カテゴリー別アーカイブ: 油絵科

油絵科の悩める子羊たち

こんにちは。油絵科の関口です。
あっという間に夏期講習も終わり、いよいよ二学期が始まりますね。

 

ところで、一般的に「油絵科の学生は変わった子が多い」という印象があると思います。実際、日頃から学生の絵を見ていると「何でそうなるかな?(笑)」と思う事もしばしば…。数々の伝説を残していった卒業生もたくさん見てきました。

そんな中で、毎年のように「自分は普通の人間で、何も才能がないのかもしれない…」と落ち込んでしまう学生を見掛ける事があります。
そういう人は「頑張って変わった事をしなければ…」という、一般の人からすると摩訶不思議な意識が芽生える様です(笑)。
でも本人にとっては切実な問題なんですよね。気持ちは非常?によく分かります。DSCN0993.JPG
自分自身が真面目である事を嫌がる人もいます。不器用な自分を許せない人もいます。
そんな事を考えていく内に、マイナス思考の深みにハマり、自己嫌悪スパイラルに陥ってしまう様です。

「◯◯さんはあんな凄い事ができる…。□□君はこんな凄い発想ができる…。△△さんは遅刻してチョロっと描いただけなのに、講評ではいつも褒められる…。自分には技術もセンスも力も…本当に何もない…一体どうすれば…こっちは必死で頑張っているのに、あの人はあんな変な事ができるなんて…自分には想像すら出来ない?(涙)」
一体今まで何十人、こんな悩みを聞いてきた事でしょう?

DSCN1335.JPG
周りから見て、天然というジャンルの人は確かに面白いかもしれません。でも…そんな彼等にだって色んな悩みがあるんです。
「自分が本当にやりたいのは全然そういう事じゃないのに…」「いつも自分が失敗した…と思った時ほど褒められる」「あんなので評価されたって嬉しくも何ともないよ…」「いつも真剣にやってるのに笑われるなんて、馬鹿にされている様にしか思えない!すげ?ムカつく!!」
こんな気持ちが渦巻いているようです。これも正しく負のスパイラル。

DSCN0275.JPG
どちらにどう転んでも、悩める子羊達には変わりありません。そんな彼等は、不思議なくらい自分の中にある素晴らしさに気付いていないのです。どうやら自分自身の事は、客観的に見る事が殆ど出来ない様です。

僕からできるアドバイスは3つ。
①良いところも悪いところも、それを全てひっくるめて自分である…と認めること。
②背伸びをしないで、自然体で自分らしくあること。
③どんなに辛くても、逃げずに自分自身と真剣に向き合うこと。

こういうプロセスを経て、初めて表現者としてのスタート地点に立てるのです。表現者の道に近道はありませんが、決して遠回りしてきた訳でもないんです。

 

最後に…以前ネットでこんな言葉を見つけたので、油絵科だけでなく、色んな事に悩んでいるあなたに送りたいと思います。どうやら見えない出口はすぐ傍にあるようですよ。

 

苦悩というものは、前進したいって思いがあって、それを乗り越えられる可能性のある人にしか訪れない。 だから苦悩とは飛躍なんです。
byイチロー

信念

渋谷校の箱岩です。

皆さん充実してますか?渋谷校の生徒さん、いい顔してますね~。

きっと充実感が味わえているのでしょう。とても楽しそう。

FullSizeRender (1)

夏期講習も残すところあと4日。時間も夜間部生にとっては長く、週3日コースの生徒さんにしてみれば日数も倍。それはそれは大変な夏休みになったことでしょう。

今、2学期のカリキュラムを組み立てながら、課題数が夏期講習よりも少ないことにかなりあせっています。時間が足らないなかで、どうすればいいか?

そのヒントは、この夏のスポーツ関連のニュースの中に見て取れました。

皆さんも見てましたか?リオ・オリンピック2016と甲子園とで、「気持ち」というものが如何に人の心を打つか思い知りました。

純粋に好きなことに本気で打ち込んできた気持ちの強さ。

様々なプレッシャーの中でかみ締める悔しさ。

どんな状況でも仲間を信じる強い気持ち。

ライバルを心から尊敬し気持ちを継承する勝者の気持ち。

祖国平和や祖国の子供たちへの気持ち。

選手の気持ちは様々ですが、人は気持ちによってこんなにも強く、逞しく、物理的な制約も、常識も打ち破っていくものなのかと、連日涙が止まりませんでした。

どんな逆境にあっても自分の可能性を信じて、結果が出て当然だと思えるだけの努力をする。これこそが勝者共通の言葉だったように思います。

自分を信じて、想い念じ続けること。それは人を強くするものなんですね。

「信念」

胸にきざんで今年度の後半戦を戦いたいと思います。

 

さて、絵画においてもそうした明快な信念は大きな力になります。

「私こうしたい!」「もっとこんな感じ!」

黙々とこんな気持ちを積み重ねると絵が充実してきます。

素直にいいなーと感心した作品の中から少し紹介いたしましょう。(油絵コースの生徒ばかり取り上げてしまいますがあしからず。)

IMG_7846

基礎科油絵コースの子の作品です。背景を難しく考えるのをやめ、とにかくモチーフをしつこく丹念に観察して丁寧に描いていた作品です。

次は受験科油絵コースの3名。それぞれ色へのこだわり、調子へのこだわり、線へのこだわり。どの作品も強いこだわりを感じさせる意志力のある作品になっています。

IMG_8251

IMG_8045

IMG_8240

最近、関口先生からいただいた言葉を借りれば「油絵科の生徒の熱意ってのは、金属をも溶かすほど極端に熱いか、半身浴をする程度に極端にぬるいか・・・」

(笑)正に、そのとおり!!

いろんな生徒がいるのが面白いところ。

残りの日程も「信念」をもって、熱闘していきましょう!!

ラファエルの筆

こんにちは。油絵科の関口です。
新宿校では先日、トゥールズさん主催で、フランスの名門メーカーであるラファエルの筆について講習会がありました。説明は代理店である丸善美術商事さんにお願いしました。
放課後に希望者のみ、という事でしたが、約40名が参加してくれました。Image-1

僕は当日学生を面接していたので、半分以上内容を聞けなかったのですが、参加した人は色々と面白いお話が聞けたのではないかと思います。特に筆の洗い方なんかは、筆洗器だけで洗っていた人にも、石鹸でちゃんと洗っていた人にも、目からウロコだったのでは?

一時間半程度の短い講習会でしたが、高級な筆を試し描きさせてもらえたり、他にも丸善美術商事さんが取り扱っているメーカーの色んな描画材にも触れられたり、盛り沢山の内容でしたよね。
Image-3
気が付けば、夏期講習会もあと一週間。台風の影響が心配ですが、皆にはこの夏の講習会の集大成を見せてもらいたいと思います。まだまだ熱い夏は続きます。一緒に頑張りましょう!!

オイル(画用液)について④ ダンマル編

こんにちは。油絵科の関口です。夏期講習もあっという間に半分が終わってしまいましたね。なかなか作品がうまくいかず、落ち込んでいる人もいると思いますが、この時期の失敗は今後の制作の糧になると思いますので、気にしないでドンドン制作していきましょう。

さて、講習会中にある学生からダンマルの作り方を聞かれましたので、今回は溶き油で使うダンマル樹脂溶液を作ってみたいと思います。
「そもそもダンマルって何?」とか「ダンマルの存在は知ってるけど、どういう時に使うの?」という人や「オイルって色々あってよく分からない…」という人も多いと思います。詳しい内容が知りたい人は、以前書いたオイルについてのブログを参照して下さい。

オイル(画用液)について①
http://www.art-shinbi.com/blog/20141215/

オイル(画用液)について② ?カテゴリー編
http://www.art-shinbi.com/blog/20141222/

オイル(画用液)について③ テレピン編
http://www.art-shinbi.com/blog/20150330/

画材屋さんに行くと、ダンマル樹脂の塊が売っています。これをテレピンに溶かしたのがダンマル樹脂溶液です。瓶入りでメーカーさんの方で溶かしものも売っていますが、自分でも簡単に作れるんですよ。
まず用意するもの。IMG_4913
ダンマル樹脂、テレピン、広い口の瓶、ストッキング、秘密兵器、じょうご。画材以外は全て100円ショップで揃えました。あと写真には写っていませんが、空になった油の瓶(狭い口の瓶)も必要です。

分量は、容量比(おおよその体積比)でダンマル樹脂1に対し、テレピンは2?3です。わざと少し濃いめに作って、後でテレピンで薄める事も可能なので、分量はザックリで大丈夫!

IMG_4918
これがダンマル樹脂。ちょっと美味しそう?どんなにお腹が空いても食べるのはやめといた方が良いと思いますよ(笑)。ちなみに、ダンマル樹脂は中にゴミや不純物が混ざっている事が多いので、ストッキングで漉すのが良い…とされています。

ストッキングダンマル
ストッキングにダンマル樹脂を入れ、テレピンの入った瓶に入れます。ストッキングは伸びるので瓶に履かせれば準備完了。この時、瓶の底にくっつかない様にするのがポイントです。

 

ダンマル1:テレピン2 の分量なら1日で溶けますので、そのまま放置し、全部溶けたらじょうごを使って口の狭い瓶に入れて完成です。(広い口の瓶はそのまま使うとベタベタしてしまい、非常に使いにくいんです)IMG_4930
溶ける前と比べると透明度が落ちていますが、ダンマルはこれ位の透明度が標準的です。

 

あと今回はもう一つ、やり方を紹介します。
というのも、ストッキングは男子には中々手に入れにくいですよね?
そんな君のために、今回は秘密兵器(上のモザイクのやつ)を用意しました。それは100円ショップで売っていた、糸付きお茶パック。これなら簡単に出来るかも…と思い、早速作ってみました。ストッキングよりも目が細かいので、ゴミもバッチリ取れそうです。IMG_4916
ただ、一つのパックに入る量は少ないので、二つに分けて作ってみました。ダンマルを入れたらお茶パックの口の部分の布をちょっとひっくり返すだけなので、とっても簡単です。
これも瓶の底につかないように気をつけて下さい。

IMG_4921
翌日には見事に溶けていましたよ。あとゴミもこんなに…。このやり方は初めて試したんですが、実践してみて結構良いと思いました。恥ずかしがり屋の男子にはオススメです。

 

※オーソドックスなやり方は、ガーゼと糸を用意し、蓋に穴を開け、ガーゼに包んだダンマルを糸で縛って蓋の穴を通して、割り箸で固定する…というものです。あ?面倒臭っ(笑)。

どのやり方でも割と簡単にできるので、皆さんもお試しあれ。

油絵科・この夏必見の展覧会

こんにちは。油絵科の関口です。
夏期講習会も始まり、デッサンに奮闘している人も多いと思います。油絵科はデッサンでも求められる内容は多岐にわたるので、頑張って制作するだけでなく、色んな作品を見る事も大切になります。

そこで今回オススメの展覧会を一つ。
東京ステーションギャラリーで行われている「12Rooms 12Artists」。僕も先日観てきましたが、日本で本物を見る機会が滅多にない作家が勢揃いしている感じで、結構マニアックな人選だと思いました。IMG_4889
駅の改札口を降りると大きなポスターがあるので、すぐに分かります。

 

PW658_01
会場に入って一番最初の部屋はスーザン・ローゼンバーグ。

 

brothersister-jpg
すだれを潜ると次の部屋ががエド・ルーシェイ(新美ではずっとルシャと読んでいました)

 

フロアを降りた最初の部屋にはルシアン・フロイド。x8381.jpg.pagespeed.ic.ei0sSf-ELi
※会場内は撮影不可なので、写真はインターネットミュージアムより

奥に進んで行くとミンモ・パラディーノやデヴィッド・ホックニーなど、新美の画集で馴染みのある作家の名前がチラホラ。他にも荒木経惟や小沢剛など日本人の名も。

 

ステーションギャラリーは、東京駅の丸の内北口から出たらすぐの場所です。月曜日休館ですが、金曜日は20時まで開催していますので、是非行ってみて下さい。
実際に行ってみると、もしかしたら「よく分からない」と思うかもしれませんが、数年後に「あの時あの作家の本物を見てたんだ…」と考えるようになると思います。夏期講習会で地方から上京してきている人も必見です。

東京ステーションギャラリーの紹介HP
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201607_12rooms.html