月別アーカイブ: 2014年2月

基礎科 立体の作品&制作中!!

基礎科講師、彫刻担当の加藤です。3学期に入り、受験生は大変な時期ですが基礎科も元気に制作に励んでいます。
今回は、最近出来上がった立体作品を紹介します。立体にあまり馴染みがない人も多いかもしれませんが、立体は平面的なデッサンなどの制作をする上でもとても大切な感覚を養うことが出来ます。みなさん是非!!立体を経験してみましょう!!

まずは彫刻の石膏模刻です。基礎科でもこの時期になり経験を重ねていくと、このように大きくて動きの強い石膏像でも、かなりクオリティーの高い作品が仕上がってきます!!

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ガッタメラータ かなり作り込まれていて、顔の印象も良いです。

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ヘルメス 完成!とまではいきませんが、かなり印象があってきています。

 

次に、工芸の台座プラスかぼちゃの模刻です。彫刻の専門課題の時に、工芸志望の学生はこのような課題にも対応できます。
細かい種までしっかり作り込んでいて、きれいな台座との対比もとても良いですね。

 

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そして今週から、まだ制作途中ですが石粉粘土を使って、りんごの模刻&着彩を行っています。この課題は主にデザイン志望の生徒ですが、希望者も一緒なり制作中です。今週は造形で、来週から着彩に入っていきます!!

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このように、様々な立体作品が制作されていっています。りんごの着彩が完成したら、またブログにアップしたいと思います!!お楽しみに!!

東京五美術大学連合卒業・修了制作展

こんにちは。
2/20~3/2まで、六本木の国立新美術館で、「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」が開催されています。
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
国立新美術館HP→  http://www.nact.jp/

本日2/22(土)は、近くの六本木ヒルズ・ハリウッドハリウッドホールで、「美術系進学相談会」も実施されています。
大学や専門学校などがブースを出して、進学相談をするイベントです。http://www.sanpou-s.net/search_event/event_img/23083/23083_event_pdf.pdf
新宿美術学院もブースを出して、皆さんの受験相談に応じています。
合格者の参考作品も持って行っていますので、そちらにもぜひ足を伸ばしてみてください!!

2/16  国立校 1日体験講習でした。

新宿美術学院 国立校 基礎科です。

先週は、又大雪が降りました。
山梨から通ってくれている生徒さんは、電車がしばらく不通とのこと。
都会で雪が降ると、本当に大変です。

駅前は真っ白になっていました。
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桜の木も雪化粧です。
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2/16(日)は、1日体験講習でした。
まだ、道路には雪が残っていましたが、
皆さん、時間通りに来てくださり、熱心に講習を受けていました。

初級 モチーフ。
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中級 モチーフ。
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デッサンが初めて・・・という人もいますが、鉛筆の削り方から始めます。
お手本になる参考作品もたくさんありますので、心配せずに参加してください。
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初級コース 講評。
皆さん、初めてのわりには、時間内に仕上げる事が出来ていたようです。
こんなに長時間、リンゴを観察したのは人生初ではないでしょうか。
そして、他の人の作品を見ることも大切です。
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中級 講評。
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1日体験講習では、一人ひとり、個人面談も行いますので、
何となく美術系に行きたいなぁと思っていた人も、
自分がどの学校のどの学科に進めばよいのか、
進むべき方向が、具体的に見えてきます。
3/2(日)・3/9(日)・3/23(日)にも1日体験講習がありますので、
ぜひご参加ください。
お申し込みはこちら

ホワイトについて③ ジンクホワイト編

こんにちは。油絵科の関口です。
2月に入って何回か雪が降りましたね。電車が動かなかったり、靴がびしょ濡れになったり、入試と重なったり・・・大変な思いをした人も多かったのではないでしょうか?
実は油絵具にはこの雪を表すのに適したホワイトがあるんですよ。知っていましたか?
今回は雪を表現するのに適しているという、ジンクホワイトについて書こうと思います。

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これは僕の生まれ故郷、新潟県の雪景色。晴れるととても奇麗です。(2005年撮影)

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でも実際に暮らしてみると奇麗なんて言っていられません。何せ3mも積もる豪雪地帯です。

 

ジンクホワイトについて
ジンクホワイトは比較的歴史の浅い色で、18世紀後半に初めて作られました。絵具としては19世紀に使われている例もあるようです。
ジンクホワイトは日本語では亜鉛華(あえんか)と言います。化学的には酸化亜鉛の事を指します。そういえば、最近では油絵具だけでなく、アクリル絵具でもジンクホワイトを出しているメーカーさんもありますね。実際これを読んでいる皆さんの中にも、使った事がある人もいるのではないでしょうか?

 

ジンクホワイトの特徴
ジンクホワイトは、青味のある寒色系の白として知られています。人間の目には青味がある白をより白く感じるという習性があるので、色としては純白に近いイメージになります。この為、雪を表すのに適しているホワイトという事になります。(ちなみに油絵具メーカーのマツダでは、寒色系のグレーはほぼ100%ジンクホワイトと混色されています)
反面、ホワイトの中では一番着色力と隠蔽力が弱く、他の色と混ぜた時には効きが悪く、時間が経つと更に色が食われていく傾向にある様です。他の白と比べると若干透明感があり「あなたの色に染まります…」的な奥ゆかしい女性の様な(笑)、日本的で優しい白と言っても良いかもしれません。
シルバーホワイトとは違い、毒性も無く、どの色と混ぜても化学変化を起こさないので、混色制限もありません。

亀裂、剥落という問題
日本では、ジンクホワイトは素晴らしい絵具として一時期脚光を浴びた事があります。初心者の絵具セットには必ずと言って良いほどジンクホワイトが入っていた時代がある位です。
しかし、ジンクホワイトには他のホワイトにはない大きな欠点がありました。それが絵具の亀裂と剥落です。優しい素振りをして、とんでもない一撃を喰らわす、恐ろしい一面を持っているんです。この辺もやはり女性的です(笑)。いえいえ、決してこのブログを読んでいる貴女の事ではありませんから(笑)。

油絵具のジンクホワイトは、乾燥の過程で油と反応し、金属石鹸というものを形成します。乾燥後も金属石鹸は作り続けられるため、その分の体積が増え、固まった絵具がヒビ割れ、終いにはジンクホワイトの層から根こそぎゴッソリと剥落してしまう、というのです。
もう一つはあまり知られていない事実ですが、ジンクホワイトは乾燥の過程で薄いガラス状の膜を形成し、その上から乗せた絵具が滑ったり、その層から剥がれやすいという事が判明しています。
要するに下の層には適していないという事です。
特に厚塗りをしてしまった場合は、剥落のリスクが高くなります。
よってジンクホワイトは「一番上の層に使う」「厚塗りをしない」「寒色系の色と混ぜる時に使う」というのが正しい使い方だと思います。

今では毛嫌いしている作家さんも多く「ジンクは使わない方が良い」と言っている方もいる様です。多分痛い目に遭ったんでしょうね?実際はそんなに酷い絵の具という事ではありませんが、扱いの難しい色なので、気持ちは分からないでもありません。

 

雪を描いた画家
新潟県出身で富岡惣一郎(1922?1994)という画家がいます。その方は雪を表現するのにどうしてもジンクホワイトを使いたくて、独自に改良しヒビ割れや黄変の無い、美しいジンクホワイトを作ったそうです。

20140214202701-0001富岡惣一郎 1976年制作 「妙高山A」

 

どうやってその絵の具を作ったのかはわかりませんが、雪の冷たさを出すのに徹底的にジンクホワイトに拘った様です。ヒビ割れないようにするための苦労は、恐らく並大抵の事では無かったと思います。シンプルで美しく、独自の世界を築き上げたそのホワイトには「トミオカホワイト」という名前が付けられています。20140214203108-0001富岡惣一郎 1984年制作 「信濃川-卯の木D」

 

更に、絵具を厚塗りして冷たい雪の表情を描く為、特大のペインティングナイフも日本刀の刀鍛冶に特注したと言われています。また、後に富岡さんは「取材には雪上車、漁船、モーターボート、船、セスナ機、ヘリコプターを惜しみなく使った」と語っています。ハイアングルの絵は、ヘリかセスナで取材したものなんでしょうね。

20140214202602-0001富岡惣一郎 1981年制作 「雪山並みB」

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富岡惣一郎? 1976年制作 「北アルプス槍ヶ岳A」

僕も同じ雪国・新潟県出身者として、10年ほど前に南魚沼にある富岡惣一郎さんの美術館「トミオカホワイト美術館」を訪れ、白銀の世界に感銘を受けた事があります。
皆さんも新潟県を訪れた際には、是非一度トミオカホワイト美術館へ行ってみて下さい。ちょっと不便な所にありますが、行ってみる価値はあると思いますよ。

トミオカホワイト美術館
〒949-7124 新潟県南魚沼市上薬師堂142
TEL/ 025-775-3646

 

個性を大切に。

こんにちは、基礎科講師の佐々木です。

先週に引き続き記録的な大雪となり、厳しい寒さが続いていますね。
雪、とてもきれいだけれど、受験生達にとっては、ちょっと迷惑な存在ですね。交通網の乱れや、歩きづらさ…試験時間を短縮した学校もあるようです。
どんなトラブルがあっても、しっかり、積み重ねてきた自分の力を発揮できますようにと、日々受験生達に念を送っています。

まだ受験ではないけれど、基礎科の生徒達も、そろそろ基礎科卒業に向けてそわそわしています。

こんなデッサンで、来年から大丈夫なのかなあ。受かるのかなあ。と、もうすっかり受験に視線が向いているよう。
本人達は気づいていないかもしれませんが、実力は、しっかりついてきています。
初めて描いた作品と今の最新作、比べてみてください。

今日は、そんな高校二年の日本画専攻の生徒の、着彩制作過程を紹介したいとおもいます。

 

先日の専門課題でのモチーフ。
剥製・グレープフルーツ・いちご・折り紙・麦の穂 です。
過去の芸大の二次試験課題を、少しアレンジして出題しました。

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まずはデッサンをしっかりとして、そこから色を入れて行きます。
着彩は、鉛筆+絵具の組み合わせで色々な表現をする課題です。鉛筆でやった方が良い所、絵の具の方が表現しやすい所。枚数を重ねながら、自分に合ったデッサンと絵の具の分量を見つけて行きます。

この生徒はフクロウの模様や爪、イチゴの種など細かい部分をデッサンの段階でしっかりと描き、絵の具で潰してしまわないようにという気遣いをしていますね。
色の入り方も、全体に手を回しながらバランスよく進められそうな予感がします。

 

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光の方向、状況の違いなど気にしながら、どんどん手を回して行きます。

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全体に色が入り、台上のものが仕上がってきました。
物が落とす影が入ると、ぐっと空間がひろがりますね。

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最後にフクロウを描き込み、完成へ。
絵全体のピントが合いました。

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細かい毛並みを意識しながら、体の立体感に合わせて模様をかき込めています。

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イチゴも、外に出ているイチゴと、パックの中のイチゴ。差を観察しながら表現できていますね。
デッサンでしっかりと描いておいた種が良い効果に繋がっています。

まだまだつたない部分はありますが、日本画にとって大切な「物を良く観察する」ということと、鉛筆、絵の具の技術が噛み合ってきたのではないでしょうか。

他の生徒達の作品も、力作があがってきています。

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同じものを描いているのに、みんなそれぞれの個性があります。面白いですね。

日本画は、写実的にものを描く事を積み重ねていく科ですが、それは、写真のように描けるようになることではなく、同じものを描く中で出てくる「それぞれの個性」を見つけ、磨くための練習だと、私は思っています。
同じフクロウの剥製を見ても、「表情がかっこいい」と思うのか、「毛並みが柔らかそう」と思うのか、人によって違います。そんな人たちが、同じフクロウの剥製を描いても、きっと同じような絵にはならないですね。
その個性が、やがて大学で絵画を描くようになったとき、その人の絵になる。
日本画の受験課題は、「写真みたい」とよくいわれるように、窮屈で個性がないものと思われがちなのですが、そんな事は、ないのです。
パッと見のバリエーションはないですが、ちょっとじっくり見てみてください。受験生の絵の中にもたくさんの個性があって、とても楽しいですよ。

話がそれましたが…。
なので、ものをしっかりとありのままに描写できながら、それぞれの個性が見えてくると、教えている私たちもとても嬉しいです。
元々持っている個性をしっかりのばしながら、ものを描く力をつけていけるように。そう思いながら日々指導しています。

現在高校二年生の人は、次の春期講習から受験科に進む事になります。
その前に、ちょっと予備校を見学してみたい、課題を体験してみたいという方は、
基礎科の体験へぜひいらしてください。各コース、1週間分の無料体験が可能です。
来週からは月火水・木金土・月?金・日曜コースで専門課題を体験する事ができます。
土曜コースは来週が人物ヌードデッサン、再来週から専門課題になっています。

受験生になる前の、大切な期間。
少しでも悩み、質問がある方、まず何が分からないのか分からない!そんな人ほど体験へ。
すっきりした気持ちで春から走り出しましょう!