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1学期最後の課題。

彫刻科の小川原です。コンクール明けの3日間、昼間部では普段描かないベルベデーレやヴェンナのヴィーナス、組石膏等好きなモチーフを選択して描く課題を行いました。日頃良く描く石膏像に慣れ切ってしまうと新鮮な目で見れなくなってしまいがちですが、たまに気分転換の意味も込めてこういった課題をこなす事で再び素直な目を取り戻すきっかけになると思います。
それでは今回の優秀作品を紹介します。
K.S君の作品。倍版サイズの木炭紙です。
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まるで岩の塊のようなベルベデーレが力強く表現できています。量感と筋肉の構造とが複雑に絡み合い、実感のある探りが打ち出せています。欲を言うと台座やお尻の割れ肌の表情の描き込みや、奥の脚の腹部からの距離感がもう一段階はっきりと出せると良かったです。

Y.M君の作品。倍版木炭紙です。
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形態に対する粘り強い執着と探りが作品の完成度の高さを引き上げる事に一役買っています。ここ最近自分で作品の方向性をコントロールして決着を付けられるようになってきました。さらに深いやり取りが出来るように今以上に視野を広げていきましょう。

R.Y君の作品。倍版です。
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非常に丁寧に像に迫れています。さらに丁寧でありながら表面的でなく、像のリアリティに迫れている事に好感が持てます。台座の表現が強すぎて像より主張してしまっているのがもったいないです。本当に見落としが無いか考えられる事は全て確認し、不安は取り除いてしまいましょう。

T.U君の作品。2日間制作。
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とにかく良く描けています。ここまで描けたら何も言う事は無いです。ただ、今回も途中ほとんど進まず、攻めあぐねていたように、やりきらない状態で先に進めなくなってしまうときがあるのがすごく恐いところです。どうやったらいいとかそういう事ではなくて、単純に今持っている技術でもっと手数を与えていけばいいだけの話です。簡単に出来上がってしまった作品は、例え技術的に上手くても本当に薄っぺらく見えてしまいます。そうならないよう毎回自分の限界プラスαくらい詰めていくつもりで挑んでください。

A.Hさんの作品。2日課題。
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ミロビ背面は表情が少ないので具体的に描くのが難しいのですが、この作品は微妙な起伏に反応し、豊かな量感を表現する事に成功しています。とにかく描く力は十分にあります。しかしそれに一生懸命になって視野が狭くなり、出だしで形が大狂いして、それが最後まで直しきれない(最後まで全体が見えていないので違和感が見極められない)のが最大の弱点です。これは意識の問題とクロッキー力不足の両面に課題があるのですが、意識の部分に関しては明日解決できる事であるので厳しく受け止めてもらえると良いです。これさえクリアできれば一気に受験の土俵でトップに上がって来れるポテンシャルがあります。

さ、これで1学期の授業は終わりです!それぞれの問題点ははっきりしてきました。
皆第一希望の大学に受かりたい!と思っている事に間違いはないし、僕達講師陣も全員受からせたいと思って指導しています。僕らはそれぞれの成長が最も早い道を探して即効力のある指導を毎日心がけています。皆も受かる為に必要な努力を責任を持ってやり切って下さい。主体性を持って課題に立ち向かってもらえたら僕らの指導もダイレクトに伝わるはずです。来年合格する為に、自力でゴールに向かって歩んでいく覚悟を持って下さい。僕らは全力で支えます!