カテゴリー別アーカイブ: 映像科

映像科:『Your Body is Yours』

こんにちは、映像科の講師の森田です。
二学期はイベントも盛りだくさんですね。前回告知した公開コンクールは受験に直結したイベントですが、先週行われた「全科合同・秋のデッサン祭」は「祭」というのにふさわしく、授業という日常を飛び越えて、なかなかの盛り上がりでした。
日程の問題もあり映像科からは参加した学生がいなかったのですが(ファイン系/デザイン系を前にして「デッサン祭」という響きにちょっとひるんでしまったのかも…)、審査の方は映像科主任として参加させていただきました。「わたしを描く」という課題へのアプローチの面白さや、それぞれの得意技を活かしたデッサン、デッサンとは言えないくらいにコンセプチュアルな作品など、映像科の実技を制作する上でも参考になることが見えてくると思います。
講師による審査は終わりましたが、webでの投票はまだできるらしいので、ぜひどうぞ!

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さて、そんな中今回は秋のオススメ展覧会情報です。シルバーウィークは新美のイベントが盛りだくさんだったため、先週自主的なシルバーウィークとして大阪の国立国際美術館にヴォルフガング・ティルマンスの『Your Body is Yours』を観に行ってきました。会期は23日までということで、お勧めしたところで今から観に行くことはできないですが…。しかしティルマンスについては映像科の人はもちろん、それ以外の専攻の人もぜひチェックしてみてください。

2012年東京都現代美術館のトーマス・デマンド展や、2013年国立新美術館のアンドレアス・グルスキー展など、ここ数年ドイツの現代写真の大規模な展覧会が開催されていますが、ティルマンスもドイツの出身。ドイツの現代写真というと教科書的には、デュッセルドルフ芸術アカデミー/ベッヒャー夫妻の影響が言われます。デマンドやグルスキーはその系譜として説明することもできると思いますが、ティルマンスの写真は一見するとそういった作品とはまた違った印象を受けます。

ティルマンスの作品の特徴としては、それが「スナップ写真」であること、あるいは「スナップ写真のように見える写真」であることが挙げられます。特に初期の頃の作品では小型のカメラで身近な風景や友人を写したものが多いですが、そうした写真がなぜ作品になるのか?というのは、それ自体が写真について考える上では本質的な問いでもあります。近年の作品では写真プリントそれ自体をオブジェクトとして意識するような作品があったり、複数の写真を重ねてひとつのイメージを構成していたり、さらに今回の展示では、プリントアウトされたテキスト(主にはニュースサイトなどの記事や図版)がインスタレーションの一部として、撮影された写真と(ある意味では同等に)扱われていたりして、全体として「イメージとは何か」ということを考えさせられる作品です。

また写真の展示の仕方も「ティルマンス以前/以降」と言われることがあるくらい、今ではそれほど新しさは感じないですが、サイズの違った写真を壁面にランダムに貼っていく方法、その貼りかたもテープやピンで留めたりなど、一見するととてもラフに思えますが、隣り合った写真同士の関係や、空間全体のレイアウトなど(当たり前ですが)実際は計算されたインスタレーションとして制作されています。今回の展示では10以上の展示室それぞれがかなり明確なテーマによって構成されていて、単に写真を写真として「見る」というよりも「(複数の写真の繋がりを)読む」ような体験ができます。

…と、少々硬めに解説してしまいましたが、実際にその展示を見てみると普通に「かっこいい」とか「写真って面白い」という感想が挙げるのもティルマンスの写真の特徴です。日本では11年ぶりの大規模な展覧会とのことでしたが、さて次はいつでしょう? 興味を持った人は海外まで出かけるか、写真集を眺めつつ気長に待ちましょう。

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図録はこんな感じ。中を開くとタイトル『Your Body is Yours』の文字が。

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映像科:二学期の授業スタート

こんにちは、映像科講師の森田です。
あの猛暑はどこへやら…という感じですが、映像科の木金日コースは9/3から、夏期講習の受講生も合流して賑やかなスタートしてます!一学期は映像科入試の基礎的な課題が中心でしたが、二学期からは【一般入試コース】【推薦入試対策コース】【留学生コース】に分かれて、更に「小論文選択」と「鉛筆デッサン選択」それぞれの対策を行っています。

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まだ一ヶ月ほど先ですが、10/11・12には「全国公開実力コンクール」も控えていますね。急に涼しくなりましたが、体調に気をつけつつ、二学期も元気にいきましょう!

映像科:夏期講習も後半戦

映像科講師の森田です。全部で4タームに分かれている映像科の夏期講習も3ターム目に入りました。もう佳境?いやいや、一般入試対策はむしろここから実戦寄りの課題が目白押しです。

・先週までの授業の様子。推薦入試対策では映像制作のワークショップもありました。グループに分かれて企画を出し合いディスカッション。そして新美の周辺でロケ場所を探して撮影、編集、教室での上映・展示まで行いました。

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・こちらは今週の授業から。映像科独自の鉛筆デッサンのポイントについてレクチャー。武蔵美や東京造形大の実技科目で小論文か鉛筆デッサンか迷っている人もこの時期には大体方向が定まってきます。

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・そして8月17日の放課後には武蔵野美術大学映像学科の三浦教授に来ていただき、映像科の夏期講習会の恒例となっている「進学相談会」も実施。大学生が制作した作品を見せていただきながら、コンピュータ・グラフィクスから立体や手描きまで横断する「アニメーション」という表現の幅広さに触れた一日でした。

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映像科:写真展のお知らせ

こんにちは、映像科講師の森田です。
世間がお盆休みになると朝の電車がちょっとだけ空くのが有り難い今日この頃ですが、いよいよ夏期講習も後半戦。このまま最後まで駆け抜けたいものです。

今回は現在開催中の写真展のお知らせです。去年新美映像科で一緒だった3人が下北沢のギャラリーで展示をしています。僕も今日行ってきたのですが、3人3様でなかなか見応えのある展示でした。週明けの17日までですがぜひ足を運んでみてください!

「写真ワークス」ギャラリーHANA
2015年8月12日(水)~17日(月) OPEN 11:00-19:00

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映像科:夏期講習会・中間報告

こんにちは、映像科講師の森田です。東京の連続する猛暑日と同じくらい暑い/熱い映像科の夏期講習は続いています。
普段は画用紙と原稿用紙に向かうことが多い映像科ですが、8/3からのⅢ期では推薦入試の対策をメインに、連日映像作品の制作やプレゼンテーションなどしています!
この日は「ポートフォリオ制作・ワークショップ」と題して、自分がこれまで制作してきた映像作品や写真作品(またはこれから制作する予定の作品)をファイルのかたちでまとめるためのレクチャーとパイロット版の制作をしました。推薦・AO入試で映像メディア系の学科・専攻を受ける人にとっては差し当たりポートフォリオなどの作品提出がありますが、美大に入ると自分の作品をまとめる機会はつねにあるので、そのための練習でもあります。

午前中はまず、古今東西様々なアーティストやデザイナーの作品集を見ながら、作品のメインビジュアルの見せ方やテキストの解説、ファイルのレイアウトを研究してみます。「映像を紙媒体で魅力的に伝えるにはどうしたら良いか?」意見交換もします。

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午後はデザイン学科出身の野澤先生によるレイアウトの基礎講座を踏まえて、実際に自分の作品をファイルのかたちにしてみます。最後には一人ずつタイトルを付けて発表。今回のパイロット版の制作を踏まえて、残りの期間でブラッシュアップしていきましょう!

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この機会に映像科の合格者のポートフォリオの一部を紹介。
以下は昨年の武蔵美映像学科クリエーション資質重視型の合格者の再現ポートフォリオです。写真を使った平面作品と展示のドキュメントが中心。かなりシンプルな、ともすればちょっと不安になるくらい寡黙な印象のファイルですが、テーマやコンセプトなどしっかり考えて解説を添えているところなどが評価されたようです。

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こちらは数年前に東京造形大学AO入試でアニメーション専攻に合格した学生が制作したポートフォリオ。一転してこちらは表紙からして楽しそうなつくり。全体を通じて「絵を描くことが得意でデッサン力にも自信あり」ということをアピールしつつ、一方でアニメーションの原理的な部分にも興味があるということを、一冊でうまくまとめています。

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ちなみに作品提出期間は、東京造形大学の各専攻は9月、武蔵美映像学科のクリエーション資質重視型は11月となっています。推薦入試を受けようと思っている人は(夏休みの自由研究的に)これまでの自分の作品、活動をまとめておくようにしましょう。