カテゴリー別アーカイブ: 油絵科

オイル(画用液)について④ ダンマル編

こんにちは。油絵科の関口です。夏期講習もあっという間に半分が終わってしまいましたね。なかなか作品がうまくいかず、落ち込んでいる人もいると思いますが、この時期の失敗は今後の制作の糧になると思いますので、気にしないでドンドン制作していきましょう。

さて、講習会中にある学生からダンマルの作り方を聞かれましたので、今回は溶き油で使うダンマル樹脂溶液を作ってみたいと思います。
「そもそもダンマルって何?」とか「ダンマルの存在は知ってるけど、どういう時に使うの?」という人や「オイルって色々あってよく分からない…」という人も多いと思います。詳しい内容が知りたい人は、以前書いたオイルについてのブログを参照して下さい。

オイル(画用液)について①
http://www.art-shinbi.com/blog/20141215/

オイル(画用液)について② ?カテゴリー編
http://www.art-shinbi.com/blog/20141222/

オイル(画用液)について③ テレピン編
http://www.art-shinbi.com/blog/20150330/

画材屋さんに行くと、ダンマル樹脂の塊が売っています。これをテレピンに溶かしたのがダンマル樹脂溶液です。瓶入りでメーカーさんの方で溶かしものも売っていますが、自分でも簡単に作れるんですよ。
まず用意するもの。IMG_4913
ダンマル樹脂、テレピン、広い口の瓶、ストッキング、秘密兵器、じょうご。画材以外は全て100円ショップで揃えました。あと写真には写っていませんが、空になった油の瓶(狭い口の瓶)も必要です。

分量は、容量比(おおよその体積比)でダンマル樹脂1に対し、テレピンは2?3です。わざと少し濃いめに作って、後でテレピンで薄める事も可能なので、分量はザックリで大丈夫!

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これがダンマル樹脂。ちょっと美味しそう?どんなにお腹が空いても食べるのはやめといた方が良いと思いますよ(笑)。ちなみに、ダンマル樹脂は中にゴミや不純物が混ざっている事が多いので、ストッキングで漉すのが良い…とされています。

ストッキングダンマル
ストッキングにダンマル樹脂を入れ、テレピンの入った瓶に入れます。ストッキングは伸びるので瓶に履かせれば準備完了。この時、瓶の底にくっつかない様にするのがポイントです。

 

ダンマル1:テレピン2 の分量なら1日で溶けますので、そのまま放置し、全部溶けたらじょうごを使って口の狭い瓶に入れて完成です。(広い口の瓶はそのまま使うとベタベタしてしまい、非常に使いにくいんです)IMG_4930
溶ける前と比べると透明度が落ちていますが、ダンマルはこれ位の透明度が標準的です。

 

あと今回はもう一つ、やり方を紹介します。
というのも、ストッキングは男子には中々手に入れにくいですよね?
そんな君のために、今回は秘密兵器(上のモザイクのやつ)を用意しました。それは100円ショップで売っていた、糸付きお茶パック。これなら簡単に出来るかも…と思い、早速作ってみました。ストッキングよりも目が細かいので、ゴミもバッチリ取れそうです。IMG_4916
ただ、一つのパックに入る量は少ないので、二つに分けて作ってみました。ダンマルを入れたらお茶パックの口の部分の布をちょっとひっくり返すだけなので、とっても簡単です。
これも瓶の底につかないように気をつけて下さい。

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翌日には見事に溶けていましたよ。あとゴミもこんなに…。このやり方は初めて試したんですが、実践してみて結構良いと思いました。恥ずかしがり屋の男子にはオススメです。

 

※オーソドックスなやり方は、ガーゼと糸を用意し、蓋に穴を開け、ガーゼに包んだダンマルを糸で縛って蓋の穴を通して、割り箸で固定する…というものです。あ?面倒臭っ(笑)。

どのやり方でも割と簡単にできるので、皆さんもお試しあれ。

油絵科・この夏必見の展覧会

こんにちは。油絵科の関口です。
夏期講習会も始まり、デッサンに奮闘している人も多いと思います。油絵科はデッサンでも求められる内容は多岐にわたるので、頑張って制作するだけでなく、色んな作品を見る事も大切になります。

そこで今回オススメの展覧会を一つ。
東京ステーションギャラリーで行われている「12Rooms 12Artists」。僕も先日観てきましたが、日本で本物を見る機会が滅多にない作家が勢揃いしている感じで、結構マニアックな人選だと思いました。IMG_4889
駅の改札口を降りると大きなポスターがあるので、すぐに分かります。

 

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会場に入って一番最初の部屋はスーザン・ローゼンバーグ。

 

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すだれを潜ると次の部屋ががエド・ルーシェイ(新美ではずっとルシャと読んでいました)

 

フロアを降りた最初の部屋にはルシアン・フロイド。x8381.jpg.pagespeed.ic.ei0sSf-ELi
※会場内は撮影不可なので、写真はインターネットミュージアムより

奥に進んで行くとミンモ・パラディーノやデヴィッド・ホックニーなど、新美の画集で馴染みのある作家の名前がチラホラ。他にも荒木経惟や小沢剛など日本人の名も。

 

ステーションギャラリーは、東京駅の丸の内北口から出たらすぐの場所です。月曜日休館ですが、金曜日は20時まで開催していますので、是非行ってみて下さい。
実際に行ってみると、もしかしたら「よく分からない」と思うかもしれませんが、数年後に「あの時あの作家の本物を見てたんだ…」と考えるようになると思います。夏期講習会で地方から上京してきている人も必見です。

東京ステーションギャラリーの紹介HP
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201607_12rooms.html

一学期最終日になりました。

いかがお過ごしでしょうか?渋谷校、箱岩です。

6月26日に東京芸術大学の入試説明会があり、自分も足を運びました。

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気が付けば修了してから19年目かな?随分時間が経ちました。時間があったので木陰をぶらぶらしていたんですが、樹木が随分と成長していて、文化祭でよじ登ったあの木、作品制作でお世話になったこの木、どの樹も見違える程の巨木になっていました。時間の経過を感じて、すごく不思議な感覚。

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こういうところも芸大の魅力になってきたなーと、ジジくさい事を考えていました。

都心の真ん中で、伝統のあるキャンパスで、巨木の森に囲まれ、信じられないほど自由に、好きなだけ自分を見つめて制作できる。素晴らしい環境へと成長したなぁ~(遠目www)

当時から携わっている各学科の教授陣の努力の賜物でしょう。

合格者作品のクオリティーも今まで通り、とてもしっかり。感心するようなアイディアで課題と向き合った作品が多いなぁと思いました。新美生も少数ですが混じってましたね。

渋谷校の生徒さんたちも皆参加していましたので、次の週から俄然意欲が出たようでした。

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で、上の作品が次の日から制作していた油絵。

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こちらは基礎科の2年生。学期末、気合入ってますね~。

 

さて、夏期講習がいよいよ始まります。渋谷校の設置コースは下記のとおり。

基礎科 Ⅰ~Ⅵ期

デッサンコース・油絵コース・デザインコース(高1~2生)

受験 Ⅰ~Ⅵ期

油絵コース・デザイン/工芸コース(高3生)

 

この夏、本気で美大受験、芸大受験を考えている君。今からでも遅くはないよ!

是非、新美渋谷校で最初の一歩を!!

油画×先端=∞ ③

こんにちは。油絵科の関口です。
今日は油絵科と先端科合同のスペシャルバージョンのプレ夏期講習を行いました。新美初の試みでしたが、非常に盛り上がり、楽しいイベントになりました。IMG_4852

今回学生に与えたのは小包セット。
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課題文は『人体をキーワードに与えらた素材で作品を作りなさい』というもの。

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1日のイベントなので、受講した人は大変だったと思いますが、講評の時には色んな作品が並んで、本当に面白かったです。

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ところで、芸大油画専攻でも2004年には二次試験の最終日に封筒が与えられ「封筒に自由に表現しなさい」という課題が出題されました。
2010年には箱が二次試験の一日目に箱が与えられ「自分の部屋」をテーマに表現しなさい。という課題が出題されました。何れの年も全く予告なしにこういう課題が出題され、素描用紙が立体物!という設定に戸惑った受験生も多かった様です。どのタイミングでこういう課題が出題されてもおかしくないのが芸大油画専攻。

今回のイベントでの講評やアドバイスが、今後の作品作りに役立つことがあるかもしれませんね。
僕らの仕事は、皆の意識に種を蒔き、水を与えること。夏の間にグングン育って、入試の時には大きな花を咲かせたり、実を結んでもらえるように祈っています。

油画×先端=∞ ②

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、いよいよ来週7/10(日)に油絵科と先端科合同のプレ夏期講習会が行われます。
学生から「どんな事をやるんですか?」と聞かれる事が多いので、今日はイメージしてもらいやすい様に参考の作品をお見せしたいと思います。

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これは2000年代前半に行った※特殊表現課題(新美油絵科命名の既成の課題に属さない課題の総称)コンクールの作品で「一マスの楽園」という課題。

 

ダンボール、マッチ軸
与えたのは床一マス分の大きさの段ボール、マッチ棒の木軸(多量)です。描画材は自由(油性以外)。他にも提出用のベニヤ板を与え、床のマスに合わせて置く事を条件にしました。

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楽園と言っても、人によって様々なイメージがあるようですね(笑)。

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ちなみにこれらは当時の上位作品ですが、この中から後に何人も芸大合格者が出ています!!

 

芸大では、毎年どんな課題が出題されるのか、全く想像がつきません。いきなり石膏像が出題されたり、極端に現代美術的な出題がされたり、年によって全然違う内容が出題されています。あまりにも振り幅が大きいため、受験生の中には戸惑ってしまう人も多いでしょう。

しかし、芸大油画専攻や先端科を受験する以上、色んな人と関わって多様な視点を学んでいく事は不可欠です。油絵科と先端科が触れ合うのは、お互いに未知の領域に足を踏み入れる様な感覚ですよね。一緒にやる事で、一体どんな化学反応が起こるでしょうか?

可能性は正しく無限大。こちらの期待感もMAXです!