カテゴリー別アーカイブ: デザイン・工芸科 私立美大

夜間部デザイン科①「受験生心得!」

こんにちは!デザイン科夜間部講師のオオシマです。
今年度、デザイン科夜間部は基本的に隔週火曜日に更新していく予定です。

さてデザイン科夜間部として2015年度最初の記事とはいえ、この文章を打っている段階ではまだ初回のデッサンの講評も終わっておらず果たして何を書いていいのやら…。

とりあえず自己紹介になりますが、私は高3のころから新美に通い始め、大学に入るまで結局3浪しちゃいました。その後多摩美に入学し、そのまま大学院修士課程を修了しています。
ざっくり計算すると予備校と大学で10年間程度の時間を過ごしてしまいました。その間にかかった学費としては1500万円弱でしょうか。計600万円程度借りた奨学金はいまも返済しています。

いまでこそエラそうに美術予備校で講師なぞやっているものの、予備校に入学した当初はやる気のない学生の代表格みたいな存在でした。努力という言葉や、物事を正面から取り組むということを知らなかったんですね。かなりのダメ人間&親不孝ものでした…。

そんなどうしようもなかった自分からすれば最近の学生は本当にみんな真面目でしっかりしています。そしてみんな初心者にもかかわらずなぜかそれなりに描けています。教室を見渡す限り、現段階で当時の私より下手な人はいませんね。

そんな自分が新受験生にアドバイスなぞおこがましい話なのですが、とりあえず以下のことを守りながら制作すると、そのうちそれなりに実力はつくと思いますよ。。。という6項目を置いておきますね。

①忙しくてもできるだけ毎日来る
②遅刻しない(早めにくる)
③結果に対して言い訳をしない
④作品はかならず1枚ごと完成させる
⑤資料やノートをきちんとまとめる
⑥行きたい大学と学科を明確にする

高校生だと学校行事も多く①はなかなか難しいときもあるでしょう。それは仕方ないです。重要なのは「来るときはちゃんと来る、休むときは計画的に休む」ことです。つまりスケジュール管理です。「なんか今日学校忙しくなっちゃった?、面倒くさいからいかない!」なんてことのないようにあらかじめ「何日から期末テストだからこの課題は休んでこの課題から合流しよう…」というように予定をしっかりたてましょう。私がこの事実に気付いたのは2浪目です。

②はよくいますよね。待ち合わせに毎回10分くらい遅れてくる人。そう、私です。
でも、時間通り来ようとすれば来れるのに、なんか微妙に遅れちゃうことありませんか?やっぱりそれはあんまり良くないです。1日10分遅れたら1週間で1時間制作時間が短くなります!
理想は10~15分前には道具を買って教室に着いて、余裕をもって制作を始めたいですね。なにより課題説明やガイダンスを授業開始直後に話したりしますし。

③こそ重要。大人への扉です。
作品がいい評価を得られなかったとき「今回は時間がなかった」「課題が合わなかった」「場所が良くなかった」と自分に言い聞かせて結果から逃避したことありませんか?私はあります。むしろいまでもあります。しかしそれを続けている限り成長はしません。しっかり取り組んだ上で良い評価を得られなかったときは、むしろ成長のチャンスでもあるのです結果に言い訳をせず「なぜこうなってしまったのか?どうすれば解決できるのか?」ということをひたすら考えてください。

経験が少なかったり自己管理が苦手だと④は陥りがちですね。私もそうでした。もし自覚症状があるなら一刻も早く抜け出すべきです。この問題に対して私は「そもそも作品が完成するってどういうことなんだ?!」というところから考えはじめました。それは長くなりそうなので割愛しますが、手数が足りない、まだ完成していないと自分で思った作品は、時間をみつけて「もう描けない」というところまで描き続けるといいですよ。

やっぱりデザイン科として⑤はかかせないと思いますね。
まだ皆さんは若いので、自分の脳を過信しているかもしれません。講評で言われたことはすぐ思い出せるし、配られた資料に書いてあることなんてもう知っているし必要ない…なんて余裕をかましている時期が私にはありました。でもそれは大きな勘違いでしたね。
これも長くなりそうなので割愛しますが「自分が見返したくなるようなノートをつくる」「人の話をよく聞いて大切な部分はメモする」のは重要です。

そして受験生にとって⑥が決まってからが本格的なスタートです。
私は2浪目が終わったあとに本格的に考え始めましたね?。おそ過ぎ。
やっぱり受験は「絶対ここに行きたい!」っていう強い気持ちが大切です。「なんとなく行きたい」「行けたらいいな」じゃまだ足りません。それは目標ではなくて願望です。
積極的に大学のイベントに足を運んだり、いい作品をたくさん観れば、じょじょにそういった気持ちも芽生え始めると思いますよ。

 

振り返ってみれば予備校での生活もマァ勉強にはなりましたが、みなさんには予備校でしっかりと基本的な技能を身につけ、できるだけ早く目標の大学に入学し、人生において限りあるお金と時間を有効に使ってほしいと個人的には思っています!

ちなみの上記の6項目を真逆に言ったのが以下です。
これをやるとまず確実に(私のように)無駄に浪人します。注意して下さい。いないとは思いますが!

①理由をつけて休もうとする
②毎日微妙に遅刻する
③結果に対して言い訳をする
④未完成の作品が大量にある
⑤資料やノートを整理しない
⑥目標が明確でない

ではまた。

4/5(日) 推薦入試説明会

こんにちは。
4/5(日) 16:30より、新宿校にて「美大 推薦入試説明会」を実施します。

近年、推薦入試やAO入試を実施する美大が増えましたが、その入試内容は多岐にわたります。
場合によっては一般入試よりも難易度が高いこともあり、正確な情報をもとに準備することが求められています。
新美では、早くから推薦入試対策に取り組み受験生を指導してきました。
当日は全体説明から個別相談、合格者の作品ファイル(ポートフォリオ)等の展示も行います。

受験生、保護者様、高等学校教員の皆様を対象としています。
申し込み不要ですので、ぜひご来場ください。

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入試→卒制

こんにちはデザイン科の大島です。
芸大デザインの合格者は2名(うち内部生1名)と残念な結果となってしまいました。
1年間この予備校を信じてついてきてくださった学生と保護者の皆様には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

自分自身は私立の担当といえども、もはや他人事ではなく、この結果をデザイン科講師一同しっかりと受け止めて次年度に繋げなければいけません。

先週末、多摩美術大学グラフィックデザイン学科の卒業制作展に行ってきました。

この3月で多摩グラを卒業する学生は、デッサンが「ふろしきでものを包む両手」、色彩構成が「2匹の蝶とちょうちょうの文字」の年に合格しました。

せっかくなのでその年に新美から合格した人の作品と、卒業制作展にあった作品を合わせてみてみましょう。

まずこれ。

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実物と色がちょっと違っていますが、こんな感じの作品を描いて1浪で合格した学生がいました(彼女はこのあいだまで新美の学生講師でもありました)。
色彩構成のほうは多摩美の参考作品集に掲載されており、それ以降この表現に類似した作品を毎年のように見かけます。じつはそんなに高得点ではないそうですが!(本人談)

彼女の卒業制作はこんな感じでした。

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タイポグラフィ、なんだけど紙のキワが焼かれてたりしてる。ほかにも細い線が描かれてる作品もありました。コンセプトは読みましたが失念しました!詳しくは多摩美の学内展で探し出してみてください!申し訳ない。。。

 

つぎ。

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これは現役で合格した学生です。彼女もまたこのあいだまで新美の講師でした。
彼女は当時、現役生にも関わらず浪人生を上回るほどのデッサン力をもっていました。それに比べると、グラフの色彩構成の方は最後まで安定せず、試験後に本人に作品の出来を聞いたら「2色で描いてしまいました…」「2匹の蝶がわかりにくいです…」と自信なさげにいうので、正直ダメかもな?、と思いました。

しかしデッサンと学科は安定して点数が取れており無事合格。
この色彩構成も結果的には7割程度の点数がついており、大きく足を引っ張ることはありませんでした。そんな彼女の卒業制作はこんな感じでした。

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父の写真のスケッチ。詳しいコンセプトはプライバシーにも関わってきそうなので、詳しくは学内展でキャプションを読んでみて下さい。

デザインというよりかは、個人的な体験が根底にある作品です。つまりアートよりのアプローチです。多摩美のグラフィックの卒展のように、ひたすらにポジティブな作品が並んでいるお祭りのような場にあると「損」な作品ともいえるかもしれませんが、こういうのがあっても良いと思います。

つぎ。

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これまた大胆な作品でしたねー。真似しようとしてもできない。参考作品集には掲載されていませんでしたが、多摩美の説明会で掲示されているのを見ました。なにげに高得点です。

彼はこんな写真の作品を展示していました。
(連作でもっとたくさん並んでいましたが、わたしのカメラではこれが限界でした。全貌は学内展で!)

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この分割された画面を見た瞬間、絶対これだ!と思いましたね。
受験時代から変わらぬこの感性。大切に。

この年は合格者が多かったのでまだまだあるんですが、再現作品が見つからなかったので、とりあえずこのへんで。

番外編。

同じ年、こういう作品を描いて多摩グラに合格した現役生がいました。

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想定にもかかわらずこれだけ大胆なアイデアを本番で描ききるなんて見事ですよね。
とうぜん高得点でした。

しかし彼女は倍率で言えば1番人気であるグラフを辞退して、同じ多摩美の情報デザイン学科に進学しました。もともと情報デザインに進学したいとは聞いていたものの、両方受かったらたぶんグラフに進学するんだろうな、と思っていたので、その事実を聞いたときにはびっくりしました。
(最近では高倍率の学科を蹴ることは珍しいことではなくなりましたが…)

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そして先週のことですが、情報デザイン学科の卒業制作展で彼女はこういう作品を展示していました。

「ぼんやりのとき」という絵本というのか漫画というのか、まあ、とにかく本です。

本としての完成度もさることながら、繊細で私的な感性を大切にした内容は、目立つことはなくとも心に響くものがあり、やはり情報デザイン学科だからでこそ生み出すことができたような気がします。素晴らしい作品です。ぜひ学内展で手にとってみてください。

そしてもう1人、こういう作品を描いて多摩グラに合格した学生もいました。

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(田中一光にこんな曲線の作品があったような気がしなくもない。)

彼女は新美に入学した当初、とある大学の推薦入試を受験するつもりでした。
そして実際、9月頃まではその大学の推薦対策をしていました。
しかしとても感覚が良かったので、推薦入試が終わったあと、多摩美も受験することを勧め、最終的に多摩グラに合格しました。

ポテンシャルを秘めた学生だったので、大学を経てどのように成長していくのか期待していました。けれど、そのうちに大学にあまり来ていないという噂を聞き、ついには中退したという話を聞きました。

それ以来、彼女のことを心配していたのですが、ちょうど卒業制作展に訪れており、タイミングよく話すことができました。

どうやら中退したあとは、興味がある分野のアルバイトを頑張っており、この4月からはその仕事の延長で就職が決まったとのことです。心配するまでもなく立派に成長していました。すごい。安心したと同時に尊敬の念をも抱きます。

というわけでざっくりではありますが、こんな感じで紹介してみました。
こんかい参考作品が見つからなかったり、時間の関係でアニメーションはノーチェックだったので、また学内展などで気になる作品が見つかれば紹介したいと思います。では。

渋谷校開校イベント! 趙燁さん講演

こんにちは。
渋谷校も開校から2週間が経ちました。
3月体験にも多数の生徒さんに参加いただき、盛り上がっています!!

そこで開校イベントとして、趙燁さんをお招きしての講演会を実施することになりました。
趙さんは、新美で受験期を過ごし、武蔵野美大に進学。現在大学在学中ながら、様々なメディアでも取り上げられているボディペイントの作品など、幅広く活躍の場をひろげています。

受験生のころの体験談から、美大での生活のお話、そしてボディペイントのパフォーマンスも行って頂く予定です。
2015春期生、2014本科生対象。ぜひお申込みの上、ご参加ください。
http://www.art-shinbi.com/muryo-event/20150331.html

視覚伝達デザイン学科再現プロセス(映像付き)

こんにちはデザイン科大島です。

3月11日からの合格者作品展示にむけてちょっとずつ再現作品も増えてきています。
前回は多摩美のグラフィックデザイン学科の作品を紹介したので、今回は武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科現役合格者の色彩構成の作品と、その製作手順を映像も交えて紹介したいとおもいます。

 

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今年の視覚伝達デザイン学科は、BIRDという文字が切り抜かれたゴムシートが配布され「鳥」のイメージで色彩構成しなさい、というような課題でした。
(モチーフに関しては回収の指示がなかったとのことで、記念として持ち帰ってきた学生のものを借用しています)

レーザーカッターが普及した現在だからでこそ可能なモチーフ…なのでしょうか?
用意するコストや手間を考えるとなかなか予備校泣かせなモチーフです!

 

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試験本番で配られた課題文を持って帰ってきたようです。
重要箇所にきちんとアンダーラインを引いています。

 

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本番で配布された下描き用紙。
テーマや構図を色々と考えた形跡があります。
本番でのエスキース時間は30分くらいだったようです。

 

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表現方法にもよりますが、モチーフをしっかり観察して特徴をつかむのは大事です。

 

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この日は洋服や持ち物も青かったです。ティッシュやラップまでも青いです。
偶然だそうです。

 

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ペーパーカラーという、紙の色を再現した絵の具。これで白い部分を修正していました。
全くもって必須な道具ではないのですが、このブログに掲載したことで来年度の学生が使い始めるかもしれませんね…。

 

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で、完成作品がこちらです。
海の上を飛ぶ渡り鳥(カモメ)のイメージとのこと。

制作者曰く、視デの課題に対しては、自分の好き嫌いではなく、人に伝えることを常に意識しながら形や色を決め、感覚的にならないように頭を使って制作していたとのこと。彼女は多摩美のグラフィックデザイン学科も合格していますが、視デとグラフでは考え方を変えて制作したことが功を奏したのだと思います。

とはいえ本人は「BIRD」の「D」の文字を入れないことに迷いがあり、試験終了直後はダメだなと感じたそう。

インパクトのある作品ではないかもしれませんが、素材の特性、画面の空間、色彩計画、イメージ設定など基本のしっかりした作品に仕上がっているんじゃないでしょうか!

強いて言えばもうちょっとカモメの特徴やフォルムが表現されていても良さそうですね。
でも120点前後はついてそうな作品だと思います(た、たぶん…)!

 

 

詳しい製作手順は映像でどうぞ!!
こうやってみるとやっぱり作業手順や手際がとても良いです。

ほぼ固定カメラで撮りっぱなし、かつテロップもありませんが、やっぱりこういうのは早いほうがいいかなと。簡易版なのでHPからのリンクは貼っていません。

とりあえず311(くどい)に是非お越し下さい!
作品をみるだけなら18日以降のほうが作品点数も多いとは思いますが!
詳細は以下からお願いします!
http://www.art-shinbi.com/startevent/index.html

 

 

ー追記ー


こちらも公開されたそうです!是非!