日別アーカイブ: 2023年2月4日

彫刻科:2月になりました。

講師の新妻です。

先日芸大の卒展を見てきました。新妻が新美で働き始めてから最初に受かった子たちが学部4年生になる代なのもありどんな四年間をすごしてきたのかなーと思いながら鑑賞しました。

廣瀬鞠子「夜の海」

色違いのモールが編み込まれています。インパクト大で展示空間の中でも一際目立っていました!イメージを膨らませるような詩的なタイトルも素敵でした。作家本人には会えずでしたが作品を見るかぎり、実りある有意義な四年間を過ごせたんだなあと感じました。本人が目の前で解説せずとも作品だけを介して思いを巡らせられる時間が個人的には結構好きです。これからどんな作品を作っていくのかとても楽しみです!(そのあと本人と連絡がとれてここに掲載する許可もちゃんといただきましたヨ。)

かつては彼女も新美のアトリエで奮闘していました。今の皆と同じです。好きなこと、やりたいことを高いレベルで自在に表現するために今の受験実技も地続きで繋がっています。残り少なくなってきた試験までの時間をそれぞれがベストを尽くせるよう悔いなく過ごして欲しいと思います!

では最近の生徒作品の紹介に移ります。昼間部から

上から下まで走っている円盤投げらしい大きな稜線が明快で見やすいデッサンです。逆に割り切りすぎなきらいがあるので、もっと整理しきれないような形や表情も掬いとっていくような手探りな仕事が像のリアリティーにつながるのではないでしょうか。

 

難しい位置ですが良い精度です。こちらは逆に細かな味は豊富に感じるので、ストレートな体の大きな量や面の印象がもう少しほしいところです。

 

顔面の追い込み方に熱量出てきました。全体でぐるっと眺めたときの引きの印象をさらに近付けたいです。

総合的な量と表情(ニュアンス)のバランスが合っていて好感が持てました。もう少しターバン側も仕事したいところです。

横位置ならではのスケール感を、距離や状況による設定作りでうまく表現できています。

高い水準でバランスをとりながらやりとりできています。目の印象と、前髪付近の立体設定が甘めなのが惜しい!

入試直前講座1回目のコンクールの作品です。印象の良さと決めつけすぎない自然さが魅力的な一枚です。自然さの中にも立体理解に裏付けされた明快な設定がもう一層入ると言うことないです!

同じくコンクール作品。無難、、ではありますが、対象を軽く見積もらず着実にクオリティーを上げられる戦法を選び、またそれをしっかりとものにしてきました。落とせない実技だと思います。

上へとのびやかな構成がきれいです。布の表情もよく観察して粘りました。手渡しモチーフがある場合、模刻的な精度以上に「そのものらしさ」をより強く引っ張り出したいですね。

表情の自然さが好印象です。後髪の作りにもう少し彫刻としての意味づけが感じられるとなお良いですね。

 

・続いて夜間部です。入直に突入してからみんなメキメキと成長しています!

奴隷の動きと形態のメリハリが小気味よく顔も似ています。ここにきて上げてきましたね〜。ハーフトーンや表現の幅を増やしていけるとgoodです。

重さを感じる表現がいいですね。丸ごと掴むように捉えている体に対して、頭部はまだ絵的に合わせようとして良い流れに乗り切れていないので、そこが一致してくるととても強いです。

 

上と同一作者です。画面の統一感、形の精度、探り、表現が現時点でできるギリギリを更新できた一枚だと思います。イーネ!

 

・続いて基礎科生です。時間をかけながら1つ1つの課題に真摯に取り組んでいます。みんな楽しそう。

マスクの精度にこだわりながら制作していましたね!最終的な構成も自然さの中にも空間的な見せ場を設定できていて良いですね。根性ある!

基準を明確にしつつ丁寧な仕事を積み重ねるやりとりに成長が感じられる一作でした!この調子!

ともするとマスクの重量でヘタってきてしまいそうな絶妙な均衡を、建設的な芯棒で安定させることで質の差の引き出しまで密度ある仕事ができています。マーベラス!

 

点で触れ合いながらの空間を使った構成で、見た目以上に難易度が高いですが持ち前のパワーでしっかり責任を持った仕事が行われています。エクセレント!

高校1年生でこの精度と作品に対するこだわり、恐ろしい!置いた配置の構成の中にも作者のセンスが窺えるところがグッときます。渋いね!

 

今回は以上です。一段と寒くなったので体調に気をつけて!