カテゴリー別アーカイブ: 彫刻科

彫刻科夏期講習前期

こんにちは!彫刻科の小川原です。夏期講習が始まりました!前期は塑造とデッサンの集中特訓課題です。がっちり力をつけていきましょう!
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1課題目は動物(うさぎ)の塑造でした。動物はあまり頻繁にある課題ではないので、こうした機会に構造を勉強しておきたいです。
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ずっと伏せているうさぎでしたが、どこから見ても変化が感じられる動きのあるポーズが自然につくれました。動きの自然さも動物としてのリアリティーを表現するためには重要な事ですね!

夜間のデッサンでは奴隷を描きました。いつもより短い時間でしたが、なかなかいい作品が出てきたと思います。
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細部に関しては単調さがあり、具体性に欠けますが奴隷の持つ量感の表現が見事です!

1学期終わりから夏期講習までの間に自主的に自画像を描いてきました。
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夏って感じがしていいですね!髪の毛も含めて表情が繊細に描けています。首や体にもう一つリアリティが出るといいでしょう。

さて、僕の制作は前回に続いて木を荒取りしていきます。大型のエンジンチェーンソーを使ってザックリ落とします。
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とりあえず横から見た時の要らない量はおおまかに落とせました。
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次に正面から見た量も落としていきます。
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次回からどんどん削りこんでいく作業に入ります!
夏は暑いけど、汗かきながら体動かすのは悪く無いです 笑

さ、次回のブログ更新の時は講習会も中期に入っていますね!夏期講習は受験の1年の中でも基礎力を高めるには特に重要な期間なので頑張りましょう!

1学期末ラスト 大型石膏頭部模刻。

学科はしっかりやってますかー!?
こんにちは。彫刻科の小川原です。彫刻科昼間部で1学期末に3日かけて大型石膏像の頭部模刻を行いました。実際試験では出ませんが、そこを突き抜けてこういった課題に体当りしていくことで視野も広がるし、意識も高まっていくことだと思います。
ジョセフ。
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出だしでは量の大きさに翻弄される部分もありましたが、最終的にはかなり印象を合わせてきました。慣れている像であっても、初めてつくる像であってもその魅力に反応していければ今持っている技術で充分な物が出来るでしょう。

ラオコーン。
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土付けは地味ですが、裏を返せば丁寧に対象を追えています。ここまで合わせてくると、むしろやるべきことがどんどん見えてきて、いくらやって終われない。ということに気付いてくれたと思います。それらをやり切るためには前半の見切りを限りなく正確にしていき、時間を短縮していく必要があります。繰り返しトレーニングを積んで的確な荒づけ作業が出来るようにしましょう。

さて、しばらく前に課題で行なった実在実習の木彫作品が完成しているのでそれも紹介したいと思います。

「動」をテーマにした手の木彫です。
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正直うまいなと思いました。大学生より上手いんじゃないかな 笑。粘土でつくったり、デッサンを描いてみれば分かる通り、手はとても難しいんです。これだけ複雑なものを木の塊から彫り上げるというのは半端なデッサン力や、形体を見切る力では出来ません。その上道具の使い方も慣れが必要です。彼は初めて木彫を行いましたがこの1作品の中でそれらの能力を伸ばしながら同時に完成へと向かって行くことが出来ました。彫刻の制作においては作る形によって常に新たなスキルを身に付けていかないといけないので、こうした経験が出来たことは彼にとって非常に有益なものであったと思います。

今回は最後に今制作している本制作の作品を紹介します。「夜」をテーマにした作品。もう大分進んでいますが、少しずつ順を追って解説していきたいと思います。
僕は制作前に必ずデッサンを描きます。デッサン、塑造、木彫の順に段階を経て実際の形にしていくのですが、これはすぐ直せる順ということです。特にデッサンはすぐ印象が確認できるし、直すのも楽なのでイメージ作りにはとても重要です。
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次は塑造です。塑造したものをパーツごとに分解、中空にくり抜いて窯で焼成、再度組立ててそれをマケット(実制作の模型)とします。この段階では実際に立体として像を確認できるので、デッサンでは想定できない部分を補っていくことが出来ます。粘土なので形の変形が瞬時に感覚的に行えるのが良い所です。
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そして木彫へ。これまでにイメージを深めてきたことを木にぶつけていきます。まずはいらない部分を大きく落としていくためにザックリとしたデッサンを入れるところからです。ここでミスすると作品としてのダメージが大きいので何度も確認します。
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続きはまた次回。

僕は大学で木彫をやらなかったですが、卒業後しばらくたってからいきなり始めていつの間にか5年くらい経ちました。大分慣れてきた感じがします。

20日から夏期講習が始まりますね!僕の目標は夏期講習中に現役生も含め、全員を実際の試験で戦えるレベルに限りなく近づけていくことです。
もう勝負は始まっています!頑張りましょう!

彫刻科1学期のまとめ

こんにちは。彫刻科の小川原です。彫刻科ではそれぞれに足りない力を明確にし、1学期のうちに出来るだけそれらが埋まるよう指導を重ねてきました。受験ではオールマイティな力が求められるので、学科を含め実技全般にバランスを取っていくことがとても重要なのです。
得意、不得意だったり、物の捉え方の傾向は個々によって異なるので、その人個人に合わせた指導が求められます。特に夜間部生など、今年初めてスタートを切る学生は、1学期のうちに基礎力を徹底的に吸収してもらうことを目標に指導してきました。さて、その結果はどうだったかな?
1学期後半の成果を紹介します。
まずは昼間部生の作品。
ギリシャヴィーナス。
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普段作りなれないモチーフであっても、形を正確に作っていくという目標や方法論は変わらないわけですからなんでも作れて当たり前という気持ちでいてくれたらなと思います。もう少し顔の印象を合わせたかったですが、完成度が高く、よくまとめられています。

ベルベデーレ。
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腰から下の描写(特に手前に迫る脚)はやや浅く感じられますが光源設定が上手く、美しい光で豊かな量感が表現できています。デッサンではとにかくモチーフとの対話(モチーフらしさが出ているか)と画面との対話(自分の理想とする作品の方向性)を忘れないようにしましょう。

夜間部生の作品です。
ブルータス。
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試験時間を意識した課題でした。この時期現役生で短時間でここまで描ける力があることは素晴らしいことだと思います。何より自然に像に迫っていく作者の取り組みに好感が持てます。後頭部の描き込みはまだまだですが、全体にとても良くバランスが取れています。この調子で頑張ってください。

アバタのヴィーナス。
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こちらも試験時間を意識した課題でした。とても良く印象が取れていると思います。表面はやや撫でてしまっている感じが強いですが、顔が似ているので説得力はあります。同じ時間でもう少し髪も作り込めるよう研究を深めましょう。

さて、紹介したのは一部の作品でしたが、全体的にかなりレベルは上がってきました。この調子で一人も欠けること無く、皆で盛り上がっていきましょう!

さて前回僕の趣味の頭骨の彫刻作品を紹介しましたが、今回はその続きです。僕は作品を売らない方向で制作をしていますが、頭骨の彫刻作品は売るための作品です。
今回はツキノワグマの頭骨を使いました。
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パテを盛り、削りこんでいきます。
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仕上げのペーパーがけをして彩色して完成。
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彫刻はなかなかお金にイメージが湧かないらしく、これから始めようとしている人たちにはよく就職できるんですか?と聞かれます。彫刻の技能を活かした就職というものはゴマンとあるので、就職したいのであれば出来るというのが結論です(専門職で言うとクレイモデラー、CGモデラーなどは特に彫刻出身の人達が活躍しています)。但しその時点でしっかりとした技能を修得し、魅力的な作品を作れることが前提です。まあそれはどの科も同じだし、普通大学を出た人の就活だって、良い企業に入りたいと思うのであれば自分を磨かないといけないのと同じといえるでしょう。
逆に自分の作品を作り続けたいという人で、作品を売りながら生活している人も実際にいます。漠然と将来の不安を感じて一歩を踏み出せずに迷っていても何も始まりませんが、案外一歩踏み出したら全てが解決してしまったりするんですよね。努力したら努力した分の将来がある。努力を裏切らないのが彫刻のいいところかなと思います。

1学期の総決算コンクール!!

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。
雨や曇りが続いた、6月もあとわずかになってきました。梅雨明けが待ち遠しいですね。
新美での課題制作、普段の生活の中でも思い描いたようには、なかなか行かないこともあるでしょう。そこには、個人個人いろんな理由もあるでしょう。しかし、時間は待ってはくれません。
何度も繰り返しますが、一日一日を大切に自分なりに誠実に課題に取り組みましょう!!この言葉の大切さが本当に理解出来るようになってほしいですね。

そんなこんなで、彫刻科ではもうコンクール(実技模試)の時期になって参りました。昼間部は来週から、夜間部は今週から始まっています!!今の自分の実力を発揮出来るよう、気持ちを整えて望みましょう。

では、今回は最近の課題の中から自刻像作品をピックアップして、みんなにも見ておいてほしい魅力がある作品を紹介していきましょう!!

昼間部学生作品「自刻像」
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作者自身の内面をより作品に反映させるために手を組み合わせての自刻像です。少し動きがかたい部分もありますが、より深い部分へ積極的にアプローチしていく姿勢は何よりも重要です。少し内証的な仕草と表情には作者の等身大のリアリティが垣間みれます。

昼間部学生作品「自刻像」
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こちらの作品も昼間部の生徒作品です。首周りや髪の毛の追求に物足りなさがあるものの、それを補って余りある魅力的な表情をつくり出しました。受験課題に留まらず、その先を感じさせるセンスが内包された作品です。

夜間部学生作品「自刻像」
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この作品は夜間部の現役生の作品です。素直な観察と丁寧な作り込みがかみ合わさって、作者自身の意志を感じさせる作品に仕上がりました。現在の表現に満足する事無く、さらに深く追求する姿勢を持ちましょう!!

 

 

今回「自刻像」を選んで紹介したのは、自分を表すことは最も身近であると同時にものを作る事の根幹にも通じることだからです。そして、作品を通して自分の中にある漠然とした気持ちや考えに形を与えていくことが彫刻の醍醐味です!!人間の姿を表す具象的な像に限定しても表現は、スーパーリアリズムからデフォルメのきいた表し方まで際限なくあります。下の画像は、僕が学生の1、2年生の時に制作した自刻像です。当時の僕は、スーパーリアリズムに影響を受けて生々しい人体を作っていました。この画像は原型なので髪がないだけで当時坊主だったわけではないですよ(笑)型取り後に人工の髪をつける予定でした。

学生時代の作品「自刻像」
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今となっては、何してるんだか…と自分で思う作品ですが当時は大真面目に作っていました。自分の求めている人間像はなんだろう?と日々追求していました。そんな中から生まれてきた作品は、ダメダメな部分も多々ありますが次に進む大切な過程でもあります。とことんやって失敗して駄目だと痛感するまでやりましょう!!追求することもなく未消化なところばかりでは何事も前には進みません。

そんなところで、今回は「自刻像」を見ていきました。
折しも、7月12日(日)から「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」が練馬区立美術館で開催されます。人間像の形を通して、自分を追求する姿勢を先人に学びましょう!!
次回は、小川原先生にバトンタッチです!よろしくお願いします!!

彫刻科 秀作のかげには

こんにちは 彫刻科、今回のブログ担当は氷室です。
さてさて6月は、祝日もなく梅雨時期と言うこともあり、なんとなくもの静かに淡々と日々が過ぎて行く様に感じますね。
みなさんはどの事を感じている日々なのでしょうか。

最近の秀作を何点か絞り、紹介したいと思います!

前回のブログで紹介しました実在実習、石膏取りをした首像が完成しました!
普段の受験を意識した制作から、一歩先を見て彫刻の作品が出来る楽しさや大変さを感じられる貴重な体験になったのではないでしょうか。
この作品、なんと紅茶で着色してあります。何とも柔らい表情が出ており、とても魅力のある作品ができましたね!
初めて手がけた手元に残る本格的な立体作品の制作、いかがでしたか?感想が気になります。 ぜひ大切にして欲しいです。
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こちらは珍しい課題ですね。ヘルメスに白い布をシュロ縄で巻いてあります。
細かい表情に捕われ過ぎずに、彫刻を勉強していく上で重要とされる、量感や構造への理解を少し突っ込んで意識してもらうための課題でした。
ですが、実は、構図に悩み量感に苦戦し、さらにそれぞれの質感表現が難しい、時間のかかる課題でしたね。
このデッサンは、そのどれを取っても均等にこなしてあり中々の良い切りがある1枚です!
Y君のデッサン
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こちらは夜間部生、Kさんのデッサンです。
デッサンの行程が、きちんと形を掘り起こす作業につながっており、全体を見ても細部を見ても形がしっかり見えてきます!光の印象やジョセフの表情も良く捉えてあり、とても良いデッサンだと思います。
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こちらも夜間部、Mさんの素描です。
子割りと白いテープを使った造形素描の課題ですね。面白い構成にセンスを感じます!自分で構成を考える課題ですので、やはり責任を持って描き切る事が求められます。この素描は、こう描きたい!と言うMさんの強い意志を感じます。空間もスッキリ、質感も感じられる上手い1枚です。
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今回の作品紹介は以上です!

引き続き、去年イタリアのバチカン美術館で見て来た、こんな作品も展示されているの!?と言う私が個人的にユーモアを感じた作品達を紹介したいと思います。

こちらは彫刻コーナー あまりの数の多さに唖然としてしまします
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これは、ここから髭を作るために残されている部分なのでしょうか… なんとも表情がユニークに感じました。

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この台座は!!?

顔が…この模刻がでたら嫌だ…
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この並べ方は狙っているのか…?
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こんな片隅に、適当に置いてある!!!!
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こんな置き方で大丈夫なんですか!?
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ギャランドゥーが…
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いかがでしたか?
秀作とされる作品の影には、名も残き人が作った、たくさんの模刻や習作があったことを痛感したのでした。

お約束なベルベデーレにラオコーン
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アポロンもありました。

次回は6月27日にアップ予定です!稲田先生へバトンタッチです。