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彫刻科 延期期間課題講評2

こんにちは。彫刻科の小川原です。時間はあってもどこにも行けないという不自由な状態が続いていますが、作家にとっては圧倒的に自由な時間であるのだと思います。集団で集まるという前提において予備校や大学は仕方ないとしても、芸術家は一人で黙々と作品と向き合うものです。ある意味では予備校生である学生の皆さんも、いち作家として自分を捉えて制作に励む期間にできたら最高に有意義な時間を過ごすことができるのではないでしょうか。
予備校はじまらないし、何もできないよ。とか、だって石膏像も無いし、塑像だってできないしさ。と何かと理由をつけてスタートが切れないと何もはじまらないですよね!
考えてみれば、石膏デッサンと模刻を原点として誕生した彫刻家なんて一人もいないくらいです。
受験で必要だからこれを上手くならなきゃという先入観。これはとても怖いことだと思います。
最終的に真の実力に目覚めるためには何でも興味を持ってどんどん取り組める興味関心、好奇心があるか無いかなのです。誰よりも受験勉強を頑張って受験課題が上手くなったとしてもそれは大学が求める「最低限」の実力でしか無いのです。(それが出来るから凄いとかは予備校以後全くなくなります)
芸術の世界ってものすごく広くて、(なんでもありというわけではなく)予備校大学レベルでは到底分かるようなものではないです。(僕も段々と見えるものが増えてきたように感じていますが、作品を作れば作るほどに次はもっといい作品が出来そうだと思うくらい底がないです)自分の経験からも、予備校生が特訓していることは基礎の基礎の基礎なんだと思います。出来ないと合格はできませんが、出来ることが普通なんだという感覚なのです。だからこそ「今」じゃないかなと思うのです。普通だったら毎日受験のデッサンや塑像をやっているはずなのに、今は全て自由時間です。じゃあ何をやるか。
決まってます。「
自分の表現を模索すること」です!いくら時間をかけてもいいので徹底的に作品と向き合ってみればいいのです。過去の偉大な作家たちなら嬉々としてそうしたでしょう。直接受験と関係なくても、作家としての自分を育てる時間にして欲しいです。大学に入る前にそういう時間が持てるということに対して、僕はむしろ羨ましくさえ思えます。あとはそれをやるのか、やらないのか。それだけです。
さて、昨日までの提出作品の中から特に力作だったものを講評とともに紹介します。

これは、あなたの画集がいつの日ができるならば表紙にしたい作品です!
バランスも取れていて、上手です! 氷室

良いですね。人の形をクロッキーする。と言う視点以上に、その人と自分の関係とか、その人の纏う空気とか、そう言うのを感じさせる1枚です。無駄な仕事がないですね!小川原


家族の横顔でしょうか。上手いです!木炭だけでなく、鉛筆もお手の物なんですね!!20分とは思えない抵抗感と存在感です。欲を言うと、本人を見ていないので絶対ではないですが、やや唇と顎の3つの丸みが似ているのが一番先に目に飛び込んできます。きっと似ているのだと思いますが、よくよく観察するとそれぞれ微妙に差があるかもしれません。この部分だけ少し勢いでいった感があります。今度は斜めや正面から見たクロッキーやデッサンも見て見たいです!小川原

20分でこんなに描けるなんてすごいですね!僕も口と顎のラインがちょっと気になりました。あとはここまで手が入るのであれば、横顔でも正面の顔をイメージさせるような空間の使い方がもう少し出来るとなお良いなと思いました。新妻

絵的には肩や体も少し入れてもよかったかも齋藤

20分でこれだけの質感で印象を持ってくるのは上手だなと、感心させられます。
横顔だと、1番視点に近いのは耳なので、耳と耳上の髪の毛の在り方なんかを、もう少し強く表現できると、全体の持つ量感にもつながってくるのかなと思いました。
あとは、頭頂部が、単調な処理だとしても、少しツルッと丸いのが気になりました。
氷室


これはいいクロッキーですね!木の存在感が伝わってくるようです。強めのタッチでグイグイいくと木とかって感じ良くなりやすいけど、このクロッキーは繊細だけど存在の強さを表現できていると思います。小川原

こういった種類のクロッキーもいいですね!
線の扱い方も、カッコいいです。
幹の分かれる根元とか、もう少しだけ、描き進めても良かったかな
と、木本体の線のアーチの使い方が目線?と会っていない気もしました。
そのくらいです!
氷室

木肌の様子とスケール感が伝わります!いいですね。新妻

いいですね!ちゃんと見えてるものが短時間でも伝わるようにかけてるとおもいます。齋藤


これはかっこいいです!目的がビンビンに伝わってきます。こうしたいと言う明確な意思が見えるので、荒々しいタッチがむしろ爽快でもあります!欲を言えば親指の先端が厚みやや薄いかなくらいなところですが(迷った痕跡があるね)守りに入らず自分を出せた一枚です!小川原

おぉ!こちらも、良いクロッキーですね
かっこいい!!!これまでの作品を集めて画集が作れそうです。
氷室

言うことないです。短時間のクロッキーなのに細部の起伏まで想像できて臨場感があります。新妻

熱いクロッキーだね、勢いがあるけど勢い任せじゃなくてちゃんと止めるところは止められてますね!齋藤


グッときました!クロッキーをバネにして、さ「作品」として完成させられた感じです!首の状況が分かりにくいかなとも思いますが、不自然さはなく、(多分本人も難しいと思ってやってたと思うけど)攻めて終われていて良いです!背景の黒も効いています!これは特にいい作品なので新学期始まったらぜひ本物を見せてく欲しいです!短期間のうちに本当に上達したね!自刻像も早くみてみたいです!小川原

カッコいい!映画のワンシーンのような印象を受けました。背景も効果的ですね。今しか描けない自画像だなぁ、最高です。新妻

かなりイメージを強くもってそれを保ちながら描いてこれたみたいですね。本人の意思が感じられていいですね。すこし服の中の体の形の存在がわかるようになると素描的にはより良くなりそうです。齋藤

これぞ自画像!!と言った感じですね。写実主義より、自分の確かな目で見た証のような感覚や描画材が形とリンクした会館みたいなものが画面から伝わってきます!!特に顔の印象は彫刻的にもかっこよく、絵画と彫刻をうまく掬い上げてきた素晴らしい1枚だと思います。氷室


うまっ!!凄く良い自画像ですね!
自画像こんなに魅力的に詰めて描くことができるの憧れます。徹底的なやりきり、素晴らしいです。新妻

上手ですね!!
顔ももちろんですが、首周りも髪や洋服の質感もしっかり完結しており、光の設定も綺麗ですし、完璧ではないでしょうか。
多分、全科合同の自画像コンクールでも1位を獲得できる気もします!自画像をここまで描けるのは、素晴らしい実力です!氷室

すごい!これは!徹底的にやりきる魅力と言うものが最高レベルで出せていると思います。今まで沢山の自画像を見てきましたが、正直一番うまいと思います。ちょっとこの作品はすごいので新学期大事に持ってきて見せて欲しいです!完璧です。小川原

パーフェクト!!言うことないです。素描上手ですね、これだけかけたらすごい楽しいんだろうなあ。齋藤


体温を感じるような作品に仕上がっています。表情も自然でいいと思います!髪の毛の「質」はよく出せているので、もう一つ頭部の形態感(顔面とのごろっとした繋がり)が見やすいといいです。あとは体、服にもう少しだけピリッと密度を足せば言う事ないです。入試直前の自画像もうまかったけど、ここ最近のクロッキーの上達のせいか、より自然な印象を捉えられていていいですね!小川原

いい自画像ですね!魅力的で、引き込まれますま◎
自分に向き合って、自画像を描く事の意味が分かる様な、今の自分の持っている空気感が伝わってくる様です。
少し上を向いていても、やや頭が短いかなと言う点と、顎から向かって左側の首に見られる黒い線が、少し絵的に気になるかなとか、顔と比較すると鎖骨下の肌がもう少し明るくてもいいのかなと言う印象です。
洋服をきちんとツールとして使う、髪型も表情として取り込む、鼻口もピッと視点が止まる描画、とっても上手です!
氷室

魅力的です!クロッキーで掴んできた感覚的な捉え方と、耳を出したり、首回りの形の理解を深めようと新しいチャレンジをしていく姿勢、とても良いです。
体の光の設定にもう少し明るさが足されてくればなお見やすくなりそうですね。新妻

クロッキーの感覚が活かせてますね!僕も首から下の肌の感じがもうちょっと明るく書き起こして来たらさらにスッキリ見えてくる気がします。齋藤


上手で、ビックリ‼️
思わず凄いなと笑ってしまうくらい、上手です。
彫刻でよく見ていく視点を当てはめても違和感がなく、油絵として色の在り方は私には良く分からない範疇なので、特に今回は指導する点はありません。
手間の頬骨から顎、首周りの立体感を伴う色味の作り方、髪の毛の細やかな重なりの緻密な描写、特に感銘を受けました❗️
こんなに彫刻としても
絵画としても、両方から同時に研究できていく人を、私は自分が生きている中でかつて出会った事がありません。
君の感性や感覚が大学へはいってどの様に開花していくのか!
驚きの範疇であります。
氷室

すごいよね!本当に美術が好きで好きで、ここまで自分を伸ばしてきたんだなと思うと見ていて嬉しい気持ちになります。デッサンもそうですが、ただ見て描くということを超えて作品性について自分の価値観を持って取り組めているところが素晴らしいです!一瞬気になった点を一つあげると、眉間の眉毛の生え始めの位置が違うのか、奥の眉毛が長く見えて、骨格的には狂いがなさそうなのにおでこが顔の正面からねじれてこっちに向いて来ようとしているように感じました。でもこんなレベルの高い17歳は世界的に見ても稀だと思います。自分が高校生の時の感じと比べると恥ずかしくなってしまうくらいです。小川原

素晴らしいですね。彫刻だけじゃなく美術という広い範囲で感じた事を形にしていく探究心と力が本当にあるんだなあと感心します。少し耳が倒れてるかなーという以外は、普通に鑑賞者として飾ってある作品を観てる気分です。このままどこまで山本くんが羽を伸ばして行くのかとても楽しみです。新妻

油絵が観れるとは思いませんでした。すごい上手です、とくにいうことはないです!強いて言うなら形は常に色彩と共にあるというのは視覚の上ではそうだなと思います。しかしたとえ真っ暗な部屋の中でも、形は存在していて、目を瞑っていても手で触れることで感じることもでき、そういう感覚を覚える絵を触覚的なデッサンだねと言ったりするのだと思います。彫刻科が木炭でかくことのうちにはそういった理由もあるんじゃないかと思います。とまぁこんなこと言いましたがとても良い自画像だと思います◎これからもいろんな方向から研究を深めて行ってください。齋藤