映像科:映像科のデッサン

こんにちは。映像科講師の森田です。
一学期がはじまって二週間経ち、少しずつ新しい教室に慣れてきた頃だと思います。

写真は今年から映像科のアトリに設置された本棚。合格者のポートフォリオなど入試に関わる資料はもちろん、映像関係の図書や図録など充実してます。今後も増えていく予定なのでお楽しみに。

GWまでの授業では写真や映像を使った課題を中心に制作してますが、先週は「描写基礎課題」として、映像科には苦手意識を持ってる人も多い(?)鉛筆デッサンを制作しました。

初日の課題説明では「そもそもデッサンって何?」というテーマで、ファイン系、デザイン系など各専攻ごとのデッサンの違いについて見ていきました。映像科は美大ではデザイン系と括られることもありますが、デッサンを見ると、どの専攻とも少しずつ異なる独自の傾向があります。とはいえ、今回はあくまでも「鉛筆による描写の基礎」といった内容です。

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新美の1Fのギャラリーの合格者作品の展示も今週金曜日までとなりました。
武蔵美の感覚テストや小論文が展示されています。

先端芸術表現科の新学期の様子

こんにちは。先端芸術表現科です。

新学期が始まり2週間が過ぎました。
火曜水曜は小論文と素描を一週おきに行いながら、日曜日は生徒自身の制作や表現のきっかけとなりうるような課題を行っています。

最初の日曜日に行ったのは、「一分間」の作品を作るというもの。

「作る」という行為は、その結果としての造形物を見せることを目的とするのではなく、それ自体がある持続であり、時間を伴います。「1分間」という時間それ自体をどのように「作る」のかという課題を通して、「作る」という行為や「作品」と呼ばれているもののなかで自明になっていることを、再度意識化し、捉え直すことを目指しました。

4月21日(日)に行ったのは、「うつす」ことを考えるワークショップと課題演習。

移す、写す、映す、など「うつす」という言葉には多くの漢字が当てはめられるように、この「うつす」という行為は表現を考えるために非常に多義的であると同時に重要な問題を抱えています。午前のワークショップでは、グループになってお互いの影をなぞる、鏡の中の自分をなぞる、フロッタージュとデカルコマニーなど、イメージの生成をめぐるいくつかの方法を皆で試しました。

そのうえで午後は、「うつす」ための方法を自分なりに考えてもらい講評会。かなりいろいろなことを短時間で行う濃密な時間になりましたが、前期はこのような課題を繰り返しながら、生徒自身で自らの興味や制作の手掛かりになるものを、そのつど見出していってもらうことを目指しています。

  

来週の4月28日(日)は校外学習で美術館見学、ゴールデンウィークを挟み5月12日(日)は、最初の作品講評会というスケジュールになっています。

新学期はスタートしましたが、受講の相談、見学なども随時受け付けております。
先端芸術表現科の授業時間は、火曜日水曜日の17:30-20:30、日曜日の9:00-16:00となっております。

 

 

クリムトについて③風景編

こんにちは。油絵科の関口です。今年のゴールデンウィークは10連休ということで、旅行に出かけたり、家でノンビリしたり、皆さんも色々と計画を立てていることと思います。以前も書きましたが、都内では2箇所の美術館でクリムトの作品を見ることができますので、まだ連休の予定が決まっていないという人は、この機会に是非訪れてみて下さい。

さて、クリムトといえば煌びやかな人物画が有名ですが、実は風景画もたくさん描いていて名作が多いんです。クリムトの風景は彼の描く人物と同じように、平面的で装飾的な要素も絡めながら独特な世界を作り出しています。
タッチを使いながら、モザイクのように色を並べながら描いていますね。画面全体を覆う緑系統のグレーの中に、補色に当たるポピーの赤い花を散りばめ、見る人の目を楽しませてくれます。よく見ると数種類のお花が描かれていて、ボッティチェルリの「春(ラ・プリマヴェーラ)」の地面を彷彿させてくれます。


こちらの作品は細かいタッチで描かれた木の部分と、艶やかな水面の対比が美しい作品です。水面はクリムトが得意としていたモチーフの一つで、他の作品にもいくつか登場してきます。技術的な側面で捉えると、最初は上の方にある木と同じようにタッチを使って(ボカすことを前提に描いているので、少し粗めに描いている可能性大)油絵具を置いていき、乾く前に絵具のついていないハケ等で軽く撫でてボカしたのではないか?と推察されます。


こちらの作品も水面を狙って描いていますが、木のシルエットの他に映っているのは、森の奥にある夕日(朝日?)に照らされている雲でしょうか?オレンジ色の反射がとっても綺麗な作品です。前述した作品とは異なり、水面にはタッチをある程度残し、奥の方にある森を少しシットリとした表現で描いています。水面から生えている手前の植物には、少し長めのタッチを用い、抽象的でリズム感が心地よい作品に仕上がっています。


この作品はちょっと奥行き感はありますが、クリムトの作品の中ではかなり抽象的な作品と言えるのではないでしょうか?大胆なタッチでモネの有名な作品「印象・日の出」や日本画の福田平八郎の作品「漣」を彷彿させます。
左:モネ「印象・日の出」 右:福田平八郎「漣」


こうやってクリムトの風景を見ていくと、彼が意識的に正方形の作品に取り組んでいることがわかります。
僕も自分の作品で風景を描いているのですが、個人的に正方形というのは、あまり風景画に適したフォーマットでは無いように思います。ちなみにキャンバスのサイズに「Pサイズ」というものがありますが、これはフランス語の”paysage”(風景)に由来します。これは人物画に適したと言われる「Fサイズ」”figure”よりも細長く、横長に使うのが一般的です。(もちろん風景を描くのにPサイズを縦に使っても問題ありませんし、Fサイズだからと言って人物を描く必要もありません)
なお正方形は「Sサイズ」”square”で、「Mサイズ」は”marine”で海を描く用に作られ、一番細長いフォーマットになっています。
ただ、クリムトは好んで正方形というフォーマットに挑戦しているようです。平面的で装飾的なスタイルと正方形が彼の感覚の中でシックリいった…ということだと思っています。今の時代ならInstagramにピッタリなサイズ感ですね。

新宿校の6階には、クリムトの風景だけを集めた画集もありますので、他校舎の人や他科の人でも「クリムトの画集が見てみたい」という人は、是非6階の面接室を訪れてみてください。
長くなりましたので、今日はこの辺で。

彫刻科

彫刻科の新妻です。2019年度の本科授業が始まりましたね。昼間部生は基本を確認しつつ、造形についての理解をより深めてほしいし、夜間部生は課題や指導も新しいことだらけだと思うので受験生としての自覚と、なんでも柔軟に吸収していく素直さを持って日々の制作に向かってほしいと思います。

昼間部の4月はデッサン、塑像、彫刻1それぞれの出だしの考え方や捉え方をレクチャーを交えながら確認していくところから始まりました。なんでもスタートが肝心です!

いくつか生徒作品を紹介します。


模刻荒付特訓

3時間で大きな動きとバランスを合わせていくことができれば6割型完成していると言ってもいいんではないでしょうか。いい調子です!

荒付特訓後のブルータス模刻。後半での作り込みで道が逸れていくことなく仕上がりまで持っていけてると思います。上手いです。

夜間部はフォーンのトルソデッサン。

安定した描き出しからじわじわと修正と描写を積み重ねてフォーンの持ってる迫力が出せてますね。さらに形の抵抗感が感じられてくるとよりよくなると思います!

今回はこの辺で。

新学期スタート

デザイン工芸科夜間部です。

新学期がスタートしました。例年夜間部の初日は、ガイダンスだけでした。今年から、ガイダンスを短くし学科試験を初日からやることにしました。受験モード突入、そして学科の力を把握することが10ヶ月のスタートとして重要なだと考えて変更いたしました。特に学科はダイエットと同じように、なかなかやった効果が現れません。地道に時間をかけることが大切です。今のうちからやる努力をしましょう。

留学生の授業も強化され、担当の講師から厳しい言葉を言われています。留学生の試験は、年々人気になって倍率があがってきています。試験までに、なにをしっかりとやるのかを把握して、その力を迷わず身につけてほしいです。

実技はほとんどの人が頑張ります。やはり絵を描くことが好きで、さすがに芸大美大を目指す人が集まっているなぁと実感します。実技もやっていくうちに壁にぶつかる時もあると思います。その時は好きな気持ちを思い出して、壁も楽しんでぶつかってほしいなと思います。

今年度の生徒の受験を、しっかりと面倒見ていこうと思います。

今年度もよろしくお願いいたします。