日別アーカイブ: 2021年10月11日

彫刻科秀作紹介

こんにちは、彫刻科講師の新妻です。

朝夕はだいぶ涼しくなってきましたね。気温が落ち着いてきて制作が捗る季節ですね。と同時に受験生にとっては日々の制作がマンネリズムに陥りやすい時期とも言えます。

描く力と観る力は車体の両輪のようにバランスが偏るとうまく機能しなくなります。ここでいう観る力とはモチーフをどれだけ細かく観察できるかということだけではなく、あらゆる情報からそのものらしさに繋がる本質を掬える力であったり、描いたり作ったりする対象に感動できる力、またその初期衝動のドキドキを保ち続けられる力も含まれると思います。長めに制作時間が確保できるこの時期だからこそ、受験に受かるためだけでなく「FUN(楽しむ)」の部分も持ちながら制作に挑戦、没頭してほしいと思います。毎日課題に追われてるだけだと難しく感じることもあるかもしれませんが、意外とそれがあらゆる問題を解決する糸口になったりします。人を感動させる作品はまず作り手自身が感動して制作しているものですよね。

では作品紹介に移ります。

高い描写力が気負いのない佇まいに説得力を持たせていています。明快さと自然さのバランス感覚がいいですね。

光の演出が人物を魅力的に魅せています。ふわっとした調子と空間の抜け、意志の強さを感じさせる自画像です。

円盤投げの複雑な動きの印象を明瞭に捉えていますね。顔の印象をより近づけられるといいですね。

ゴロッとした大きな形のぶつかり合いを感じる表現が魅力的です。奥側への回り込みをさらに感じさせたいですね。

大きな量の模刻ですが要点を抑えながら仕事が出来ています。ここからのクオリティーを欲張りたいですね。

孔雀バトの高貴さと可愛らしさが伝わってきます。前面側の形の張り感の対しての尾っぽのシュッとした華やかさに印象が迫れるといいですね。

動物塑像と合わせて描いたドローイングです。動き回る動物を観察しながら、緩急のある線で存在感をよく捉えています。立体作品を作る上でまず紙の上でイメージを立ち上げることはとても重要です。

続いて夜間部生の作品です。

炭をうまく消化できていて髪、肌、衣服の固有色がクリアに感じられます。自画像ならではの作者の等身大の今を感じます。

全体の印象が描き出しから安定してきましたね。もともと持っていた完成度の高さがうまく機能しています。

ハーフトーンの幅が広がってきました。やり切りのパワーとそこにたどり着くための出だしの目的意識を高めていきましょう!

まだざっくりさは残りますがジョセフの印象をガツンと打ち出せているのが気持ちいいです。

臨場感を感じる描き味です。顔、髪の毛のディティールを大きな頭の形態にのせていけるとgoodです。

 

今回は以上です、また次回!