カテゴリー別アーカイブ: 油絵科

筆職人のこだわり①

こんにちは。油絵科の関口です。
ここのところずっと寒い日が続いていますが、皆さんは風邪をひいたり、インフルエンザに罹ったりしませんでしたか?入試まであと少しです。体調管理に気をつけて頑張っていきましょう。


さて、以前このブログにも書きましたが、年末に行なっているアニマート展のメンバーと共に、名村大成堂さんの筆工場見学に行ってきました。(ナムラさんは世界に誇る筆の名門で、僕も受験生の頃からずっと愛用しています)工場と言っても全て手作りで作業を行なっていますので、案内していただいた作業場は割と小さな部屋で、職人さんたちが一本一本丁寧に筆を作っていました。

今回説明していただいたのは、油絵用の豚毛筆で最高級品「HF」の作業工程です。
他の筆と比べると少し値段も高めですが、この筆は品質が良くて使いやすいんです。その理由も今回見学する事で改めて分かりました。

HFは緑色の軸で、金属部分が銅製のもの。他のメーカーもナムラさんのを真似て、このカラーリングで筆を作っていますが、品質はナムラさんだけが別次元です。


左が豚毛の原毛。右は馬、イタチ、タヌキ、リス、羊などのいろんな種類の原毛。

まずこの束になった原毛をナイフと金属製の櫛を使って選別(この作業をサライと言うそうです)していきます。この作業で毛の向きを合わせ(原毛の束では向きがバラバラ)品質の悪い毛を落としていくのだそうです。この作業を繰り返し、回数を多く行なっていくと、良い毛だけ残っていきます。これだけで、なんと原毛の1/3位までに減ってしまうのだとか!
地味な作業ですが、良い筆を作る上で職人さんの技術が問われる大切な工程です。


写真のピントはボケてしまっていますが、この作業を何年も何年もずっと繰り返していくと、金属製の櫛がこんなにすり減ってしまうのだそうです。年月の積み重ねというものは凄いですね。


サライが終わると、少し水をつけて毛をまとめます。実は豚毛の毛は少し湾曲しているので、方向をちゃんと揃えないと、描きづらい筆になってしまうそうです。もちろん一つの方向に反ったままだと、それはそれで描きづらいですよね。


そこで専用のナイフを用いて、ガラスの上に毛を潰しながら並べ、クルクルっと丸めていきます。これで内側に反った毛で全て揃い、毛先が尖った筆になるのだそうです。これがまた見事な技なんですが、写真ではその凄さは伝わらないかもしれませんね。一本の筆を作るのに本当に色んな技術が使われています。

一回では全て書くのが難しいので、次回もこの続きを書こうと思います。2週間後にまたお会いしましょう。

「猪瀬直哉先生講演」中止のご案内

こんにちは、今回は残念なお知らせです。

5日前にこちらのブログでご紹介しました、
『猪瀬直哉講演ーーー現代アーティストの成り方・生き方ーーー』ですが、
急遽中止とさせていただきます。

講演される作家ご自身が、インフルエンザに罹ってしまいました。
直前の告知にかかわらず大変ご好評いただき、有難いことでしたが、
誠に申し訳ございません。ご了承のほど宜しくお願い致します。

阿部

New Year ワークショップ開催間近!

こんにちは、猪瀬直哉さんの講演たのしみですね。
新美では、その前にワークショップも行っていますので
そちらのご参加もお待ちしております。

1月7日(日)
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1月8日(月/祝)
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その他にも、「親子デッサン」「建築を学ぼう!」「3時間チャレンジ」など盛りだくさんです。
内部生、外部生問わず、美大受験する人もしない人も悩んでいる人も、まずはワークショップで
美術と触れ合いましょう!!

詳しくは、新美ホーム画面からアクセスしてみてください。

ーーー現代アーティストの成り方・生き方ーーー

明けましておめでとうございます。

新年早々、シビアな表題で失礼しました。
実は、新美のOBで海外で活躍されている作家、”猪瀬直哉”さんが来日!
若き後輩の受験生たちに向けて、「是非メッセージを発信したい!」と
熱き思いを新美で語ってもらいます。

Bigになるために何が必要なのか?
マネーのことや、日本とは違う世界事情、美術市場、語学の必要性など
結構リアルタイムでわかるのではないかと思います。

1月8日(月/祝)17:00? 新宿校1階ギャラリースペースで行います。
是非、お誘い合わせの上ご参加ください!!
もちろん、無料です。

おそらく身近にお話しもできそうですよ!!

古典技法にチャレンジ!!

こんにちは。油絵科の関口です。
今年も残すところあと僅か。皆さんにとって2017年はどんな年でしたか?楽しい一年だった人も、辛い一年だった人も、2018年は今年以上に良い年になる事を祈っています。

さて、2018年1月7日にNew Year ワークショップとして、油絵科は古典技法のデッサンを行います。「古典技法?何だか難しそう…」「一日でできるの…?」など色んな心配があると思いますが、どうかご安心ください。一日で可能なプログラムをご用意しております。

ピエロ・デルラ・フランチェスカ「キリストの鞭打ち」
↑ちなみに、これは一日では無理ですよ。

具体的にどんな事をするかというと、有色下地の紙に薄墨を使い筆で暗部を描き、テンペラの白で明部を描き起こしていきます。「筆でデッサンする」というのは、普段鉛筆や木炭で慣れた人でも、結構新鮮な気持ちで描けると思います。もちろん初心者でも大丈夫です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ「布の習作」

ところでテンペラという言葉を初めて聞く人もいると思います。テンペラとは、狭義では卵をメディウムとして使った絵具を指します。実際にはかなり色んな種類のテンペラが存在しますが、今回はこの卵を使ったテンペラメディウム作りから行い、白い絵具も自作します。昔の人がどの様に絵を描いていたのか?を体験してもらいます。

ここだけ見たら何かお料理教室みたいでしょ?

今よりもずっと道具や材料が少なかったルネサンスの時代。にも関わらず、どうして沢山の名画が誕生したのでしょうか?そんなところに思いを馳せながら、一緒に古典技法を体験してみませんか?
これは2017年1月にやったワークショップでの一コマ。制作の雰囲気はこんな感じです。

美大芸大の受験を考えている人や、これから絵を始めてみたい人。古典技法に興味のある人は、是非申し込んでみて下さい。定員がありますので、申し込みはお早めに。お待ちしております。

ワークショップサイト↓
http://www.art-shinbi.com/event/2018/workshop/