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彫刻科 いよいよ残り2週間となりました

彫刻科講師の氷室です。
私大のメイン試験がほぼ終わり、いよいよ芸大の入試が迫ってきました。
課題を通して最大の敵であり味方でもある自分と向き合っていく、自分を整えていく時間だと思います。
緊張はしますが、地に足を付けて残りの期間で研究し尽くして、走り切って欲しいと思います!

余談ではありますが
私が最近改めて気になる写真作家、Saul Leiterの展示が今、Bunkamura ザ・ミュージアムで行われています。

初めて彼の作品を観た時には魂が震えました。感動と供に激しく打ちのめされて自分も作品を作りたくなる。そんな展示に出会える瞬間、ああ作家で居たいなと思います。
みなさんが予備校を通過して、どんな人と出会いどんな作品に触れ生きていくのか、ふと、予備校以外の地でまた出会えたらそんな話を聞きたいなと思っています。

さてここから、最近の秀作を紹介したいと思います!
カリキュラム数が多いため、作品点数も今回は多めになっています。

始めの3点は、コンクールの上位作品です。

彫刻の観点から、絵的な観点から、両方とも精度を兼ね備えています。


講師全員一致の1位作品。360度どこから観ても自然な強さが魅力的です。


土付けの息吹があり、力強く完成度があります。


空間、光、量、奴隷の印象をバランス良く絵として収めて来れています。


形に対してタイトにそして真摯に向き合えています。


ボリューム感、動きがしなやかに表現出来ています。


しっかり置いてある状況が視点を持って描けており臨場感を感じます。


うまく馬頭の奥行きを使い、空間が綺麗に表現出来ています。


現役生の作品です。
台座をしっかり描き込んでいる点、2つの石膏像の接点と光を丁寧に描くことでこの絵の完成度が高まっています。上手ですね!


マルスの持つ独特の肉厚感の表現!良く追えています。


視点がしっかりとあり、丁寧に描けています。実力を感じる1枚です。


筋肉やヘルメットの表現が上手いですね!こちらも現役生の作品です。


こちらは自主課題作品です。見慣れない石膏を描くことで自分の実力が試せますね。良く観察出来ていると思います。


木炭の魅力を活かしつつ、全体感を大切にしながら丁寧に描かれています。光も綺麗ですね。とても良い1枚です!


良く考えられて描けている1枚です。視点とスケール感を感じます。

ここからは塑像作品です。

構成課題です。
構成にピリッと効果を狙いつつ、素材の質感にまでキチンとこだわれており実力を感じます!

ここからの3点はモデル首像です。
3点とも360度みても素晴しい完成度でした。

丁寧に形を追い込みつつも全体感とバランスをとって来れる、かつ自然さが1番に感じ取れる、とても上手な作品だとと思います。


大胆で力強い作品です。表現力と形を追うセンスが噛み合っており魅力的です。実力を感じます。


柔らかさを全体に保ちつつしっかり形が追えており、その両方のパワーバランスの感覚がとても良いです。影の持つ色味も綺麗に活きています。

こちらの3点は手の塑像です。

完成度が高く申し分ない作品です!ポージングも美しいですね。


難しいポーズですが、その分作りきれると目を引きます。


切り口や腕の形も含めて作品性が感じられ完成度が高いです。


未完成ではありますが、バランスが取れています。グデアは縦横比率が捉えられると強いです。

こちらは私大対策で描いた馬頭です。

視点をしっかり設定出来ており、オーガンジーを纏った質感が良く表現出来ており魅力的です。


難しいモチーフですが、巻いてあるテープを活かしながら空間を作れておりスケールを感じます。

今回は以上です。
これだけの作品を振り返ると、いかに実力が伸びているか、いかに力を付けているか、目の当たりにして驚くばかりです!
あとは、とにかく自信をもって!!と伝えたいです。
体調も大切ですので、風邪を引かずに受験を迎えましょう!
あとは、1年頑張って来た脳と体が、自然と実技を後押ししてくれるはずです◎

彫刻科 1月後半の成果

こんにちは。彫刻科の小川原です。センター試験も終わり、あっという間に2月に突入です。やっておきたい対策はあれこれありますが、ここ最近で実力もグッと高まってきたように思います!

それでは1月後半の優秀作品の一部を紹介します。

昼間部生の作品


奴隷正面からの印象が、動きの面でも表情の面でも的確に表現できています!カッコイイ!


ピタッと形に張り付くような質の表現が魅力的です!徹底的に顔も似せてきています!


しなやかな動き、豊かなボリュームが魅力的です!表面的でなく、全体を一塊として捉えている事がよく伝わってきます!


堂々とした炭の発色が円盤のボリュームを感じさせてくれます。一見少し荒っぽいですが、全体感が的確なので逆に魅力につながっています!


見上げのスケール感をよく捉えてきました!顔もしっかり描いていながらまず脚にピントがあってくる所が素晴らしいです。


ヘルメス独特の柔らかな印象がよく表現できています。逆光が苦手という事で挑戦してみましたが、十分良い作品に出来ています!


力強い炭使いがブルータスに良く合っていると思います。そこに本当にあるかのような実体感が魅力です!


美しい光の印象が感じられる作品です。陰側に未消化な部分もありますが、だとしても良い作品に見えてしまうくらい画面全体に対する気配りが出来ています。


アムールや円盤ではこのくらいの体の位置が一番難しいですが、客観的に動きを把握してきっちり合わせてこれていますね!素晴らしいです。


御者はおそらく初めて作ったかと思いますが、とても良く印象がとれています。マスクを含む構成ではやはりマスクが出来てなんぼなところがありますね。


短い時間の中で全体の作業バランスをよく考えて完成度を上げてこれています。構成では計画性がとても重要ですね!


短い時間の中で破綻の無いように全体に気を配ってバランスが保てています。とても印象が良く、ジョルジョらしさが引き出せています!

ここから夜間部現役生の作品


ヘルメスの中でも一番難しい位置で挑戦しましたが、動きや印象もよく合わせてこれました。それ以上に光や陰の質の表現が魅力的です!


徹底的に丁寧に調子で全体を表現しています。もはやここまでやって来た作品には何も言わせない説得力があります!


調子の扱いが美しいです。アムールの印象に寄り添いながらも徹底して自分のこだわりを貫いているところに感動します。


爽やかな光の表現が魅力的です。同時に豊かにボリュームが捉えられています!


模刻ではジョルジョが圧倒的に難しいと思いますが、現役生でこれだけ出来るのは稀だと思います!表面的でなく、かといって大雑把でもない。グイグイ攻めつつも全体に慎重なのが良いです。

新美では芸大以外の美大の対策も個人レベルで実施しています。芸大のカリキュラムを見て、好きな時に好きな対策が出来るように対応しています。

ムサビ対策です。こちらは昼間部生の作品。


目が覚めるようなカッチリした表現が魅力的です。完成度が素晴らしいですね!


圧倒的な迫力に引き込まれる作品です!まるで迫ってくるような臨場感を感じます!


少し透ける布によってはっきり見えていない所を思い切って布の表現を優先させた所が良かったです。実体がはっきりしている所との対比が魅力的です。

夜間部現役生の作品


量感に沿って調子をつなげていく様が魅力的です。透ける布の奥に見え隠れする表情も良いです!

 

さて、ここから怒濤の入試直前1ヶ月です!1課題1課題が重要になってきますね!体調を整えて走り切って下さい!僕たち講師は出来る事を全てやって皆を試験に送ります!!

 

 

彫刻科 2020年いよいよ入直スタート

彫刻科講師の氷室です。
早いものでお正月が明けて、冬期講習が終わり入直に突入しました!
課題も1日1課題になってきますので、その都度気持ちを切り替えて目の前の課題に集中して行きたいですね。
苦手な点を研究していくのは当たり前ですが、良い点も自分の自信に繋げていってください!
試験前日まで、力は必ず伸びていきます!

以前、東京芸術大学の学長をされていた六角鬼丈さんが、建築科の卒業生の方が悩みの渦中にいた時に、励ましとして送られた言葉が印象的でしたので、ここに紹介させてもらいたいと思います。
「そんなことはぜんぜん気にするな。その程度のことは当たり前だから、何度やったっていいんだ」
私も制作する上で、この言葉に励まされます。
どんなに考えても、評価に山あり谷ありでも、ここからはもう前進あるのみです!頑張って行きましょう!

さて、年末からの秀作を一気に紹介します。

上手です!逆光で見えなくなってしまいがちな形を、良く捉えて形が追えています!スケール感がありますね。


光の当たり方が綺麗に描けています。腰や回り込みも粘り強い描写で奴隷らしい量感が感じられる1枚です。


お腹周りの描写がとても魅力的です。正面の難しい位置ですが、体の面がしっかり作ってあり顔の空間とともに奥行きが感じられます。


こちらは現役生のデッサンです。髭の描写はもう少し粘っても良かったかもしれませんが、体の描写はピカイチです!張りを損なわず描き込めるのは実力を感じます!


こちらのアムールも上手です!張りをパシッと感じさせつつもしっかり描写で形を追えています。奥側の形やアムールの持つ量感も積極的に描けており難しい位置ですが、良く考えられています。


頭がやや大きいですが、体の描写は抜群に上手いです!足やお腹、腕などまさにアムールを触っているかの様な描写、凄い1枚ですね。アムールの特徴である体の捻れも良く表現されています。


唇や目の表現をもう少しだけピリッとさせたい点はありますが、体はとても良く描けています!肩の量感や胸の張りを損なわずジョルジョらしい堂々とした印象を、しっかり描写しつつ表現できています!


顔の印象がとても良いです!足はまだ未消化な点もありますが、難しい課題の中でもしっかり視点を持って絵作りができており、実力を感じさせる1枚です!


こちらも現役生のデッサンです。しっかりベースの上に描写ができています。生きいきとした炭の質感や見上げた視点のダイナミックさも魅力的です!


頭部と髪の毛のハマり具合が難しい点ですが、しっかりポイントを合わせられており、模刻力を感じます。時間内で作品として言い切っていくところまでしっかり追えています。


鳩のふとした表情や動きをとても上手に再構築してあります。自然な佇まいを作ることが基本ですが、それは非常に難しいのです。作者の知識と観察が行き届いている証拠です。

今回はここまでです。
日々、みなさんが苦手なポイントをクリアし、順調にデッサンも塑像も彫刻1も伸びてきていると、特に今年は実感しています!
自信と誇りをもって行きましょう!

彫刻科 2学期末の作品紹介

こんにちは!彫刻科の小川原です。彫刻科では2学期末に弱点克服のための個別課題を集中的、連続的に行い、グッと実力を上げてきました。今までより短時間でよりグレードの高い作品が多く出てきていることが頼もしいです。

それでは1部の作品を紹介します。

2学期末、昼間部生の作品。

夏期講習生として新美に来てくれて、まだほとんど彫刻未経験でしたが、2学期でこれだけ成長できました!素晴らしい伸び率です。アバタやグデアくらいの大きさの像はコントロールできそうなので、さらに大きな像でも同じように全体をコントロールできると良いです。


今年初めてアムールを課題に出しました。初めての像でも考えるべきこと、やるべきことをしっかり考えて取り組めれば難しいことはないですね。慣れでやっている人は結構本番でうまくいかないので気をつけましょう!


カッコいい位置ですが似せるのが結構難しいんですよね。僕はこの位置のジョルジョが入試で当たりました。6時間のデッサンでこんなに印象の良いデッサンをかけている人はいなかったです。自信を持って行きましょう!このレベルで安定したら安心です!


形に緊張感が出ています。印象も捉えられていて良いですね!グデアは単純な構造の像ですが、そこに彫刻的意味合いが詰まっています。その彫刻がどういうものなのか分かろうとしながら制作することはとても大切です。


どっしりとした量感が描けていてブルータスらしい魅力が引き出せています。顔正面は顔が似ていないことには意味がないくらい顔が重要ですが、とても印象が良いです。第三者が見て何の疑問も抱かずに作品を受け入れられるって普通のことですが一番重要ですね。彫刻科の場合特にまずそこが入り口になっているところがあります。


何度かやり直しながら納得のいくまでやりきった作品です。時間をかけてでも答えを追求する姿勢が素晴らしいです。この出来を短時間の制作でも活かせるように何が大切なのかを考えてみてください。最終的にこうあるべきという理想が明確であれば短時間でもそれを目指せます。焦ると見失うので意識してみてください。

2学期末コンクール1位だったデッサンです。

光の印象が美しく描けていますね!バランスや動きもとても良いです。この調子で確かな安定感を獲得していってほしいです!


ポーズにもこだわりがあり、「手」を形にするときに自分なりのビジョンを強く持てているところが良いです。しかし重要なのはそれが鼻につかないくらい自然に作れていることです。

冬期講習に入って最初の課題は手とカラーボール、もしくはソケット電球でした。こちらは現役生の作品です。

6時間でよくここまでできたと思います。制作中も指導が必要ないくらい自分で考え、よく観察して取り組めていました。一つ一つ確実にものにしていくポテンシャルの高さに驚かされます。

昼間部生の作品。

非の打ち所のない作品だと思います。構成よし。ポーズよし。構造よし。質感よし。完成度よし。やりきっています。作者の「こうしたいな」という思いと僕らの「これこれ。こういうことだよね」というのが一致して来ています。偶然も含めてにはなりますが受験ってそういうものですね。

昼間部生の作品。ヘルメス。5時間半で制作です。

プロセスの中で迷いがあり、色々修正しての完成でしたが、最終的な見え方はとてもよいです。3次元的な動きもよく出ています。彫刻的に考えられた1枚ですね。

現役生の作品。

光が分かりづらい置かれ方をしていましたが、後半は自分で画面の中の空間を設定し、画面の中でヘルメスを成立させられるようにコントロールしていました。実際のバルールの見え方とは違いますが、ヘルメスとして正解に持ってこれたと思います。素直に写すだけだと結果作品として見た時に足りない。ということが多々あります。この短時間でこれだけのものを持ってこれたのは素晴らしいです。

モデル首像。昼間部生の作品。

骨格と表情が自然に一致していて良いです。経験が浅いとどうしても細部の表情に目が行きがちですが、それを支えているのは骨格であるということが分かって初めて説得力のある作品が出来ます。


とても完成度が高いです。形を徹底的に詰めて作っていながら、表面を整える事になっていないことが魅力的です。ただ仕上げていく。ということだけでなく。あくまで「人物の作品」としてどうなんだという追求が良いです。


人間としての存在の生っぽさがリアルに表現できています。そこにいるような気配は首像において最終的にもっとも重要な要素だと思います。ただ形を作るということではなく、それ以上の認識ができてようやく見えてくることではないでしょうか。

現役生の作品。

やわらかな土使いが魅力的です。表情も自然に見えてきますね。髪の毛の表現はそれに対してやや均質に見えるので、さらに魅力が出せるよう研究できると良いです。そこがうまくいくと全体での響き合いが増して顔も一層引き立つと思います。

 

さあ。ここから入試に向けて一気に加速して行きたいと思います。
「今日は君がよかったね、明日は誰がいいかな」ではではダメです。僕らはできるだけ毎日全員が良い作品を出せるように指導していきます。最終的にはたまたまでなく、自分の力で最高の作品が出せるようにならなければいけません。コンスタントに良い作品を出していくこと。それが当たり前であることを前提にしていきましょう!講師は段々見守るだけになっていきます。それでもできるように僕らはしっかり教えます!

 

 

 

彫刻科 近況

彫刻科講師の氷室です。公開コンクールお疲れ様でした。
どの様な結果であっても、ここから、どう自分の弱点に向き合っていくか、この11月は鍵になる月だと思います。
まだ落ち着いて過ごせるこの時期に、もう一歩安定した実技を得て、冬期講習を迎えられれると良いのではないでしょうか。
また寒くなってきますので、体調管理も大事です!
体調と実技のバランスを取っていきつつ頑張っていきましょう!

最近の秀作の紹介です!
久しぶりの組み石膏、良い作品が出ました!

視点もしっかりとしており、組み石膏で魅せたい2つの石膏の関係性も明確に表現できています!


やや線の印象が強く、武装する女神の印象が惜しいですが、綺麗な光と石膏間の空気が感じられます。目的がしっかりクリアになっています。


馬頭が作り出す空感を良く表現できています!上から見下ろす視点を活かせていますね◎


光が綺麗ですね!逆光の回り込みもよく表現できており、大きな量感を掴める感覚がとても良いです。


もう少し体の回り込みへの粘りが欲しいですが、光源がしっかり見える点、顔の印象共によく描けています。


鼻が少し長い印象もありますが、円盤の持つ横からみた印象が持っている動きにまも反応できており、肉厚なボリューム感もよく作れています。


肩周り、髪の毛はもう一歩追えると良いですが、印象も似ており特に体の描き込みは上手ですね!

こちらは自刻像です。

小鼻周りや髪の毛にはもうひと押し形が欲しいですが、影の見え方や量のまとまりが美しいです。


帽子が効いていますね!骨格を意識しながら、粘土の息遣いや表現が魅力的に伝わってきます。

今回は以上です。
着実に実力が付いて来ており、伸びている実感があります!
このまま安定していける様、また難しいですが平行して、新しい発見や楽しみを見つけ
作る、描ける喜びが、この先につながるといいなと思います!
2学期も充実させていきましょう。