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彫刻科 2学期スタート。

こんにちは!彫刻科の小川原です。熱い夏期講習が終わり、2学期に突入しました!実力もついてきて、盛り上がっていますね!

さて、2学期はコンクールイベントが目白押しです!気合入れて挑んでいきましょう!
というわけでお知らせです。9/20(日)に全科合同石膏デッサンコンクールを開催します。8時間制作で、科の域を超えて現時点での石膏デッサン王を決定します!内部生、外部生問わず、意識の高い学生の皆様の参加をお待ちしています!
ちなみに昨年度の1位の作品です!昨年度は2日制作(12時間でしたが、彼は1日描きでした。恐ろしい完成度です)

その時の僕のデモスト。今年も参加します!今年はデザイン科講師の山本先生と一緒にデモストとデッサン解説を行います!

さてそれでは彫刻科の優秀作品(冬季講習後半〜現在まで)の作品紹介をしていきたいと思います。
ジョルジョ模刻
ジョルジョは顔のニュアンスまで似せていくのが難しいですが、よく捉えられています!


3次元的に動きがよく見れていますね!彫刻的に重要な点が理解できていると思います。

マルストルソ

光から陰への移り変わりを、形の起伏(もちろん断面のボリュームも)をよく感じて表現できています!


特に背中やお尻の力強い量感の表現が良いですね!

グデア
素晴らしい精度です!形の説得力を出した上でターバン表面のレリーフも作りきっています!


グデア特有の緊張感のある詰まった形態感の特徴がよく出せています。

ジョルジョ(木炭紙でのクロッキー)

この段階でジョルジョを捉えるビジョンが見えています。手を動かす感覚をジョルジョに合わせてこれていますね!

ジョセフ


これだけ大きなモチーフで関係性を狂わせず、コントロールする力は素晴らしいと思います!そっくりですね!

円盤投げ(3時間)

自然に印象が捉えられていますね!動きや力の入り具合もよく捉えられています。

アムール

全身をイメージしながら作ることが大事だと思います。この作品は体の動きも感じさせてくれます!

メディチ(クロッキー)

目的を持ってクロッキーができていますね!どんな表現であれ、どんな描画材を使っても、こんなふうにかっこいい作品を目指して欲しいです!

以上です!それぞれ自分のリズムが掴めてきていると思います!この調子で頑張りましょう!

彫刻科 夏期講習

彫刻科講師の氷室です。
舟越保武さんの『まなざしの向こうに』と言う作品集の中で、ご子息であられる彫刻家の舟越桂さんが、この様な言葉で保武さんの彫刻を表現されていました。

「制作中」の父が最も心がけていたのは、立体としての強さや、確かさのようなものだったと思う。
空間に、あるいは空気圧に敗けない形になっているか。
囲んでいる空気圧を押し返す強さを内包しているか?
そういう作業をつづけた後に、何が現れてくるのかをチェックしていたのだと思う。
強い土台がなければ美しさは遠くまで伝わっていかないのだと思う。

まさにみなさんが、特に模刻や首像で求めていっている闘いの延長の1つが、ここに有るのではないでしょうか。
彫刻という言葉を自分なりに分解して考えてみる どんな魅力があるのかどんな憧れがうまれるのか
課題の中で動いていくだけでなく、こういう自問自答も大事だなと思います。

さてここからは、最近の優秀作品の紹介です。

外国人のモデルさんの首像です。

上手です!似ていますし、表現としてもやり切った感がありますね。


モデルさんにそっくりです。ドレッドヘアーの表現も素晴らしいですね。


モデルさんにそっくりです。骨格も意識しながらしっかり作りこんであり秀作だと思います!


形をしっかり面で押さえながら、奴隷の持つ美しい張りと流れをピタッと追えており、模刻のプロセスとして、とても良いイメージで制作が出来ています。


台座から立ち上がってくる鳩ならではの軽やかさとともに、形態感もしっかり捉えられており上手です。地面と足の間にある空間の魅せ方が素晴らしく効いています!


こちらもシュッと伸びた瞬間の鳩の動きを、360度違和感なく表現てきていました。小さいので繊細な判断が求められますが、冷静なコントロール力が発揮された作品です。


バランスをとることが難しいモチーフですが、バランスが綺麗に取れており、かつ鳩らしい毛の表現力が色々な形で入っており魅力的です。


回り込みにやや硬さもありますが、ラオコーンらしいズバッとした形の言い切りと厚みに対する表現力が、かっこよい1枚です。


組石膏で気にしたい最大のポイントとなる、モチーフ間の空気と作者の視点がきちんと描けています。台座と牛骨の接点や角の持つ緊張感が綺麗ですね。

夏期講習第1回目のコンクールは円盤のデッサンでした。
同率で2枚のデッサンが1位を獲得しました!おめでとうございます。


円盤の知っておきたいポイントを網羅しているデッサンです。特に背面側の回り込みの観察と表現が効いており、円盤の持つ捻じれが自然と描けているのが良いですね。


難しい位置ですが、倒れずにしっかり形を取れていることに実力を感じます。きちんと背中も見えてきますね。形1つ1つの探りと掘り起し方がとても上手で、円盤の動きを良く捉えています。

ここからは現役生の作品です!現役生も上手です。


難しいモチーフですが顔の印象がとても似ています。光に対しての炭のコントロールが上手で、1つ1つの形に濃いリアリティがあります。レベルの高い1枚です。


逆光側は難しいですが、大きなベースを維持しながらしっかり形を描き込めていることに実力を感じます。立脚の力強い探り、顔の厚みの表現力も素晴らしいです。


現役生で鳩をここまで捉えてくる観察力は素晴らしいです。360度回して観ても破綻が無く、まるで鳩がそこに生きている様な、そのまま動きそうな自然さで、骨格やバランス、表現力がまとまっていました。

さすが夏期講習!良い実技がたくさん出ています。
明確になってきた自分の課題に、さらにもう1歩踏み込んで残りの講習会を走りきりましょう!
水分補給はマメに。体調にはくれぐれも気をつけて無理はしない様に。

氷室

彫刻科優秀作品紹介。

こんにちは!彫刻科の小川原です。1学期後半でそれぞれの課題が見えてきたところで早くも夏期講習に突入です!
それではここまでの優秀作品を紹介していきます。
ジョルジョの模刻。

カッチリと作り切った上で印象を合わせてきました!人体として、またジョルジョを理解して模刻が出来ているところがすばらしいです!


面の捉え方が少し大雑把なところがありますが、ピントの合わせ方がうまいですね!印象がはまっています!

円盤投げ

彫刻的によく考えられていますね!実際に紙の中に円盤を「再現」していく感覚でないとこうはいきません。デッサン を見て模刻できそうな内容です!


横位置でも意外と難しいのが顔側です。動きもよく捉えられ、顔も似せてこれていますね!

マスクと手

弥勒菩薩の作りがとても良いです。西洋彫刻よりもニュアンスを表現するのが難しくて、形を写しとる感覚だけでつくっていると悪代官みたいな表情になりがちなんです。手の添え方も魅力あります!



手を2つ作るのは時間的にもバランス的にもかなり難しいことだと思いますが、模刻も似せてきた上でかなりやりきってくれました!すばらしい完成度だと思います!

クロッキー

ペンでジョセフをクロッキーしました。頭部はもっと突っ込んで描いていって良いです。しかし構図もバランスも印象も、短時間でよく捉えられていると思います。体の形態感の見せ方も良いです。


木炭で気配を探った後にペンで描き込みました。印象を探ることに対する柔軟な姿勢が良いです!作品としての魅力がありますね!

ジョセフ

この時期ですが試験時間で描いてもらいました。とても印象がよく、充実した完成度を感じます。間違わないこと、直すこと、合わせること。様々意識しないといけないですが、結局見る人の心を動かすのはそれ以上の作品の中身ですね!この作品はそうした部分にしっかり引っかかってきます!

夏期講習中にそれぞれ1つでも2つでも、これはという作品を出しておきたいですね!それが2学期以降の制作において重要な指針となるはずです!気合入れていきましょう!

彫刻科近況

こんにちは!彫刻科の新妻です。
あっという間に7月になり、夏期講習が迫ってきました。体調管理に気を配りつつ、課題一つ一つに目的と狙いを持って取り組んでいきましょう!
前回の更新以降の預かり作品の一部を紹介します!

ヘルメスらしい構成と地道な仕事がマッチしていて良いですね!頭部の立体感もしっかり捉えられています。

この位置から見たときの、張りのある奴隷の印象がダイナミックに掴めていました!

動きの印象と光の美しさが奴隷の恍惚とした表情を引き立ててますね!

十分受験塑像としてのスキルを持っている作者ですが、イメージできる段取りとしての着地点から、さらに表現を少し探ることができました。作家としてさらなる模索を期待しています!

後半作り込むことで構造の歪みやパーツの浮きが気になる人物像が多かった作者でしたが、全体の調和がよくとれた作品になりました、この調子です!

弥勒菩薩は稜線の関係などが捉えられないと似てこないモチーフの一つですが、らしさを掴んでます!手のポージングも綺麗です。

手との絡みに物語を感じます。マスクの形態も密度があり、じんわり観賞できる良さが魅力的です。

夜間部生の作品です。

光の射し込んできた印象がとてもかっこいいです!手前腕の量感と顔面はまだ近づけて行けそうです!

抱えられそうなボリューム感が魅力的です!画面端の頭部の言い切りをもう一押し!

今回は以上です!夏前のコンクールで現時点での力が出し切れるように頑張ってください!

彫刻科近況

彫刻科昼間部講師の氷室です。
2020年も半年が過ぎて1学期も残り1ヶ月となりました。
今年は実技の内容や結果が濃い感覚があり、アトリエ全体のポテンシャルが高いなと思います。
この調子で行きたいですね!

実技のポテンシャルが高いがゆえに、今回は、本郷 新 さんと言う彫刻家の方が書いた『彫刻の美』という本の紹介をしたいと思います。
彫刻科の荷物置き棚の1番右上にひっそり講師オススメのBOOKコーナーがあります。
ここに、『彫刻の美』も置いてあります。
大学に進学しても、なかなか集めるきっかけや読むきっかけが無い場合が多いので、ぜひ予備校にいる間に1度は、手に取って読んでみてもらいたい本達です。

この本には、《量》 《空間》 《線と面》 《肉付け》 など、予備校で最も耳にする言葉に対して、各項目2、3ページ程度でザクっと実直に書いてあります。
予備校では受験が前提の場なので、急いで技術の習得が求められる場合が多いですが、作家として先人達の言葉を読むとハッとさせられる瞬間があると思います。
技術が何のためにあるのか。彫刻とは一体どんな世界なのか。
先人達から学んだその言葉が、いつか背中を押してくれたりすることもあるかもしれません。

ここからは、今回の優秀作品の紹介です。

〔↓まずは昼間部の実技から〕


ガッタメラータはどの位置でも絵になりやすいので、必然的にレベルが高くなる印象ですが、モチーフの持つ力強さも余すことなく表現できており、完成度が高い思います。


光の魅せ方が上手です。白い石膏であることを形を逃さずに表現できており、こういったデッサンも並んだ時には強いですね。

〔↓ジョルジョ模刻はなかなか難しいので、ここでしっかり取り組めていると一気に力が安定する気がします〕


粘土へ向かっていく押さえ方が活きており、光と陰がしっかり形として見えてきます。ここまで来ると作品が圧倒的に強いですね。


頬周りや顎は、こやって写真に撮影してみるとやや弱さもありますが、バランス感覚が良く表情の似せ方が上手です。


粘り強く制作できており、結果魅力的な塑像になってきました。髪型の印象も良いですね。


ジョルジョの微妙な動きをカッコよく再構成できており、言い切りの強い作品です。


こちらも実直に積み重ねた粘土が、しっかり形になり強さがでてきました。印象も似ています。

〔↓大きなモチーフは、たまにしかお目見えしないので、楽しみながら描けたのではないでしょうか〕


スカッと抜けていく光と空間がとても綺麗ですね。目を引きます。影側の形も良く追えています。


手前から奥の空間の見せ方が綺麗です。テクニック的に逃すわけではなく、奥もしっかり形が追えており好印象な強さが魅力的な1枚です。


背景も丁寧に描けており視点の作り方も上手なので、見る側に、こういうモチーフですよということが潔く伝えられている1枚です。ヴィーナスの美しさを感じます。


ベルベデーレがモチーフであることの醍醐味を感じながら描けており、その感動が伝わってくる1枚です。こういう印象ですよね!力強い1枚です。


正面位置は非常に難しいですが、脚の構造や筋肉を逃さず奥行きが描けており作者の高いテクニックが垣間見られます。光の設定もしっかりあるので、とても見やすくスッキリとした強さがある1枚です。


やや腹筋周りがまとまり過ぎてしまいましたが、視点があり、画面の余白へのアプローチが上手く空間が綺麗ですね。体の捻れが良く表現できています。

〔↓久しぶりの構成課題でしたが、意図したものがしっかり形になっていました〕


シンプルな設定の中に中に、絶妙に動きが作れています。かぼちゃのぴりっとした接点がとても良く効いており、見る側のことをよく考えられているなと思いました。各々のモチーフの素材感へもよく迫れており完成度が高い作品です。


布の動きで目線を誘導しながら、かぼちゃとレンガを繋ぐ構成がシンプルな中に効いています。なにより、素材の質感が圧倒的に詰められており上手です!布が台からちょっとはみ出ている構成も、演出が効いています。


布の長さが回転させて見た時にどう見えるのか?難しさもありますが、動きに対するストリーを設定していく積極的な姿勢が良いと思います。レンガとかぼちゃの関係性にハッとなる作品です。

〔↓ここからは、夜間部の優秀作品の紹介です〕


かつて、ここまで作りきった現役生を見たことが記憶にないくらいです。上手ですね!難しい頬骨周りもしっかり形になっていますし、印象も似ていて、もう言うことがありません!


目の印象に苦戦しましたが、最終的には似ました。難しい点なのですが、グデアのパチっとした張りを良く表現できており、作っていく行程も上手だなと思います。観察力がありますね。


こちらは自刻像です。柔らかい雰囲気と目線が丁寧に表現できています。首回をもっと研究していけると、さらに良くなっていくと思います。

今回は以上です。
夏期講習が始まると時間の流れが早くなって行く気がします。
1学期の間に出来るだけ苦手な部分の研究をして、突破口を開いていってください!!
暑くなってきますので、特に塑像の時には無理をせず、こまめに水分補給をして体調管理には気を付けて行きましょう。

氷室