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彫刻科 延長期間講評3

こんにちは!彫刻科の小川原です。
突然ですが、今僕が制作中の作品です。デッサン力がそのまま作品に直結するようなタイプの方向性で制作しているので、受験生には大学に入るまでの修練が重要なんだと言うことが何となく伝わればいいなと思い紹介します。僕は大学入学前までに鍛えた基礎力を軸にしてここまで来ています。あの時期が何となく過ぎてしまって何となく受かっていたら今の自分は無いと思っています。作品性に関しては大学に入ってから探して磨いていくものなので(一生かけて探していこう!)、今の時点で何も無いと言うのが普通だし、全くそれで良いと思います。しかし基礎力に関しては今しか伸ばせない(というか今やっておかないとその後伸びていくための入り口に到達できないまま多分彫刻が好きではなくなる)のです。大学に入ってから、「彫刻って本当に面白いな」って思って欲しいし、前のめりになって活動して行ける力(作りたいものを作れる力)を今、身につけてください!僕は彫刻が大好きだし、彫刻を目指すみなさんを全力で応援したい気持ちです!

僕の制作はデッサンから始まります。僕の作品は完全に具象的な作品で、洗練していくことを目指しているのでバランスやポーズで魅力を欠く事に対して極度に慎重なところがあります。デッサン(ドローイング)は短時間でアウトプットできるし修正も容易なので、デッサンで入念に印象を吟味してから実際の作品に臨みます。(絵で描けないものは彫刻では作れないという事です。)


まだ全てに土がつききっていないですが、この時点でバランスがおかしいと先がないので、心棒も含めてある意味最初の勝負の段階です。表面の造形とかはむしろ簡単で(ただ作ればいいだけなので)、全体をコントロールするところ(作品としての方向性が決まってしまうところ)が一番重要です。

全体に土がついた状態です。まだ細部は意識していないので動かそうと思えば簡単に変えられます。表面はどちらにせよ後々作るので、そっちに気を取られずに地に足つけてここで作品を深めていくことが必要です。大学に入る前にこの段階の重要性を理解して欲しいのと、実際に理想的な状態に持っていく感覚を掴んで欲しいです。


原型が完成しました。ベースが大事だと言っておきながら、作り切る集中力やそこに対する興味関心というのはあったほうがいいと思います。クオリティが放つ魅力というのは基本的に誰も否定しません。

もともと大学ではテラコッタと言って陶器の焼き物で人物表現を続けていましたが、卒業後木彫に方向を変えて5〜6年くらい続けました。その時は塑像はもう一生やらないだろうなと思っていましたが、あるきっかけがあって戻ってきました。ブロンズには元々あまり興味がなかったのですが(というより制作費用が高額すぎて選択肢の中になかった。普通は鋳造は外注するので、このくらいの大きさの作品を依頼するのに多分150万くらいかかる)最初は木彫のマケット(小品)用にブロンズで高品質のものを作ってみようと思い、取り組み始めました。どうせやるなら溶解炉も自分で作ってブロンズを溶かして鋳込みまで自分でやりたいと考え、失敗を繰り返しながらのめり込んでいきました。改良を重ね、今はほとんど失敗せずに大きな鋳造もできるようになりました。自分で鋳造すると安いし(この作品で15万くらい)、何より誰の手も加わっていない純粋さがとても魅力だと思っています。一度展示搬入日に間に合わず、業者に外注した時、帰ってきた作品は多分元の形通りなのですが、全く感情移入できず微妙な気持ちで終わってしまったこともありました。見ている人には同じでも、自分にとってみたら全く違うわけですね。みなさんはどうですか?形が同じなら気にしないでしょうか?僕は形的にダメなのは許せないタイプですが、素材の特性的に自然に出てきたミスというか欠点みたいなもの(例えば鋳造が完璧でなく、部分的にプツプツ穴が出来たとか)はむしろ作品としてプラスだと思っています。(形に影響を与えるものはダメです)あと、彫刻家で重要なのは発明の力です。予備校と違って作る作品は毎回違うし、必要な技術も変わってくることが多いです。そうした時成功までの道筋を自分で開拓できるかにかかっています。少し極端なことを言うと、この世界に新しい作品を生み出そうとするなら、この世界になかった新しい技術が必要になると言うことです。


仕上げ段階です。最終的に作品になるのは「今の状態」なので、これまでのこだわり以上の追求で徹底的に形を詰めていきます。溶接がなかなかうまくいかずヒヤヒヤしましたが、ここまできたら必ずうまくいく確信が持てるので楽しい気持ちだけで進められます。デッサンより塑像の方が、塑像より実材(ブロンズ)の方が、段々魅力が増してくると思います。もちろん各段階でそれぞれ最高にいいものにしようと言う気持ちは変わりませんが、かけている時間が全然違うのでそれだけ詰まった想いの強さが比じゃないのだと思います。実際の作品がデッサンに劣ると言うことはありえない話です。
美術を学ぶって言うことは、普通に学科の勉強をすることと全く違うと思います。学科であれば本人が必要だと思って必死に取り組めば相応の成長が見込めると思います。しかし美術はそううまくはいきません。受験に必要だからデッサンをする。ではうまくならないのです。全ては彫刻に対する「興味関心と憧れ」ですね。多くの人は才能とかセンスの問題とか言いますが、全く見当はずれだと思います。この時点で人によって実力に差があるのは確かです。でもそれを才能の差というには微々たる差でしかなさすぎて、僕にはあまりピンと来ません。それより今上手くなくても彫刻に対しての興味関心が溢れていて感動しながら学べる人。こんな人には後光が射して見えるほどです。

「好きこそものの上手なれ」

僕はこれが美術の全てだと思っています。これから美術を学んでいきたいと思っている人たちにはぜひ心に留めておいてほしいことわざです。

長くなってしまいました。すみません。それでは学生の作品と講評を紹介していきます。


これはかなり上手いデッサンです!端々までかっちりしていていいですね!ラベルも正確だと思います。まず最初に蓋周辺と、ボトルの肩あたりに目線が行くのが特に良いと思いました!床面の表現も前回よりグレードアップできています。しかし床に関してはまだもっとできそうです。作業は平面に沿っていますが、具体的な距離感は差がないです。奥はこのままで、手前にくるにつれて少しずつタッチにピントを合わせていっても良いです。モチーフの描写は素晴らしいです!小川原

レベルの高い素描ですね!
実際に見ていた空間や時間が、言葉の様に伝わってくる感じがします。こんな素描が描けるなんて憧れます!
鉛筆の扱いもとてもよく、主任と同じく床が気になったくらいで、素晴らしい1枚だと思います!
氷室

キャップが特に素晴らしいです。靴よりも描画材が浮いてる印象もなくより自然に絵の世界にスッと入っていけます。良い一枚です。新妻

あ!良い素描!!ものをみる視点が伺えます。そういものはやはり絵として惹かれますね◎(その分床だけもう少し。齋藤


上手いです!自刻像を作った時も部分にかける情熱がすごかったので期待通りの内容です!口角の形の入り込みがよく表現できていて、口を開きそうな感じがよく出せています!小川原

素晴らしいですね!
質感もがっしりと感じられ、言う事はありません!
氷室

よくできてますね、喋り出しそうな感じがしていいですね!魅力的だと思います◎齋藤

口の中に入り込むかたちの追い込み方がずば抜けていいですね!新妻


これはいいデッサンです!質感表現が素晴らしい。いわゆるデッサン的な鉛筆のタッチも無いくらい丁寧に描かれていて感動できます!床のフェイドアウトのさせかたがもう少し自然なら最高。グローブの左右のキワと床の境の少し陰が消えてしまっているところが惜しいです。ものは完璧です!小川原

素晴らしい素描だと思います!
この時期だけでも、彫刻1、素描、自らの可能性を最大限に引っ張り上げていっている姿勢も凄くて、言葉にならないくらいです。
素描だけで画集ができそうです!
同じ床面がスッーとフラットに奥に抜けていたら、どうだっただろうか?と思うくらいです。
これまた質感や色味や弓道の練習の歴史が直に心に伝わってきそうな1枚です!
氷室

床の影が確かに少し気になりますが、それを差し引いてもあまりある魅力です!使い古された年月や生地の厚みも感じられていい絵ですね。何気ないものが描くことで絵の中でとても尊いものへと昇華される、とても良い経験ができていると思います。新妻

これぞ素描って感じですね!質感から匂いまで伝わってきそうです。いいですね◎齋藤


おお!耳は特に良い感じです!立体感、空間感がビンビンに伝わってきます!耳たぶあたりの質の荒さが何となく気になりますが。全体的に彫刻的にかっこいいです!小川原

よく作れてますね!思いっきり表面処理をリアルにしてしまってもこの際良い勉強になりそうですね!新妻

耳ー〜
耳上手いです!!
最高!!
完璧じゃないかな
耳たぶが、もう少しトゥルンとしていれば!!
氷室

面がねじれながら入っていくのがしっかり見えます◎いいんじゃないかな!齋藤

いいデッサンです!完成度が高く、魅力があります。惜しい点2点。顔は斜めにみていますが、口は正面を向こうとして見えます。もう一つは本当に些細なことですが、顎からえらに掛けてのラインに首までの奥行きが欲しいです。その二つ以外に僕は言うことはありません!小川原

 熱量があって、きちんと描ききってあり、素晴らしい自画像だと思います!魅力的な素描です!
洋服や髪の毛の表現も、効果的に作れていてカッコイイです◎
しいて言えば、耳の描き方が力強いので、それに匹敵する眼差しが、パッと画面を見た時にもう少しグッと来ると最高だなと思いました!
氷室
やりきりが素晴らしいです!耳の下の顎の輪郭線が強いのと、ほんの少しだけ奥の目のサイズが小さい気がします。他はいいと思います!新妻
光線もしっかり意識できていていいです◎首もしっかり描けていますね。細かいかもしれませんが手前の肩の洋服が少し平面的に見えてしまうのがもったいないなと思うくらいです。齋藤

生きているようです。(最高の褒め言葉でしょう 笑)でも本当です!モデルを前にして、ただ形を写したわけでは無いはずです。もちろんバランスも気にしただろうし、輪郭も気をつけたし、顔も似せようと観察したでしょう。でも同じ意識をしているはずの最初の方の提出作品とはもうリアリティがだいぶ違います。同じ要素を観察したかもしれませんが、今は前よりもっと要素を感覚的に捉えて感覚的に手に伝えているのではないでしょうか?このクロッキーはどのくらい時間をかけたかわかりませんが、1時間かけた描きだし自画像よりずっとリアリティがあり、作品としての重みがあります。じゃあもしこの感覚がうまいことじっくり描くデッサンにも反映できたら…。めちゃすごいの描けるようになるでしょう!&塑像も同じです!小川原

僕も同意見です。クロッキーのやり方みたいなことからどんどん自由になっている感じがあり、とても良いと思います。今はどんなものでも絵になる!っていう感覚があるんじゃないかな。新妻

いいですね!
グッと見る人を引き込む力があります!
描画材は木炭でしょうか?
洋服周りの質感とか髪の毛の濃淡とか
ゾクッとするくらい、かっこいいと言うか魅力があり、眺めてしまいたくなります◎
全然関係はないですが
ドガのクロッキーか浮かびました!
ドガは、人体の捉え方も素晴らしい作家なので
良かったら、チェックしてみてください!
氷室

前回よりだいぶ詰めてこれたと思います。通常の自刻像でこのくらいの完成度が全体に行き渡った上でバランスが自然だったら芸大も受かると思います!ほんの些細なことですが、瞳に落ちる陰の濃さが違うのは見え方としてばらつきを生むので気をつけましょう。小川原
かなり改善されていますし、今回は両目にした事も、良かったのだと思います◎
質感にも迫れているし、目の作りも丁寧に精度を上げられているなと感じました。
ここまでの観察力と作り込みが、色々この先活かせていけると良いですね!
氷室
若干鼻筋のラインや目の平行が怪しい感はありますが、密度は前回のものに比べてかなり上がってきましたね!目もかげの落とし方や、ハイライトをモリエールのように形として盛り込んでしまったりいろんな表現があるので瞳だけいろいろ試すのもありかなと思います。新妻
よくなってます!左右の歪みがこれ以上いくとちょっと不自然になるかもしれないので気にしといてください、今は自然です!あと目線がすこし合うようなかんじがあるといいかなと思います。齋藤

流石に上手いですね。欲を言うと服(白い部分)と背景の重なるところがやや似てぼやけて見えてしまうこと(結構服自体は描いてあるのに。背景がもう少し鈍くくらいグラデーションでも良いかも)と、顔、手の質感、抵抗感は服以上にやれると最高だったくらいでしょうか。気合い入っているなと言う1枚を見せてもらえて嬉しかったです。小川原

氷室です
いいねいいね
素敵なモチーフで、上手です!!
こんな素描が描けるのは力が感じられます◎
視点、空気、描写、絵作り、興味がバランス良く出せています!
特に指導する必要ないレベルですが、前髪のアーチにもう少し立体感があれば、最高です◎ずっと見ていられるデッサンです!
ちょっとやそこらの気合いじゃ描けないレベルまで持ってきてて良いですねー。
前髪から帽子あたりが気持ち空間が奥に引き気味な気がする以外はけっこう良いと思います。新妻
いいですね!服の描写とかやばいです。思わず見入ってしまいます。モチーフ選びも絵作りで不思議な面白さでてると思います。齋藤
一部紹介しました!次回も力作を期待しています!

彫刻科 延期期間課題講評2

こんにちは。彫刻科の小川原です。時間はあってもどこにも行けないという不自由な状態が続いていますが、作家にとっては圧倒的に自由な時間であるのだと思います。集団で集まるという前提において予備校や大学は仕方ないとしても、芸術家は一人で黙々と作品と向き合うものです。ある意味では予備校生である学生の皆さんも、いち作家として自分を捉えて制作に励む期間にできたら最高に有意義な時間を過ごすことができるのではないでしょうか。
予備校はじまらないし、何もできないよ。とか、だって石膏像も無いし、塑像だってできないしさ。と何かと理由をつけてスタートが切れないと何もはじまらないですよね!
考えてみれば、石膏デッサンと模刻を原点として誕生した彫刻家なんて一人もいないくらいです。
受験で必要だからこれを上手くならなきゃという先入観。これはとても怖いことだと思います。
最終的に真の実力に目覚めるためには何でも興味を持ってどんどん取り組める興味関心、好奇心があるか無いかなのです。誰よりも受験勉強を頑張って受験課題が上手くなったとしてもそれは大学が求める「最低限」の実力でしか無いのです。(それが出来るから凄いとかは予備校以後全くなくなります)
芸術の世界ってものすごく広くて、(なんでもありというわけではなく)予備校大学レベルでは到底分かるようなものではないです。(僕も段々と見えるものが増えてきたように感じていますが、作品を作れば作るほどに次はもっといい作品が出来そうだと思うくらい底がないです)自分の経験からも、予備校生が特訓していることは基礎の基礎の基礎なんだと思います。出来ないと合格はできませんが、出来ることが普通なんだという感覚なのです。だからこそ「今」じゃないかなと思うのです。普通だったら毎日受験のデッサンや塑像をやっているはずなのに、今は全て自由時間です。じゃあ何をやるか。
決まってます。「
自分の表現を模索すること」です!いくら時間をかけてもいいので徹底的に作品と向き合ってみればいいのです。過去の偉大な作家たちなら嬉々としてそうしたでしょう。直接受験と関係なくても、作家としての自分を育てる時間にして欲しいです。大学に入る前にそういう時間が持てるということに対して、僕はむしろ羨ましくさえ思えます。あとはそれをやるのか、やらないのか。それだけです。
さて、昨日までの提出作品の中から特に力作だったものを講評とともに紹介します。

これは、あなたの画集がいつの日ができるならば表紙にしたい作品です!
バランスも取れていて、上手です! 氷室

良いですね。人の形をクロッキーする。と言う視点以上に、その人と自分の関係とか、その人の纏う空気とか、そう言うのを感じさせる1枚です。無駄な仕事がないですね!小川原


家族の横顔でしょうか。上手いです!木炭だけでなく、鉛筆もお手の物なんですね!!20分とは思えない抵抗感と存在感です。欲を言うと、本人を見ていないので絶対ではないですが、やや唇と顎の3つの丸みが似ているのが一番先に目に飛び込んできます。きっと似ているのだと思いますが、よくよく観察するとそれぞれ微妙に差があるかもしれません。この部分だけ少し勢いでいった感があります。今度は斜めや正面から見たクロッキーやデッサンも見て見たいです!小川原

20分でこんなに描けるなんてすごいですね!僕も口と顎のラインがちょっと気になりました。あとはここまで手が入るのであれば、横顔でも正面の顔をイメージさせるような空間の使い方がもう少し出来るとなお良いなと思いました。新妻

絵的には肩や体も少し入れてもよかったかも齋藤

20分でこれだけの質感で印象を持ってくるのは上手だなと、感心させられます。
横顔だと、1番視点に近いのは耳なので、耳と耳上の髪の毛の在り方なんかを、もう少し強く表現できると、全体の持つ量感にもつながってくるのかなと思いました。
あとは、頭頂部が、単調な処理だとしても、少しツルッと丸いのが気になりました。
氷室


これはいいクロッキーですね!木の存在感が伝わってくるようです。強めのタッチでグイグイいくと木とかって感じ良くなりやすいけど、このクロッキーは繊細だけど存在の強さを表現できていると思います。小川原

こういった種類のクロッキーもいいですね!
線の扱い方も、カッコいいです。
幹の分かれる根元とか、もう少しだけ、描き進めても良かったかな
と、木本体の線のアーチの使い方が目線?と会っていない気もしました。
そのくらいです!
氷室

木肌の様子とスケール感が伝わります!いいですね。新妻

いいですね!ちゃんと見えてるものが短時間でも伝わるようにかけてるとおもいます。齋藤


これはかっこいいです!目的がビンビンに伝わってきます。こうしたいと言う明確な意思が見えるので、荒々しいタッチがむしろ爽快でもあります!欲を言えば親指の先端が厚みやや薄いかなくらいなところですが(迷った痕跡があるね)守りに入らず自分を出せた一枚です!小川原

おぉ!こちらも、良いクロッキーですね
かっこいい!!!これまでの作品を集めて画集が作れそうです。
氷室

言うことないです。短時間のクロッキーなのに細部の起伏まで想像できて臨場感があります。新妻

熱いクロッキーだね、勢いがあるけど勢い任せじゃなくてちゃんと止めるところは止められてますね!齋藤


グッときました!クロッキーをバネにして、さ「作品」として完成させられた感じです!首の状況が分かりにくいかなとも思いますが、不自然さはなく、(多分本人も難しいと思ってやってたと思うけど)攻めて終われていて良いです!背景の黒も効いています!これは特にいい作品なので新学期始まったらぜひ本物を見せてく欲しいです!短期間のうちに本当に上達したね!自刻像も早くみてみたいです!小川原

カッコいい!映画のワンシーンのような印象を受けました。背景も効果的ですね。今しか描けない自画像だなぁ、最高です。新妻

かなりイメージを強くもってそれを保ちながら描いてこれたみたいですね。本人の意思が感じられていいですね。すこし服の中の体の形の存在がわかるようになると素描的にはより良くなりそうです。齋藤

これぞ自画像!!と言った感じですね。写実主義より、自分の確かな目で見た証のような感覚や描画材が形とリンクした会館みたいなものが画面から伝わってきます!!特に顔の印象は彫刻的にもかっこよく、絵画と彫刻をうまく掬い上げてきた素晴らしい1枚だと思います。氷室


うまっ!!凄く良い自画像ですね!
自画像こんなに魅力的に詰めて描くことができるの憧れます。徹底的なやりきり、素晴らしいです。新妻

上手ですね!!
顔ももちろんですが、首周りも髪や洋服の質感もしっかり完結しており、光の設定も綺麗ですし、完璧ではないでしょうか。
多分、全科合同の自画像コンクールでも1位を獲得できる気もします!自画像をここまで描けるのは、素晴らしい実力です!氷室

すごい!これは!徹底的にやりきる魅力と言うものが最高レベルで出せていると思います。今まで沢山の自画像を見てきましたが、正直一番うまいと思います。ちょっとこの作品はすごいので新学期大事に持ってきて見せて欲しいです!完璧です。小川原

パーフェクト!!言うことないです。素描上手ですね、これだけかけたらすごい楽しいんだろうなあ。齋藤


体温を感じるような作品に仕上がっています。表情も自然でいいと思います!髪の毛の「質」はよく出せているので、もう一つ頭部の形態感(顔面とのごろっとした繋がり)が見やすいといいです。あとは体、服にもう少しだけピリッと密度を足せば言う事ないです。入試直前の自画像もうまかったけど、ここ最近のクロッキーの上達のせいか、より自然な印象を捉えられていていいですね!小川原

いい自画像ですね!魅力的で、引き込まれますま◎
自分に向き合って、自画像を描く事の意味が分かる様な、今の自分の持っている空気感が伝わってくる様です。
少し上を向いていても、やや頭が短いかなと言う点と、顎から向かって左側の首に見られる黒い線が、少し絵的に気になるかなとか、顔と比較すると鎖骨下の肌がもう少し明るくてもいいのかなと言う印象です。
洋服をきちんとツールとして使う、髪型も表情として取り込む、鼻口もピッと視点が止まる描画、とっても上手です!
氷室

魅力的です!クロッキーで掴んできた感覚的な捉え方と、耳を出したり、首回りの形の理解を深めようと新しいチャレンジをしていく姿勢、とても良いです。
体の光の設定にもう少し明るさが足されてくればなお見やすくなりそうですね。新妻

クロッキーの感覚が活かせてますね!僕も首から下の肌の感じがもうちょっと明るく書き起こして来たらさらにスッキリ見えてくる気がします。齋藤


上手で、ビックリ‼️
思わず凄いなと笑ってしまうくらい、上手です。
彫刻でよく見ていく視点を当てはめても違和感がなく、油絵として色の在り方は私には良く分からない範疇なので、特に今回は指導する点はありません。
手間の頬骨から顎、首周りの立体感を伴う色味の作り方、髪の毛の細やかな重なりの緻密な描写、特に感銘を受けました❗️
こんなに彫刻としても
絵画としても、両方から同時に研究できていく人を、私は自分が生きている中でかつて出会った事がありません。
君の感性や感覚が大学へはいってどの様に開花していくのか!
驚きの範疇であります。
氷室

すごいよね!本当に美術が好きで好きで、ここまで自分を伸ばしてきたんだなと思うと見ていて嬉しい気持ちになります。デッサンもそうですが、ただ見て描くということを超えて作品性について自分の価値観を持って取り組めているところが素晴らしいです!一瞬気になった点を一つあげると、眉間の眉毛の生え始めの位置が違うのか、奥の眉毛が長く見えて、骨格的には狂いがなさそうなのにおでこが顔の正面からねじれてこっちに向いて来ようとしているように感じました。でもこんなレベルの高い17歳は世界的に見ても稀だと思います。自分が高校生の時の感じと比べると恥ずかしくなってしまうくらいです。小川原

素晴らしいですね。彫刻だけじゃなく美術という広い範囲で感じた事を形にしていく探究心と力が本当にあるんだなあと感心します。少し耳が倒れてるかなーという以外は、普通に鑑賞者として飾ってある作品を観てる気分です。このままどこまで山本くんが羽を伸ばして行くのかとても楽しみです。新妻

油絵が観れるとは思いませんでした。すごい上手です、とくにいうことはないです!強いて言うなら形は常に色彩と共にあるというのは視覚の上ではそうだなと思います。しかしたとえ真っ暗な部屋の中でも、形は存在していて、目を瞑っていても手で触れることで感じることもでき、そういう感覚を覚える絵を触覚的なデッサンだねと言ったりするのだと思います。彫刻科が木炭でかくことのうちにはそういった理由もあるんじゃないかと思います。とまぁこんなこと言いましたがとても良い自画像だと思います◎これからもいろんな方向から研究を深めて行ってください。齋藤

彫刻科 延期期間課題 講評

こんにちは。彫刻科の小川原です。新学期開始が延期になり、その間彫刻科では自宅課題を課し、日々制作に取り組んでもらっています。年間の授業数は変わらないように今後スケジュールが組まれていく予定ですが、むしろこの延期期間の間に少しでも実力を高めておくことでより1年間の学びが有意義なものになるよう期待しています。

彫刻科は生徒が提出した作品画像をweb上にアップロードし(本学生しか見れません)、講師全員が講評をしていくと言う形をとっています。学生の作品は個人フォルダに整理されていて、自分以外の学生の作品と講評も見ることができます。また制作に関しての質問もできます。さながら実際の講評に近い緊張感があ理、皆完成度の高い作品を提出してくれています。

と言うわけで、これまでに提出された作品の一部を、講師の講評とともに紹介します。


魅力ありますね。対象を描きたい衝動や、こう描きたい!との意思が心地よく感じられ、上手いクロッキーだなと思います。鼻の下面や向こう側がもう少し何かヒントがあり、感じられると最高です!氷室

サムネイル画像を見た瞬間から惹き付けられるものがありました。今までの作品は終わりのイメージがもう一歩で、「外さない事」に重心をかけすぎて作品としての魅力を前面に出すところまでなかなか行けなかったですが、この作品はクロッキーとはいえ作品性は6hのデッサンより高いです。光の魅力。表情の魅力。額に入れておきたい1枚です。(欲を言うと僕は首の付け根や鎖骨周りがもう少しとっかかりが欲しいくらいですかね)小川原

新妻です。一発めの投稿で良いテンションを感じるクロッキーが上がって嬉しいね。
クロッキーを課題として足した目的は3つあって
①デッサン課題がじっくり仕上げる系なので瞬発力を落とさないため
②自分の中での引き出しを増やしたり、色んな捉え方や表現にチャレンジするため
③自分の生活に近いものを描くことで、感受性と技術の回路を繋げるため
③に関しては、特に家族を描いたりすると深く考えなくても自然とそういうことが感じられて良いと思います。思い入れのある人物やものを捉えてる感性に技術が乗っかってくる感じね。クロッキーに関しては今回のこの感じを基準として、この機会を利用して、色んな時間設定、色んな画材、色んな表現を模索してみるとさらに絵を描くことが楽しくなりそうだね。

とても良いクロッキーだと思います!自然な光と空間を表現できていて、とても魅力的な画面を発生させられていると思います。欲を言えば頬骨から後頭部にかけて見えてくる影のラインがもう少しあっても良いのかなと思いますがそれは欲張りすぎかもしれません。普段のデッサンなどを見ていないのでわからない部分もありますが石膏デッサンなどにもこういう魅力を感じて無理なく画面を起こせるととても良いと思います。この感覚を大事にしていきましょう!齋藤


流石にうまいですね。特に靴底付近の緊張感が出てて良いですね。もう少しだけ光のハイライトを上を向いている面に対して足してあげると靴の側面との形の差が見えてきやすいかなと思います。新妻

レベルの高い作品です!形は完全に正確だと思います。完成度も良いです。やりきりが強い魅力となっています。新妻先生と似たコメントになりますが、この視点ではつま先の面と上面側面の3面がぶつかり合う状態が構造的形態感の特徴だと思います。もっとこの3面のぶつかりを表現してやる事で、本当に立体的にそこにあるように描けると思います。あと、質感の差はさらに目指して行けると良いです。特にソール部分(ゴム質)なんかは鉛筆を寝かして潰していくように調子を詰めていくと他と差が出て、かつゴムっぽさも出ると思います。あと、床面の表現はやや消極的です。水平方向の仕事でフェイドアウトしていけば良いですが、奥は弱めに、沢山、手前は少し強めに少しタッチを残して、奥はティッシュなどでこすってぼかして、手前は手で軽くこすって、そのあと練りゴムでさらうように水平に調整を入れて、など、「床がそこに在る」と言うこともモチーフを描くことと同じレベルで考えていきましょう!小川原

いい素描だと思います!靴紐の遊びがいいですね。その分床を靴紐との空間感で魅せるくらい頑張ってほしいです!齋藤

上手ですね。
手前のソールの少し浮いている感覚とか、ゾクッとします。
紐の崩し方とか、構成も申し分ない技量とセンスを感じます。
個人的には、手前の紐を境に、手前と奥で絵の質感をテクニック的に、変えすぎかなとも思いました。上手なのでそこまで質を離さずとも、靴ぐらいの奥行きと、この描写力であれば、もう少し奥側を描いても空間は損なわれなかったと思います!
氷室


クロッキーだけど結構手がかかってますね。基本的にはよく描けてると思います。これを描いた時の天気は曇りだったのかな?野外の風景を描く時、その時の天気や、光の強さも表現できると臨場感がグッと出てきそうですね。新妻

窓から見た風景でしょうか。情景がスッと入ってきます。傾いたアンテナが最高に魅力的です。前の作品でも触れましたが、原田さんはクロッキーを形をとる練習としてではなく、「絵画」として捉え始めています。とても良いですね。延期期間が終わっても日々取り組んで欲しいです!石膏デッサンや模刻では自分の内面と向き合う事がなかなか難しいですが、こういったクロッキーやドローイングでは画面を通して自己と向き合うきっかけにもなりますね。それは作家性が磨かれると言う事でもあるのです!小川原

なんか街の湿度が感じられていいですね齋藤

いい絵です!
これも原田のいつか出版する日が来るかもしれない画集に加えてもいいてすね♪
何故良いか、それは構図だと思います。
道がやや左端下から、画面の正中線へ向けて伸びていく構成が、右側のボリュームと左側のボリュームを変格して、視覚的に伝えているので、そのアンバランスなバランスが、このクロッキーをさらに良く見せていると思います!
視点の効果づくり、タブローや写真を撮る人は良く考えいるのだと思います。
それを体感で取り込めるのが、彫刻家の素晴らしい所です!
氷室


OH!グッドです!これはすごいデッサンですね!やや中指の先端が大きい感じがしますが、そんなのどうでもいいくらいの完成度の魅力があります!ここまでやってくると圧倒されて何も言えないです!何やってもこのレベルの満足度を目指してください!美術に限界はないので、予備校生(受験)だからと言って受かるための評価に引っ張られなくて良いです。それを軽く超えていきましょう!小川原

凄い上手で、思わず見入ってしまいます!
質感や弾力まで感じさせてもらえる素描です。
しいて言えば、手首が薄いかな?
と言うくらいです!
もう受験しても、何の問題もないレベルです!
あとは、彫刻についてとか、作家についてとか、今の内に興味の幅を広げておけたらいいですよね!
氷室

とても良いと思います。今は描いているときに完全に一人だけの環境で判断をするのも自分一人という状況で、それがとても良い意味でやりきりのリミットを外させているのかなとも思います。また新美で課題を制作していくときも鹿田さんのこのやりきりの感覚に自信を持ってやっていって欲しいです!新妻

スッキリしながらも情報量が豊富でいい素描だと思います!いい感じ!齋藤


木炭に比べて鉛筆デッサンは淡白な表現にまとまりがちですが、触覚的な印象が感じられて結構好きなデッサンです。むしろこんな感じで自刻像もできたらいいんじゃないと言うくらいです。塑像の時よりも落ち着いて作品を観れている感じがします。欲を言うと正面と両側面が見えているのでその奥行き感はもっともっと意識的に出していけると良いです。(擦って鈍くして、と言うのは良いが、例えば口角から輪郭までの段々奥行きが付いているところに対し、頬骨から輪郭までの急激に奥行きがついているところなど、全体的に「奥行きの質の差」が表現出来ていないところが、やや「絵」としていい感じ以上のものに見せて来ないところがあります。そこまで出来たら超イイです!)小川原

ニュートラルな表情が自然に表現できてて良い自画像です。欲を言うと、頭の鉢の形態感、喉元から胸鎖乳突に流れていく首の形、肌に対しての服の馴染み具合がもう一押しあると満足感がでそう。
新妻

デッサンに味があって良いですね。眼差しも自然です。首の形態感がもう少し欲しいなと思いました。齋藤

いい素描!
目の捉え方も、癖っぽさがなく、自然でいいです!
上手いなぁと、感じます。
洋服の特に襟ぐりには、もう少し絵的に奥行きや立体感が出せるといいな。あと新妻先生と同じく、頭のハチの辺りから頭頂部の髪の毛に、もう少し、見えない後ろ側の形も感じさられるくらい、立体感が出せれば、最高です◎
この調子で、自然に捉えられるのは、かなり力が付いてきた証拠です!氷室


素晴らしいですね。この作品は形の正確性はもちろん。体の光と陰の響き合いや省略の仕方(感覚的なタッチの選び方)まで美しいです。欲を言うと頭部はやや陰の印象が弱いので、さらに突っ込んでも良いかもしれません。顔(衣との隙間)に落ちる陰と両手の奥の陰、そしてそこから膝にかけて大らかにつながる陰の印象が特徴として響きあうと最高です!(今は体の魅力から目が離せませんが、頭部にも同じく魅力が与えられると作品全体が強い魅力を放って「完全なる魅力の塊」にできます。もうどんどん描いて欲しいです。小川原

今回クロッキーを初めて見せてもらって、かなりポイントを的確に捉えているなと思いました。是非あらゆる対象をモチーフとして描いてみて欲しいです。新妻

15分間でこの情報量正確にはめられてるのすごいと思います!捉えられてますね!しかも現役生、末恐ろしい、齋藤

15分で…素晴らしいです!
布があるからこその人体の存在をある意味リアルに感じさせる事ができる。そんな先代の彫刻家が、美として制作してきた人体の形の表現を体感させてもらえます!
氷室


好きなものを描いてるって感じがあって良いですね!密度もあり、質の差もしっかり捉えられています。次元の膝とそこに重なる手と拳銃のところでもう少しだけ空間の設定を作れるとなお良いと思います。新妻

クロッキーで感覚的な成長を見せつつ、静物デッサンではすごく完成度の高い作品を出してくれました!最高にcoolですね!次元の足にキリッと合ったピントがかっこいいです。ブリキバケツの質感も素晴らしいです!唯一残念なのはバケツのパースです。軸はまっすぐに。楕円は軸に直交させて、楕円は水平、左右対称に。バケツの輪郭も左右対称にです。それ以外は文句なしです!(台の奥の横線は床と壁の境目かな?それは少し分かりにくいです)小川原

全体的によく描けてます!欲をいえばサングラスのレンズ感がもう少しあってもいいかな。齋藤

いいモチーフ!
自分で組んだモチーフなので、入り込めてしっかり描けています◎
上手ですね!
次元の足元のピントが合う点もしっかり描けていて、魅力的!
次元の相棒の拳銃に、もう少し質感を出しても良かったかなと思いました!
氷室


これは、雰囲気はありますが、何に寄り掛かっているのかな?とか、外なのかな?とか、入り込むための取っ掛かりがやや薄いので、もう少し何か突っ込んで描いても良かったのかな?と思いました。
氷室

具体的に何に埋もれているのかは分かりにくいですが(クッションみたいな感じかな?)柔らかい素材に埋もれて休んでいる感じが伝わって来ます。やはり氷室さんが言うように具体性は弱いですが、「絵」としての深みを感じます。逆に本を読んでいる男性のクロッキーはやや浅さを感じるのですが、その違いは何なのでしょう?自分では実感ありますか?男性のクロッキーは正確に形を取ろうとして少しビビリが入り、結果少し狂ってしまった印象。こちらの作品はそう言う意味での緊張がなく、気持ちよく手を動かせていたのではないでしょうか?そう言う感覚が画面を通して伝わって来ます。小川原

今回提出したクロッキーは三枚とも良い感じですね!小川原さんが指摘しているように、この三枚の中だけでもほんのちょっとのことで印象に差が出てきます。でもクロッキーってそういうものなので、この調子でどんどん描いてみてください。その中で、描き始めて3枚めくらいが調子いいなーとか、飽きて来るとダメだなーとか、逆にちょっと疲れてきた方が印象良くなるなーとか色々見えてきてどんどんものを描くことの経験値が増えて行きます。新妻

目を閉じてるとか俯いてる表情が多いですね。なんかそういうところに惹かれるのかな、見てる方もどこか落ち着いてみてられる印象が持てて、いいクロッキーが描けるんだなと思います。さらに深めて行ってください!齋藤

 

学生の皆さん!今後の作品にも期待しています!

彫刻科 春期講習が始まりました

昼間部講師の氷室です。
春期講習は1課題が2日制作と言うこともあり、人体デッサンやモデル首像など普段回数が少ない課題にも余裕を持って気持ち新たに進められています。
しっかり地山を固めていきたいですね。

春期講習途中ですが預かり作品を紹介します。

ヘルメスのデッサン

さっぱり追うとしっとりし、追いすぎると肉々しくなりますが、そこを冷静に判断しながら、良く探れています!
炭幅も豊かで、表情や髪の毛へもしっかり描写が入っていて、とても魅力があります。良い1枚が出ました◎

モデルさんの首像
骨格を意識してモデルさんを通して理解したことを表現とともに出して行きたいです。
ただ写すだけでなく、自分のフィルターを通した結果が作品に見えてくると、ワンランク高い作品になってきます!
今の時期の試行錯誤が、結果、今しか作れない魅力ある塑像作品へつながります。


力強い表現力、形を拾う力、ここまで隙なく作れる感覚、素晴しいです!予備校のレベルを超えていきそうです!


魅力的な塑像です。外側には見えない、モデルさんの内在するどこか儚げな意識を感じた作品です。付けまつげも良く表現出来ており、効いています!


モデルさんの持っている意思を感じさせる作品です!首像のポイントをほとんど理解した上で、しっかり表現をまとめて来ており、目を引きます!


モデルさんの些細な動きや目線を独自の意識を持って取り入れ、かつ丁寧に追いながら表現で来ています!纏っている空気と温度までも感じさせてくれる、力強い作品です!


粘土と言う素材が作品として活きてくるまで作業がやり取りできており、魅力があります!粘土である意味が感じられてくると、塑像が楽しくなってきます!

今回は以上です。

春期は現役生もしっかり参加してくれており、潜在ポテンシャルに驚きつつ、私も混じってヘルメスのデッサンとモデルさんの首像を一緒に制作させてもらいました。
(アバタ模刻も制作している途中なので、またいつか紹介できたらと思います)


横位置なので、よりニュアンス的にはなってしまいますが
あまり理論的に光と色を考え組み立てていけるタイプではないのですが、とにかく見えている目の前の物を、全て画面に描きたい!と言う気持ちで、それなりに立体として表現するには!?と頭を回転させ描いています。
どちらかと言うと見えた通りにまず描いてみてから、頭の中で構造や動きを成立させていくために色をまとめて行く流れです。
タイプは少し違いますが、構造や動き、空間、光、求める彫刻的結果は一緒です。
こんなデッサンもあります、たまには。


モデル首像は、やはり魅力ではみなさんの方が上かもしれません!

春期の取り組みは、既に確実な1歩になっています!

彫刻科 入試を終えて

こんにちは。彫刻科の小川原です。今年は芸大に2名の合格者を送ることができました。また2021年度入試に向けて全力で取り組んでいきたいと思います!

今年の芸大の入試課題はジョセフに始まり、彫刻Ⅰでは身体をテーマにした彫刻。彫刻Ⅱではアバタの模刻が出題されました。ということで、僕がこれまで長年指導をしてきた中で特にお気に入りの3点を紹介します。

これは前回彫刻科でジョセフが出題された時の合格者の入試再現です。何より全てにおいて印象が良いと思いました。雑味なくジョセフを感じられる作品です。

これは去年の授業作品です。テーマは「狭い・広い」※両方の要素を含むこと
作品は見た通りタンポポをモチーフに構成しています。下手をするとファンシー的になり過ぎてしまいますが、形態のデフォルメの仕方がちょうど良く、構成作品として美しく見えるところが良いです。

模刻はベースの精度が上げられた上で密度を上げていき、具体的になっていく形がその寸前の土台の形と響き合っていないと作り込むほどに似なくなるという事態に陥ります。この作品は作り切った上でアバタとしての印象が素晴らしく良いですが、それは何より作者がモチーフの「形」だけでなく、「アバタの印象」に反応できているから成せる技なのです。

彫刻の入試では基礎力が充実して初めて勝負になるところがありますが、それだけでは足りません。ミスがないこと以上に、作品としてどうなのか。ということをビジョンに入れて日々の制作に打ち込んでいきたいです。

先日twitterにも上げましたが、僕の新しい作品が完成したので紹介します。

「水中花」
ブロンズ
H80×W40×D25cm

テラコッタから木彫に素材を変えて、さらにブロンズ鋳造を始めて数年が経ちました。30年くらい前はブロンズで作品をつくる作家も多かったようですが、近年はめっきり減りました。FRP(素材はプラスチックですが、色をブロンズ調にできる。安価で手軽。)が登場したことや、ブロンズに作品を置き換えるのは外注になるので、1つの作品を作るにも高額となるためだったり、単純に塑像作品でブロンズまでやるというストイックな作家がいなくなっていきているということもあると思います。
僕は大学時代から今までずっと誰の手も借りずに自分の作品は最初から最後まで自分で責任を持ってやりきるという思いでやってきました。それは単に自分の作品を自分以外の人が手を加える事への拒否反応みたいなもので、そんなこともあり、ブロンズ鋳造は習ったことはないですが自分で鋳造炉をつくり、原型から鋳造型、鋳込み、仕上げまで全て一人で行なっています。
ブロンズを始めた頃、どうしてもうまくいかなくて仕方なく業者に鋳造を頼んだこともありました。戻ってきた作品は完璧に鋳造がうまくいってるはずなのですが、「え?こんな形だったっけ?」とどうしても馴染めず、後悔したものです。今は鋳造まで全て自前なので、納得のいく完成を迎えられています。多分自分以外の人が外から見たら全然わからない差なのかもしれませんが、自分にとってはそれが全てなのだと思います。素材だってうまく着色したらブロンズとFRPの区別だってつかないくらいにできるでしょう。でもそれは何より自分に嘘をついているという意味で、「作品」とは言えなくなってしまうのです。こういうこだわり方をすること自体が今の美術界の中ではもはや時代遅れだと言われてしまいそうですが、結局は自分がこうしたいなと思ったことを迷わずやることが結果個々の特殊性に繋がっているのではないかなと思っています。
思えば浪人時代もそうでした。小川原のデッサンは彫刻的じゃないんだよな。と先生に言われ続けながらも、自分の理想のデッサンのあり方を一切曲げずに貫きました。というより自分の見ているビジョン以外に全く興味がなかったというのが本当のところです。「こういうものだ」ということには目もくれずにひたすら理想を高め続けました。僕のデッサンは僕一人だけのものでしたが、最終的には彫刻科のデッサンはこういうもんだ。という大勢が何も言えなくなるくらいのものにしたと思います。
大事なことは、自分で価値を見出すということが独り善がりであってはいけません。全ては基本を突き抜けた先にあるのだと思います。受験生の時から自分自身の意思を明確にしていくことが大事です。