方で、作品の幅が広がりますね!

ジョルジョの模刻
T.U君の作品
IMG_9598_1
首の魅せ方や切り口、頭部の形がやや丸く見えてしまいますが、表情はこれから戦いに行くジョルジョらしい印象が良く作れています!

アポロと角材の組石膏
R.Y君のデッサン
IMG_9592-1
形にも妥協せず、光や石膏の白い印象も綺麗に拾えています!視点も感じますね!

ブルータスの模刻
R.Y君の作品
IMG_9708-1
やや心棒からの位置が怪しいですが、誰よりも一番モチーフから離れての観察が出来ていました!その結果、全体の印象がよく捉えられています。

K.S君の作品
IMG_9704-1
塑像は斜めから見た時の形が重要です!そこがきちんと意識出来ていますね。影の色味も綺麗です!

T.U君の作品
IMG_9715-12
彫りが浅くも深くもない、ブルータスの難しい表情に良く迫れています!客観的に観察できています。

こちらはK.S君の作品2点
ヘルメスの模刻とメヂチの模刻
IMG_9719-12
写真で見るとやや首の付け根辺りが柔らかく見えてしまいますが、髪の毛の面を意識した作りこみや、肩から首の出方など丁寧にじっくり観察ができています!

IMG_9720-12
髪の毛の作り込みにおいて、大きな頭部の形の角をもっと意識出来るとなお良かったですが、印象を合わせてきました!この調子で行きましょう!

ヘルメスのデッサン
K.S君のデッサン
IMG_9759-1
とても良く観察できています!光と形の両方を貪欲に追いつつ、顔の印象にも迫る完成度の高い魅力がある1枚です!
細部に迫れるだけ迫り、かつ全体感を損なわずに描けると強いですね!

奴隷のデッサン
K.S君のデッサン
IMG_9801-1
形と光を追って行く独特の質感が奴隷の魂が肉体に閉じ込められている様を上手く拾い上げています!
今しか描けないデッサンだと思います。とても綺麗なデッサンですね!

R.Y君のデッサン
IMG_9804-1
顔周りの黒さが少し重たく感じてしまいますが、しっかりと視点を逃さずに奴隷の印象や形を丁寧に描けています!

Y.M君のデッサン
IMG_9812-1
腰回りとねじれに対する光の変化がやや単調ですが、回り込みにある光が丁寧に拾えているので、紙に対してのなじみが良いです!石膏の白さも感じますね。

T.U君のデッサン
IMG_9814-1
良く観察されているデッサンです。どこを取っても形がしっかり描けています!やや横に太ってしまったので、ねじれが弱く感じますが言い切りの強いデッサンです。
回り込みにもう少し遊びがあっても良いかもしれません。

こちらは自刻のトルソ作品2点です
IMG_9728-123
IMG_9730-1

IMG_9743-1
IMG_9746-1

両作品ともに課題以外の時間も使い丁寧に製作に向き合った作品です!大学に入ってからの制作に近い課題になったのではないかと思います。
実際に作っているのは自分の体ですので、後ろや横を観察するのが非常に難しかったと思います。筋肉の付き方や骨格を自分でさらに勉強しながら、不自然さと戦った作品は、とても魅力がありますね!
後ろで見ていて、うんうんと頷きたくなる集中ぶりでした。やはりこつこつ時間をかけて制作に挑むのも楽しいですよね!
早く大学へ行きたいという思いが強くなったのではないでしょうか?
本当に今しかできないこの様な作品が、この新美のアトリエから生まれたことに感動しました!!

今、目の前に置かれているモチーフを描く、作る
短時間でのたくさんの課題をこなしていく事も、大学に入ってからの基礎力に、さらには未来で役立つ力になってる事は間違いありません!

受験と言う時間の制限に負けずに行きましょう!!

今日出来る事を先延ばしにせず、精一杯向かえることが凄い事だと思います!!
風邪を引かず、まして骨折なんてせず、歩いてアトリエへ来て絵を1枚描いて帰れる事、何気ない日常は本当に凄いことです!^^

いよいよ冬の到来
風邪にはき気をつけて、栄養をしっかり取って下さいね!

さーーーこれからだ!!!!!

次回の更新は12月16日 内田先生の担当です!

2学期中盤の優秀作品。

お久しぶりです!彫刻科の小川原です。さて、今年も残すところもう2ヶ月無いんですね。時が経つのは早いな?と実感させられます。
1学期は基礎力の拡充!
夏期講習は一気に経験値を稼ぐ!
で、2学期は何かと言うと「作品追求!」これに尽きます。これまで学んできた事で、かなり多くの事が出来るようになってきているはず。その分落ち着いて作品と向き合い、さらに良くしていく事についてじっくり考えられるようになっているのではないでしょうか?冬期講習からはもう実戦に向けての最終仕上げに入っていきます。なので腰を据えて作品を研究できるのは今のうちです。抜かり無く自分の作品の方向性を見極めていって下さい。
それではこれまでの優秀作品を紹介します。

自刻像
IMG_9286
2日制作課題でしたが、ほぼ1日でこの状態にまで持ってこれていました。完成度が高く、良いと思います。この先の作品のビジョンがしっかり持てるようになると、同じ時間でもさらにレベルの高い作品が目指せるようになるはずです。髪の表現はもう一つ研究を深めたいところです。

IMG_9339
頭部の表現がとても良いです。ちまちま細部に走っている訳ではないのに、しっかり端々の表情が作れているし、全体を一つとしてみたときのまとまりも良いです。逆に首、肩、胸が曖昧になってしまっていて、作品の説得力を壊してしまっているのがもったいないです。

素描、両手。木炭紙にコンテ。
T.U君の作品。
IMG_9407
夜間残って自主的に仕上げた作品です。コンテは最近使い始めたばかりですがすでにモノにしたようですね。さすがです。指一本一本のクオリティがさらに高まると尚良いです。

片腕
H.Iさんの作品。
IMG_9387
非常に丁寧に形が探れていて、強いリアリティを感じる事が出来ます。切断面をあえてすっきりさせたのも、他の部分との兼ね合いとしては正解だったと思います。

Y.T君の作品。
IMG_9393
力強い筋肉の表情がリアルに表現できています。筋肉を作る時、筋肉の方向ばかり探ってしまうと変に表面的で筋っぽくなり、つたない表現に見えてしまいがちですが、輪切りの断面方向に形を探る。という事がしっかり理解できてとても良い作品に仕上がりました。

T.F君の作品。
IMG_9391
こちらも力強い男子の腕っぷしが良いです。張りのある表現に魅力的があります。手のポーズはもう少し変化のある魅力的なものが探せるといいです。

F.Tさんの作品。
IMG_9381
全体での動きに連動感があり、自然な表現が出来ていると思います。特にマイナス印象なところは無いので、もっと早い時間帯からどんどん攻め込んで、仕上げてしまった状態からさらに追求の1手が入れられるようになると良いです。

ラオコーン
A.Sさんの作品。
IMG_9404
体の表現が魅力的です。光から陰への無理矢理感の無い自然な変化が深い探りとともに表現できているのが素晴らしいです。頭部はやや描写に走った部分があり、立体感が弱まってしまっているので、ごちゃごちゃしているところも出来るだけ整理し、それを大事にしながら描き進められるよう努力してみて下さい。

ガッタメラータ
H.Iさん。(現役生)
IMG_9414
素晴らしい内容です。粘り強い作業の積み重ねが強い説得力となって作品に魅力を与えています。
後頭部はやや色がつぶれてしまっていますが、マイナスにはならないところまで持ってこれているので、次回からまたこの問題が克服できるように頑張ってみて下さい。

Y.T君の作品。(現役生)
IMG_9418
形の精度が高く非常に似ているのが魅力です。回り込みの処理が甘く、奥まっていく空間性が弱いものの、手前に引き出す強さがあるのでぎりぎり持っていると言えます。あとは単純に技術を高めてくれれば良いです。

石膏像床置き。ブルータス
K.S君の作品。
IMG_9467
全体を包み込むように大きく捉え続けていたのが印象的でした。全体が見渡せているので外しが無く、安定して完成まで持ってこれました。非常に頼もしいです。

ジョルジョ
R.Y君の作品。
IMG_9463
これまで課題であった、画面にピントを合わせる。という事が少しずつ出来るようになってきました。顔と首のつながりに関してはもう少し自然に出来たら良かったです。とは言えやはり安定感のある作品だと思います。

ガッタメラータ
Y.M君の作品。
IMG_9477
序盤からしっかり完成をイメージして作業が積み重ねられたように感じます。モチーフを「石膏像」として、そして表現を「石膏デッサン」として型にはめるのではなく、あくまで静物もチーフとして丁寧に観察し、描写する姿勢に好感が持てます。

ジョセフ
T.U君の作品。
IMG_9472
とにかく上手いです。デッサンもしっかりやりきるとこんなに描けるもんなんだなと改めて実感させてもらったように思います。これからも自信を持って突き進んで下さい。期待しています。

ラオコーン
H.Iさん(現役生)の作品
IMG_9495
ラオコーンの躍動感溢れる動きが良く出せています。炭使いはまだまだつたないところがありますが、粘り強い観察と描写に好感が持てます。炭の扱いに関しては、感覚的に動かしていくだけでなく、作業の重ね方によってどのような効果が出せるかいろいろ試してみて引き出しを増やしてみて下さい。

さて、どうでしたでしょうか?実は裏課題で、皆が自刻像と手を取り組んでいる時に一部の人には自刻像(トルソー)に挑戦してもらいました。その作品は来年度パンフレットに掲載予定なので楽しみにしていて下さい!

2学期も後半戦に入りますが、この時期公開コンクールがあったり、入試も近づいてくるので周囲のレベルと自分の作品を比べてしまい、それが気になって作品に乱れが出てしまう人も多いです。そんな人に一つアドバイス。「そんなの気にする必要ないですよ?。」

もちろん入試を乗り切るに当たってどの程度のレベルで合格できるのか、という水準を意識するのは当然の事なのですが、大抵の場合、周りを意識してしまっている人はその水準のトップグループより先のレベルの事は考えていないと思います。
僕が何を言いたいのかと言うと、「受験で合格できる目安」にばかり目が行ってしまい、本来目指すべき、本当に魅力的な、あるべき作品の姿が見えなくなってしまってはいけないという事です。
もし、あなたが芸大に合格したい、と思うなら、「受かるレベル」を追いかけるだけではダメです。「こう描けば評価されるんでしょ?」を元に表現されたものは本人の美的実感を伴わない表面だけで、中身の無い作品にしかならないのです。まずは自分の作品としっかり向き合い、足りないものがあるなら一つ一つ焦らず埋めていきましょう。その上で、上限を定める事無く常に表現の可能性を見極めていって欲しいです。何事にも通じる事ですが、その道のトップを切り開いていく人は周囲のレベルなど気にしていないはずです。常に先を見据えて突き抜けていくからトップになれるのだと思います。そのくらいの気持ちがあって、やっと勝ち取れる合格なのです。
頑張りましょう!応援しています!

次回、彫刻科は11月25日(火)に氷室先生による更新です。お楽しみに!

いよいよ・・・

冬が待ち遠しい彫刻科講師内田です。

朝晩寒くなり、いよいよ受験シーズンという感じがしますね。あちらこちらで、コンクールも開催され、浪人生はいつもと違うメンバーと、現役生は先輩に混ざり、皆それぞれ刺激があったのではないでしょうか?

受験が近づき不安を感じる人、勢いに乗る人、様々いるでしょう。
合格する保証は誰一人にもありません。だから不安になるのですよね。でも、あなたが受かる可能性だってあるのです。私は自画像が苦手でしたが、試験に出るかもしれないので家で自主練しました。(但し嫌にならない程度に。←ココ自分の中ではポイント!)結局上手くならなかったのですが、やるだけやったので当日出たら描くしかないし、努力したことは自信になりました。ただ毎日やれることを真摯にやっていれば、下手なはずの自分も受かったりするのです。
でも人それぞれなので、腹をくくって苦手分野はやらずに、できる方面をとにかくレベルを上げるっていうのもありかもしれません。運良く試験に出ないかもしれないし、出ても久しぶりすぎて新鮮な気持ちで描けるかもしれないし。はたまた、例えば素描、自画像が苦手でも静物が得意でレベルアップしてきたならその力で突然自画像も描けるかもしれない。少し極端な話をしてしまいましたが、受験は結局自分次第。そのためにはやはり、自分にベストだと思う方法で、やるだけやってみるしかないのです。本番当日、誰にも頼れない中、自分なりにやってきたという自信が味方してくれるはずです。

さてそれでは早速、新美生の自信作を見て行きましょう。

まずは人体です。

I.Hさんの作品IMG_9078n

全体的に自然な仕上がりです。さらに上を目指すなら、曲げているポーズのせいか、遊脚のひざ下が立脚より長く見える気もします。気にならないレベルですが、左右や手前奥の位置関係を意識して、より自然になるよう微調整しても良いかもしれません。線のストロークももう少し柔らかくなると肌の柔らかさが出そうです。

同じくI.Hさんの作品IMG_9092n

こちらは一枚目より線が目立たず柔らかい空気感が伝わります。曲げた奥の膝が少し内向きに入っている感じがとてもよいですね。

 

H.Aさんの作品IMG_9084n

胴体部分は人体の柔らかさがでていますが 足首、くるぶしがもう少し自然だとなお良かったのではないでしょうか。ちょーっと、このくるぶしはいかついね。全体的には人体のボリュームが出てて良いです!ポーズも自然。

同じくH.Aさんの作品IMG_9096n

こちらは肩甲骨の表現が少し強引かもしれません。全体的に強いストロークの線画目立ちますが、伸び縮みを捉えようとしているので印象は悪くない線です。

M.Yさんの作品
IMG_9071n

鼻の下に落ちる影など強すぎて目鼻がはっきりしているせいか、顔の表情が少し硬く見えますが実感ある炭が乗っています。横位置でも体手前奥の伸び縮みが上手く表現できています。特に奥側が絶妙。手前の脚は、少し肌や筋肉の張りの表現が固いかも。

同じくM.Yさんの作品
IMG_9100n

腕やお尻の光の抜き方が単調になっているかもしれません。肘と腰の間の空間を活かしながら丁寧に光を白でぬけるとより良くなりそうですね。バランスは良いでしょう。炭もたっぷりのって味わい深い素描になっています。

S.Kさんの作品IMG_9104n

肘周りが小さく見えますが、輪郭線がやわらかく、人体を取り巻く空気感を意識して描けています。空気感を感じる素描、大好物です!が、これ以上白くなると人体の存在感も薄くなってきてしまいそうなので注意しましょう。

T.Hさんの作品

IMG_9087n

腕の表現や体の質感がよく描けています。ただ、体に対して少し首が細く見えてしまうことと、首と顎下の描写をもう一歩突っ込んで描きたいです。

次の二人は普段の木炭紙の倍版で描きました。
U.Tさんの作品
IMG_9114n

横から見たら、どのくらい足を前に出しているか、身体のそり具合などが想像できるほど、緻密に描いています。左腕と身体の間の空間もこだわりが感じられます。きれいです。

Y.Rさんの作品
IMG_9109n

全体感は良いですが、じっくり見て行くと奥の遊脚が、手前の立脚の膝下と比べ長くなっています。かかとの位置が、画面のもう少し上に位置するとよかったかも。かかとが尖って見えるせいもあるかもしれません。人体素描はポーズが多少ぐらつくので、画面の中で見たとき、より人体のバランスが自然になるように微調整して合わせてしまって良いでしょう。

次は塑造です。
U.Tさんの作品

IMG_9137n1

途中パーツの張りから頭部の張りまでバチバチに目立っていましたが、最終的には部分的にならず、全体的にまとめ、強い模刻像となりました。

S.Aさんの作品

IMG_9201n

指先で押さえる仕事が多く、指先単位の凹凸が目立っていましたが、最終的には頬の張りが出て、グデアのカチッとした雰囲気が表現出来ました。顔も似ています!

S.Kさんの作品

IMG_9141n

バランスはよいですが、首周りが弱そうです。肩へのつながり具合、鎖骨周りなど切り口の先にある形や構造を、より一層意識してみましょう。頭は重いので、芯棒に頭部を支えられてるのではなく、(粘土の)首が頭部を支えているような安定感が首に出せると良いですね。

デッサンに戻ります。
同じくS.Kさんの作品

IMG_9214n

パジャントの首がすっと立ち上がる緊張感が出せました。髪と首周りの空間も綺麗に出ています。(パジャントって微妙に顔で正中線がずれているんですよね?。知ってか知らずかいい具合に描いてますね。)

M.Yさんの作品

IMG_9208n

パジャントの横位置は頭部が大きく、前から見た時より迫力あったりします。カチッと全体を捉え、安定感のあるデッサンです。首向こうに落ちる影、個人的にグッと来ます。

続いてウサギさんにいきます。まず素描から。
U.Tさんの作品

IMG_9273n

精度の高い素描です。特に顔から背中にかけては、触った時の肉質感や体に沿う柔らかい毛並みのふわっとした空気も感じられます。毛色の違いまで緻密に表現しているところは好感が持てます。この描写力はかなり自信を持って良いですね。

H.Tさんの作品

IMG_9271n

書き出しのクロッキー的な捉え方が非常に、いや、異常に?良かったと思います。そのため、最終的にうさぎのボリューム感が上手く捉えられています。描き込みがH系の硬い鉛筆が多かったので、なかなか描写が詰まっていきませんでしたが、粘り強く描けました。(・・・やれば出来るのは皆知っています。毎回粘れ!)

T.Hさんの作品

IMG_9276n

出だしなかなかプロポーションが取れませんでしたが、最終的に自然に描けました。素描の雰囲気も戦って描いたような熱い、温もりある素描になりました。実際より気持ち胸がむくむくしてるかな?

Y.Yさんの作品

IMG_9278n

影が縞模様のように主張していましたが、最後に大きな面で光を整え、ベタッとしていた床も横からの光を入れて前足とお腹の空間も出せてこれました。背骨の膨らみは少し強いですが、毛の流れをよく観察していて、頭部の骨格に沿った毛並みも丁寧に描写できています。

続いて塑造です。

T.Hさんの作品

IMG_9255n

前足と地面の空間が生かされ、佇まいが自然です。柔らかいポーズで体重移動とプロポーションがマッチしていて、動いている一瞬を捉えられた感じのする作品で好感触です。

I.Hさんの作品

IMG_9261n

こちらも同じく、どこに力が入ってそういう動きになっているのかがピタッと来る作品です。今挙げた2人共通して全体感は良いのですが、周りと差をつけるためにはもう少し指先、地面との接地面まで手を入れていきたいですね。(写真で見るとまあまあですが。実際見ると少し大雑把だったので・・・)

 

さてさて次は夜間部です!

まずはデッサンから。

S.Rさんの作品
IMG_9155n

脇が実際より少しぎゅっと詰まっている感じがありますが、炭のバランス、光と影の響き合いがきれいです。へそ下が真っ平らになっていましたが、少しの凹凸も見逃さず、身体のどこに力が入っているかなども考えながら何度も探っていきましょう。

T.Yさんの作品

IMG_9157nn

胸の張り具合、両腕の位置関係など、背骨のS字も良く出せています。構造や全体感がしっかり捉えられるようになってきたので、石膏デッサンは、アウトラインだけでなく光影の量もミリ単位で合わせていくと、もっと説得力あるものになります。しつこくモチーフに食いついていきましょう。(いやー、でもかなりレベルを上げてきましたね。)

お次は自画像。

S.Aさんの作品

IMG_9229n

目がグッと来ます。眼差しが美しい。正面構図でも直立な固さがなく、頬の側面、耳への奥行き・髪のエアリー感。上手い!首の付き方が少し・・・・・・・でも良い!

T.Yさんの作品

IMG_9225n

若干、目の収まる位置が不安定ですが、顔の表情が緩くて(←いい意味で!)良いです。頭部と体がゆるっと傾いていて(←いい意味で!)ゆったりとした空気が感じられ、全体感の良い作品になっています。

I.Hさんの作品
IMG_9222n

顔のパーツが骨格におさまり、安定感ある自画像です。奥行きも出ています。願わくば鎖骨も丁寧に描きたいところですが、髪の表情、首の表情、顔の表情と、形を追った線で詰めてきたのでとても良いです!

最後にうさぎさんです。

T.Aさんの作品

IMG_9262n
力みや強引さがなく自然な素描です。手数は少なそうですが指先の表現はよく観察しています。目の前でこっちの様子をうかがう、あのうさぎの雰囲気が出ていますね。素描の中で必要なところにピリッと少し強い線が効いています。(いつの間にそんな小粋なコト出来るようになったんでしょう・・・いい。)

S.Aさんの作品
IMG_9266n

素描の精度が上がっていますね!潤いのある瞳や動きのあるポーズで身体の伸び縮みも自然です。少し前足が上がっていて、体を丸めている様子にグッと来ます。毛並みもふんわり最高!(あ、耳の折れた感じが、これ以上やると若干嘘っぽくなるかも?)

 

すでにうろ覚えの記憶ですが、私の現役浪人のときよりみんなの方が断然上手だと思います。それでも生意気にも粗探しをして注文つけてしまうのは、まだまだ伸びしろが感じられるからです。まだ受験まで日数もあるし、上手くいった人もこれで満足してたらもったいないですよね。上手くいかなかった人も本番に向けて予備校で失敗して改善していけばよいのです。一度失敗すると覚えるしね。

って感じで、講師らしいことを言いつつ途中ぼやきを入れつつ、次回(11/11)の小川原先生へたすきをつなげます。では。

季節は秋 

彫刻科の氷室です。 季節は秋 私は大好きな栗をせっせと煮ては食べ、食欲の秋を堪能しています。

みなさんセンター試験の申し込みは無事に終わりましたか? いよいよこれから!と言う時期ですね。

さて、一昨日と昨日の連休に、新美の彫刻科で公開コンクールが行われました!!IMG_10131 IMG_10132 (コンクール結果上位のメンバーへの受賞式が行われました)

台風が近づく中、外部から参加して下さった皆様、ありがとうございました。さすがだな!と感心させられる作品があったり、現役生が上位へ食い込むなど、内部生のみんなには特に刺激になったことと思います!結果をそれぞれ考えながら、気持ちを新たに1つ1つの課題を大切に、さらなる高見を目指して切磋琢磨していきたいですね!!!

ここからは作品紹介です!

デッサン・塑像においての課題は共に、どう観察するのか? その観察力を鍛える課題だとおもいます。たとえば新宿駅の人混みを歩く時、自然に人とぶつからない様に先を読みながら歩く、自然と身についていることですが、これも空間の観察力だと思います。また、先日作品展示のために1週間、栃木のとあるお家に滞在してきたのですが、そこでの共同生活においても、お風呂掃除や食器の片付けなど自分に出来る事を探す、こんな事も観察力だなと実感しました。デッサンや模刻ではみんなで共通のモチーフを描いたり作ったりするのですが、その人がどう物事を捉えているのか、その人の生き様が現れてきますよね。全ては妥協のない観察からです!!ちょっとでも、なんとかなるかな?なんて言う気持ちが出て来たら、その小さな積み重ねが、、、なんて言う結果になるのは皆も経験済ですかね。

R.Y君のデッサンIMG_876411 頭部の傾いてくるボリューム感、腕の動き、アゴ周りなど惜しいですがそれ以上に作者の視点や光の落ちてくる雰囲気が感じられる1枚です。とても大切な要素ですね!

T.U君のデッサンIMG_1002 形への執着を持って、空間や動きにアプローチが出来るのは実力のある証拠です。さらにはジョルジョの難しい表情も臨場感を持って表現できています!レベルの高い言い切りのある1枚です。素晴らしい!!

A.SさんのデッサンIMG_10021 光の印象が綺麗で空間をも取り込めています。鼻や目や耳の印象が動きにハマっていないので、惜しいですね。精度を上げていきたいところです。

同じくA.SさんのデッサンIMG_10022 最近のデッサンには安定感があり、彫刻としてモチーフを捉えていく強いデッサンが印象的です。量感を感じてここまで持って来る力はあるので、影側の形や顔も丁寧に描けると最高です!

こちらは模刻です T.U君の作品IMG_10042 IMG_1004 円盤は普段中々作らない像なので難易度の高いモチーフですが、印象を大事にできています。欲を言えば、さらにおでこから頭部にかけての形態感のベースがしっかり見えて来ると良いですね。

K.S君の作品IMG_10043 形態のベース感じさせながら、しっかり印象を合わせられています。ベースと作り込みのバランスを作者が強く意識できている証拠です!粘土付けも柔らか過ぎず固過ぎず、塑像の魅力が感じられます。

K.S君のデッサンIMG_10071? 奴隷の重たさを感じさせる黒が、チラつくことなく使えています。自分の持つイメージを比較的綺麗に表現出来たのではないでしょうか。細部にも手が入りつつボリュームをしっかり感じさせてもらえる1枚です。

A.HさんのデッサンIMG_10072 独特な描き込みのリズムで、立脚側に体重がかかってくる円盤の迫力を感じます!逆光側の暗さの中にも形を探って行く姿勢が丁寧で自然さがあります。良さが先に見えてくる、それも自信につながる要素です!

T.U君のデッサンIMG_10073 円盤の腕を引いている動き、伸びと縮み、構造がしっかり見えてくるデッサンです!背骨が感じられるデッサンは、そうお目見え出来ません!形一つ一つをとっても考えながら描かれています。作者の力を感じます。

R.Y君のデッサンIMG_10074 床に座り、視点を少し下げて描いたデッサンです。モチーフと近いのでバランスを取るのに苦戦していましたが良く描き上げてきました!やや台座のパースが劇的ですが、こう見えている!という形の説得力があり、円盤らしい腕を引いているスケールを感じます。

こちらは自画像素描ですIMG_1008 説得力があり、完成イメージをしっかりと持って取り組めた1枚です。そこに本人が居るかの様な空気が表現出来ています。体の描き方がかっこ良いですね!顎下の明るさや鼻立体感がやや気にはなりますが、何より意志の強さを感じる素描は見習いたいです!

Y.M君のデッサン?IMG_1010 明確なデッサンです!ジョセフの髪の毛に風があたっている様な空気感も感じます。かつ、色味で消えてしまいがちな首の形も追求してあり、実力を感じます!

T.U君のデッサンIMG_10101 ややハッチングが気にはなりますが、逆光側の臨場感や奥行きを感じる1枚です。余白の部分に手が入って行きそうです!前髪や手前に見える髪の毛はもう少し描きたかったですね。惜しい!

こちらも自画像素描ですIMG_101010? 本人の雰囲気をとても良く表現できていると思います!!願わくば肌の色味が欲しい!なんて欲張ってはしまいますが、丁寧に描かれたこの素描を見ていると、今しか描けない大事な作品の様にも感じます。眼差しを感じる秀作だと思います!

K.S君のデッサン IMG_1112 首から髭周りの空間が固く、奥の布の色味が単調にも感じますが、普段なかなか出番の少ないミケランジェロ、そのモチーフをここまでの理解力で描けると言うことは自信につながりますね!

T.U君のデッサンIMG_1011 これも同じく手前のハッチングが気になりますが、光の状況を綺麗に作れています。奥行きのあるデッサンですね!視点が分かり易く、この石膏像を見たことが無い人にも、こう言う石膏像なんだよと伝えられる気がする、そんなデッサンです。

さて今回の作品紹介はここまでです。

 

おまけでもう1枚

DSCN9096_1

私が先月参加した野外展、茂木里山アートフェスタにての作品です。

足を運んでもらった皆さん!本当にありがとうございました!!嬉しかったです!!!

次回のブログ更新は10月28日です! 内田先生にバトンタッチーーー!

 

 

日本画科便り12-日本画科レクチャー③?

日本画科です。

 

日本画科では周期的なイベント、レクチャー、デモンストレーションを行い、生徒のブラッシュアップを図っています。10月1日~2日は、日本画科の人物デッサンと石膏デッサンの対策を兼ねて、新美彫刻科の小川原講師(彫刻科主任)による人体デッサンレクチャーを開催しました。

 

「彫刻科/小川原講師(彫刻科主任) 人体デッサンレクチャー」

10月1日?2日 人物デッサン[女性ヌード]

1日目

AM小川原講師レクチャー(人体デッサン、人体クロッキー)

?クロッキー開始(座り、立ち、しゃがみ)

PMデッサン開始

2日目

AMデッサン

PMデッサン?講評

 

 

人物を描くにしても、石膏像を描くにしても、人体について把握をしていないと描くことが出来ません。特に今年度の日本画科は、人物課題や石膏デッサン課題の時、描き出しの際の捉え方が細部を意識し過ぎていたり、大元の骨格や組立が弱くなりがちだったので、人体課題を多く取り組む彫刻科主任の小川原先生にご協力を仰ぎ、今回のレクチャー開催に至りました。

日本画科では積極的にクロッキーの練習を奨励していますが、本レクチャーでは人体の基礎からクロッキーの捉え方、練習方法、そして石膏デッサンへの応用まで丁寧かつ徹底的にご指導いただきました。

11-1←モデルのポーズに入る前に、人体デッサンの基礎とポイントを解説いただきました。

11-2←描き出しから仕上げまでの過程を解説いただいています。

11-8

11-3←最初のポージングは小川原先生のクロッキーを直接見学し、ポイントの押さえ方、基準の設定方法などの捉え方を具体的に指導いただきました。

11-5←講評の採点風景です。

11-6←講評風景です。生徒の表情は真剣そのものです。各々、メモを取る手が止まりませんでした。奥の彫刻科参考作品や各資料がアトリエの活気を物語っているようです。

11-7←日本画科の漆原講師(手前)と小川原先生。熱い講評!!!!!

11-4

 

今回、生徒たちの作品は今までで一番しっかりした人物デッサンだったと思います。その生徒たちにとっても、また、日本画科講師にとってもとても勉強になりました。今回の学習を今後のクロッキー練習や石膏デッサン、そして人物デッサンに活かしていきたいと思います。

小川原先生、2日間、本当にありがとうございました!

 

日本画科では周期的なイベント、レクチャー、デモンストレーションを行い、生徒のブラッシュアップを図っています。口頭指導、個人指導の他、”直に見て学ぶ”というそんな学びのあり方も大切にしています。次回のレクチャーは基礎科日本画コース講師の佐々木講師による着彩レクチャーです。後日、こちらにアップ予定です。乞うご期待!

 

10月13日と14日に「全国公開実力コンクール」を開催します!課題は「着彩写生」。受験生、現役高校生の皆さん、是非奮ってご参加下さい。