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彫刻科 油がのっています!

彫刻科の氷室です! いよいよ1学期も終盤 夏がすぐそこまで来ていますね
最近、生徒の作品がグッと伸びて来ている様に感じます!みんな謙虚でいやいや自分なんてまだまだ。。。と感じているかと思いますが
それぞれ悩みながら真剣に実技に向かい合ってきた結果がじわじわ現れてきていて、厳しい指導をしながらも後ろでそっと感動している事もしばしばあります。
本当に実技がいい! 最近の私の感想です!
不思議な事に実技の傾向が似ずにむしろ分散している!個性を生かしながら各自が自分のルートを探りながら進んでいる事に正直驚きます!
これはとても良い傾向だと感じます。つかず離れず、同じ物では嫌だ!自分の良さはここなんだ!と謙虚ながらにみんなの芯の強さを感じずにはいられません。
それでこそアートだと思います!予備校という特殊な空間かもしれませんが、ここに存在しているパワーは確実に凄いです!

今日はその一端を紹介していきたいと思います

昼間部では1学期中に、粘土で作った首像を窯で焼成し作品として形に残すというテラコッタ実習のカリキュラムがあります
普段使っている水粘土ではなく、特別に発注した益子粘土を使い、今回はモデル首像を作りました!

Y.Mくんの作品
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ピッタッと粘土を押さえていくと面があやふやになり表面がぬるくなりがちですが、とても丁寧に形を探れているので強さがあります!モデルさんがそこに居るという空気含んだ実感が伝わってきます。骨格と肌の質感まで感じさせてくれる説得力のある作品です。

K.Sくんの作品
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とても柔らかく粘土が扱えていてモデリングである塑像としての魅力があります。思いきって肩を切ると動きが一直線になりがちですが、モデルさんの微妙な傾きを拾い上げ上手に表現してあります。表情も見せつつ全体感があり周りの空気も取り込んでくる作品です。

R.Yくんの作品
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モデルさんにとても良く似ています。ただ表情を似せることに集中してしまい全体の質感が似ている感じもあるので、ここから髪の毛や肌、骨張っている所の質感の違いを追究してみるのもいいかもしれません。その上でまず先に全体感が見えてくる強い作品を目指したいですね。

T.Uくんの作品
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とても綺麗な作品です。おでこ周りは髪が被さって来ると表現が難しくなりますが、しっかり観察してあります。骨格を掴みつつ、どう印象を似せて行くのか?その戦いが結果に繋がってきました。顔の強さに髪型や首もきちんと絡んでくるとさらに強固な作品となるでしょう。

F.Tさんの作品
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力強く眼差しを感じます!目の表現に果敢に挑戦していったことが結果に繋がりました。こういった全体的に抱えられそうな形の強さで魅せて行く作品はとても新鮮です。鼻から耳へ、そして後頭部へと自然に視線が動いていってくれる彫刻としての魅力がある作品です。

そしてこれらの作品を心棒から外し
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中の粘土をくり抜き一定の分厚さにして乾燥させてから窯で焼成します!
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それぞれの作品は、小川原主任のアトリエにある窯で焼成してもう予定です!
台座を作り着彩します。その風景はまた後日に。

先日行われたコンクール
デッサンはジョルジョ、塑造は構成でした
デッサン1位を獲得したR.Yくんのデッサンです
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首の動き、肩の形、胸の面が下へ広がるなどまだ弱い部分はありますが、横位置のジョルジョらしい印象が拾えています。顔の印象、形体、光、動き全てがバランス良く表現が出来ていることが結果として1位へつながりました!

構成課題1位はK.Sくんの作品です
一部分を紹介!
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御者と幾何形体を使った構成でした。リズム感と光と影のバランスが良かったです。何よりも御者のクオリティーは必須ですね!

こちらはロープとカボチャ木の3種類を使っての通常構成課題です。
Y.Mくんの作品の一部
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動きに関連するモチーフの使い方に説得力があり、目を引く作品でした

T.Uくんの作品の一部
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空間へのシンプルなアプローチがグッド!

A.Hさんの作品に一部
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モチーフそれぞれの作りこみが上手いです!

構成は完成度が重要です!もちろん空間へのハッとするアプローチも大切ですが、モチーフが持っている特性を活かしつつ時間と力量との相談も大切です。
粘土と言う素材ですが、その素材感を越えてモチーフの質感が見えてくるまで粘りましょう!そのためには、モチーフの特徴を拾えるまで観察することです!

次は、牛骨とタイヤの静物素描です。
T.Uくんのデッサン
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色味に幅があり、目立つデッサンです。どういう状況でモチーフがセットされていたかが良く分かります。タイヤも頑張りました。
牛骨の質感が感じられるまで、目の窪みの中の表現や骨の硬い感じもまだまだ探れそうです。

静物デッサンは床面の表現が大切です!ここで決まると言っても過言ではありません。そして明るい所やハーフトーンの部分をしつこくしっかり描き込みましょう!

ここからは石膏デッサンです。

K.Sくんのデッサン
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柔らかくて色味の奇麗なデッサンです。表情や構造感もしっかりしています!上手ですね。

T.Uくんのデッサン
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難しい正面位置から良く挑戦しました!腰の重量感が表現できたらなお良かったですが、難しいねじれを捉えようと細部まで気を使えています。

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ブルータスらしい表情を捉えてあります。洋服を取ったときに存在するであろう体の張りが欲しいですね。

T.Uくんのデッサン
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空間を感じるデッサンです!やや体の切り口が伸びて顔が小さく感じてしまします。目で見たサイズ感を信じてバランスを合わせられたら恐いもの無しです!

こちらは夜間部で頑張っているA.Sさんのデッサンです!
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出だしから印象を良く捉えられていました!両肩から首の付き方までしっかり描けています。ジョルジョ特有の顔の印象も素直に観察が出来ていますね。見ていて飽きないデッサンです!

こちらはプレ夏期講習(デッサン編)にデモンストレーションとして参加してくれたT.Uくんのデッサンです。
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序盤苦戦しながらも、ここまで持ってこられるのはやはり実力を感じさせられます。マルス正面位置は難しいですが、動きがしっかりしていて、印象が丁寧に描けています!
ありがとうございました!

さてさて長いブログになってしまいましたが、ここにあるものだけでは語れない葛藤あり涙ありの作品たちも良い物がたくさんあります!
様々な葛藤を日々感じながら明快な目標に向けて突っ張れる日々もあっと言う間に過ぎて、夏がやってくるとさらに加速していきます。
目の前にある出来ることを、粘り強く。。。なんて月並みですが、そこに尽きるのもまた事実なのです。
いろいろ消化できないことが発生したらいつでも教えてください! スッキリして、またはメラメラ燃えて夏期講習を迎えましょう!
夏期講習はスペッシャルゲストが来てくれるかも?

私事ですが、最近の作品を紹介します! 小さな小さな展示を開催した時の作品です。
今回はドローイング(線)を立体に起こしてみました。

『境界線』2014 素材:飴、鉄、ドローイング
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飴の立体は溶けて境界線は離れていくのですが、溶けた液体はどんどん融合していきます
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境界線は別の次元で境界線ではなくなります
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それではまた次回のブログにて!

マイノリティの作り出す未来とは

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、僕が新美で講師を始めてから20年以上になりますが、ここでは色んな学生や作品と出会ってきました。受験生とは思えない位のハイレベルな作品を作る人から、所謂アウトサイダーと言われる様な人まで様々です。
昨年のブログにも関連する内容を書きましたので、併せて読んで頂けたら幸いです。
「愛すべきアーティストの卵たちへ」
http://www.art-shinbi.com/blog/20130708/


ところで、アメリカにはMOMAならぬ、MOBAなる美術館が存在しますが、ご存知でしょうか?The Museum Of Bad Artの略だそうです。これが中々パンチの効いた面白いアーティストが揃っているんですよ(笑)。まだ見た事の無い人は是非一度覗いて見て下さい。
http://www.museumofbadart.org/
このサイトを見た時、blue peopleというジャンルがある事に思わず笑ってしまいました。何それ?ジャンルなの(笑)?みたいな。それにしてもこういうアーティスト達を評価する社会的な土壌がある、というのが凄いと思います。と同時に、改めて日本の社会はまだまだ遅れているな?と考えさせられました。

 


また話は変わりますが、以前テレビを見ていた時、こんな言葉が耳に入って来ました。

「マジョリティは現在の為に、マイノリティは未来の為にある」(元NEC会長、関本忠弘)

確かにそうだな…と思い、すぐにメモを取りました。マイナーなものやマニアックな世界は、メジャーなものや常識と常に比較され、隅に追いやられたり、虐げられたりしています。反面、押さえつけられたエネルギーが圧縮され、隠れキリシタンの如く、凄いパワーを持っている事が多い様に思います。もちろんマイナーなまま終わってしまうジャンルもありますが、ちょっとしたキッカケで一気にメジャーを追い抜くという事も稀ではありません。
革新的過ぎるアイデアや少数派の意見などは、一般社会において何かと無視され易いのですが、実はその中にこそ未来があるのです。

我々が扱う美術(ファインアート)の世界は、非常に個人的なところから生まれて来ることが多いように思います。それがメジャーになり得るかどうか?は時代という“ふるい”にかけられ、徐々に評価が定まっていくものなのです。

叫び
エドヴァルド・ムンク 「叫び」 1893年

このムンクの「叫び」という作品も、実はムンクの幻覚から生まれ、描かれた当初は評論家に酷評されたと言われています。それが今ではこの絵を知らない人は殆んどいない。というくらいメジャーになっていますよね。
・・・それにしてもこの「叫び」見れば見るほど ”完全に向こう側の世界に行っちゃった人の作品” だと思います。


学校や一般社会では少数派やオタクの烙印を押されて理解されず、周りからの冷たい視線から身を守る為に自主規制をしているような人がいますよね? そういう人は是非勇気を持って新美の油絵科の門を叩いて欲しいと思います。
この世にたった一人しかいないあなただからこそ、描ける未来があると信じています。

基礎科 彫刻クラス ?彫刻ブーム到来か!??

基礎科、彫刻担当の加藤です。こんにちわ。

先週・今週と専門課題では彫刻と油画が始まりました!!彫刻は、なんと今回は全曜日合わせて19人!!土曜コースで11人も塑造を行いました。これは近年稀に見る彫刻の人数、彫刻ブームがきましたね。(この中から何人が彫刻専攻になるかは今は考えないことにします)

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この人数を一斉に指導するのは大変でした…。特に心棒と荒付けは。てんてこ舞いでしたが、人数が多いことに喜びを隠せません。

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作り途中の自刻像。体験の生徒は自刻像を制作です。

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作り途中の私の自刻像を使い、頭部の構造について講義中。骨格のことや、細部のベースなどを細かく講義!!みんな初めてなので、まじめに聞いています。

出来上がった作品の一部を紹介します。

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2人共、初めてなのによく出来ています!!実際に似ているとこがまたいい!!

すでに彫刻専攻の生徒は、ピーマン・フェイスタオル・幾何形体の構成です。また新美基礎科・彫刻クラスでは、工芸専攻の生徒用に心棒を使わない台座を含めた塑造も行っています。今回はその1部を!!

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彫刻専攻の生徒の構成作品。時間が短かったため作り込みは足りないですが、構成としてはとてもよく考えられていて、とてもいい構成です!!

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工芸専攻の生徒の作品。台座もしっかり出来ていて、フェイスタオルの扱い方も上手です!!作り込みも素晴らしいです!!

このように、基礎科・彫刻クラス元気に頑張っています!!夏ももうすぐそこ、さらに盛り上げていきます!!

映像科:ICCの『OPEN SPACE 2014』

映像科講師の森田です。梅雨真っ盛りで湿度高めな日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。普段新美に通っている人は新宿駅から徒歩の人が多そうですが、雨の日は初台駅を利用するという人もいると思います。初台駅と言えばオペラシティそしてオペラギャラリーが有名ですが、そのひとつ上のフロアの「ICC」の存在は意外と知られていません。もちろんとっくに知ってるよという人もいるとは思いますが、映像系の学生だけでなく、知らない人にはぜひ足を運んでみて欲しいので、あらためて紹介を。

去年の新美の学生には「perfumeの展覧会をやってる一風変わった美術館」として認知されていたICCですが、オフィシャルのページによれば「ICC=Inter Communication Center」はNTT東日本が運営している文化施設」で「ヴァーチャル・リアリティやインタラクティヴ技術などの最先端電子テクノロジーを使ったメディア・アート作品を紹介」、「従来の形式や分類を超えた企画展を開催してきました」とのことです。開館したのは1997年だそうですが、それから十数年に渡って、美大の映像系、メディア系、情報系の学生(の一部)にとっては、聖地のような場所でもあるような気がします。

そんなICCでは6/22からは『OPEN SPACE 2014』と題された展示が始まっています。この『OPEN SPACE』では毎年常設の作品も含めた新しい作品を無料で観ることができます。僕も早速行ってきましたが、個人的にはメディアアートの歴史に必ず登場する、ジョフリー・ショーというアーティストの『レジブル・シティ』という作品を初めて体験したのが印象的でした。展示室に置かれた自転車に乗りペダルを漕ぐと、それに従ってスクリーンの映像の中を進むという、1988年頃に制作されたインタラクティブな(体験型の)作品なのですが、決して悪い意味ではなく、2014年にこれをアートとして体験するというのはどういうことなのか…と、ちょっと考えてしまいます。ゲームやアトラクションとどう違うのかとも。

あるいはメディアアートの作品では、制作からしばらく時間が経つとその作品を展示できなくなるということがあり得るそうです。それは制作時のシステムやプログラムを走らせるためのソフトウェアやアプリケーションが、今のコンピュータに対応していないからという理由からですが、考えてみるとこれも興味深い話です。一般的には物質ではないデジタル・データの作品だからこそ保存も楽なのでは…?と思いきや、ちょうど携帯電話をスマートフォンに変えたら画像が読み込めなくなるように、展示自体ができなくなってしまう。もちろんその中で『レジブル・シティ』のように歴史的に貴重だとされた作品は、データを変換したりし続けることで何とか再現可能な作品であることを保つわけですが、こういったことも美術の「保存」や「修復」に関わる問題なのだと思うと、なかなか不思議な気持ちになります。

制作されたその時代の最先端の技術と結びついた「メディアアート」だからこそ感じた印象なわけですが、どうでしょう。ともあれこの作品に限らず皆さんもぜひ行って体験してみてください。

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日本画科便り5-夏期講習会のご案内-

日本画科です。

 

― 夏期講習会の準備も着々と進行中!

夏期講習会は前期・中期・後期の3期に分かれ、基礎を確実にし、徹底的に弱点を克服します。そうです、この「基礎を確実にし、徹底的に弱点を克服する」ということが重要なのです。学校との両立で忙しい高校生は、この期間に思う存分制作することが出来、力を付けることが可能です。

「総合コース」においては制作時間を長めに取り、各々の課題点を克服するための対策を行います。また後期の「私大対策コース」では、主に多摩美術大学と武蔵野美術大学の入試傾向を理解し、目標を見極める学習を行います。

特に外部から受講する方は、それぞれの課題点を理解し、また、共有するため、必ず講習始めと終わりに個人面接を行います。日本画科受験において経験豊富な講師が、ひとりひとりのレベルに沿ったきめ細やかな指導を心掛けていますので安心して受講していただければと思います。

短期間集中し、レベルアップを目指していきましょう!!!

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【お知らせ】

「夏期講習会」受講生を募集開始しています!

日本画科では、前中後期に総合コース、後期に私大コースを設けています。

東京芸大、私立美大、国公立美大、その他私立美大の入試情報と入試課題の緻密な分析によってカリキュラムを作成しています。講習を通じてデッサンと着彩をバランスよく学習していくカリキュラム編成です。

指導は、受講者のレベルに沿った丁寧な対応が特徴です。その理論的で分かり易い指導は各自の課題点をクリアにしていくものです。個別の実技指導も行いますので、初心者も安心して受講することが可能です。外部から受講する方にも強力なバックアップ態勢を考えています!面談等で徹底的な課題打ち合わせを行ってから指導に従事します。そのため、安心して受講いただければと思います。清潔度の高い環境は空調設備も万全のため、安心して課題制作に集中することが出来ます。

少数制の徹底した個人サポートです。是非、新美日本画科へお越しください。

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