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彫刻科 2020年いよいよ入直スタート

彫刻科講師の氷室です。
早いものでお正月が明けて、冬期講習が終わり入直に突入しました!
課題も1日1課題になってきますので、その都度気持ちを切り替えて目の前の課題に集中して行きたいですね。
苦手な点を研究していくのは当たり前ですが、良い点も自分の自信に繋げていってください!
試験前日まで、力は必ず伸びていきます!

以前、東京芸術大学の学長をされていた六角鬼丈さんが、建築科の卒業生の方が悩みの渦中にいた時に、励ましとして送られた言葉が印象的でしたので、ここに紹介させてもらいたいと思います。
「そんなことはぜんぜん気にするな。その程度のことは当たり前だから、何度やったっていいんだ」
私も制作する上で、この言葉に励まされます。
どんなに考えても、評価に山あり谷ありでも、ここからはもう前進あるのみです!頑張って行きましょう!

さて、年末からの秀作を一気に紹介します。

上手です!逆光で見えなくなってしまいがちな形を、良く捉えて形が追えています!スケール感がありますね。


光の当たり方が綺麗に描けています。腰や回り込みも粘り強い描写で奴隷らしい量感が感じられる1枚です。


お腹周りの描写がとても魅力的です。正面の難しい位置ですが、体の面がしっかり作ってあり顔の空間とともに奥行きが感じられます。


こちらは現役生のデッサンです。髭の描写はもう少し粘っても良かったかもしれませんが、体の描写はピカイチです!張りを損なわず描き込めるのは実力を感じます!


こちらのアムールも上手です!張りをパシッと感じさせつつもしっかり描写で形を追えています。奥側の形やアムールの持つ量感も積極的に描けており難しい位置ですが、良く考えられています。


頭がやや大きいですが、体の描写は抜群に上手いです!足やお腹、腕などまさにアムールを触っているかの様な描写、凄い1枚ですね。アムールの特徴である体の捻れも良く表現されています。


唇や目の表現をもう少しだけピリッとさせたい点はありますが、体はとても良く描けています!肩の量感や胸の張りを損なわずジョルジョらしい堂々とした印象を、しっかり描写しつつ表現できています!


顔の印象がとても良いです!足はまだ未消化な点もありますが、難しい課題の中でもしっかり視点を持って絵作りができており、実力を感じさせる1枚です!


こちらも現役生のデッサンです。しっかりベースの上に描写ができています。生きいきとした炭の質感や見上げた視点のダイナミックさも魅力的です!


頭部と髪の毛のハマり具合が難しい点ですが、しっかりポイントを合わせられており、模刻力を感じます。時間内で作品として言い切っていくところまでしっかり追えています。


鳩のふとした表情や動きをとても上手に再構築してあります。自然な佇まいを作ることが基本ですが、それは非常に難しいのです。作者の知識と観察が行き届いている証拠です。

今回はここまでです。
日々、みなさんが苦手なポイントをクリアし、順調にデッサンも塑像も彫刻1も伸びてきていると、特に今年は実感しています!
自信と誇りをもって行きましょう!

彫刻科 2学期末の作品紹介

こんにちは!彫刻科の小川原です。彫刻科では2学期末に弱点克服のための個別課題を集中的、連続的に行い、グッと実力を上げてきました。今までより短時間でよりグレードの高い作品が多く出てきていることが頼もしいです。

それでは1部の作品を紹介します。

2学期末、昼間部生の作品。

夏期講習生として新美に来てくれて、まだほとんど彫刻未経験でしたが、2学期でこれだけ成長できました!素晴らしい伸び率です。アバタやグデアくらいの大きさの像はコントロールできそうなので、さらに大きな像でも同じように全体をコントロールできると良いです。


今年初めてアムールを課題に出しました。初めての像でも考えるべきこと、やるべきことをしっかり考えて取り組めれば難しいことはないですね。慣れでやっている人は結構本番でうまくいかないので気をつけましょう!


カッコいい位置ですが似せるのが結構難しいんですよね。僕はこの位置のジョルジョが入試で当たりました。6時間のデッサンでこんなに印象の良いデッサンをかけている人はいなかったです。自信を持って行きましょう!このレベルで安定したら安心です!


形に緊張感が出ています。印象も捉えられていて良いですね!グデアは単純な構造の像ですが、そこに彫刻的意味合いが詰まっています。その彫刻がどういうものなのか分かろうとしながら制作することはとても大切です。


どっしりとした量感が描けていてブルータスらしい魅力が引き出せています。顔正面は顔が似ていないことには意味がないくらい顔が重要ですが、とても印象が良いです。第三者が見て何の疑問も抱かずに作品を受け入れられるって普通のことですが一番重要ですね。彫刻科の場合特にまずそこが入り口になっているところがあります。


何度かやり直しながら納得のいくまでやりきった作品です。時間をかけてでも答えを追求する姿勢が素晴らしいです。この出来を短時間の制作でも活かせるように何が大切なのかを考えてみてください。最終的にこうあるべきという理想が明確であれば短時間でもそれを目指せます。焦ると見失うので意識してみてください。

2学期末コンクール1位だったデッサンです。

光の印象が美しく描けていますね!バランスや動きもとても良いです。この調子で確かな安定感を獲得していってほしいです!


ポーズにもこだわりがあり、「手」を形にするときに自分なりのビジョンを強く持てているところが良いです。しかし重要なのはそれが鼻につかないくらい自然に作れていることです。

冬期講習に入って最初の課題は手とカラーボール、もしくはソケット電球でした。こちらは現役生の作品です。

6時間でよくここまでできたと思います。制作中も指導が必要ないくらい自分で考え、よく観察して取り組めていました。一つ一つ確実にものにしていくポテンシャルの高さに驚かされます。

昼間部生の作品。

非の打ち所のない作品だと思います。構成よし。ポーズよし。構造よし。質感よし。完成度よし。やりきっています。作者の「こうしたいな」という思いと僕らの「これこれ。こういうことだよね」というのが一致して来ています。偶然も含めてにはなりますが受験ってそういうものですね。

昼間部生の作品。ヘルメス。5時間半で制作です。

プロセスの中で迷いがあり、色々修正しての完成でしたが、最終的な見え方はとてもよいです。3次元的な動きもよく出ています。彫刻的に考えられた1枚ですね。

現役生の作品。

光が分かりづらい置かれ方をしていましたが、後半は自分で画面の中の空間を設定し、画面の中でヘルメスを成立させられるようにコントロールしていました。実際のバルールの見え方とは違いますが、ヘルメスとして正解に持ってこれたと思います。素直に写すだけだと結果作品として見た時に足りない。ということが多々あります。この短時間でこれだけのものを持ってこれたのは素晴らしいです。

モデル首像。昼間部生の作品。

骨格と表情が自然に一致していて良いです。経験が浅いとどうしても細部の表情に目が行きがちですが、それを支えているのは骨格であるということが分かって初めて説得力のある作品が出来ます。


とても完成度が高いです。形を徹底的に詰めて作っていながら、表面を整える事になっていないことが魅力的です。ただ仕上げていく。ということだけでなく。あくまで「人物の作品」としてどうなんだという追求が良いです。


人間としての存在の生っぽさがリアルに表現できています。そこにいるような気配は首像において最終的にもっとも重要な要素だと思います。ただ形を作るということではなく、それ以上の認識ができてようやく見えてくることではないでしょうか。

現役生の作品。

やわらかな土使いが魅力的です。表情も自然に見えてきますね。髪の毛の表現はそれに対してやや均質に見えるので、さらに魅力が出せるよう研究できると良いです。そこがうまくいくと全体での響き合いが増して顔も一層引き立つと思います。

 

さあ。ここから入試に向けて一気に加速して行きたいと思います。
「今日は君がよかったね、明日は誰がいいかな」ではではダメです。僕らはできるだけ毎日全員が良い作品を出せるように指導していきます。最終的にはたまたまでなく、自分の力で最高の作品が出せるようにならなければいけません。コンスタントに良い作品を出していくこと。それが当たり前であることを前提にしていきましょう!講師は段々見守るだけになっていきます。それでもできるように僕らはしっかり教えます!

 

 

 

彫刻科 近況

彫刻科講師の氷室です。公開コンクールお疲れ様でした。
どの様な結果であっても、ここから、どう自分の弱点に向き合っていくか、この11月は鍵になる月だと思います。
まだ落ち着いて過ごせるこの時期に、もう一歩安定した実技を得て、冬期講習を迎えられれると良いのではないでしょうか。
また寒くなってきますので、体調管理も大事です!
体調と実技のバランスを取っていきつつ頑張っていきましょう!

最近の秀作の紹介です!
久しぶりの組み石膏、良い作品が出ました!

視点もしっかりとしており、組み石膏で魅せたい2つの石膏の関係性も明確に表現できています!


やや線の印象が強く、武装する女神の印象が惜しいですが、綺麗な光と石膏間の空気が感じられます。目的がしっかりクリアになっています。


馬頭が作り出す空感を良く表現できています!上から見下ろす視点を活かせていますね◎


光が綺麗ですね!逆光の回り込みもよく表現できており、大きな量感を掴める感覚がとても良いです。


もう少し体の回り込みへの粘りが欲しいですが、光源がしっかり見える点、顔の印象共によく描けています。


鼻が少し長い印象もありますが、円盤の持つ横からみた印象が持っている動きにまも反応できており、肉厚なボリューム感もよく作れています。


肩周り、髪の毛はもう一歩追えると良いですが、印象も似ており特に体の描き込みは上手ですね!

こちらは自刻像です。

小鼻周りや髪の毛にはもうひと押し形が欲しいですが、影の見え方や量のまとまりが美しいです。


帽子が効いていますね!骨格を意識しながら、粘土の息遣いや表現が魅力的に伝わってきます。

今回は以上です。
着実に実力が付いて来ており、伸びている実感があります!
このまま安定していける様、また難しいですが平行して、新しい発見や楽しみを見つけ
作る、描ける喜びが、この先につながるといいなと思います!
2学期も充実させていきましょう。

彫刻科 11/3(日)11/4(祝)公開コンクールがあります。

彫刻科の小川原です。公開コンクールが近づいてきました。今年は受講料が全額ポイントとなって還元されます。還元されたポイントは冬期講習の受講料に当てても良いし、画材の購入にも使えます。実質無料ということで定員締切が予想されますので早めの申込みをお願いします。

さて、2学期も中盤戦!ここで踏ん張って弱点を克服しましょう!

それではここ最近の秀作を紹介します。
昼間部生の作品。

グデアの凝縮した形態感の強さが魅力的に表現できています。細部だけがどんどん目立ってくるのではなく、周りの形がしっかり細部を支えてくれているのが良いです。さらに印象を似せていくことに対して、より意識を高めていって欲しいです。


トルソーは動きやバランスを合わせていくのが難しいですが、よくコントロールできていると思います。「石膏を描いている」感覚よりも、あくまで「人体を描いている」感覚が重要ですね。
顔は更に似せていきたいのと、中間調子の表現の粗さが少し気になりました。


片手で出来る空間へのアプローチとして魅力的なポーズを見つけることが出来ました。伸び、たわみの表情の差もよく作り込むことができています。


タッチの粗さが気にはなりますが、動きもバランスもいいですね。ここまで出来るなら石膏像と画面をよく見比べるだけでなく、作品を単独で見てしっかり味わった上でより魅力的にしていくために必要なことをさらに考えられると良いです。


顔面のベースが少し単純な表現になっているのでそこがもう少し粘れるとグッと説得力が増します。奴隷として考えていてほしいことがしっかりやり切れた一枚です。


夜間部生の作品です。毎回描写にはこだわれていましたが、大きなベース(ボリュームや空間の表現)は弱かったです。今回はそこに力を入れて指導をしました。結果かなり表現が深まったと思います。この一枚を次に繋げたいです。

それぞれあと一歩理解を深める事で作品として言い切れるところまできていると思います。二学期中に足りないものを身につけておきたいですね!

 

彫刻科秀作紹介

こんにちは、彫刻科の新妻です。

なかなかにシツコイ残暑もようやく落ち着いてきましたね。個人的にも4、5月と10、11月は石を彫るのに一番ストレスのない気候なので今のうちにバリバリ制作を進めたい、そんな今日この頃です。

さて最近の彫刻科秀作をご紹介します。

全科自画像コンクールで1位に輝いた作品です、わーい!

様々な表現やアイデアが目立つ作品を抑えて、自然体な佇まいを実直な仕事で描き上げました。

その他にも彫刻科から上位作品が多く選出されました。例年よりも絵心のある作品が多く、受験課題というよりも作品として鑑賞しがいのある力作ぞろいでした!

円盤投げデッサン。プロポーション、動き、構造、光と陰。。。抑えるべきポイントが一つでも欠けてしまうと途端に印象が合わなくなってくる難しいモチーフですがその基本をしっかり掴んでいます。遠目の冴えも魅力です。

自刻像。表情や髪のボリュームなど作者の特徴が彫刻としてよく捉えられています。肩の切り方も作品性があって面白いですね。

自刻像以前よりも一段形の締まりが効いた表現ができていて良いですね。骨格、表情、形の密度のまとまりもでてきました。

 

夜間部も頑張ってます。ジョセフのデッサンです。

描き込むべき場所そうでない場所の仕事量や炭の扱いが巧みですねー。大きな空間を感じます。

光の表現が美しいです。出だしの形合わせも慎重になってきましたね。

ボディがカッコいい!大きな捉え方の中の細部描写が効果的ですね。

今回はここまで。台風にはくれぐれもお気を付けください!