カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

早めの準備を

 

こんにちは、留学生科です。

新年度が始まってからあっという間に時間が過ぎ、少しずつ夏が近づいてきています。
皆さん、新しい生活には慣れたでしょうか。
教室での制作風景を見ていると、みんなもうスイッチが入っているように感じます。
時間と闘いながら制作している姿や必死に講評を聞く姿は、お互いに良い影響を与えているようです。

 

さて今年は、一般入試も視野に入れている留学生が多いためか、平面構成にもみんな積極的です。
この時期にしっかり資料集めや作品研究をし、良いと思ったものを自分の制作に生かすことで、後々平面のコツを掴みやすくなります。

ちょっとしたことでも地道にやっていくことで、あとから差が出るようになります。
資料集めは出来る限り早い段階から進めましょう!

 

早い段階からといえば、志望理由書も同じことです。
多くの留学生は実技にほとんどの時間を使うのですが、志望理由や面接対策は直前の準備だけでは正直間に合いません。
時間をかけて自分のやりたいことを言語化し、日本語でスムーズに伝える練習をする必要があります。
頭の中にぼんやりあるだけでは、いざ言葉にしようとすると案外出てこないものです。

夏期に入る前には一度面接対策のチェックをしましょう!

 

日本人の生徒と同じ教室で学ぶことは留学生たちにとって良い刺激となりますが、留学生試験の方が早く訪れるということを忘れてはいけませんね…

あと半年で出願ですから…

 

 

 

 

《基礎科》アトリエや机の上だけでは伝わらないこと

みなさん作品見に行ってますか??

先日マティスの展示を新国立美術館に見に行って
興奮しすぎてうっかりミュージアムショップで2万円近く買い物をしそうになりました。
(流石に戻しましたけど)
その時買ったマティスのポスターを自宅の壁に貼っているのですが、
ふとした瞬間に、マティスのおおらかな曲線が目に入ってくるのは
なんだかどんなアロマよりも心が穏やかな気分になるような気がします。

最近は時間があって、いろんなものを見に行こうと心がけているのですが、
・展示
「大吉原展」
「マティス展」
「宇野亜喜良展」
・映画
「青い春」
「悪は存在しない」
「ありふれた教室」
「関心領域」
などを見に行っていました。

自分が一番展示を見に行っていたのは浪人中だったのですが、
その次に今色々見ているかもしれません。
展示とかって、なかなか
見る習慣がつかないと行かなくなっちゃうんですよね。
近々、MINGEI民藝展とシアスター・ゲイツ展を見に行きたいと思っています。
ダブル民藝展、とても楽しみです。

 

さて、その中で「関心領域」という映画について触れたいと思います。

学校の授業で必ず習う第二次世界大戦下で行われた、ナチスドイツ政権とその同盟国および協力者による、ヨーロッパのユダヤ人約600万人に対する国ぐるみの組織的な迫害および虐殺がテーマの作品です。

劇中ではその収容所の塀の横に住む幸せそのものの家族の生活を写し続け、誰もが望むような生活の隅にはそのアウシュビッツでの惨劇が見え聞こえてきます。
しかしそのことに誰も気を止めず、日常化していく。見ている側も、その連続して流れてくる音や”情報”に慣れていってしまう。戦争の1番の恐ろしいことは、この人間の持つ対応力なのではないかなと思います。時々感じる違和感を心の中で押しころし、慣れていってしまう。誰もがそのことは許されざる行為と知っているのだが、それを日常化してしまう。

殺すのではなくまるで雑草を抜くかのように日常的に効率的に処分する、という信じられないことが人間にはできてしまうし、そのことに慣れていってしまう。
まさに今世界で争いやジェノサイドが続いている中で、ふと自分を振り返り、
そのことを日常化していないかを改めて振り返りたいなと
心から考えさせられる作品でした。。

この作品はアカデミー賞で録音賞を取っています。

聞こえるか聞こえないかの音量でずっと鳴っている音であったり、
立体音響を駆使した音の空間というのがとても上手く作品を演出しています。

近年、映画は公開からすぐに配信され、「配信まで待とう」という方も多いと思うのですが、
こういった立体音響や、映画館という密室の空間を演出として積極的に用いて
映画を”観る”だけでなく”体感する”という作品がとても増えてきたような感じがします。
映画監督はそうした場合、映画館で観ることを想定して作品を作ると思うので、
「配信ではかなり作り手の意図はかなり薄まってしまうのでは無いかなあ」と最近思ったりします。

テーマはとても重く、観る人に考えさせるテーマではありますが、
映像作品として、音響やカメラアングルなどとても見応えのある作品だと思うので
ぜひ美術を志す高校生も、大人も、映画館に足を運び、観ておくべき映画だなあと思いました。

ちなみにこの監督のジョナサン・グレイザーは超有名なPVの監督でもあったりするので、
映像作品として勉強になると思います。
DIRECTORS LABEL ジョナサン・グレイザー BEST SELECTION [DVD]

さて、そんな”体感”するイベントなのですが、
基礎科も今年もそんな体感イベントがやってきます。

基礎科座談会シリーズ第5弾は
『現役合格座談会』です。

 

 

2023年度、ena美から現役で芸大合格者が出たわけなのですが、
その中の4人は、基礎科出身者でした。
そんな4人が、高校2年生の時どんなことをしていたのか、
どんなことを考えていたのか、
また、受験科に上がってからどんな工夫をしていたかなど、
芸大に現役で合格したその軌跡などを、当時の作品と合わせて
振り返る会にしたいと考えています。

面談をすると、よく
「芸大なんて現役では…」
「芸大に現役でいく人って小さい頃からやってたんですよね」
という声を聞きます。

ですが、彼らが予備校に通い始めたのは高1、2からでした。
美術高校というわけでもなかったりします。

どんな努力や、工夫が合格の裏にはあったのか、
それを参加者の皆さんと掘り下げて行ってみたいと思います。
ぜひ体感して、今後の授業に活かしてもらえればと思います。

↓下記リンクより事前申込をお願いいたします。
(申し込み多数の場合は、締め切らせていただく可能性がございます。)

『現役合格座談会』
6月16日(日曜) 10時30分〜15時00分まで

みなさんのご参加を、お待ちしております!

映像科:「映像の原理を体感する」ワークショップ

こんにちは。映像科です。
5月の授業では、鉛筆や色鉛筆またはパステルによる描写を学ぶ課題を制作しています。
そしてその合間には、映像について知るためのワークショップや鑑賞のゼミなども行っています。

前回のワークショップは「映像の原理を体感する」というテーマでした。
光の入らない真っ暗な部屋で、一つの小さな穴を開けると、穴の向こう側の景色が部屋の壁に映し出されます。私たちが今使っているカメラのもとになった「カメラ・オブスクラ」(ラテン語で「暗い部屋」の意味)。その「カメラ・オブクスラ」を教室全体を使って体感してみるワークショップでした。

カメラ・オブスクラは紀元前から観察されていた現象です。小さな穴の代わりにレンズが使われることで次第に像が鮮明になり、かつては画家が下絵を描くための道具でもあったそうです。こんなイメージでしょうか。

ならばカメラ・オブスクラの像をなぞってみれば、かつての画家の気持ちが分かるかもしれない。「こんなにきれいに映るんだ!」と驚きつつ、ワークショップの後半では、模造紙をつなぎ合わせて講師も一緒に映し出された風景を描いてみました。

さて、今後も実技対策とワークショップや鑑賞を織り交ぜた一学期の授業は続きます。この先一ヶ月の授業はこのような内容です。
無料体験入学は3日(木金日)参加していただくことができます。相談や見学も随時受けつけていますのでお気軽に。

・5/23(木)描写準備課題:色鉛筆による描写を学ぶ
・5/24(金)描写準備課題:パステルによる描写を学ぶ
・5/26(日)実技総合課題②:絵と文章によって場面を表現する

・5/30(木)映像表現ゼミB:アニメーション表現について
・5/31(金)描写基礎課題④:動きや質感を表現する
・6/2(日)映像表現ゼミC:美術における映像表現について

・6/6(木)文章研究課題:映像メディアについて書かれた文章を読解する
・6/7(金)映像表現ゼミD:写真表現について
・6/9(日)実技総合課題③:写真と文章によって物語を表現する

・6/13(木)映像鑑賞課題:レクチャー、鑑賞
・6/14(金)映像鑑賞課題:プレゼンテーション、ディスカッション
・6/16(日)アーティスト研究課題/入試情報説明会

引き続き相談や見学も随時受けつけています。
無料体験入学もあるのでお気軽にご参加ください!

【油画科夜間部】藝大現役合格体験記

こんにちは、油画科夜間部鷹取です。
ゴールデンウィークも終わり、このまま暑くなっていくかと思いきや暑かったり寒かったりなかなか安定しない空模様ですね。体調崩しやすい時期ですが、健康第一で頑張っていきたい所です。
夜間部では今の時期は基礎力をガンガン高めるデッサン中心で制作をしています。昨年度藝大に現役合格した生徒も基礎力をしっかりとつけていた印象です。これからも皆さんもどんどん枚数重ねていきましょう。

さて、昨年度の合格体験記、最後は夜間から藝大に現役で合格した生徒の体験記です。

【東京藝術大学油画入試 現役合格体験記①】

油画科夜間部 高森恒成

7月に留学から帰ってきて、夏期講習から本格的に受験対策をするようになった。受験を早く終わらしたい気持ちや、自分の留学経験を活かせるムサビの総合型選抜を受験したが不合格だった。今思うと準備する期間や作家性も合格レベルに達していなかったのだと思う。

そこから心機一転し自分の第二の受験が始まった。ムサビが第一志望だったので静物を描き続けた。自分の狙い、迫力が良く見えてくる構図を選んで描くことが多かった。自分が画面の中でしてしまう癖を意識してやらないようにするのが難しかった。また使いこなせないオイルや白と黒の絵の具、ナイフを使うのをやめた事で、悪く見える処理的な絵を描いてしまう癖がだいぶ減り、絵画としての深みや自分が持つ独特な筆致を出せるようになった。体力には自信があったので、時間との勝負である私大対策で1日に木炭と油彩それぞれ2枚描くことが多くなった。完成しないことも多々あったが、自分の資質上、走り続けないとダメになってしまうので諦めないで最後まで描きあげることを意識した。私は私大を3つ(ムサビ、多摩美、造形)受けたのだが、入試が8日間連続になってしまい、かなりキツかった。しかしそんな中でも頑張れたのは、家族が全力で応援してくれていたことや、担当の鷹取先生が「今、目の前のキャンバスと向き合うこと」の大切さに気づかせてくれだからだ。そして自分が心から感動できるモチーフや空間を見つけてテンションを上げながら描き出していくことが気持ちが良かった。

私大が終わってからは緊張が解け、モチベーションが下がってしまった。一番の目標だったムサビが終わって気が抜けてしまい作業に集中できなくなったのだと思う。しかし鷹取先生と二人三脚で、「ここまできたなら最後まで上手くなってやろう!!」という決意が自分の情熱を再燃化させた。また私大が全て受かっていたのも改めて自分を最後まで貫こうとする気持ちにさせるキッカケになった。それからは藝大に向けて、自分の狙いを全力で出せるような絵を課題ごとに自分なりに描いた。受験を通して感じたことだが、ムサビでの静物対策は全く無駄にならず、逆に自分の純度を高めてくれたと思う。

一次が終わってからは、度重なる疲労や二次に向けて頑張れる気力が湧かず辛かった。一次で落ちてて欲しいとまで思ってしまったが、それを鷹取先生に話したら突き放されてしまい、それは嫌だったので、最後までやりきってから大学に入りたいという気持ちになった。そこから二次まではあっという間だった。

今振り返ってみると、私の受験は自分1人ではどうにもならなかったなと思う。家族、鷹取先生、予備校の友達、高校の先生などいろんな人たちの助けがあったからここまでやって来れた。だからこそ本番では自分の力を信じて、自分自身とキャンバスにしっかりと向き合って集中してやり切ることができた。

※現役合格再現作品、新美ギャラリーにて展示中

【東京藝術大学油画入試 現役合格体験記②】

油画科夜間部 仲田響

私は高校1年生の冬から基礎科に通い始め、絵画について学びました。2年生の頃は、高校の授業中や、予備校終わりの帰宅後などに毎日趣味のイラストを描いて、気分転換をしていました。基礎科の頃に身につけたデッサン力や油絵の具の扱いは、受験科に進んでからも大きな武器になったと思います。

体調面での不便が多かった入試直前は、家で寝ても疲れが取れず、予備校でも眠ってばかりでした。少し描いて寝て、起きてまた少し描いて。もしくは少し長めに寝て、起きて一気に描き進める。といった調子でした。またどうしても朝、貧血が酷く起きられない日などは、無理をせず遅れて予備校に行くこともありました。人にもよると思いますが、私は体調が悪い中で無理をして良い絵が描ける自信がなかったので、本当に辛い時は一旦休憩して、頑張れる時に頑張っていました。
限られた時間の中で絵を完成させるために、描きたいモチーフの質感もしくは光に着目し、描きどころを一番綺麗に見せ、その他の部分の描き込みを絞った構成にするよう工夫をしていました。
私の場合事情を話していたこともあり、理解してくださった担当の先生からは作業時間中の睡眠や遅刻に対しては特に何も言われず、焦らず自分のペースを守りながら描かせてもらえたことで、試験当日まで落ち着いて絵を描くことが出来たと思います。
生活面でも精神面でも支えてもらってばかりでした。家族と講師の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。

《基礎科》G Wがあけました!!!!!

GWが終わってしまいました。。。

自分が高校生の時、GWが終わった時どんな気持ちだったのかは流石に忘れてしまいましたが、
社会人になってから、それはそれはきつかった記憶があります。

こんなに長い休み挟んで会社行くぐらいだったら、むしろGWなんてない方が良いのに、
むしろこんなに長い休みならもっと上手く分散させてくれればいいのに(6月とか休みないし)
という気持ちは今も同じです。

特に、物価高に円安にどこに行くにしたって人人人、GW何をすればいいんだっていう。
いつからこんな世の中の状態になってしまったんでしょうかね、、、

でも、こういった長い休みこそ美術系の人にとっては制作のチャンス。
誰にも邪魔されず、自分の好きな制作を好きなだけできるタイミングです。
長いGWの間に、一つ自分が作ったことのないサイズや、大きさ、密度のものを作ってみてはいかがでしょうか???
家の中にいても美術はできます、日頃頭の中でモヤモヤしてるイメージを、このタイミングで
作品にぶつけてみましょう!!

と、できたらいいのですが。

休みだったら、休みの分だけだらけてしまうのが人間です。
僕も例年は上のようにまではいかないのですが、棚作ったり、模様替えしたり(その程度)
何かしようと重い腰をあげたりするのですが、今年は仕事のひと段落のタイミングとかぶってしまい、ほんとにだらだらしていました。すいません。

ずっと、ゲームの中で荷物を運んで道路を作るか、ネットで映画を見て過ごしていました。

そんな中でふと目にした話をしてみたいと思います。

 

 

“駄作”を見ることの必要性について

映画にしても、本にしても、作品にしても、駄作と呼ばれるものがあると思います。
それは世間的にとっての駄作なのか、自分にとっての駄作なのかはわかりません。

何かを作ったり、表現をしていくにあたって、
自分の好きなもの、口当たりの良いもの、わかりやすいものだけを摂取していくこと。
それ自体は悪いことではなく、むしろとてもしやすい行為だと思います。
どんどん取り込んでいけるでしょう。

ですが逆に、自分にとって、受け入れづらいことや、難解なもの、つまらないもの
というのは苦痛です。映画などの長いものなどは、時間の無駄に感じるかもしれません。

ものを表現するにあたって、
そこで、席を立ったり、スマホを開いたり、閉じてしまったりするのではなく、しっかり全てを見てから、一度考えてほしいなあと思います。

「なぜつまらなく感じたのだろうか?」
「どのような表現だったらもっと面白く感じたのだろうか?」
「どんなことを伝えたかったのだろうか?」
「誰に向けて作ったものなのだろうか?」
など

ただ、好き嫌いではなく、
もう一歩、踏み込んでもらえると良いかなあと思います。

ただ駄作、と切り捨てるのではなく、
そこから製作者の側に立って考えてみる。
果たして、これは無駄な行為でしょうか??

自分の中で受け入れないものを見た時に、(または世の中が無駄といったものに対して)
時間の無駄と考えることは、少し危険な行為に思えます。
時間の無駄、時短、タイパなどがもてはやされる昨今ですが、
人間が持つ24時間という時間は昔から変わりません。
むしろ、移動や作業時間というのは短縮されています。
ということは、本来であれば時間というのは空いているはずなのです。

しかし、その空いた時間というのが何かに使われてしまっていて、
なんだか忙しいような、時間を削らなくちゃいけないような気持ちになっていないでしょうか??
(このことについて気になった方は、ミヒャエル・エンデのモモを読んでみてください、まさに現代のようなことが書かれています!)

無駄と思えるようなことでも、その裏側にあることをしっかり見る、考える。
それがものづくりをする上で、とても大事なものの見方だと思います。
そして、(ある意味)駄作と呼ばれるものも見ることで、自分がものづくりをする上でなぜそれが駄作と呼ばれたのかを活かすことができると思います。
駄作を見ないと、良いものは作れない、と僕は思います。
(そうなると果たして駄作とは…?となる)

そう、無駄にも意味があるのです。

きっとこのGW中の僕のだらけた生活にも、
意味があると信じたいです。。。

では