彫刻科の新妻です。受験生にとってはコンクールの秋ですね。先日の全国石膏デッサンコンクールはいかがだったでしょうか。
彫刻科にとっては実際の試験時間+2時間だったので、採点係として携わった身としては、印象よくまとまっている、というところからさらに踏み込んだ観察とクオリティを期待しましたがまだそこまで描き上げてくるデッサンは少なかったなと感じました。加えて、魅力ある絵作りがぱっと見目を引くものでも、一枚の画面の中での気配りが行き届いておらずマイナス面が目立ってしまう絵や、モチーフの捉え方が強引になっている絵はなかなか上位に推せなかったなという印象を受けました。うーむ、まだまだ気にすることは多そうだ、がんばっていきましょう!
受験としてのサイクルで考えると公開コンクールがイメージ的には折り返し地点なのかなと思います。自分の立ち位置、何が残りの時間で必要なのかを確認できる公開コンクールにしたいですね。
それでは最近の預かり作品の紹介です。
画面全体を貫く大きい空間のイメージが早い段階で作ることができ、最後まで引きつげましたね。この調子です!
マルスのゆったりとした姿勢と物憂げな印象が大事になってくる位置ですがよく捉えられています。
立体的にしっかり把握できていないと奴隷の顔って描けないですよね。そのお手本のようなデッサンだと思います。抵抗感感じる仕上がりもいいですね。
持ち味の柔らかな炭づかいと自然な観察がしっかりはまりましたね!この感覚を大事にしていきましょう!
落下の動きを予感させる構成が面白いですね。全体像が見えるのが早かったぶん、作り込みはさらに欲張っていきましょう!
狙った通りの構成を作るためには物理的な強度をクリアする芯棒を作れるかが鍵です。
今回は安定感ある芯棒で本来の力が出せたのではないでしょうか。
上から下までの主要な関係がバチっとハマってる印象がぱっと見で目を引きます。作り込みもしっかり押さえ込めていて形態感がクリアです!
若干細かい起伏をピックアップしすぎた感はありますが流石の模刻力です。一回一回で新しい発見を増やすつもりでさらに目を鍛えていきましょう!
続いて夜間部の作品です。
パーツごとの印象の拾い方の巧みさは浪人生も参考にして欲しいレベルです。欲を言うとトータルでの動き、組み立てにはまだ詰まったぎこちなさが若干残るのでさらに高いレベルを狙っていきましょう!
明快さが気持ちいいデッサンです。右側の肩が体の動き、辻褄から外れて見えたのが惜しかった。全体の中での動きや力のたまりの印象まで再現できるとグッとグレードが上がっていきます。
最後に展示のおしらせをいくつか
大学時代の先輩で、取手校での大学院時代は大変お世話になりました。そのころから制作されていた作品なので見に行くのがとても楽しみです。
森靖 「Ba de ya」
2020.9.26〜11.7
水、木、日 14:00〜19:00 金、土 14:00〜20:00 月、火、祝 休廊
PARCEL
東京都中央区日本橋馬喰町2−2−1DDDHOTEL 1F
石で具象彫刻を作っている先輩です。形に対する向き合い方など、在学中から刺激を受け続けている方です。今回の展示も必見です。
今野健太 「析出」
2020.9.26〜10.31
金、土、日のみオープン
HARMAS GALLERY
東京都江東区清澄2−4−7
最後は新妻が出しているグループ展です。柏市をあげてのアートイベントの一環の企画展です。日本画科の名雪先生も出品されています。
コロナ予防をしっかりした上で見にいき、いろんなインプットでリフレッシュしてください。ではでは