カテゴリー別アーカイブ: 油絵科

藤田嗣治について(下地編)

こんにちは。油絵科の関口です。台風が去って、また暑さが戻ってきましたね。そして次々と台風が発生しているようですが、皆さんも体調を壊したり夏バテしたりしないように、しっかりご飯を食べましょう!

さて先日、空き時間を利用して東京都美術館で開催されいる「没後50年 藤田嗣治展」を見てきました。今日はそのレポートです。

藤田嗣治はエコール・ド・パリ唯一の日本人画家で、おかっぱ頭、丸眼鏡、チョビ髭という出で立ちが印象的ですね。え?僕が藤田に似てるって?よく言われるんですが、別に真似てる訳ではありませんよ。チョビ髭だって生やしてないでしょ?

今回の展示では、初期の頃から晩年まで網羅しており、初来日の作品も多数ありました。非常に見応えのある展覧会だったと思います。
初期の作品では、東京美術学校時代からフランス留学し、キュビズムや当時の美術界の影響を受けた作品から風景画や静物画まで展示されています。単身フランスに渡り、見るもの全てが新鮮で、それまで日本で勉強してきた美術が、ひどく時代遅れである事を実感していたはずです。サインもフランス流にFoujitaとし、貪欲に色んなものを吸収しようともがいている姿が目に浮かびました。
初期の風景。有名になる前の絵なので、スタイルはかなり異なりますが、味わい深くて、なかなか良い作品です。本物を見て思いましたが、実は黒の使い方が上手いんです。

しかし、日本人である藤田がその名を轟かせたのは「乳白色」と称される下地に、細い線描で描いた、まるで日本画の様な作品でした。藤田はどの様に下地を作って、どの様に描いたのか?は絵描き仲間にも秘密にしていた様です。そのミステリアスさと変わった風貌も手伝って、一気にブレークする事になりました。

最近の研究では、藤田の乳白色の下地の正体が少しずつ分かってきました。体質顔料である炭酸カルシウムを油絵具のシルバーホワイトと混ぜて画面に塗布していたようです。炭酸カルシウムは油と混ざると若干黄色くなる傾向にあり、その分量を調整して乳白色を作っていたようです。そして仕上げにベビーパウダーを使って表面に浮いた油分を取り払っていたらしいのです。


ここに写真家の土門拳が、藤田のアトリエで撮った写真があります。彼は当時唯一制作の現場に立ち会うことが許された写真家と言われています。写真にはベビーパウダーが写っているのですが、藤田は肌が弱く、その為に用いられていた…と長年信じられてきたそうです。しかし近年絵の修復の際に画面からタルク(ベビーパウダー)が検出され、ベビーパウダーを使っていた事が判明しました。
写真に写っているのは、和光堂のシッカロール。昭和を感じるデザインです。

通常は、油性下地の上に水性の墨汁で描く事は出来ません。ベビーパウダーとは意外な材料ですが、油性下地に墨汁を使う事を可能にした、魔法の粉なのです。
さて、まだまだ書きたい事はありますが、長くなりそうなので、今日はこの辺で…。今度は藤田の線の秘密に迫ってみたいと思います。乞うご期待下さい。

くにたちの夏期講習会

国立校です。

只今夏期講習会真っ最中。
今日はムサビ生による実技デモンストレーションもあり、徐々に皆のペースが上がってきました。
これからが講習会本番。
暑さに負けずに頑張りましょう!

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◎夏期講習会(国立校)はまだ受講受付可能です。

 Ⅳ期 8/6ー8/11   締め切り間近です。
 Ⅴ期  8/13ー8/18  まだ空きがあります。
 Ⅵ期 8/20ー8/25  まだ空きがあります。

 

 

台風進路と芸大油画専攻

こんにちは。油絵科の関口です。昨日は台風でたいへんでしたね。僕はその前に風邪でやられてダウンしてしまいました。油絵科もⅡ期の最終日で予定していた投票イベントが中止になり、早く下校になってしまいました。

さて、今回の台風は発生当初より予報円が大きく、どのような進路を辿るのか?専門家の間でも多数の意見があったようです。

専門的な事はよく分かりませんが、上空の大気の状態や寒冷渦というものの影響なんだとか…。様々な気象条件が複雑に絡み合う中で正確に予測するのは至難の業なんだろうな?と思います。過ぎてしまえば、どうしてこの様な進路を辿ったのか?の分析は可能らしいです。

※画像はtenki.jpより

家で台風情報を見ながら、芸大油画の入試の事と照らし合わせて考えてしまいました。今後の芸大入試はどの様になって行くのか…?芸大入試予報士による進路予測です。

芸大油画専攻受験生の上空には冷たい空気が南下しており、沿岸では大型の台風Mensetsuが発生しました。現在の予報では二次試験受験生を直撃する予想です。この台風はかつて経験したことのないものであり、3年前に発生した巨大台風F30号Sketchbookに匹敵する被害をもたらすと予想され、各地では警戒が強まっています。

あの時の入試でこういう事やあんな事件があったから、今の入試はこうなっている…。最近ではこういう事が問題に取り上げられているから、今後はこんな風に動いて行く筈だ…。
そんな事を常に考えているのですが、時折こんな事も…
うわぁ、突然こんなに急カーブを描いた。ちょっと前までは、これは大丈夫だったのに…。今年はこっちなの…?過去を振り返ると、本当に色んな事が蘇ってきます。
受験生にとって、芸大入試の方向転換は自然災害のようなものですからね。

こんな風に考えると、気象予報士さんの仕事の大変さが目に浮かぶようです。

さて、西日本の方では先日の豪雨で大きな被害が出て、今回の台風の影響はとても心配です。自分も数年前に実家が水害に遭い、土砂片付けの大変さを身を以て体験しています。今回の土砂災害の映像を見ると規模がケタ違いで、正に目を背けたくなるレベルです。
自分に出来るのは、募金など限られたことしかありませんが、被害がこれ以上広がらない様に心から祈るばかりです。

S.S.S「石膏デッサン強化ゼミ」締めコンクール他

こんにちは、全科総合部です。
先日の「スペシャル・サマー・セミナー」
お陰様で、全コース無事終了しました。

ご参加いただいた受講生の皆さん!
両日とも、猛暑の中、おつかれさまでした。
そして、ありがとうございました!!
「石膏デッサン強化ゼミ」より
石膏デッサンでは、2日目ということで、前日のクロッキーを活かして
パワーアップした受講生の「コンクール」でした。
前日の各科講師のバトル指導の結果をここで存分に発揮できたのではないでしょうか!!
壁1枚挟んで、繰り広げられた講評。

石膏デッサンだけでなく、
今回のゼミをきっかけに、何か得ていただいたと思います。
1日か、2日の短い時間でしたが、楽しく過ごした人、勉強になった人
また、挫折を味わった人もいるかもしれません。しかし、挫折あっての成長のほうが
必ず、伸び率もアップするはずです、頑張っていきましょう!!

「油絵科㊙テクニック講座」より

 
「『手』についての講座~Method of Checkmate~」より

 
「作品の魅力を伝えるポートフォリオをつくる」より

そして、夏期講習会が始まります。猛暑を乗り越える体力・精神力がつけば
入試も乗り越え、難関校突破も難しくはないでしょう!(ただし無理は禁物です)

夏期講習では、全力で皆さん受験生のサポートいたしますので
是非、受講してみてください。

申し込みはこちらから。
この夏、一挙に前進!!

 

油絵科、噂のスペサマ開催!

こんにちは。油絵科の関口です。
ここ数日は本当に暑いですね?。でも新美油絵科も熱いですよ!ここ最近ツイッターでも話題になっている、油絵科のスペシャルサマーセミナーが、いよいよ開催されました。
入試の状況が変わった事で、お蔵入りにしていた参作をズラリと並べ、秘密道具や秘密技法、裏技を次々と披露しました。今回に関しては「奇想天外」という言葉は、決して大袈裟ではなかったと思います。

もちろん真面目な内容もありましたよ。鉛筆とは全く異なる木炭の使い方のコツや、デスケル用の線の引き方のデモンストレーション。
非常に細かいところですが、今回の解説を聞いてた人なら、この写真の意味がわかりますよね。


あと海老澤先生による球体の描き方のデモンストレーションもありましたね。「皆が見てる前だと緊張するな?」とか言いながらも、あっという間に球体が出来上がりましたね。

確かにこの人数なら緊張するのも分かります。


しかし、今日の大半を占めたのは、飛び道具の数々や、怪し…いや、斬新過ぎるテクニックの披露。色んな意味で、あまり外部にはお見せ出来ません(笑)。
油絵科の中で、まるで都市伝説の様に語られてきた数々の噂。そしてそれを間近で見てきたベテラン講師達から次々と明かされる真実。想像以上にぶっ飛んでいたあの時代…。あの頃を思い出しながら今日のイベントを全力でやってみたら、僕らもすごく楽しかったです。

さて、明日は油絵です。一体どんな絵が待ち受けているのでしょうか?一足早く紹介します。

一体どうやって描いたんでしょうね?


乞うご期待ください。

今回のスペサマを取れなかった人も、夏期講習会はまだ間に合います。新美油絵科の楽しそうな雰囲気を是非自分の肌で体感してもらいたいと思います。入試の情報も満載ですし、絶対に損はさせません!

今年の新美は「すべては君の笑顔のために」をテーマに、一丸となって頑張っています。是非一緒に入試まで頑張っていきましょう!