カテゴリー別アーカイブ: 新美

木炭デッサンと紙のお話

こんにちは。油絵科の関口です。ゴールデンウイークもあと2日。休みというのはあっという間に過ぎてしまうものです。皆さんも残りの休みを有意義に過ごして下さい。

さて以前も「木炭について」と題して書きましたが、今回は作例を上げながらデッサンについて書いていこうと思います。
以前のブログについてはこちらからご覧下さい。↓
http://www.art-shinbi.com/blog/20131118/

 

木炭デッサンギャラリー

OLYMPUS DIGITAL CAMERA これはスーラの石膏デッサン。日本の受験生のデッサンとはかなり違いますね。ちょっと硬いけどカッコいいですね。

 

ピカソ11歳これはピカソ11歳の時に描いたベルベデーレ。ちゃんと空間が描けています。これを小5?6年生くらいの子が描いた、と考えると恐ろしいですね。

レオナルド1495-1510これはレオナルド・ダ・ヴィンチの「聖アンナと聖母子」の為のデッサン。油絵とは構図や顔の表情もかなり異なります。油絵と比べてアンナはかなり老けていますが、マリアは抜群に美しい表情で描かれています。

 

マティス1910
これはマティスの初期を代表する「ダンス」の為のデッサン。描いては消し、描いては消し…を繰り返して、画面にどう収めるか?を探った跡が残っています。木炭は消しやすい素材なので、その特徴を最大限に生かした作品になっています。決して写実的な表現ではありませんが、躍動感に溢れる作品に仕上がっています。

 

スーラ、トロンボーン奏者1887
この作品もスーラのデッサンです。これは少し木炭紙っぽい目が入っています。
以前のブログで「木炭紙に描かれた素描を時間がある時に探してみます」という様な事を書きましたが、残念ながら殆ど見当たりませんでした。
この作品はどうやら木炭ではなく、コンテかクレヨンの様なもので描かれている様です。トロンボーンの辺りには白い描画材(何を使っているのかは不明)も使われています。

 

コルヴィッツ1933
これはケーテ・コルヴィッツのデッサン。(ちなみにコルヴィッツは女性作家です)この作品も紙は木炭紙っぽい目のある紙に描かれていますが、描画材は木炭ではなく、コンテで描かれています。

 

コルヴィッツ1905
こちらもコルヴィッツ。この絵も木炭紙に木炭で描いたように見えますが、実は銅版画です。

 

日本の受験では「木炭紙に木炭で描く」という行為は当たり前の様に行われていますが、どうやら世界的には珍しい事のようです。
安井曾太郎恐らく明治の後半から大正に掛けて、安井曾太郎がフランスのアカデミー・ジュリアンでデッサンを学んだ時、そこで使われていたのが木炭紙だったのではないか?と思います。そこで学んだデッサンの理念を日本に持ち帰った時に、併せて木炭紙に描かれる事も導入された可能性が高い、と僕は考えています。

今から20数年前、芸大油画専攻の試験が上野校舎ではなく、国技館で行われました。それまでは木炭紙だった試験用紙がTMKポスター紙になった時、フランスのMBM木炭紙のメーカー、アルジョマリー社はかなりの経営危機に陥ったのではないでしょうか。当時の芸大油画専攻の受験者数は2700人程度でした。一人あたり年間数十枚は買っていた筈ですから、数十万枚も急に売れなくなった計算になります。
数年前から再び芸大は上野校舎で木炭デッサンに戻りましたが、もしメーカーが潰れていたらどんな紙に描く事になっていたんでしょうね?

実は日本のメーカーが作っている「アトリエ木炭紙」なる紙も存在します。クロッキー帳にも目が入っている紙がありますよね?少し黄色味掛かったあれです。あの紙が厚くなったと言ったらイメージしてもらえると思います。ちょっと描いてみましたが、思ったより描きやすい紙でした。

 

木炭紙以外に木炭を使った事が無い人は、是非一度違う紙にもデッサンをしてみて下さい。世界標準を肌で感じる事が出来ますよ。

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さて、1月から4ヶ月に渡り、毎週月曜日にブログをアップしてきましたが、来週からは他の先生にバトンタッチして書いてもらいます。これからは4週間に一回のペースで僕に当番が回ってきます。毎週楽しみに読んで下さった方、4週間後にまたお会いしましょう。

基礎科の特別授業開講!

こんにちは、基礎科の岡田です。

ゴールデンウィークまっ只中、皆さんはどの様に過ごされているでしょうか?
油絵科の関口先生がブログでマニアックに取り上げられていた、バルテュス展などに足を運ばれているのでしょうか?
(「バルテュスのマニアックなお話」が気になる方は http://www.art-shinbi.com/blog/20140428/ へ。。。)
このお休みは都内各所で見逃せない展示が目白押しです。しかもそろそろ終了間近の展示が多数!
是非この様な機会を使って、好きなジャンルに特化するだけでは無く、色々な表現に触れてみてください。
楽しい発見があるかもしれませんよ。

さて、新美の基礎科ではお休みに入る前に『校長先生の特別講義』『はじめてのデッサン講義』という、特別講義2本立ての授業がありました。

KS01

「1時間でも2時間でもはなせますよ?。」と口火を切ってはじまった校長の特別講義、1時間で解りやすく楽しい授業となりました。
内容はというと、、、

・美術大学の色々と各専攻、その特徴と大事な事について。
・美術大学各専攻の、卒業後の仕事について。
・美術大学受験の学科試験について。
おまけで
・色相入門のおはなし。

それぞれ気になる事ですよね。
とても解りやすく、そしてかなりぶっちゃけたお話が聞けました。
今後も基礎科ではこういった機会を作ってゆきたいと思います、、気になる方は是非参加してみてください!

そして、授業のつづきでは基礎科講師による『はじめてのデッサン講義』。
色々と小道具を駆使して ↓ こんな授業になりました。

KS03

S先生の手、もはや石膏より気になります。なかなか美しい良い手ですよね。
これから新美の基礎科では、「表現するための色々」について、授業で紹介してゆきます。

映像科はじまりました。絵巻物で自己紹介。

こんにちは。映像科講師の森田です。映像科の金土日コースも先月の18日に始まっています!今年も映画やアニメーションをはじめとして、音楽、小説、マンガ…などなど、色んな興味を入り口にして新美の門を叩いた映像科の学生たち。まずは何よりも志望校合格を目指して、さらにせっかく予備校に通うのだから、大学で作品を作るための力を蓄えるような、そんな意義ある一年にしていきましょう!

さて、第一週目は自己紹介を兼ねた「絵巻物課題」。長さ2m近くある巻物のフォーマットを使って、制作者である自分自身をテーマに作品を作ってもらいます。この課題は映像科オリエンテーションの恒例課題でもありまして、自分のこれまでの半生を綴る人がいれば、日々の生活を報告する人、とにかく自分の好きな物を紹介しまくる人など、今年も良い意味でみんな自分の好きなように制作してくれました。

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イラストやテキストを構成して、完成したら発表。この課題では完成した絵巻物をカメラで撮影してプロジェクションしながら自己紹介してもらいます。絵巻物なので引き出されることで、映像はスクロールされ、時間軸を持った表現になるのです。デジタルな表現に慣れている人には逆に新鮮な、アナログな(人力の)表現。さながら新美でのこの一年間のオープニング映像という感じでしょうか。

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発表後は全員で講評会。そして講評会の後半には「絵巻物」つまりそれ自体は静止したイメージである絵と動く映像の関係について、少し解説もします。参考にしたのは高畑勲さんの『十二世紀のアニメーション-国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの-』という、ズバリそのものな一冊。この本はタイトルの通り、12世紀から存在した「メディア」である絵巻物の「読み方」を、現代の映像メディアのカメラワークやカット割りと関連づけつつ解説するという、映像に興味がある人なら間違いなく楽しめる内容。アニメーションだけでなく「映画におけるカメラのパンと移動の違い」など、実写系の人にもお役立ち。

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そしてこういったことは(やや強引ですが)今後映像科の課題で絵コンテやイメージデッサン、感覚テストなどを制作するときにも意識しなければいけないことでもあります。絵と文章によって、どうすれば「映像」や「物語」を想起させることができるか、という問題はこれから受験までに皆さんが追求する大きなテーマにもなります。(ここまでは授業では話してませんが…)

と、こんな風に映像科の金土日コースの教室では、映像系学科の受験対策はもちろん、広い意味での映像メディアに全方向的に触れることになります。このブログでも色々と紹介していきますので、お楽しみに?。

日本画科便り1-2014スタート-

日本画科です。

いよいよ2014年度がスタートしました。今年度も頑張って「全員、志望校合格」を目標に頑張っていきましょう。

 

今回は、日本画科の案内をしたいと思います。

新美日本画科は東京芸大、私立美大、国公立美大、その他私立美大の入試情報と入試課題の緻密な分析によってカリキュラムを作成しています。年間を通じてデッサンと着彩をバランスよく学習していくカリキュラム編成です。

指導は、受講者のレベルに沿った丁寧な対応が特徴です。その理論的で分かり易い指導は各自の課題点をクリアにしていくものです。個別の実技指導も行いますので、初心者も安心して受講することが可能です。

特に1学期は日本画科の受験に必要な「型」を構築していきます。昼間部終業後は「学科授業」、もしくは「夜間制作特訓(希望者)」に分かれ、各々の課題点克服のための対策に取り組みます。また、高校生を主とする夜間部は、“4日に1課題”というカリキュラムサイクル。基礎をしっかり習得し、芸大美大受験に必要な対応力を鍛えます。「全員現役合格!」を目標に、ひとりひとりのレベルに沿った丁寧な指導を心掛けています。

少数制の徹底した個人サポートで高い合格率。緻密な入試分析と分かり易い指導理論でどの美大入試にも強いのが新美日本画科です。また、清潔度の高い環境は空調設備も万全のため、安心して課題制作に集中することが出来ます。

 

日本画科に興味ある受験生がいらっしゃいましたら是非見学にいらしてください。

日本画科受験についても質問があれば講師がお答えします!お気軽にどうぞ!


 

2013年度合格実績     ※2013年度在籍者数23名中

東京芸術大学2名(過去3年間 9名合格)

多摩美術大学日本画10名、武蔵野美術大学4名、東北芸術工科大学5名、女子美術大学5名

広島市立大学1名、北海道教育大学1名

1-6←春の合格者作品展

1-7←春の合格者作品展

私大平面授業

1学期授業スタート デザイン・工芸科 私立美大コース

私大コース 古関です。

新宿校 私大コース 4月12日からスタートしました。
毎年、新しい学生がやってきて1年間頑張って合格を目指していくのですが、
特にこの時期は皆、少し緊張しながら制作しています。

まだ、現在は基礎的な課題が中心ですが、
これから、少しづつ受験に沿った課題が増えてきます。

また今年も良い成績が出るように。
皆、1年間頑張って、第一希望目指して一緒に学んでいきましょう。

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