カテゴリー別アーカイブ: 新宿校

《基礎科》オリジナリティを探しています

毎回この話ばかりを持ち出してしまって申し訳ないのですが、、、

つい先日(?)閉会したパリオリンピックのブレイキンという種目で
今回の日本選手団の騎手も務めた男子代表のBboy shigekix (半井 重幸)さん。
有名な大会でも優勝してたりして、メディアでは”ほぼ金”などと言われていました。
(ほぼ金って何だよって感じだし、こういう持ち上げ方ほんと良くないと個人的には思いますが、、、)

しかし試合結果は4位、メダルにも届かないという結果でした。
内容自体はいつものshigekixのムーブ、むしろいつもよりキレッキレの難易度の高い技を
ほぼミスなく連発し、相手を圧倒していました。
それに対して、「なぜあれでメダルを取れないのか?」「なぜ相手よりすごい技をやったのに、
負けるのか?」というネットの声が上がっていました。

ブレイクダンスというのは一般的なイメージとして、ヘッドスピンやウインドミルという
大技(パワームーブ)をメインとしたダンスのように見えるのですが、
実はそれだけではなく、立った状態としゃがんだ状態の(トップロックやフットワーク)ダンスを含めた全体の構成や表現力、
オリジナリティの部分がかなり大事になってきます。

難易度の高い技というのは、体力がありマッチョな人だけが行えたり向き不向きがあったりします。
それだけが良しとされてしまうと、体操と変わらなくなってしまいます。
大技ができない人にとっても、オリジナリティで戦うことができるのがブレイクダンスなのです。
根元には、ダンスというのは正解がなく、無限の表現方法があるということなんじゃないかなと思います。

得点に繋がる答えが一つではなく、さまざまな戦い方があり、逆に言えば自分の戦い方を
自分で見つけなくてはいけない。

女子代表で金メダルを取ったBgirl AMIさんが取材で試合前にこのように語っていました。
「ブレイキンは自分にとっては表現。つまりアート。それが五輪種目になって勝負ごとになるとブレイキンの良さが潰されるのではと当初危惧した」

女子のブレイキンは、体力的にパワームーブを連発するのが難しいため
(とはいえこの10年で男子顔負けのレベルに来ていますが、、、)
そのオリジナリティの部分がより際立ちます。
試合を見ていても、ダンスを楽しんでる!という感じがして、
とても楽しいです。どの選手のムーブも個性があって、ほんとに素敵です。

今回のshigekix選手のムーブというのは、技のレベルとしては素晴らしい、
しかし、相手がもっとオリジナリティがあって、そのBboyらしさが出たムーブだった、
というのが結果なんじゃないかなと思います。

このオリンピックの結果を含めて、
あぁ、まさに美術にも繋がるところがあるなあ、
(全然小さい世界の話にはなってしまいますが)芸大の油画の試験でも
同じようなことが言えるのではないかな、と思ったりもしました。

技術としてわかりやすく言えば、見たまま写真そっくりに描くことだけが高得点ではない。
(写実も突き詰めていくとさまざまな表現方法があります、素晴らしい絵がたくさんあります。)

その人の視点や考えから生まれたその人らしさを突き詰めていった先のオリジナル。
当然、それには高いレベルの基礎力は必要で、その上で、その人らしさが求められてくる。
きっと自分と向き合う時間も、いろんなインプットもたくさん必要になってきます。

自分らしい表現、自分らしさというものにオリンピック選手になっても悩み続ける。

Shigekix選手はオリンピック前からオリジナリティに関して指摘されていたらしいです。
でも、スタイルとして技巧的な部分を誰よりも研いでいくことに自分らしさ、
を現時点で見出そうとしたんじゃないかなと思います。

美術という表現の世界の入り口あたりに基礎科はあるわけですが、
夏期講習真っ只中の基礎科でも、すでにそういった悩みは生まれてきます。
基礎力をつけながらも、自分らしさって何だろうか?
自分がやりたいこと、自分がやりたい表現って何だろうか?と
悩んでる時点で、もうアートの世界にズッポリと足を踏み入れているんだと思います。

そしてその悩みというのは、きっとこの先一生付き合っていくものになるのだと思います。

当然答えは出ないですが、現時点でのヒントになるようなものや、
ヒントの見つけ方などを見つける手助けというものを、
自分達の経験を通して、生徒さんに提案していくというのが、
私たちにできることなんじゃないかな、と思っています。

当然私たちも、いまだに毎日悩んでいるわけなので、、、。

そんな夏期講習も、明日からついに最終タームに突入です。
残り1タームもいっぱい悩んで、いっぱいもがいて欲しいなと思っています。

無理やり勉強する

 

こんにちは、留学生科です。

みなさん、中国語にも「勉強」という言葉があるのをご存知でしょうか。
日本語だと学習すること、まなぶことという意味ですが、中国語では「無理をする」という意味になります。
「無理しなくていいよ」は、「不用勉強」です。
つまり、勉強は無理にするものということですね。(こじつけ?)

夏期講習真っ只中ですが、留学生科は期を重ねるごとにヒートアップしています。
みなさん驚くほど上達が早く、それぞれの課題を克服していっています。
最初形が取れなかった生徒もだんだん取れるようになり、色をのせるのもはやくなりましたね。

素晴らしいことです!

しかし、ここから更に完成度を上げていかなくてはいけないので、効率アップが課題になっていきます。
そのためには「無理やり」終わらせる訓練も必要になってきます。

ベース作りとキワしめ、それから床の大切さをデモストを通じて実演しましたね。
完成度を上げるためには進め方が大事です。

無理やりやってみましょう!

映像科:夏期講習会前半の報告!

こんにちは、映像科です。
ちょうど今日が夏期講習会のⅡ期・私立美大映像 総合型選抜コースの最終日でした。

このコースでは武蔵野美大をはじめとして総合型選抜の対策を行います。
ポートフォリオの提出が必要な人、プレゼンテーションやグループディスカッションが必要な人などさまざまですが、総じて言えるのは「自分が大学に入学して制作したい映像を具体的に考えておくこと」そして「その具体的なプランを言葉や文章で伝えること」です。

写真は武蔵野美大映像学科のディレクション資質重視方式を想定した課題制作の様子です。
個別で案を構想したあと、協力して一つの案にまとめました。

早い人は9月に出願があります。一般対策もあり大変かと思いますが、暑さに負けず乗り切っていきましょう!!

↓↓SNS(映像科公式)もよろしくお願いします!

///////////////////////////////////////////////////////////////
ena美術新宿 映像科 公式Instagram
ena美術新宿 映像科 公式X
映像科の授業
オンライン教育科(映像コースも開設)

映像科:一学期末コンクール(そして夏期講習へ)

こんにちは、映像科です。
先週の日曜日に映像科の一学期木金日コースの授業は終わりました。受講していた皆さんは本当にお疲れさまでした。
4月から7月まで、思い返せばあっという間でしたね!

一学期の最終週は恒例の武蔵野美大型コンクール(実技模試)でした。
木曜日と金曜日に「感覚テスト」「小論文または鉛筆デッサン」を制作。日曜日に丸一日かけて講評しました。
感覚テストは「立ちどまって」という文章がキーワード。また小論文と鉛筆デッサンはいずれも「とうもろこし」をモチーフとして出題しました。
この時期としてはかなり充実した作品が並びました。夏期講習からの制作も期待できますね!

さて、少しの休みを挟んで7/20(土)からは全22日間の夏期講習会がはじまります。
あらためて夏の講習のスケジュールを確認しておきましょう!
こちらから

///////////////////////////////////////////////////////////////
ena美術新宿 映像科 公式Instagram
ena美術新宿 映像科 公式X
映像科の授業
オンライン教育科(映像コースも開設)

《基礎科》今年の夏は暑いだけじゃない!

梅雨はどこに行ってしまったんでしょうか、、、。

梅雨といえば雨が連日続き、洗濯物が溜まり、謎の場所にカビが生えたり
食べ物が急速に傷んだり、毎日アンニュイで外出も億劫になる季節の代名詞。
早く夏にならないかな〜と思ったりするはずなのですが、
ほとんど今年はそれがないような気がします。
なかったらなかったで少し寂しいと思う反面、
今年の暑さはその分長いということで、
もうすでに体感40度ぐらいの日々にギブアップ寸前な上に、
これがあと数ヶ月続くと思うとゾッとします。

そんな夏バテ防止に、
昔から夏の土用の丑の日は鰻で精をつけよう!
と言われてる感じがしますが、実は土用の丑の日は1年のうちに何度もあり、
うなぎというよりは、「う」のつくもので運気を上げて無病息災を願うものだったようです。
(諸説あり)

夏がスタートする時期に精のつく鰻を食べて夏バテを防ぐ、みたいな目的
で聞いていたような気がするのですが、だいぶ違うんですね。
先日浜松に出張で行ってきて、その際にうなぎを食べようと思ったのですが、
さわやかでハンバーグを食べてきてしまいました。

さて、
猛暑の中、夏期講習ももう少しでスタートするわけなのですが、
今年の夏の一大イベントをみなさんはご存知でしょうか?

そうです、『ブルーピリオド』(実写版)の映画公開です!!

それに合わせて、
ena美術新宿では劇中で使用された絵画の展示を1階ギャラリーにて
行っております。
そうなのです、この作品に当校はがっつり噛んでいるのです。
そこの詳細に関しては、きっと他の科のブログで詳しくお話ししていただけるはずですので
私からはあまり話さないでおきます。

そんなこんなで、僕もご縁があって試写会に行かせていただきました。

今第一線で活躍する若手からベテランの俳優さんまで、
素晴らしいキャスト陣、良作の予感しかしないですねよね。
少し前ですがエルピスの眞栄田郷敦さん、めちゃくちゃ良かったですよね。。
実は僕は薬師丸ひろ子さんと江口のりこさんの演技が好きなので、
本作の掛け合いのシーンはたまらなかったです!!

そんな試写会の感想を映画の内容に関して、全く触れないようにお伝えしたいと思います。

————————

自分にとって何をしてる時が1番楽しいのか?
何をしている時が1番自分らしくいられるのか?
そんなすごくシンプルだけれど、そのことについて深く考えたり、
向き合ったりすることが苦手な人が多い。
ふと気づいても目を伏せたり、心の奥底にしまってしまったり。

実は、程度の差こそあれ、誰にだってきっとそれはあるはずで、
「じゃあ、それを糧に生きていくのか」と言われると、
上がっていた手がどんどん下がってしまう。
「好きとそれを仕事にするのは違うよね、」と。それで食っていけるのかと。

手を上げ続けた人たちは、
「自分の好きなことで生きていけていいよね。」
「才能があるからできたんだよ。」
そんなことを言われるかもしれない。

でも、自分はもうその気持ちに気づいてしまった。

どんな辛いことも、どんなにプライドをズタズタにされても、
感情に嘘はつけない。何度倒れてもファイテングポーズを取り続けるしかない。
誰にも好きという気持ちは汚させない。

そんな思いの人は美術以外でもたくさんあるはず。
劇中ではそれが美術だっただけで、きっとたくさんの「好き」がある。
この映画を1人でも多くの人が見て、
自分の「好き」を見つけ、耳を傾けられる人が少しでも増えたら、
きっと少しは素敵な世界になるんじゃないだろうか。

好きを糧にしていくことは簡単じゃない。苦しみもある。
それでも、きっとその時に手を差し伸べてくれる人はいて、そのおかげで今の自分がいる。
改めてそういう存在に感謝をしたくなりました。

作品自体は藝大の油画受験の話ですが、きっと美術に関わってこなかった人にも、
これから進路を決める若い人以外にも、自分を見つめ直すような
作品なんじゃないかなと思いました。

『論破』という言葉がもてはやされるご時世、
論破というのは断絶を生むと私は思っています。
まさに言葉の暴力であり、その先には荒地しかない気がします。

一方で芸術や美術、表現というのは、他者を受け入れる行為です。

同じものを見ても人によって使う色や、形が異なっても良い世界。
人の作品を見て、「なぜそうしたんだろうか?」と相手の視点になって物事を考える。
そして、「そういう考え方もあるんだなあと」自分の中にさまざまな視点を持つ。

美しいものだけが芸術ではないです。わかりにくいものだってたくさんあります。
ですが、それもひっくるめて芸術なのではないでしょうか。

こんな時代だからこそ、
こういった映画を通して、少しでも芸術に興味を持ってもらい、
『他者の意見を受け入れる』ことが
世界に広まっていけば良いなあと思います。

さあて、夏期講習に向けて精をつけるために
焼肉でも食べに行こうかな。